2005年:つれづれ観察記

(3月)


3月31日(午後)、神奈川県(仮称)チョウゲンボウの里

 午後からは鳥を撮りたくなったが、冬鳥が見られなくなったから何処へ行こうかと思い悩んだ。各所にある公園は、こんな天気だとはいえ花見客でごったがえしているだろう。そう考えて、少し遠いいが(仮称)チョウゲンボウの里へ行ってみることにした。チョウゲンボウはさんざん撮ったので他の鳥がターゲットであったが、最近、腸の調子が良くないので、チョウゲンボウに出会えば、腸元(腸元気)になるとも思ったのだ。現地に到着して、ヒバリやーい、ホオジロやーい、カワラヒワやーいと探してみたが、姿は確認すれども絵になる所へは止らず、またしてもチョウゲンボウと遊ぶ事となった。畑の杭に止るチョウゲンボウを撮りたいと年末から年始にかけて頑張ったが、角材に止るものは撮れたものの、太い竹の杭のに止るものはとうとう撮れなかった。しかし、今日やっと念願叶って、畑に刺してある竹の棒の先に止ってくれた。

<今日観察出来たもの>鳥/チョウゲンボウ(写真上)、トビ、ヒバリ、ツグミ、カワラヒワ、セグロセキレイ、カワウ等。


3月31日(午前)、横浜市港北区新吉田町

 今日は午前中は晴れと予報されていたので、ちょっと遠くまで行ってみようと張り切っていたが、なんと曇り空で気温も低いし風もある。最近、ぽかぽか陽気が続いたから、少し気温が下がっただけで、かなり寒く感じるようである。そんな訳で、張り切っていた気持ちはすっかりしぼんでしまって、楽々ほいの新吉田町へ行った。前回行った時に、ナシの蕾がだいぶ膨らんでいたので、もう咲いているのではと思ったのである。樹の花はそれこそたくさんあるが、桜、梅、桃等より、純白のナシの花が好きである。純白は清潔感を感ずるのだろう。クリーニング屋さんから戻って来た真っ白なワイシャツに、紺のネクタイでも締めれば、私だってナイスガイに見える。また、純白のワンピース姿の女性は、なんとなく色気が溢れているようにも思えるのだ。しかし、ナシの花はこんな天気のためか、見目麗しく花開いてはいなかった。
 それでは同じ純白でも山野草の花であるニリンソウはどうかなと行ってみると、こちらは数輪だが花開いていた。開発が進んだ横浜市港北区で、ニリンソウが見られる場所が他にあるのかどうかは分からないが、今年も無事に咲いていてほっと胸を撫ぜ下ろした。古老の話によると、戦前には新吉田町でもカタクリの群落があったと言うのだから驚きである。ニリンソウを無事に撮り終えると、今度はサルトリイバラの花を撮影したくなった。蔓植物の花が面白いと前回記したと思うが、サルトリイバラは同じ蔓植物のアケビとはまるっきり趣の異なった花である。花弁がパラフィン紙のようで、なんとなく乾いた感じの花なのである。気をつけて探すとかなりの株が見つかって、これならサルトリイバラを食草とするルリタテハも、しばらくはたくさん見られるだろうとほくそ笑んだ。

<今日観察出来たもの>花/ニリンソウ(写真上左)、サルトリイバラ(写真上右)、キュウリグサ(写真下左)、オオシマザクラ、ソメイヨシノ、カイドウ、ナシ、カリン、ハナズオウ、シデコブシ、チョウセンレンギョウ、レンギョウ、ドウダンツツジ、ミツバツツジ、アケビ、アオキ、クサイチゴ、トサミズキ、ボケ、ヒイラギナンテン、タチツボスミレ、ムラサキケマン、シャガ、ハナニラ、オオアラセイトウ、タネツケバナ、コハコベ、トウダイグサ、シバザクラ、ビオラ等。蝶/モンシロチョウ。その他/クザギの芽吹き(写真下右)、アカメガシワの芽吹き、チャンチンの芽吹き、コナラの芽吹き、カキの芽吹き、アオキの実等。


