2005年:つれづれ観察記

(1月)


1月30日、神奈川県大和市

 今季は野鳥といえば小鳥ばかりを追いかけていて、池や沼に飛来するカモ等の水鳥達を撮影する事が余り無かった。これでは道端自然観察館としては、大いに片手落ち、しかも、1月ももうそろそろ終わろうとしているのだから、意を決して大和市にある大きな池へ行ってみた。カモの仲間は、どうも好き嫌いが激しいようで、この池にはこのカモがいないけど、あの池にはいるということが多いものである。今日行った池は、そんな事も余り無く、様々なカモやサギやバンが見られてとても楽しい。また、カモの仲間は大きいから撮影が比較的楽と思われるかもしれないが、水面の反射等によって露出が様々に変化し、露出補正を頻繁にチェックしなければならない。また、出来うるならば動きのあるものを撮りたいから、真剣に動作等に注意していないと平凡な写真となってしまう。
 まずはアヒルの原種となったといわれるマガモを撮った。日本で一番多く飛来するし、身体も他のカモより一回りも大きいから、真鴨と名付けられたのだろうが、何処の池に行っても一番個体数の多いカモではない。ところで、マガモが繁殖地に去っても、池にいくらか身体の大きいマガモそっくりのカモが見られる事が多い。アオクビアヒルと言って、マガモに似た体色の系統のアヒルなのである。それでは最近アイガモ農法で有名になったアイガモはなんなのかというと、マガモとアオクビアヒルを交配したものか、アオクビアヒルが野生化して原種のマガモに近くなったものを呼ぶようである。ずいぶんとマガモの話が多くなってしまったが、それだけ、人に近しい野鳥なのである。この他、後ろ髪をたなびかせたキンクロハジロ、なかなか端正な衣装のオナガガモ、いつ撮ってもあんまりぱっとしないホシハジロ等も撮影した。

<今日観察出来たもの>鳥/マガモ(写真上左)、キンクロハジロ(写真上右)、オナガガモ(写真下左)、ホシハジロ(写真下右)、カケス、ヒヨドリ、シロハラ、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロ、エナガ、ソウシチョウ、マヒワ、カルガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オオバン、バン、キジバト、カワセミ、コサギ、アオサギ、カワウ、キセキレイ、ハクセキレイ等。


1月28日(午後)、横浜市緑区県立四季の森公園

 ここしばらく、鳥以外のものを観察し写真を載せて来たので、この観察記も、やっと「つれづれ野鳥記」の様相から脱せられた。そこで午後からは、四季の森公園へ鳥撮りに行った。今日は土日なので駐車場は有料だが、戸塚区の何処かの馬鹿げた公園の駐車場と異なって、一日停めておいても540円だから、ほほいのほいである。しかし、散策する方が多い事もあってか、見られる鳥の数はかなり少なかった。そこで、この公園の名物となっているカワセミ君とジョウビタキの雄を撮った。冬鳥のシーズン入りの頃は、各所でジョウビタキの雄が見られたが、このところ何処へ行ってもあまり目にしない。私が鳥を撮りたいなあと思ったきっかけの野鳥は、このジョウビタキの雄とカワセミなんだから、初心に戻って丁寧に撮影した。カワセミは言うまでも無いが、ジョウビタキは冬の人里の最も代表的な野鳥なのである。

<今日観察出来たもの>鳥/カワセミ(写真上左)、ジョウビタキの雄(写真上右)、ルリビタキ、ウソ、ヤマガラ、シジュウカラ、アオジ、カケス、シメ、コサギ、キジバト、マガモ、キセキレイ等


1月28日(午前)、横浜市都筑区茅ヶ崎公園

 今年に入ってから、私のHPの中にある「つれづれ里日記」をリファインして行くつもりでいるが、1月分では、落ち葉の下で越冬する昆虫達の写真が今一であると感じられた。そこで、今日の午前中は茅ヶ崎公園にて、落ち葉捲りに徹しようと出かけた。しかし、去年はカメムシ等の昆虫の個体数が極度に少なかったから、案の定、落ち葉を捲っても昆虫の姿が目に入って来ない。例年なら、エサキモンキツノカメムシとワカバグモなら、すぐに探し出せるのだが、全く見つからないのだから、越冬している昆虫の数が例年に比べて極端に少ないのだ。
 去年は木の実、草の実が不作だったから、それらを吸汁する昆虫達も不作となったのだろう。それでも、かろうじてゴマダラチョウの幼虫は見つけ出す事が出来たが、その数も多くはなさそうである。今季は葉っぱを捲って昆虫を食べるシロハラ等はかなり多いから、春になって見られる昆虫の数は本当に少なくなるだろう。しかし、自然は良くしたもので、昆虫の個体数はすぐに回復するから、夏以降はかなり期待出来る筈である。
 そんな訳で、意を決して出かけた筈なのに、落ち葉捲りは中止となって、何でも屋に変身した。まずは、早咲きの薄いピンクのツバキを撮った。道端自然観察館には自生するヤブツバキが相応しいのだけど、絵になるように咲き誇るのは、これからである。また、雑木林の中に生えているウグイスカグラがちらほら咲き出していたので、この花らしく、可愛らしい写真になるようにと切り取った。この他に何かないかなと探し回ったところ、冬に蛾となるフユシャクの仲間を発見したが、本当に地味な蛾であるから、ご紹介するのは止めにして、般若のような風貌のハリエンジュ(ニセアカシア)の葉痕をアップした。角が生えていて本当に怖そうな顔をしている。

<今日観察出来たもの>花/ツバキ(写真上左)、ウグイスカグラ(写真下右)、カンツバキ等。蝶/ゴマダラチョウの幼虫(写真上右)。その他/ニセアカシアの葉痕(写真下左)、ナツミカンの実等。


