第10章…撮影後の整理と楽しみ

■撮影後のフイルムはスリーブ仕上げで

 撮影したフイルムはすぐに現像に出しましょう。ポジフイルムの場合は何処に出しても同じ仕上がりですが、色々と相談に乗ってくれるお店が良いと思います。ポジフイルムの仕上げの仕方は前にも書いたように、現像のみのスリーブ仕上げと、一コマずつマウントしてくれるマウント仕上げがあります。最初のうちはマウント仕上げでも良いと思いますが、露出補正を多用したり絞りを変えて被写界深度を変えたりと、一被写体に数カットずつ撮影することになるポジフイルムでの撮影では、不適正なものはマウントされたままゴミ箱へ捨てることとなります。これではとても不経済になりますので、たくさん撮影するようになったらスリーブ仕上げで出しましょう。

■迷ったら複数のコマをとっておく

 スリーブ仕上げであがってきたフイルムは、ライトボックスとルーペで確認します。ライトボックスの大きさは様々ですが小型のものでも十分です。ルーペの倍率は5〜10倍位が一番使いやすい倍率です。ライトボックスとルーペを使って、どのようなコマを適正なものとするかは人様々ですが、まずはピントが合っていて、見た目通りの明るさと色調に仕上がっているものということになります。雄しべや雌しべがはっきりと分かり、花弁の微妙なシワが写し出されているものです。しかし、狙いによってはこのセオリー通りではなく、迷った時は、後で後悔しないためにも複数のコマをとっておきましょう。

■整理しやすいように同じマウントを使おう

 こうして自分にとって最適なコマを選んだら、洋バサミで両端をカットし、マウントに切手用の先が平べったくなったピンセットなどを使ってセットします。マウントは将来も同じものを使う方が整理に便利で、色々比較検討して決めたら、ずっと同じものを使いましょう。また、洋バサミのかわりに専用の35mmフィルム専用カッターも市販されています。なお、フイルムの裏表ですが、フイルム名やコマ数字がちゃんと読める方が表です。また、表面はツルツルしていて裏面はザラザラしています。

■撮影データは克明に記入しよう

 次にセットしたマウントに油性の細字ペンで撮影データを記入します。撮影年月日、撮影場所、天候、使用カメラ、使用レンズ、使用アクセサリー、露出モード、絞り値、シャッター速度、露出補正値、フイルム名と種名です。種名に関しては図鑑で調べなければなりませんが、それもまた楽しみの一つです。これらのデータをしっかりと記入しない方は、花の写真に関しては落第生となります。マウントされたポジフイルムがたくさんたまったら専用のスライドファイルに入れて、直射日光の当たらない暗くて乾燥した場所に防湿防カビ剤を入れて保管しましょう。

■プリントは2LLに伸ばして

 自信作ができたら思い切ってLサイズではなくてキャビネ(2LL)サイズのプリントにしてみましょう。ブレも無くピントがぴしっと合っていると思ったものが、大伸ばしすることによってそうではなかったと気づくこともあります。ポジフイルムをプリントにするには、ダイレクトプリントまたはレーザープリントでと頼めば、ネガカラーフィルムからのプリントよりも時間と費用はかかりますが、どこのお店でも取り扱ってくれます。最初のうちは専用のファイル式のプリントケースに入れて鑑賞すると良いでしょう。傑作が撮れたら白い余白のたっぷりとある台紙を使って額に入れ、部屋に掛けてみるのも楽しいものです。また、年賀状や暑中見舞いなどのポストカードを作って、親しい友人に送ってみましょう。

■ミニ写真展を開いてみよう

 こうしてたくさんの傑作や自信作が出来たら、公共施設のロビーなどを借りて、ミニ写真展を開いてみましょう。私なんかの実力で写真展なんてとお考えにならずに、気楽に開いてみることです。予期せぬ様々な反響があり、また、人に見せるということによって、ますます写真の腕は上がることでしょう。そして、たくさんの傑作写真が出来て、費用等の金銭面での折り合いがついたら、簡単なカレンダーや写真集を出版して親しい方々に送ることができたら素晴らしいことだと思います。

■サークルを作るのも楽しい

 よりもっと大規模な写真展や写真集は、個人では負担しきれない程のお金がかかりますし、また、個人では作品数に限りがあります。そこで気の合った者同士で写真サークルを作り、各自の負担を少なくすれば定期的に行うことも可能です。また、サークルを作ることによって、色々の撮影情報、写真撮影の技術などの交換が出来て、ますます写真撮影が楽しいもとなるでしょう。出来れば撮影対象が似通った者同士のサークルが最適だと思われます。

■ホームページを開設しょう

 また、パソコンに精通している方ならホームページを開設して、インターネットで日本全国に発信してみましょう。インターネットのホームページ作りのためのソフトや写真を取り込むためのフイルムスキャナーもだいぶ安価になって来ています。しかし、安易に花の写真を並べるだけでは魅力がありません。後述する地域やテーマを絞って、何らかの形での情報発信ページにすることが大切かと思います。そうすれば、全国の同好者からたくさんのメールが届く事でしょう。

■自分だけの本を作ってみよう

 また、撮影対象が地域をしぼった山野草なら、市販のクリアーファイルを使用して、山野草の図鑑を作って図書館などへ寄贈すれば、郷土の役に立つこともできます。文章はワープロやパソコンで打って写真に添え、クリアーファイルに挿入すれば良いだけです。はじめの言葉や目次、参考資料等も忘れずに入れ、生息環境等の風景写真なども随所に入れれば、本格的な単行本のようになるでしょう。また、両面をカラーコピーして表紙を付けて上手に製本すれば、立派なあなただけの山野草の図鑑が完成します。パソコンに精通している方ならよりもっと完成度の高い本が出来上がることでしょう。
 このようにテーマを決めて花の写真を撮影し続ければ、自ずと植物の知識が必要となって多くの本を読み、目的が出来ることによって花の写真の趣味が長続きすることは言うまでもありません。また、その結果として写真撮影の腕前も上がり、定期的なフィールド通いによって健康にも大いにプラスとなるでしょう。