3月29日、横浜市緑区新治市民の森

 冬に入ってから自分でも呆れる程、フィールドへ出向いて写真を撮った。お陰様で里山で見られる野鳥の約8割は、なんとか合格点をつけられるものが撮れたと思う。ここ5年間程は蛇と哺乳類を除いて、里山で見られる生き物を数多く撮りたいという思いでやって来た。それがほぼ達成されて、疲れがどっと出た事は言うまでもない。おまけに今日は風が非常に強くて、写真撮影には最悪の天気となった。桜の咲く時期は強い風が吹く事が多い。「花の命は短かくて」と言われるが、風が吹かなければソメイヨシノだって、もっと長く咲いているだろうにと思う事が度々ある。しかし、南よりの風が吹くと芽吹き始めた雑木林の木々がざわめいて、「やっと春がやって来ましたね」と喜びの声を上げているようにも感じる。若葉や新芽が傷つくだろうにと心配するのだが、そんな風による刺激も木々の健全なる成長には必要なのだろう。
 まあ以上のような理由で、今日は午後のほんの少しの時間だけ新治市民の森へ行ってみた。カーラジオからは、東京のソメイヨシノが満開となったと告げていた。新治市民の森の池ぶち広場に植栽されているソメイヨシノもほぼ満開である。見上げると一枝美しいものがあったのでカメラを向けたが、やはりソメイヨシノは真っ青な青空に抜いて、午前中に撮らねばとシャッターは切らなかった。広場においてある丸太の上では、なんと3頭のルリタテハがテリトリーを張って日向ぼっこをしていた。今年は雪もほとんど降らずに暖冬だったとはいえ、生き物には厳しい冬であった事には変わりなく、羽が痛んだ個体も見られた。夕方にテリトリーを張るルリタテハは飛び立っても、ほぼ同じ場所に戻って来る。何べんも飛び立たれたが、羽が一番痛んでいない個体を選んで、一番写真栄えのする所に止った時にシャッターを切った。

<今日観察出来たもの>花/タチツボスミレ(写真上左)、ヘビイチゴ(写真下右)、オオシマザクラ、ソメイヨシノ、チョウセンレンギョウ、クサボケ、キブシ、ウグイスカグラ、ユキヤナギ、アカネスミレ、マルバスミレ、カラスノエンドウ、キジムシロ、オオアラセイトウ等。蝶/ルリタテハ(写真下左)、アゲハ、キチョウ、ツマキチョウ、スジグロシロチョウ、キタテハ、テングチョウ、コツバメ、ミヤマセセリ等。昆虫/ビーロードツリアブ等。鳥/ツグミ、カケス、コサギ等。その他/サンショウの芽吹き(写真上右)、ドクダミの芽生え、ツルボの芽生え等。


3月28日、埼玉県比企郡吉見町八丁湖

 夏鳥がやって来るまでは鳥閑期だから、鳥の多い埼玉といえども成果は左程上がらないだろうと思ったが、まあ行ってみるかなと出かけてみた。午前中は北本自然観察公園へ行ってみたが、キレンジャクは見られず、ベニマシコがいたものの良い場所に現われず、一度としてシャッターを切る事はなかった。午後からは八丁湖へ行ってみたが、やはり冬鳥の数は減っていて、夕方になってもトラツグミは現われなかった。そんな訳でアトリとアオジを撮ったのみで、とんでもない貧果に泣いたのは言うまでもない。しかし、冬鳥が旅立って行ったという確たるものをこの目で確認して、なんだかすっきりとした気持ちになった。いよいよ野鳥撮影は夏鳥や留鳥に切り替わる。今季の冬の鳥撮影では初見ないし初撮りのものが数多く、なかでも、アカゲラ、ゴジュウカラ、チョウゲンボウ、ミソサザイ、アトリ、トラツグミ等がとても印象に残っている。

<今日観察出来たもの>鳥/アトリ(写真上左)、アオジ(写真上右)、ソウシチョウ、ミヤマホオジロ、ウソ、ヒガラ、シジュウカラ、カケス、シメ、シロハラ、ツグミ、ガビチョウ、アカゲラ等。


3月27日(午後)、神奈川県川崎市麻生区早野の里

 午後からは、鳥を撮るつもりで早野の里へ行った。最近、各所で話題になったレンジャク類は、ヤドリギを食べ尽くすとヤナギの芽やヤブランの実を食べる事が分かった。そこで早野の里にはヤブランがたくさんあった筈とも思った訳である。しかし、レンジャク類はもとより野鳥の姿は少なく、ウグイスが藪の中で囀っている位であった。これではデジスコ片手の散策ではノーシャッターだなと考え、一般撮影機材でほんのちょっぴり散策した。まずは以前蕾を撮って、ネット仲間に教えて貰ったのだが、花が咲くまで疑問符をつけたままにしておいた木を見に行った。ちょうど花が満開で、ネット仲間の方の推察通り、アブラチャンであった。もっとも、ダンコウバイやシロモジの可能性もあるので、付近にある落ち葉をかなりの枚数確認したが、すべて卵型で、これは間違いなくアブラチャンだと確定した。

<今日観察出来たもの>花/アブラチャン(写真上左)、ハナモモ、ボケ、トサミズキ、ウグイスカグラ、コスミレ、タチツボスミレ、レンゲソウ、ハナニラ、オオアラセイトウ等。昆虫/コガタルリハムシ(写真上右)等。鳥/カケス、コゲラ、ウグイス、シジュウカラ等。