1月27日(午後)、横浜市青葉区寺家ふるさと村

 いつもなら、午後から鳥撮り用に撮影機材を変えて頑張るのだが、前述したように、今日は午後からも一般撮影機材のままで、寺家ふるさと村を散策した。もちろん、色鮮やかな花をターゲットにするつもりであったが、午後の陽の光は赤茶けて、花の写真には向かない。そんな訳で、日陰の中に咲くものを探したのだが、これといったものには出くわさない。これでは、今日の午後は何処へも行かなかったということにするかなと思っていたら、今季、まだ撮影していなかったゴンズイとヌルデの葉痕が、背景の良い所で笑っていた。こんな春のような陽気に冬芽葉痕もなんだなあとも思ったが、まだ季節は冬なのだからと、シャッターを切った。
 この二枚以外は色鮮やかなものにしようと、さらに頑張ったが、やっとトキリマメの実を見つける事が出来た。本当にトキリマメの種子は、実離れが悪いというのか、親離れが悪いというのか、かなりしつこく落下せずについているのを良く見かける。この後、もう一枚色がついているものを撮ってお終いにし、四季の家の写真展でも見に行こうと思ったが、もう一被写体が見つからない。これは困ったなあと、赤く色づいたナンテンの葉でも撮ろうとカメラを向けていたら、聞き覚えのする声が背後から聞えた。誰かなあと思って振り向くと、N仙人が笑っていた。暑さには強いが寒さにはめっぽう弱い仙人さんだが、ぽかぽか陽気だから散策する気持ちになったらしい。そこで、N仙人が見つけたキヒラタケがまだ残っていたら撮らして貰って、今日の散策は終了しようと案内してもらった。すると、かなり数は減っていたものの、また、乾燥のため堅くなっていたものの、なんとか絵になる部分を切り取って、久しぶりにキノコを撮影する事が出来た。

<今日観察出来たもの>花/ソシンロウバイ、ウメ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ、ニホンズイセン、ツバキ等。昆虫/ハラビロカマキリの卵のう等。キノコ/キヒラタケ?(写真上左)、ハチノスタケ、スエヒロタケ等。その他/トキリマメの実(写真上右)、ゴンズイの葉痕(写真下左)、ヌルデの葉痕(写真下右)、クサギの葉痕等。


1月27日(午前)、横浜市港北区新吉田町

 このところ鳥撮りが続いて、この観察記を書いている本人はもちろん、ご覧になっている方も、ちょいと飽きて来たのではなかろうか。そこで、今日は鳥以外のものを撮るんだと、午前中は新吉田町へ出かけた。一週間前に行った時は、花びらが綻びたばかりであったシナマンサクが、写真のようにすっかり綺麗に花開いていた。今日は気温が高くて春のような陽気となり、シナマンサクも咲いたから、春がぐっと近くに感じられて、心までもがうきうきして来た。陽が良くあたる畑の斜面のオオイヌノフグリは、かなりの数の花が咲き誇っていて、まるで青空の雫が散りばめられたようで美しい。更に、可愛らしい黄色いカタバミや独特な形のカラスノエンドウまで咲いているのには驚いた。これからも寒の戻りや雪が降ることもあるだろうが、春が確実に日一日と、そのやって来る速度を上げて来るに違いはない。
 こうなったら、、前回来た時は一輪しか咲いていなかったオウバイも、かなり咲いているのではなかろうかと見に行くと、その花の数はかなり増えていた。また、紅梅は花の数がいっぱいとなって、澄んだ青空に浮かんで、とても賑やかであった。また、前回来た時にご紹介した、早咲きの白い花をつける梅はもちろんだが、普通のウメも咲き始め、いよいよ観梅の季節が迫って来た。これらの花に比べると、ソシンロウバイやロウバイは花期が終わって、花びらが萎びているものがほとんどであった。確か松山千春の歌の歌詞だったと思うが、「巡る、巡る季節の中に、あなたは何を見つけるだろう」とあったと思うが、毎日毎日、あれも撮ろうこれも撮ろうで落ち着つかないが、五十肩世代なんだから、じっくりと季節を味わい、確かにこれを見ましたと脳裏に植えつける、そんな生活を送りたいものである。

<今日観察出来たもの>花/シナマンサク(写真上左)、紅梅(写真下左)、オウバイ(写真下右)、オオイヌノフグリ(写真上右)、白梅、ロウバイ、ソシンロウバイ、ニホンズイセン、ボケ、ツバキ、カンツバキ、オオイヌノフグリ、カタバミ、スズメノエンドウ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ等。昆虫/ナナホシテントウ等。その他/ナツミカンの実、ネコヤナギの冬芽等。


1月25日、埼玉県さいたま市秋ヶ瀬公園

 ちょっと疲れ気味だし、風もかなり強そうだから、毎週定例の秋ヶ瀬公園へ行くのは止めようかなあとも思ったが、「車の中で昼寝すれば良いかな」と思って出かけてみた。いつも朝食をとる事に決めている大宮バイパス沿いの「山田うどん」へ車を入れて外へ出ると、風がかなり強いので眉をしそめた。「今日はずっと車中昼寝の日かな」とぼやきながら、秋ヶ瀬公園へ到着すると、子供の森の中はそれ程風が吹いていない。これはラッキーと散策を開始したが、鳥影が薄くてがっかりした。ヤドリギの見られる広場へ行ってみると、「一羽だけヒレンジャクが残ってるよ」と言うので、指指す方向を双眼鏡で覗いてみると、ヤドリギの中に元ロシア大統領エリツィン顔のヒレンジャクが実を啄ばんでいた。また、先週は大スターであったルリビタキの雄が、誰からも見向きもされなくなって寂しそうに止っていた。もちろん、まずはルリ君からパチリしたのは言うまでも無い。

<今日観察出来たもの>鳥/ヒレンジャク(写真上左)、ルリビタキの雄(写真上右)、カケス、シジュウカラ、ヤマガラ、オオタカ、ノスリ、アカゲラ、モズ、ジョウビタキの雌、ツグミ、シロハラ、シメ、ウソ、ヒヨドリ、ムクドリ、キジバト、セグロセキレイ、ハクセキレイ、メジロ、スズメ、カワセミ等。


1月24日、神奈川県大和市

 だいぶ良くなって来たと思っていた五十肩が、このところ朝起きるとかなり痛む。人間どこかしらが悪いと元気が出ないものだが、本当にそうである。当然、精神状況も落ち込むから、良からぬ事も考えがちになる。今日はそんな思いを振り払って、久しぶりに大和市の公園へ行ってみた。前回、秋に来た時は、カケスとキジバト位しか見られなかったが、年末から年初にかけて、とっても楽しい公園へと変化したと聞いていたので、様子を見に行った訳である。たとえ小鳥類は撮れなくとも、大きな池には各種のカモ類やオオバン等が見られるから、それらでも撮れれば良いとも思ったのだ。そうしたら、他所でなかなか撮れなかったアオジの枝止まりが撮れ、池には噂通り可愛らしいヨシガモが浮かんでいた。今年は去年に比べて飛来がとっても早かったらしくて人馴れし、このため至近距離から鮮明に写す事が出来た。

<今日観察出来たもの>花/マンサク等。鳥/ヨシガモ(写真上左)、アオジ(写真上右)、カケス、ヒヨドリ、シロハラ、シジュウカラ、マガモ、カルガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ヒドリガモ、オオバン、キジバト、カワセミ、コサギ等。


