道端なるほど合点おもしろ館
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その道に秀でた人には、そんな事知らなかったのと軽蔑されるかも知れないが、私が「へぇーそうなん
だ、なるほど合点」と思った事柄を随時取り上げて行くページです。「へぇーそうなんだ、なるほど合点」
となるためには多くの書物やネットを調べなければなりません。その結果、一部似通った表現になって
いるかもしれません。なお、参考及び引用した文献につきましては、勝手ながら省略させて頂きます。
<アオクビアヒル>野鳥に興味を持ってあちこちの公園へ行くと、池にマガモの雄と同じ模様だが、身体は少し大きくてどうやら飛べないカモがいる。いつも雄とは異なった体色の雌と仲睦まじく暮らしている。これは野鳥ではないものの、いったい何と言う名の鳥なのだろうかといつも不思議に思っていた。知人に聞いたりネットで調べてみたらアオクビアヒルという名前のアヒルである事が判明した。アヒルは中国でマガモを家禽化したものであるが、その中にはマガモに似た体色の系統があるらしい。アヒルは白い色をしているものという先入観があるが、日本、イギリス、フランス、オランダなどでさかんに改良されて、多種多様な品種が作られたようである。それでは最近アイガモ農法で有名になったアイガモとはなんぞやと調べてみると、アイガモはマガモとアオクビアヒルを交配したものか、アオクビアヒルが野生化して原種のマガモに近くなったものを指して呼ぶようである。いずれにしても、写真撮影していて一番近づく事の難しいマガモを家禽化してアヒルを作出した中国人には頭が下がる。余談だが、このアオクビアヒルは食べてとても美味しいとの事である。
<イボタロウカイガラムシ>最近あまりお目にかかれなくなったが、イボタの小枝に白い蝋状のものがついていることがある。これはセミと同じ仲間の半翅目カタカイガラムシ科のイボタロウカイガラムシの雄の幼虫が分泌したものでイボタロウと呼ばれ、成虫が飛び去った後に採取し加熱し布で濾したものが白蝋と呼ばれている。この白蝋は特に桐ダンスの艶出しにはなくてはならぬもののようで、敷居のすべりを良くするためにも重宝される。薬用としては溶かしたものでイボを取るのだとあり、また、止血に患部に塗布したり、強壮、利尿などにお湯に溶かして飲用するのだともある。木の名前であるイボタの由来は上記のイボトリから来ていて、イボトリノキが転訛してイボタノキとなりイボタとなったと言う。現在では、あまりとれなくなって貴重なもので、市販には二種類あって、本イボタ、とか、結晶イボタと言われるものはイボタロウカイガラムシ由来のもの、代用イボタとか、丸特イボタとかいわれるものは滑石にパラフィンをまぜて固形にしたものであるとある。なお、イボタは美しいウラゴマダラシジミや奇怪な大型のガであるイボタガの食樹としても著名だ。
<クラウンゴール>雑木林の中を歩いていると、コナラの小枝に瘤がたくさん出来ているのを良く見かけます。これは虫こぶに違いないと思っていたのですが、どうも違うようなのです。植物に出来る瘤は「えい」と呼ばれていて、なんらかの刺激に対して細胞が異常に増殖し、変わった形状となったものです。えいを作る原因には、ウイルス、バクテリア、菌類、昆虫類、ダニ類などさまざまな生物によってとされていて、特に昆虫によったものを虫えい(虫こぶ)、菌類によるものを菌えいと呼ぶようです。写真の瘤はクラウンゴールと呼ばれるもので、土壌中に生息するアグロバクテリウムに感染した部分のようです。
植物は傷つくとその傷口から樹液が滲み出て来ますが、アグロバクテリウム は、この樹液の中に含まれるアセトシリンゴンなどのフェノール化合物や糖などを感知して、その植物の傷から侵入して感染させ、侵入した部分の細胞に変化を起こさせてクラウンゴールという植物ガン細胞をつくるのだそうです。クラウンゴールはこのように恐ろしい植物の病気なのですが、最近この性質を利用して、植物の形質転換に盛んに利用されているようです。