3月27日(午前)、横浜市港北区新吉田町

 前回は3月8日に散策したのだから、なんと久しぶりの新吉田町である。最近、どういう訳か週一回の埼玉プチ遠征以外、遠くに行く気が無くなってしまった。愛車を「小野路号」と名付けているのだが、町田市の多摩丘陵もとても遠く感ずる。また、今年は蝶を撮るぞと思っていたが、今発生しているコツバメやミヤマセセリも、以前にたくさん撮ったから、その内にねといった按配である。それでもカメラ片手の近場散歩は、高尾山等のような珍しい花がある訳ではないのだが、とっても面白いのである。ここでは紹介しないが、今日も様々な芽吹きを撮った。樹木の花や実や冬芽葉痕はかなり撮ったが、芽吹きも撮らなければ方手落ちと思えるようになったのだ。それに、動物の赤ちゃんはみんな可愛いように、樹木の葉の赤ちゃんもとっても可愛いのだ。そんなこんなで普通に見られるものでも違った角度から見ると、様々な発見と微笑と驚きが付き纏う。
 今日は散策を開始すると、ムラサキケマンが目に入った。ウスバシロチョウの食草だ。シャガも咲き始めていたので、本当に春本番なのだなあと思い知った。今日は特に蔓植物の花や蕾が面白かった。ことにアケビやサルトリイバラの花は可愛らしくて美しく、蔓植物だけを追っても一年中楽しめそうだなあと感じた。植木屋さんの畑では、シデコブシがアバレハッチャクのように咲いている。何とか蕾ではなく花開いているものを撮影したいと思ったが、自由奔放なお嬢様だから諦めた。雑木林の縁を歩いて行くとオオシマザクラ(?)が咲いている。今咲いているのだからオオシマザクラだろうと、とっても危険な種名判断をしてしまったが、もっと詳細に各部位に目を向けて、確かに間違いはないと確認して来れば良かったが、フィールドでも後悔先に立たずなのである。

<今日観察出来たもの>花/オオシマザクラ?(写真上左)、シデコブシ(写真上右)、アケビ(写真下左)、アオキの雌花(写真下右)、サルトリイバラ、クサイチゴ、トサミズキ、ボケ、ヒイラギナンテン、ウグイスカグラ、タチツボスミレ、フキノトウ、ムラサキケマン、シャガ、ハナニラ、オオアラセイトウ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ、タネツケバナ、ノゲシ、コハコベ、トウダイグサ、シバザクラ、ビオラ等。その他/コナラの芽吹き、カキの芽吹き、アオキの実等。


3月26日、東京都(仮称)アオゲラの森

 昨日は夜半からお昼頃まで、風が強くかなりの雨が降った。植物にとっては待ち望んだ芽吹きや開花のためのありがたきお湿りだろう。そんな訳で、昨日は完全なる自宅蟄居となり、なんと知人の得意技の二度寝以上の三度寝もこなしてしまった。こうなると、フィールドへ出ての写真撮影が億劫となる。しかし、コーナンで買った2000円のリュクでの電車による鳥撮りは、いかがなものだろうと試したくなり、雑用を済ませると仕方なしに(仮称)アオゲラの森へ行ってみた。今までのショルダーバックに比べると、両肩に背負うリュックは快適そのもので、「これはいいや、これからもばんばん電車で鳥撮りに行こう」と、足取りも非常に軽かった。しかし、鳥そのものの出は芳しくなく、アオゲラ、コゲラ、シメを撮ったのみとなった。最近各所に出没したキレンジャクも去り、いよいよ夏鳥がやって来るまでは鳥閑期だなあと思った。