1月23日、神奈川県秦野市

 今年の冬鳥の飛来は、ウソこそもの凄く多かったものの、その他の鳥については、平年並みか、それ以下と感ずる。そんな訳で、毎月一回の定点観察地と決めてはいるものの、今日は左程の期待は持たずに、秦野市のお山に出かけた。比較的珍しい鳥がやって来た時にだけ訪れるなんて事は、性に合わないのである。現地に到着すると数人の方がみえていたが、鳥の出が悪かったから、お昼頃にはみな何処かへ行ってしまった。それからは一人貸し切り状態になったのだが、待てども待てども常連さんすらやって来ない。これでは高速道路代をかけてやって来たのに、観察記も書くことが出来ないなと思ったが、午後3時過ぎに、やっと常連さんがやって来た。しかし、その滞在時間は短く、個体数もエナガを除くと少なかった。それでも、ちょこまか動くからデジスコ撮影が難しいエナガやメジロが撮れて、ほっと溜飲を下ろした。

<今日観察出来たもの>鳥/エナガ(写真上左)、メジロ(写真上右)、ヒヨドリ、ツグミ、シロハラ、アカゲラ、コゲラ、ウソ、シジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラ、アオジ等。


1月21日、横浜市緑区新治市民の森

 今日は晴れの予報だったが、一時、薄日は差したものの、ほとんど曇りの一日であった。昨日の初雪は積もることは無かったものの、きっと、丹沢や奥多摩あたりでは積もったのだろう。そのためか、とても寒い日となった。それでも、吐く息が真っ白にはならないのだから、その寒さはしれている。こんな日は鳥の出も悪いのか、これといった目ぼしいものには出会えなかったが、日曜日だというのに、鳥を撮りに来る方も少なく、のんびりと普通種を撮る事が出来た。形の良い枯れ枝や石の上に、何か止ってくれないかなあと思っていたら、アオジ、ヤマガラ、ジョウビタキの雌が止ってくれた。色の鮮やかなホオジロの雄もやって来たが、こちらの方は地面と茂みのみで、撮る気にはなれなかった。今日は寒かったが、暖かい日に、こんな気侭な鳥撮りならば、普通種さんでも大歓迎である。

<今日観察出来たもの>鳥/アオジ(写真上左)、ジョウビタキの雌(写真上右)、カワセミ、コゲラ、シジュウカラ、ヤマガラ、ホオジロ、キセキレイ、カケス、ヒヨドリ等。


1月20日、横浜市港北区新吉田町

 このところずっと地味な写真が続いている。冬なんだから回りが茶褐色に彩られても仕方が無いが、せめて被写体だけでも色気があるものを撮ろうと、新吉田町へ行った。去年から野鳥撮影を一年間ずっと続けているが、冬に見られる鳥たちも、まだ木々の紅葉黄葉が残っている時の方が、背景がカラフルで美しい。しかし、1月に入ると、カワセミ、ルリビタキ、マヒワ、ベニマシコ等の鮮やかな野鳥なら良いものの、地味な褐色系の鳥は、寒々とした背景に埋没してしまって今一面白くない。冬芽や葉痕等は動かないから、なんとか背景を選んで撮れるものの、野鳥の場合はそれが難しい。そこでこの「つれづれ観察記」が「つれづれ野鳥記」を呈して来ると、褐色系の侘び寂びの世界となってしまって、100ワットの電球以上に明るい性格の私としては、我慢が出来ないのである。
 新吉田町に到着し散策を開始すると、民家の土留めからさがったオウバイが、僅かに2輪咲いていた。これはラッキーとカメラを向けたが、今一絵にならない。もう少し華やかに咲き揃うまでと、植木屋さんの畑へ行った。一昨日、丹沢山麓の自然保護センターで咲き出していたのだから、シナマンサクはかなり咲いている筈と思ったが、僅かに花弁が開き始めたばかりであった。それでも、小ぶりの梅が咲いていて嬉しくなった。梅の園芸品種はなんと300種以上、図鑑を開いても皆目検討がつかない。しかし、かなり上品な品種である。
 その後、今日は今まで散策したことが無い所を歩いてみようと、横道に逸れたら、ヒヨドリジョウゴの実が寒さと乾燥で皺が入っているものの、かなり残っていた。また、農家の庭には、可愛らしい真赤なロウヤガキが垂れ下がっていたが、無断進入は出来ないから涙を飲んだ。それでも小鳥が食べ残したのか、ピラカンサの実がかなり残っていてびっくりした。新治市民の森の遊水地にあるピラカンサの実は、全て食べられてしまったのに、どうした事だろう。それはともかくとして、今日の目的である彩りのある被写体は、これでかなりカメラの中に納まった。そこで毎度お馴染みの散策コースへ入って行くと、紅梅が出迎えてくれた。八重咲きで花弁が波打っているから、ことによったら「八重寒紅」かもしれない。
 これで花も実も色とりどりにカメラの中に納まったから、越冬する昆虫や冬芽葉痕でもおまけに撮ろうと探してみたが、今年はどうも昆虫の方はなかなか見つからない。冬芽葉痕も色鮮やかにと思っていたら、ドウダンツツジが枯葉をちょこんと乗せて笑っていた。これで午前中の散策は終了と思ったら、空から雪が舞って来て、本格的に降り始めた。初雪である。積もったら車の運転が心配と、逃げるように自宅に戻った。

<今日観察出来たもの>花/紅梅(写真上左)、白梅(写真上右)、シナマンサク(写真中左)、ロウバイ、オウバイ、ニホンズイセン、ボケ、ツバキ、カンツバキ、ヒメオドリコソウ等。その他/ドウダンツツジの冬芽(写真中右)、ヒヨドリジョウゴの実(写真下左)、ピラカンサの実(写真下右)、ロウヤガキの実、ナツミカンの実、ネコヤナギの冬芽等。


1月19日、横浜市緑区県立四季の森公園

 ちょっとした用事を午前中に済ませて、食事がてらに県立四季の森公園へ行ってみた。今年からは、こんなチョイの間の近場フィールド巡りが多くなりそうである。天気は今日も良いし、出かければ何かしらの幸運に巡り合うのでは、との期待もあった訳である。四季の森公園は下草管理が徹底されていて、自然度はかなり低いものの、かつて、ヤマシギ、トラツグミ、ツミ、ミソサザイ等が観察されているので、侮れないのである。しかし、そんな期待はものの見事に裏切られて、アオゲラが遠くで鳴いているものの、近くには寄って来てはくれなかった。それでもシメが近くの枝に止ってくれて、アオジもいただきと頑張ったのだが、モズが来たら小鳥達は何処かへ去ってしまった。デン助のように、口の下に真っ黒な墨を塗ったシメは得難いキャラクターだが、今度は横ないし見返りの姿を撮りたいものである。