<今日観察出来たもの>鳥/アオゲラ(写真上左)、コゲラ(写真上右)、カケス、シメ、シジュウカラ、エナガ、ホオジロ等。


3月24日、横浜市緑区横浜動物の森公園

 今日は一日中曇りとの事で、こんな日は蝶も飛ばないし、近場で花撮りだなあと思って出発した。それでも空を見上げると青空がかなり残っていて、何となく午前中は晴れが続きそうに感じた。そこで、コツバメを撮ろうと横浜動物の森公園へ行き先を変えた。しかし、天気予報はやはり当たって、曇り空となってしまった。実は、公表すると鳥撮りマンが押し寄せて困るので極秘にしていたが、緑区某所にキレンジャクとヒレンジャクが合計20羽程やって来ていた。どうも一昨日、何処かへ移動したらしいので、もしや横浜動物の森公園へ来ているのではと期待したが、湿地にたくさん生えているヤナギには、ヒヨちゃんがいるだけだった。
 こうなったら所期の予定通り花撮りに徹しようと、カメラ片手に散策を開始した。道端には何処かの民家の庭から逃げ出したツルニチニチソウが咲いている。花期が早くとても丈夫な植物である。こんな花壇から逃げ出した花は枚挙にいとまが無い程だが、今の時期だと、オオアラセイトウとハナニラが代表格だろう。雑木林を見上げると、白い桜の花が咲き始めている。時期から言って、オオシマザクラではなかろうか。森の中に入るとウグイスカグラが花盛りで、もちろんウグイスも各所で鳴いている。他には昨日紹介したクロモジの花が各所で見られ、キブシが玉簾のように咲いて風情がある。また、忘れてはならないのはモミジイチゴの純白で清楚な花だろう。
 ここの森にはハナイカダがたくさんあって芽吹きも始まっていた。その他、芽吹きは様々な樹木で見られ、ミズキ、エゴノキ、クマノミズキ、コナラ、ハリギリ、植栽だと思われるカツラ等、実に賑やかである。ただ、荒地に見られるタラノキだけは、可哀想に鋭い刃物で芽が刈取られていた。

<今日観察出来たもの>花/ツルニチニチソウ(写真上左)、ウグイスカグラ(写真上右)、オオシマザクラ、チョウセンレンギョウ、クロモジ、キブシ、イヌコリヤナギ、タチツボスミレ、オオアラセイトウ、ケキツネノボタン等。鳥/アオゲラ、キジ、コジュケイ、カケス、ツグミ、ルリビタキ、メジロ、ウグイス、ムクドリ等。その他/カツラの芽吹き(写真下左)、ミズキの芽吹き(写真下右)、ハナイカダの芽吹き、ハリギリの芽吹き、エゴノキの芽吹き等。


3月23日、横浜市緑区新治市民の森

 昨日は帰路、事故渋滞で大幅に帰宅時間が遅れてしまった。事故を起こした方はもちろんだが、事故は百害あって一利なし、日本経済の大いなる損失でである。そんな訳で、花の銀座経由の首都高速で戻って来たが、スムーズに動き始めると、これまでの鬱憤を晴らすかのように、スピードを上げる車が多い。我が愛車「小野路号」(最近は「新治号」となっているが)は、軽のワンボックスカーだから、くぬくぬ曲がる首都高速は大の苦手なのである。やはり首都高速は、背の低い普通車専用の道路だなあと、またまた思い知った。
 そんな訳で今日は遅く起床し溜まった雑用を済ませ、一日自宅静養のつもりでいたが、またまた病気が始まって、午後の短時間だが新治市民の森へ出かけた。目的はコツバメである。しかし、鳥撮り仲間が網を持った方が二人も来ていたと言うので、万事休すである。採集されてしまったら、カメラで撮る被写体が減ってしまうのだから当然である。それでも1頭みつけたものの、採集者が入った後は人間を警戒してか、すぐに飛び立ってしまった。カメラ片手の道端自然観察者には、蝶や昆虫、キノコや植物の採集者は、ノーサンキューなのである。
 それでもあれふれた植物なら盗掘されずに残っているから、のんびりと絵作りしながら散策した。新治市民の森の一部は、元植木屋さんの土地であったから、日陰にまだミツマタが咲いていた。また、高級な楊枝の材料であるクロモジの花が咲き出していた。スミレではタチツボスミレは勿論だが、可愛らしいアカネスミレとアカネスミレの品種といわれる側弁の基部以外は無毛のオカスミレを見つけた。今日は本当に短時間で目的のものは撮れなかったが、カメラ片手の道端自然観察は本当に楽しいなあとあらためて感じた。

<今日観察出来たもの>花/ミツマタ(写真上左)、クロモジ(写真上右)、アカネスミレ(写真下左)、カラスノエンドウ(写真下右)、キジムシロ、ハナモモ、アンズ、クサボケ、コブシ、ハクモクレン、キブシ、ウグイスカグラ、ユキヤナギ、タチツボスミレ、オカスミレ、オオアラセイトウ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ、タネツケバナ等。蝶/モンシロチョウ、ツマキチョウ、スジグロシロチョウ、テングチョウ、ルリタテハ、コツバメ、ミヤマセセリ等。昆虫/ビーロードツリアブ等。鳥/ツグミ、ヤマガラ、カケス、コサギ等。その他/ミツバアケビの蕾、ハナイカダの芽吹き、ミズキの芽吹き等。