*デン助とは、大宮敏光が演じた、浅草の貧乏長屋に住む面白いおじさんのことです。

<今日観察出来たもの>鳥/シメ(写真上左)、モズの雄(写真上右)、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ルリビタキ、ツグミ、シロハラ、アオジ、シジュウカラ、ヤマガラ、キジバト、キセキレイ、ハクセキレイ等。


1月18日、神奈川県厚木市県立自然保護センター

 今日は今年になって初めての、自然好きなお仲間が集って、散策でもしましょうよという事で、厚木市七沢にある県立自然保護センターへ行った。まあ、このような集まり及び散策を、巷では自然観察会と言うらしいのだが、そんな大それたものではない。この時期の散策での見るもの撮るものは、それ程多くは無いが、今日は冬芽葉痕の大家のH女史も参加されたので、当然、冬芽葉痕観察が主となった事は言うまでもない。今年はやはり暖冬なのか、丹沢山麓にあるにもかかわらず、ソシンロウバイはすでに花期が過ぎ、シナマンサクや、なんとミツマタまで開花し出しているのには驚いた。また、ジンチョウゲの蕾が真赤に色づいて膨らみ始めているので、こちらももうすぐ開花するに違いない。今日は昨日の雨の後、西高東低の冬型の気圧配置に戻って、風が強く寒い一日かと思ったら、空は暖かい早春の青空で、モンシロチョウやベニシジミ等の蝶が飛び出しても不思議ではない陽気であった。
 今日お目にかかった冬芽葉痕の中で、余り慣れ親しんでいない樹種が数種あった。その中でも、ヤマトアオダモ、サンショウバラ、オオバアサガラが面白かった。そこで、これらの樹木について、樹木図鑑を開いて見た。まずはヤマトアオダモであるが、モクセイ科トネリコ属、別名オオトネリコとも呼ばれ、山地の渓流沿いに生える樹種とある。トネリコの仲間と聞くと、蝶に関心を持つものは、これを食樹とするチョウセンアカシジミ、ウラキンシジミを思い出す。チョウセンアカシジミは東北地方にのみに分布するが、ウラキンシジミは、全国の山地に分布している。我が神奈川県でも相模湖から大月にかけての道志山塊が、その産地として著名である。次に大きな棘が鳥の翼に似ているサンショウバラだが、静岡県、、神奈川県、山梨県の富士箱根のみに分布する、野性のバラの中では最大の花をつける低木である事が分かった。次にオオバアサガラであるが、本州、四国、九州の山地の渓流沿いに生育するエゴノキ科の樹木であるとある。
 私は他の分野と同様に、今までもこれからも樹木を徹底的に勉強しようなんて気は毛頭ないが、冬芽葉痕を撮ったり、花を撮ったり、実を撮ったりして図鑑を開いてみると、段々と樹木の知識が広がってとても楽しくなる。ちなみに、ヤマトアオダモの記述には記載は無かったが、野球のバットやテニスのラケットに用いられる近縁のアオダモ(コバノトネリコ)の名前の由来は、枝を切って水につけておくと、水が青くなる事から来ているとある。アオダモなんて変な名前だなあと思っていたが、これで納得し、これから益々親しみが湧く事だろう。たかが冬芽葉痕、されど冬芽葉痕、自然を深めるのは本人次第なんですよね。

<今日観察出来たもの>花/シナマンサク、ミツマタ、ソシンロウバイ、ツバキ、カンツバキ、オオイヌノフグリ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ等。鳥/オオタカ、シメ、アカハラ、シロハラ、ルリビタキ、ジョウビタキ、メジロ、ヤマガラ、ホオジロ、アオジ、カワセミ、コゲラ、カルガモ、カワウ等。その他/ヤマトアオダモの冬芽葉痕(写真上左)、サンショウバラの冬芽葉痕(写真上右)、ゴシュユの冬芽葉痕(写真中左)、タマアジサイの冬芽葉痕(写真中右)、ムクロジの冬芽葉痕(写真下左)、オオバアサガラの冬芽葉痕(写真下右)、カツラのの冬芽葉痕、センダンの実、ナンキンハゼの実等。


1月16日、埼玉県さいたま市秋ヶ瀬公園

 これから夏場を除いて毎週行く事に決めていた秋ヶ瀬公園であるが、先週は急遽、つくば市にオオマシコを見に出かけてしまった。埼玉の鳥友のメールによると、一月中旬だというのに、早くもヒレンジャクが5羽やって来ているとの事であった。しかし、駐車場は車がガラガラで、おかしいなあと思ったら、ヒレンジャクは日曜日の午前中に見られた後、ずっと出ていないと言う。まだヤドリギの実が熟していないのだろう。それでも万が一を期待して、ヤドリギが見られる広場には、かなりの方が集っていた。
 我が国に到着したばかりのヒレンジャクは、まだ落ち着かないだろうし、集団でいると梢の先のほうに止まって、なかなか絵にする事が難しい。そこで、その内に何処かで撮れるだろうと、その場を離れた。この決断は大正解で、ほとんどの鳥見鳥撮りの方がヤドリギが見られる広場に集合しているから、林の中は誰一人いずにとっても静かであった。いつも早朝にたくさん見られるカケスが、この静けさの中で餌を探し続けていた。今日こそ秋ヶ瀬公園のカケスをカメラの中に納めようと頑張ったが、素晴らしい絵柄のものは目にピントが来ていなくて、泣き泣きの消去となった。やっぱりカケスの撮影は難しいなあと思ったが、その内にベストショットが撮れるさと散策を続けると、アカゲラがかなり見られ、ゴジュウカラも木の幹を上ったり下ったりしていた。
 一回りしてまたヤドリギが見られる広場へ立ち寄ってみると、鳥見鳥撮りの方は減っていて、ルリビタキの雄を相手に、シャッターをばしばし切っていた。ルリビタキはもう各所で撮影しているから、今日はパスとも思ったが、とっても絵になる枯れた太い枝先に止まっていたので、シャッターを切った。野鳥は体や顔の向きで様々に表情が変わるが、今年出あったルリビタキの雄の中で、一番可愛らしいと感じた。まるで、小さな置物がちょこんと置いてあるようで、とっても楽しくなった。その後、また一回りしてヤドリギが見られる広場へを数回繰返した後、昼食を食べに駐車場へ戻る途中、秋ヶ瀬公園で初見となるカワセミに出会った。帰りがけにオナガの群れにも出会ったから、ここ秋ヶ瀬公園は本当に何でもいるのだ。
 午後からは、アリスイとトラツグミが出るらしいピクニックの森へ場所を変えた。アリスイは3日前は大サービスだったとのことだが、御出ましにならず、トラツグミは飛んで来たが、すぐに藪の中に隠れてしまった。それでも、カシラダカ、カワラヒワ、アカハラ、シロハラ、シジュウカラ等と常連さんが、飽く事無く現われた。以上、秋ヶ瀬公園は、本当に素晴らしい鳥見鳥撮り公園である事を再認識し、もちろん来週も、迷う事無く「アキガセ」で決まりだなと呟いて、家路を急いだ。