3月22日(午後)、茨城県(仮称)コミミズクの里

 オガワコマドリで出会ってから約1年ぶりに、お堅い仕事をしているにも関わらず柔軟な人柄の浦和のKさんに(仮称)キレンジャクの森で会った。聞くところによると、午後はコミミズクを撮りに行くのだという。それを聞いて、急遽、予定を変更して(仮称)コミミズクの里へ行ってみたくなった。あの猫ちゃんのような独特な風貌のコミミズクは、やはり魅力一杯なのである。到着するや否や2羽のコミミズクが飛んでいる。一眼で飛翔写真を狙っている方々には大歓迎なのだろうが、デジスコで止り物を狙っている私にはノーサンキューである。そこで少し離れた所へ移動するとコミミズクが現われて、こんもりした枯れ草の上に止ってくれた。ばしばしシャッターを切ったので、他の所へ止ってよと期待したが、我輩は猫であると思っているらしく動かない。もう少し待ってみようと思ったら、無常にも雷が鳴り雨が落ちて来た。

<今日観察出来たもの>鳥/コミミズク(写真上)、ヒバリ等。


3月22日(午前)、埼玉県(仮称)キレンジャクの森

 秋ヶ瀬公園のヒレンジャクは姿を消したようで、夏鳥が飛来するまで、これといった鳥は見られないだろう。そう思って、今日はベニマシコを撮るつもりで、(仮称)ベニマシコの里へ行った。この時期、ベニマシコは各種のヤナギの芽や蕾を食べる。到着するやいなや、ベニマシコが思ったとおりにヤナギに飛来していた。緑の芽が出たヤナギとベニマシコは絵になるのだが、小枝が邪魔をして、なかなかすっきりとした写真が撮れない。そこで、セイタカアワダチソウの種子を食べに来たものを撮影した。ベニマシコを撮っていると、ここにキレンジャクが飛来しているとの情報を頂いた。野鳥撮影を始めてまもない私には、まだ5年は早いかなと思ったが、ベニマシコをしこたまカメラの中に納めたのでポイントに行ってみると、2羽のキレンジャクがいた。そこでいつの間にか(仮称)ベニマシコの里が、(仮称)キレンジャクの森となってしまった。

<今日観察出来たもの>鳥/キレンジャク(写真上左)、ベニマシコの雄(写真上右)、キジ、クイナ、ツグミ、ルリビタキ、シジュウカラ、カケス、スズメ等。


3月21日、横浜市青葉区寺家ふるさと村

 今日はやっと北風が治まった。そこで、16日に同好の方々と道端自然観察会へ行った時に咲いていたスミレを撮ろうと、寺家ふるさと村へ行った。16日は天気が思わしくなかったし、まだいくらか時期が早いのか、各種のスミレは咲き始めたばかりであった。四季の家の駐車場に車を停めると、まずはグループ彩の写真展を見に行った。今月末まで、心優しい主婦であるKさんと蝶大好き人間のKさんの作品が展示されている。主婦のKさんの作品は、オンブバッタ、アカガネサルハムシ、オジロアシナガゾウムシ、ベッコウハゴロモ等の小さな昆虫達で、いつものようにその人柄を反映して、ほんわか幸せになる写真ばかりであった。一方、蝶大好き人間のKさんの作品は、お堅い会社に勤めている方だけあって、かちっと正確に、クロアゲハ、ミドリシジミ、ベニシジミ、ツマグロヒョウモン等が写し止められていた。
 いつもなら丸太のベンチに座っている筈のN仙人はいなかったが、待っていても来るかどうか分からないので散策を開始した。まずはナガバノスミレサイシンを撮りに行った。今日は久しぶりにシグマの17〜70ミリにアングルファインダーも持参しているから、環境を取り入れた広角説接写なんてホホイのホイである。五十肩を患ってからカメラバックを背負えなくなり、ほとんどタムロン90ミリマクロ一本で写真を撮っているから、この観察記の写真も単調な絵柄が続いている。私だってこんな写真が撮れるんですよとばかりに、ナガバノスミレサイシンに向き合った。その他、コスミレ、ノジスミレ、ヒメスミレ、アオイスミレを撮り、結局、妙福寺まで行ってしまった。今日はお彼岸の中日だから、墓参の方々で一杯だ。私も早く帰って、お墓参りに行かなければ罰があたると、早々、散策を切り止めたのは言うまでもない。

<今日観察出来たもの>花/ナガバノスミレサイシン(写真上左)、コスミレ(写真上右)、アオイスミレ(写真下左)、ヒメスミレ(写真下右)、タチツボスミレ、ノジスミレ、キブシ、オオアラセイトウ、ハナニラ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ、タネツケバナ、セイヨウタンポポ、ボケ等。蝶/コツバメ、ミヤマセセリ、キタテハ等。