<今日観察出来たもの>鳥/シロハラ(写真上左)、カワセミ(写真上右)、カシラダカ(写真中左)、カワラヒワ(写真中右)、ルリビタキの雄(写真下左)、カケス、シジュウカラ(写真下右)、オオタカ、ノスリ、オナガ、アカゲラ、コゲラ、モズ、ルリビタキの雌、ジョウビタキの雌、ツグミ、アカハラ、トラツグミ、ゴジュウカラ、シメ、ウソ、アオジ、ヒヨドリ、ムクドリ、キジバト、セグロセキレイ、ハクセキレイ、メジロ、スズメ等。


1月15日、川崎市宮前区東高根森林公園

 新年に入ってちょうど半月たったが、明るいニュースは少なく、暗くなるニュースばかりが報道されている。美しい国造りをスローガンとする安倍内閣の何と文部科学大臣が、汚らしい事をしているらしい。「政治家なんて、そんなものだよ」と言ってしまえば腹も立たないが、お菓子メーカーのF屋の不祥事にはがっかりさせられた。ご幼少の頃、亡き母が機嫌が良い時に、お菓子屋に連れてってくれて、「何が食べたい」と聞かれると、即座にミルキーを指差したものである。真赤な箱に黒目が動くペコちゃん、ポコちゃんがついていて、その箱をぶら下げている事が、幼児の間での一種のステータスでもあったのだ。そんな思い出があるから、F屋の不祥事にはがっかりという訳なのである。もし、子供の頃のヒーロー、例えば「怪傑ハリマオ」に扮していた俳優が、悪い事をして警察にでも逮捕されたら、「怪傑ハリマオ」も地に落ちる。子供の頃の美しい思い出は、いつまでもそのままにしておいて欲しいのである、F屋さん!
 話はだいぶ横道に逸れてしまったが、昨日、ある場所でミソサザイとトラツグミを撮影したが、小場所なので、鳥撮りマンがわんさか押し寄せ、近隣の迷惑となっては困るので観察記は割愛した。そこで今日こそ両種を撮影して観察記を書こうと意気込んで、東高根森林公園へ行ったのだが、ポイントとなる場所は木道工事で入れなかった。そんな訳で、一般撮影機材に変えて散策したのだが、これと言ったものには出会えなかった。しかし、本年に入って始めての開花したコウバイを見つけて嬉しくなった。また、何処へ行ってもなかなか撮影出来ないキハダの葉痕も撮った。いよいよ梅が咲き出したのだから、暗いニュースばかりが、明るいニュース一杯になる事を期待して、早々と帰宅した。

<今日観察出来たもの>花/コウバイ(写真上左)、ミツマタの蕾(写真上右)、ロウバイ、ニホンズイセン、ツバキ、カンツバキ、ビオラ等。蝶/ムラサキシジミ。鳥/エナガ、メジロ、シジュウカラ、コゲラ、カルガモ等。その他/キハダの葉痕(写真下左)、カラスウリの実(写真下右)、カツラの葉痕等。


1月13日、横浜市緑区新治市民の森

 昨年の秋は、カメムシ等の昆虫の数がとても少なかった。例年なら落ち葉をめくったり、田畑に隣接する物置小屋の壁等を丹念に調べて、成虫はもちろんのこと、卵や蛹や幼虫で越冬する昆虫達の姿をとらえるのだが、今年は、「どうせ探したって、なかなか見つからないだろう」と、やる気が起きない。それならば他のものをと考えるのだが、これといった花は咲いていないし、サルノコシカケ科の堅いキノコは撮る気が起きないし、冬芽葉痕ばかりでもと思うと、野鳥の方にカメラが向いてしまうのも仕方あるまい。そんな訳で、またまた「つれづれ野鳥記」の様相を呈して来たので、これではいかんと、新治市民の森のまだ歩いていない道を散策してみた。
 まずは満倉谷戸で、クリの小枝につく様々なものを探してみようと行ってみた。オオカマキリやハラビロカマキリの卵のうが見られたものの、小鳥につつかれているものが多かった。普通なら木を登ったり降りたりして樹皮の下の餌を探すコゲラが、細い枝で動かず長い時間つついている時がある。こんな場合は、カマキリの卵のうの中の卵を食べている事が多い。防寒にも外敵にも鉄壁な守りのように見えるカマキリの卵のうであるが、自然界はそう容易く見逃してはくれないのである。
 その後、丘の上の畑でオカメ顔のキウイの葉痕を撮ったが、どうしても彩りが欲しいなあと思って、陽が良く当たる畑の斜面へ行ってみた。そこには春とは程遠いものの、ホトケノザ、オオイヌノフグリ、ナズナ等が健気に咲いていた。一日一日、日が長くなって行くように、路傍の花の数も多くなって行く事だろう。最後に、ロウバイが咲いていたので、前回撮った時よりも暖かさが出るようにと、様々な角度からカメラを向けて撮影した。

<今日観察出来たもの>花/ロウバイ(写真上右)、ホトケノザ(写真下左)、ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリ、ナズナ、イヌガラシ、タネツケバナ、ノボロギク等。昆虫/ハラビロカマキリの卵のう(写真上左)、ウスタビガの空繭等。鳥/シジュウカラ、アオジ等。その他/キウイの葉痕(写真下右)、マンリョウの実、センリョウの実。


1月11日、茨城県つくば市

 里山の道端自然観察及び写真撮影の一環として、野鳥も写さなければ片手落ちと、デジタル一眼レフを手にしてから始めた鳥撮りだから、山地性のオオマシコ、ハギマシコ等はパスして、ベニマシコだけで良いつもりでいた。しかし、埼玉の鳥友が、「行って来た方が良いよ、他の鳥も沢山いるから」と勧めてくれるし、相模原のご婦人は、なんと3回も行っているらしので、まあ行ってみるかと重い腰を上げた。しかも、毎週行くことにしている秋ヶ瀬公園だが、撮りたい鳥はほとんど撮ったし、しばらく状況は変わりそうもないから、少し間を空けても良いかなと思ったのだ。
 現地に到着して、ふと横を見ると、鳥撮りを始めた頃に大変御世話になった、川崎のHおじさんがいるではないか。「いやー、お久しぶり、レンジャク以来ですね」と嬉しくなった。また、ここにオオマシコがいることを、1ヶ月程前に教えてくれた埼玉のHさんもやって来た。お二人とも重い機材なのに、バスでやって来たのだから頭が下がる。鳥撮りマンがたくさん集る所は、身動きがとれなくて良い写真がなかなか撮れないし、気難しい方や常識外れの方、ぺちゃくちゃうるさい方も多いので、あんまり行きたくないと思っていたのだが、たまには顔なじみに出会えるのだからから良いのかなとも思った。
 今日の目的たるオオマシコは、真赤な成鳥雄は二日前から行方不明になっていたものの、若鳥はたくさんいて、しっきりなしに現われた。色彩的には成鳥雄だが、可愛らしさの点でいったら若鳥に軍配が上がる。その他、ルリビタキの雄、ジョウビタキの雌雄、カヤクグリ、ウソ等が見られて、一日は瞬く間に終了した。そんな訳で、月に一回位は遠征してみるのも良いかな等と考え、常磐自動車道に乗った。

<今日観察出来たもの>鳥/オオマシコの若鳥(写真上)、ルリビタキの雄(写真下左)、ジョウビタキの雌(写真下右)、ジョウビタキの雄、カヤクグリ、ウソ、ツグミ、シロハラ、キジバト等。


1月9日、横浜市緑区県立四季の森公園

 ちょっとした用事を午前中に済ませて、食事がてらに県立四季の森公園へ行ってみた。ここは金取り主義の横浜市立の公園と異なって、平日は無料の広大な駐車場があるから有り難い。昨日、この周辺を根城としている鳥撮りマンに出会って、やっとカワセミが戻り、ジョウビタキ、ルリビタキも見られると教えて貰った。そこで、自然度は薄いものの、久しぶりに出かけてみた。前にも書いたが、今年の冬鳥はウソが極めて多いものの、他の鳥はそれほどでも無く、鳥撮りも一段落がついてしまった。他のものを撮りたいなあと渇望しているにもかかわらず、野鳥以外にこれといった被写体が無いのだから、野鳥を撮るしかない。そこで絵になるカワ君とジョー君にでも会って来るかといった按配なのである。
 駐車場はがらがらで、デシスコを三脚にセットして歩き始めると、梢の先端に何か鳥が止っている。どうせヒヨドリだろうと思ったが、双眼鏡を出して覗いて見ると、シメであった。去年は自宅周辺ではシメはほとんど見られず、今年だってそれ程多いとは思わないので、慎重に近づいてシャッターを切った。カワセミがいる池まで辿り着くと、先に来ていた方が、「今さっき、とんでもなく大きな魚を咥えて、飛んで行ってしまったから、今日は満腹でもう現われないかもしれないよ」と言う。そこで葦原にいるジョウビタキの雄を撮った。はじめは無粋なマムシ注意の立て看板の上に止っていたが、形の良い棒杭に移ってくれてほくそ笑んだ。その後、アオジやシロハラに出会ったものの、絵となる場所には止ってくれなかったが、帰り際に本命のカワセミが食事に来ていて嬉しくなった。青いカワセミ、赤いジョウビタキ、そしてしかめっ面のシメのおまけまでついたのだから、四季の森公園もたまには訪れなければと感じた。そんな訳で、ほんの少しの時間だったが、上等な午後の一時だったと言えよう。

<今日観察出来たもの>花/ソシンロウバイ等。鳥/カワセミ(写真上左)、シメ(写真上右)、ジョウビタキ(写真下)、ツグミ、シロハラ、アオジ、シジュウカラ、ヤマガラ、キジバト等。


1月8日、横浜市緑区長津田町(仮称)国道246号線の森

 冬のフィールドは左程の変化は無く、見落としでも無い限り野鳥を除けば、一度散策した所で前と違ったものは見つけ難い。そこで久しぶりに、長津田町の(仮称)国道246号線の森へ行ってみた。別段、珍しいものに出会った訳ではないから、仮称などとしなくとも良いのだが、名前がついていないので、便宜上、個人的にそう呼んでいる。ここは余程の地理感がないと辿り着けない場所なので、言ってみれば穴場的な所とも言えよう。
 車を停めて外へ出ると頭上で、フィー、フイーと聞きなれた野鳥の囀りがして来た。ウソである。桜の冬芽を食べている最中で、至近距離なのに逃げようともしない。今年の冬のフィールドは何処へ行ってもウソだらけで、首都圏に飛来しているものだけでも、合計すれば莫大な数になるだろう。先だって、あるフィールドで、「ウソは美しく可愛らしい鳥だが、植物の種子のみならず芽も食べて、ウソの飛来した後には他の鳥が食べるものがなくなってしまう」と言っていた方があったが、「他の小鳥達の餌は大丈夫なの」と、本当に心配になるくらい食欲旺盛な鳥である。また、桜のみならず梅の芽も食べるから、今年のお花見はどうなるのだろうかと心配にもなる。
 やがて食べ飽きたのかウソが去ったので、散策を開始した。まずは、植木屋さんの畑で、アキニレの葉痕を撮影した。アキ坊と、その道の通にはとても愛されている可愛らしい容貌の葉痕である。また、この時期、色どりの鮮やかなものを見つけるのに一苦労するので、クロガネモチの実を撮った。その後、これといったものには出会わなかったが、ここが横浜と疑問符を投げかけたくなるような広大な丘の上の畑で、植栽されているクリやウメやカキの小枝に、たくさんのウスタビガの空繭が風に揺れていた。

<今日観察出来たもの>花/ロウバイ、ソシンロウバイ、ボケ、ナズナ、ツバキ、ノゲシ、アブラナ等。昆虫/ウスタビガの空繭(写真上左)、ミツバウツギフクレアブラムシ等。鳥/ツグミ、ウソ等。その他/アキニレの葉痕(写真下右)、ニガキの葉痕?(写真下左)、クロガネモチの実(写真上右)、キンカンの実、マンリョウの実、ナツミカンの実。