3月20日、横浜市緑区新治市民の森

 今日も北風がビュービュー吹いて、とても寒い日となった。もうこんな日が10日間程も続いているのではないかと思われる程の長さである。それでも今日、東京で桜が開花し、なんと昨年より1日、平年より8日早く、過去3番目の早さだという。それはともかくとして、午後の短時間ではあったが、なんと2カットしか撮れないという貧果に泣いた。このため、観察記を書くのは止めようかなとも思ったが、重要な観察をしたので記す事にした。それは北風吹く寒い日にもかかわらず、モンシロチョウ、ツマキチョウ、キチョウ、スジグロシロチョウ、テングチョウ、キタテハ、ルリタテハ、コツバメ、ベニシジミ、ムラサキシジミ、ミヤマセセリの、なんと11種類の蝶を観察したからだ。生憎、すぐに今にも雪が舞って来るのではと思われる黒い雲が現われて太陽を遮ったので、一種類だに撮影出来なかったが、いよいよ蝶の季節も始まったようである。

<今日観察出来たもの>花/キジムシロ(写真上左)、ハナモモ、アンズ、クサボケ、コブシ、ハクモクレン、キブシ、オニシバリ、ウグイスカグラ、ユキヤナギ、フキノトウ、オオアラセイトウ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ、タネツケバナ、カラスノエンドウ、セイヨウタンポポ等。蝶/モンシロチョウ、ツマキチョウ、キチョウ、スジグロシロチョウ、テングチョウ、キタテハ、ルリタテハ、コツバメ、ベニシジミ、ムラサキシジミ、ミヤマセセリ等。昆虫/ビーロードツリアブ、アシブトハナアブ等。鳥/ツグミ、ヤマガラ、ノスリ、コサギ等。その他/カラスザンショウの芽吹き(写真上右)、ミズキの芽吹き、ツクシ等。


3月19日、東京都板橋区荒川戸田橋緑地

 河川敷には丘陵地帯や田園地帯にはない独特な環境があるから、自然観察には見逃せない。自宅からすぐの鶴見川は一級河川ではあるものの、河川敷が広い所はほとんど無い。また、多摩川は、上流へ行けば自然度の高い河川敷はあるものの、立川から下流では運動広場やゴルフ場となっていて、散策する気が起きない。となると相模川なのだが、こちらも車でかなりの時間がかかる。そんな訳で、行き帰りが爆睡出来、ある程度の自然が残っている河川敷はないかなと地図を開いてみたら、都営地下鉄高島平から歩いて10分程の荒川の河川敷が良さそうに思えた。そこで少々風が強かったが、下調べに行ってみた。柳が点在するアシ原がかなり広がっていて、今日は撮影出来なかったがヒバリが青空高く囀っていた。きっと初夏になれば、オオヨシキリやセッカ等が見られる事だろう。

<今日観察出来たもの>鳥/ムクドリ(写真上左)、ホオジロ(写真上右)、チョウゲンボウ、アカハラ、ツグミ、モズ、ヒバリ、ジョウビタキ、カワラヒワ、スズメ、ハクセキレイ、ダイサギ、ハシブトガラス等。


3月18日、神奈川県(仮称)アカゲラの森

 今日は北風が相当強く、しかもピーカン、それに連日の散策で疲労が溜まっていたので、自宅蟄居のつもりでいた。しかし、またまた安楽亭の焼肉を食べたくなったので、栄養補給滋養強壮の為に仕方なく出かけた。食事後、せっかくここまで来たのだからと、(仮称)アカゲラの森へ行ってみた。今日は前回の焼肉ぽとりに懲りて、慎重にお肉を箸つかみ、網の溝に直角に交わるように置いたから、一枚もお肉ぽとりはなかった。これなら今日はとっても良いことがありそうだなあと期待したが、とんでもない貧果に泣いてしまった。いつもなら夕方お出ましになる筈のアカゲラは、なんと1時間も早く寝床に帰って来て、すぐに巣穴に入ってしまった。「花虫さん、こんなに北風ピューピューじゃ、早く寝るしか有りませんものね」とアカゲラに言われたようで、とぼとぼと自宅目指して帰路に着いた。