1月7日、横浜市青葉区寺家ふるさと村

 昨日はかなり雨が降った。この季節、雨の後は西高東低の冬型、しかも今回は北海道辺りで、異常なまでに低気圧が発達しそうである。極端な天候変動が無い首都圏に住んでいると想像がつかないが、冬の北海道は、かなりの嵐に見舞われる事が多そうである。そんな訳で、今日は風のとても強い一日となった。キノコでも生えていれば別だが、こんな日は最悪の撮影条件となる。「びゅんびゅんびゅん、風が吹く、お山の中でも、田んぼの中でも、びゅんびゅんびゅん、風が吹く」と、下手な替え歌を歌いながら半ば諦めて寺家ふるさと村へ行った。四季の家では「グループ彩」の方々の、「里山の自然」の写真展が始まっていて、可愛い子ちゃん主婦のKさんや蝶々お兄さんのKさん、フクロウおじさんのOさんや頭脳明晰のHさんらが集っていた。これから春まで、2週間おきに作品が入れ替わって続くから、お近くを通った方は、ご覧になるととても刺激を受ける事だろう。
 ひとしきり作品を鑑賞し、グループの方々と会話を交わした後、カメラを持って散策を開始したが、やはりとても風が強い。そこで山に遮られて比較的風が弱そうな居谷戸へ行ってみた。ここは寺家ふるさと村でも穴場的な場所で、散策する方々も少ないから、のんびりと撮影が出来る。畑の傍らにはすでに、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ等が咲いていて、新春明けましておめでとうと顔を揃えていた。また、民家の庭先にはソシンロウバイが満開で、青い絵の具で塗つぶしたような空に浮かんでいた。午後からは薬師池公園へ行ってみたが、鳥の出よりも鳥撮りマンの姿が多く、期待したマヒワやアオジの写真は撮る事が出来なかった。やはりここは平日に来ないと駄目なのかなと思って、早々に引き上げた。

<今日観察出来たもの>花/ソシンロウバイ(写真上左)、ボケの蕾(写真上右)、オオイヌノフグリ(写真下左)、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ、ニホンズイセン、ツバキ、カンツバキ等。蝶/スジグロシロチョウの蛹(写真下右)。


1月5日、神奈川県相模原市相模川

 今日は去年からの宿題である、「畑や田んぼに刺してある杭に止るチョウゲンボウ」を撮りに相模川へ行った。途中、今年の健康と幸運を願って、小さな神社にお参りをした。お賽銭は小銭入れにあるコインを全てと思って開いて見ると、なんと33円しか入っていないのには驚いた。少なくとも500円位は投げ入れないと、神様がつむじを曲げて、運が開けないかもしれない。更に語呂合わせでは、33円は、「散々苦労する」となるではないか。これは益々困ったなあと感じたが、「燦々と輝く道端自然観察及び写真撮影」との語呂合わせも出来るのでほっとした。いずれにしても33円では余りにも少な過ぎるから、今度、神社を通る時に追加のお賽銭を投げ入れよう。
 相模川に到着すると、今日は枝止まりのチョウゲンボウはノーサンキューと、田んぼや畑の棒杭を何べんも見て回った。しかし、チョウゲンボウの姿は見られない。そこで、ここで見られる野鳥を撮ろうと方針転換を図り、まずは、タヒバリにターゲットを絞った。田んぼが広がる所なら見られる冬鳥なのだが、これがなかなか上手く撮れないのである。群れで行動していて、セキレイ科だから尾を上下に動かすので、すぐに見つけられるのだが、人の接近を敏感に察知して逃げてしまう。更に田んぼの中にいると、稲刈り後の株が伸びて枯れ、タヒバリの全身像が捉え難い。そこで畦や石の上等に乗った時がチャンスとなる。しかし、そんな時でもじっとしていてくれないから、デジスコ泣かせの野鳥なのである。
 悪戦苦闘の末、なんとかタヒバリをカメラの中に納めたので、比較的撮影の楽な棒の天辺に止っている、ホオジロ、モズ、ジョウビタキ、スズメを狙った。これらの鳥は首尾よく簡単に撮影出来た。これで無事に観察記を飾る写真が撮れたので、後はチョウゲンボウのチョウさんだけだと、去年の宿題を果たすべく頑張った。しかし、高い梢に止っている姿をみつけたものの、なかなか飛ぼうとはしない。夕日が山へ沈もうとしていて、これで今日も万事休すかと思われた瞬間、やっと飛び立って田んぼの中の棒杭に止った。こんな時刻だと荒れた写真となってしまうのだが、ばんばんシャッターを切った。まずは正面からの写真を撮り、その後、有り難いことに横向きになってくれたので、チョウゲンボウならではの赤褐色の羽も写す事が出来た。出来うるなら角材では無く、モウソウチクや朽ちて古びた棒杭であったらなあと思ったものの、これで宿題を成し遂げる事が出来てほっとした。33円のお賽銭は「散々苦労ではなくて、燦々と輝く」の方であったのだ。水戸黄門の主題歌ではないが、「人生楽ありゃ、苦もあるさ」だから、今後とも身を引き締めて一年を送ろうと戒め、相模川を後にした。

<今日観察出来たもの>鳥/チョウゲンボウ(写真上)、タヒバリ(写真中左)、ホオジロ(写真中右)、ジョウビタキの雄(写真下左)、スズメ(写真下右)、ジョウビタキの雌、トビ、ミサゴ、ノスリ、モズ、カワラヒワ、セグロセキレイ、ハクセキレイ、ツグミ、ムクドリ、カワウ、ハシブトガラス等。


1月4日、埼玉県さいたま市秋ヶ瀬公園

 官庁は今日から御用始めだが、民間の会社は明日から仕事始めのところが多い。という事は、「行きはよいよい、帰りは怖い」で、帰りは故里からのUターンラッシュの渋滞を覚悟して出かけた。しかし、行きは今までに無くすいすいと走り、帰りもすいすいと帰って来られたのだから、まことに不思議であった。きっと、昨日がUターンラッシュのピークであったのだろう。また、明日を休日にしている会社もあるかもしれないし、あるいは有給休暇をとって、9日から出社の方も多いのかもしれない。いずれにしても渋滞無しで、とても楽ちんであった。
 しかし、子供やペット連れで遊ぶ方々も多く、肝心要の鳥の出は今一であった。空高く上がったカイトが、猛禽類に見えてしまう程であったから、カイトが縄張りを侵す不届きものとでも感じたのか、オオタカ、ハヤブサ、ノスリがかなり見られた。オオタカに至っては、雑木林の梢で声高く鳴いていた。小鳥類は人の多さのためか、猛禽類の出のためか、はたまた一時の冬鳥達の飛来がピークを過ぎたからか、左程多くは見られなかった。
 そこでこんな時は、普通に見られる鳥を美しく撮るしかないと頑張った。ここ秋ヶ瀬公園は、広大な無料駐車場、各所にあるトイレ、鳥の種類も数も多いという事に加えて、平坦で見通しの良い所が多く、しかも木立がとても美しいのである。枝にさえ止れば、すっと抜けた絵柄が容易く手に入る。いくら珍しい鳥でも、藪の中の写真ではいただけない。全ての写真撮影に共通するのだが、写真はバックの選択でがらりと変わる。野鳥写真はこれに加えて、鳥の表情が大切だと思う。半歩横にずれただけで、アングルを数センチ上げ下げしただけで、写真の表情は全く異なったものになるのだ。それだからこそ、止められない止らない、写真撮影なのである。