<今日観察出来たもの>鳥/コサギ(写真上左)、アカゲラ(写真上右)、カワセミ、シジュウカラ、ヤマガラ、カルガモ等。


3月17日、横浜市緑区新治市民の森

 天気予報では雨は降らないとの事であったが、車を走らせるとフロントガラスに水滴が着いた。おかしいなあと思っていたら、小雪が舞って来た。「あらまあ雪、これは困ったなあ、引き返そうかなあ」とも思ったが、いずれ止むだろうと新治市民の森へ向かった。雪はほんの一瞬舞っただけで、すぐに止んでほっとした。車を降りて散策を開始するが、今日も本当に寒い。梅田川に沿って少し上流まで行ってみると、イヌコリヤナギが元村山首相の眉のように開花していた。また、何も耕作していない畑には、たくさんのツクシが伸び始めている。小松菜の畑には、収穫されずに残っている株がいくらかあって、黄色い花を咲かせていた。何処を見たって春なのに、雪が舞ったりする気温には釈然としない。暖冬のまま本格的な春となって、ギフチョウを始めとするスプリングエフェメラルの蝶達が早々舞い始めるのも困るが、やはり散策には暖かくて穏やかな日和が最高である。
 冬の間、カシラダカが良く見られた丘の上の畑に登って行くと、畑に植栽されている木々に花が咲いている。今まで何の木かと気にも留めなかったのだが、花が咲いて、スモモが植栽され、その内の何本かがアンズである事が分かった。「スモモもモモもモモのうち」と言うが、まあ、「アンズもモモのうちかな」と苦笑いを浮かべる。しかし、そんなに多くをモモのうちにすると、ウメもモモのうちにせねばならないのかなあとも思ったが、花期が同じで果実として生で食べられるという範疇でくくると、やはりウメはモモのうちではないわなと一人合点をする。図鑑を開いて見ると、アンズはウメと異なって、種と果実の肉離れが良いと書かれていた。まあ、八百屋さんで売っていても、果物屋さんで売っていないものがウメという事なのだろう。

<今日観察出来たもの>花/スモモ(写真上左)、アンズ(写真上右)、クサボケ(写真下左)、コブシ、ハクモクレン、ユキヤナギ、シキミ、イヌコリヤナギの雄花、サンシュユ、フキノトウ、オオアラセイトウ等。鳥/ヤマガラ、カワセミ、オオタカ、ノスリ、コサギ等。その他/ツクシ(写真下右)、サンショウの芽吹き等。


3月16日、横浜市青葉区元石川町〜寺家ふるさと村

 今日は同好の方々との道端自然観察会の日である。当然のこととして天気が心配されたが、横浜では夜中に降って曇り日となった。その雨だが東京では雪となったらしく、これがなんと1876年(明治9年)の観測開始以降、最も遅い初雪となり、都心でこれまで最も遅かったのは2月10日(1960年)で、47年ぶりに記録を塗り替え、昨年より95日、平年より73日も遅いとの事である。そんな寒い日だから参加者はかなり少ないだろうと思ったが、花桃、緋連雀、菫の超豪華3本立ての観察会との前宣伝がきいたのか、なんと11名の方が集った。参加予定だった2名の方が突然のご不幸があり参加出来なかったのだから、もし参加されていたら、なんと13名ということになる。これから参加者がますます増え続けると、マイクロバスでもチャターせねばならなくなるなあと心配になった。
 午前中は元石川町の横浜の桃源郷へ行った。このところ寒かった事もあってか、どうにかハナモモは散らずに咲き残っていた。また、11名もの団体で小さなラーメン屋さんに席が取れるかなあと心配したが、こちらも事無きを得た。午後からは寺家ふるさと村にフィールドを移し、ここの主であるN仙人の案内で、ヤマルリソウ、アオイスミレ、ナガバノスミレサイシン、コスミレ、ヒメスミレ等を、まだ咲き初めだったが観察出来、シュンランやアブラチャンのおまけまでついた。そこで最後のお約束の一つ緋連雀だが、なんと一羽いてくれたのだから素晴らしい。花桃、緋連雀、菫の超豪華3本立ての観察会と前打ったが、一つぐらいは観察出来ないだろうと思っていたから、パーフェクトとは驚きである。正午近くから気温は上がったものの、これで朝からぽかぽかした晴れの天気だったら最高だったのだが、そうは問屋は卸しませんよね。

<今日観察出来たもの>花/ハナモモ(写真上左)、アブラチャン(写真上右)、ヤマルリソウ(写真下右)、ベニスモモ、ユキヤナギ、ボケ、ハクモクレン、トサミズキ、サンシュユ、ミモザ、ツバキ、ウグイスカグラ、キブシ、コブシ、シキミ、スモモ、オオアラセイトウ、ハナニラ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ、タネツケバナ、コハコベ、アオイスミレ、ナガバノスミレサイシン、コスミレ、ヒメスミレ、タチツボスミレ、ノジスミレ、シュンラン、ラッパスイセン等。鳥/ヒレンジャク、ジョウビタキの雄、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、ツグミ等。その他/ゴンズイの芽吹き(写真下左)、ヤドリギの実、ムクロジの実等。