<今日観察出来たもの>鳥/ノスリ(写真上左)、カワラヒワ(写真上右)、モズの雌(写真下左)、コゲラ(写真下右)、オオタカ、ハヤブサ、モズの雄、ルリビタキの雄、ルリビタキの雌、アカゲラ、ツグミ、シロハラ、ゴジュウカラ、カケス、シメ、アカウソ、マヒワ、カシラダカ、シジュウカラ、アカハラ、アオジ、ヒヨドリ、ムクドリ、キジバト、セグロセキレイ、ハクセキレイ、スズメ等。


1月3日、横浜市港北区新吉田町

 元旦の午後から親戚回りが続いた。礼節を重んじ渡世の義理人情に堅く、また、親戚の子供達にお年玉を配らねばならない。その昔、今まで来た事のない遠い親戚のおじさんが、正月にぽっこり現われて、びっくりする程の額のお年玉をくれて、飛び上がらんばかりに嬉しかった。近頃の子供達は裕福だから、3万円でもあげれば別だが、昔のような嬉しさが左程湧かないかもしれない。それでも、我が葬式の時に、線香の一本でもあげてくれるかもしれない。
 そんな訳でだいぶ疲れたが、この「つれづれ観察記」の両目を開けようと、至近距離の新吉田町へ行った。よせば良いのに、親戚のおせち料理がとても美味しいので、またまた、たらふく食べてしまい、身体がとても重い。毎年、正月はこんな調子だから、本調子の道端自然観察及び写真撮影は来週からという事になる。しかし、是非とも撮っておきたい花がある。ロウバイである。しかし、この花を美しく撮るのはとても難しい。緑がなくなっているから背景が褐色となり、とても寒々しいのである。今日もそんな背景だったから、良い写真とはならなかったが、カメラを向けられてほっとした。初詣は忘れても、新年最初の花見であるロウバイは忘れないのだ。
 今日は正月とは思えない暖かさで、農家の石塀にアシブトハナアブが身体を暖めていたので、もしや咲いているのではと、シナマンサクを見に行ったら、蕾は割れて黄色い花弁が覗いていた。これなら、関東地方で一番最初に花開くと思われる小石川植物園正門のシナマンサクは、きっと花開いている事だろう。午後からは横浜動物の森公園へ初鳥撮りに行ったが、アオゲラを写したのみで寂しい限りだったが、明日から鳥撮りも頑張るぞと、早々の帰宅となった。

<今日観察出来たもの>花/ロウバイ(写真上左)、シナマンサクの蕾(写真上右)、ソシンロウバイ、ニホンズイセン、ツバキ、カンツバキ、ビオラ等。蝶/スジグロシロチョウの蛹。昆虫/アシブトハナアブ(写真下右)、ハラビロカマキリの卵のう等。鳥/カケス、オナガ、メジロ等。その他/ネコヤナギの冬芽(写真下左)、クチナシの実、キンカンの実、マンリョウの実、ナツミカンの実、ユズの実等。


1月1日、横浜市港北区綱島市民の森

 若いにもかかわらず、ほとんど隠居の身となってしまったので、日曜祝日は勿論の事、正月もクリスマスもお盆も、別段、これといった感慨は湧かないものの、正月三箇日位は、おとなしくしていなければと決意した。しかし、お雑煮やおせち料理がとても美味しいので、おかわりおかわりの連続で、たらふく食べてしまった。年末にせっかく腸の大掃除をして腸元となったのに、これではまたまたドロドロの腸になってしまう。年始早々、これではいかんと、腹ごなしの為に散歩に出かけた。カメラは持たずにと思ったものの、根が貧乏性だから、タムロン90mmマクロレンズを装着したカメラを、お散歩のお供に連れて行った。
 まずは、狭い自宅の庭のニホンズイセンが美しく咲いていたのでカメラを向けた。園芸植物図鑑を開いて見ると、様々なスイセンの品種が載っているが、シンプルイズベストという訳で、このニホンズイセンが一番好きである。華やかさの点で言ったら、陽春に咲くラッパスイセンが見事なのだが、寒いお正月頃から咲き始める健気さも、またなんとも言えない。料理だってそうである。コックさんや女房には悪いと思うが、手の込んだ料理より、シンプルな料理の方が美味しい。例えば、鰯の丸干しをただ焼いたもの、タマネギのスライスにおかかとサラダ油と醤油をかけたもの、新鮮なキュウリに味噌をつけてかぶりつくなんてのも最高である。
 今日は晴れたり曇ったりで、ニホンズイセンを太陽が雲に隠れた時に撮り終えると、我が郷土の氏神様である諏訪神社の方に足を進めた。元農家の家々が立ち並ぶから、庭先に様々な園芸植物が植えられ、真赤に色づいたクチナシの実を撮った。庭の中にはソシンロウバイが満開に咲いていたが、黙って家の中に入る訳には行かないので涙を飲んだ。諏訪神社は初詣の方々で長い列が出来ていた。これでは手を合わせるまでに、30分以上はかかるだろうと参拝を諦めた。駅の方に歩いて行くと、瀟洒なマンションの傍らに、プリムラ・マラコイデスが咲いていた。西洋桜草とも言われる一番シンプルなプリムラだ。これもニホンズイセンと同じで、シンプルイズベストなのである。
 その後、リポビタンDを飲んで体力を増強すると、綱島公園から綱島市民の森へ向かった。私がご幼少の頃、遊びに遊びまくった懐かしい場所である。信じられないかもしれないが、ミヤマクワガタやアカアシクワガタが生息していたし、ゴマダラチョウなんて、樹液に群れていたのである。今日は桃の里広場まで行ったが、ニホンズイセンが咲いている位で、これといったものは見られなかった。それでも、美しいオナガが長い尾を引いて飛び、カケスが独特のだみ声で鳴いていた。

<今日観察出来たもの>花/ニホンズイセン(写真上左)、プリムラ・マラコイデス(写真上右)、ソシンロウバイ、ハキダメギク、サザンカ、ビオラ等。鳥/カケス、オナガ等。その他/ミニトマトの実(写真中左)、クチナシの実(写真中右)、アオキの葉痕(写真下左)、カエデの葉痕(写真下右)、ニワトコの冬芽葉痕、マロニエの冬芽葉痕、マサキの実、キンカンの実、マンリョウの実、センリョウの実、ナンテンの実、ナツミカンの実、ユズの実等。



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