3月14日、横浜市都筑区茅ヶ崎公園

 今日は最近定番となりつつある午前中短時間のご近所お散歩散策。疲れた時、用事がある時には最高である。これといった珍しいものがある訳ではないものの、四季の微妙な推移を味わう事が出来る。また、その目を持っていれば、作品作りだって可能である。更に、慣れ親しんでいた筈の様々な生き物に、新たなる発見が加わるのである。それにしても昨晩は、まるで大きな冷蔵庫の中に入ったかのような寒さでびっくりした。これではソメイヨシノの開花は平年並みか、やや早い程度になるだろう。気象庁の桜開花予測担当官は、昨晩の寒さのように首筋がたいそう寒かろう。
 謎かけ問答ではないが、「コブシとキブシは、どんなところが似てますか?」と尋ねられたら、「どちらもブシがつきます」と答える方が多いかもしれないが、ほぼ開花の時期が同じなのも似ているところだろう。ところで、千昌夫の「北国の春」では、「白樺 青空 南風 こぶし咲く あの丘 北国の ああ 北国の春・・・・」と歌われているが、我が横浜のあの丘の雑木林では、白樺のかわりに、イヌシデやミズキやコナラという事になるのだろう。もっとも横浜でのコブシは、ほとんどが公園等での植栽である。コブシ、キブシが咲く頃は風が強く吹くことが多く、花粉がたくさん飛んで、お悩みの方も多いだろう。しかし、「芽吹き」という植物体の生命力を感じるのには最高の季節なのである。
 またまたかなり横道に逸れてしまったが、今日は昨日とても寒かったので蝶はどうかなと思ったが、なんと可愛らしいルリシジミが飛んでいた。冬鳥のルリビタキの旅立ちは近付いたが、ルリシジミが飛んで、いよいよ様々な蝶が、フィールドで舞い始める事だろう。

<今日観察出来たもの>花/コブシ(写真上左)、キブシ(写真上右)、アオキの雄花(写真下左)、ヒカンザクラ、ユキヤナギ、モクレン、トサミズキ、ヒュウガミズキ、サンシュユ、ツバキ、ウグイスカグラ、イヌコリヤナギの雄花、ヒサカキ、オオアラセイトウ、ハナニラ、タチツボスミレ、ラッパスイセン、クロッカス等。蝶/ルリシジミ。その他/イヌシデの芽吹き(写真下右)、ミズキの芽吹き、マユミの芽吹き、アオキの実等。


3月13日(午後)、埼玉県(仮称)トラツグミの森

 鳥撮りを始めてから数年しか経っていないが、諸先輩のお陰で、里山で見られる冬鳥はほとんど撮影出来た。そんな中で、トラツグミだけは良い写真が無い。そこで今日はラストチャンスだとばかりに、「トラちゃんやーい」と一本に絞った。トラツグミは落ち葉の中に動かないでいると、見つける事が非常に難しい。今日もベテランカメラマンが、「さっき見つけたんだけど見失ってしまったよ」と嘆いていた。私なんぞ鳥撮りの初心者だから、誰かが見つけたもののおすそ分けをいただくのが一番である。今日もそんなおすそ分けで憧れの枝止りの写真を撮らせて貰ったが、今一すっきりとした写真とは言えない。こうなったらとことん粘ろうとみんな帰った後も頑張ったら、なんと二羽のトラツグミがかなり広い山道に現われてくれた。背景が少しでも暈けてトラツグミが浮き立つように、ローアングルに徹して撮影した。

<今日観察出来たもの>鳥/トラツグミ(写真上)、ツグミ、ヒヨドリ、ミヤマホオジロ、アトリ、ヒガラ、ヤマガラ、メジロ、アカゲラ、カケス等。


3月13日(午前)、埼玉県さいたま市秋ヶ瀬公園

 自宅から近いヤドリギがあるフィールドではヒレンジャクが一羽程度となって、あちこちのヤドリギの無い公園で、ヒレンジャクの群れが飛来したという情報が聞えて来る。ほとんどが数日の通過個体である。そんな訳で、秋ヶ瀬公園へ行っても数多くの個体はすでに去って見られないだろうが、一羽位なら居残っている筈と思って出かけてみた。どういう訳か、多数のヒレンジャクの群れがやって来る前も去った後も、一羽ないし二羽程の個体が見られる。これはいったいどういうことなのだろう。来る前のものは後からの本体と合流すれば良い訳だが、居残りさんは、どうやって繁殖地へ戻るのだろう。これは本当に不思議な事だが、それはともかくとして、居残り個体はのんびりしていて撮影には最適である。今日の秋ヶ瀬公園にも一羽の居残りさんがいて、のんびりゆったりと撮影する事が出来た。

<今日観察出来たもの>鳥/ヒレンジャク(写真上)、シメ、シロハラ、ツグミ、シジュウカラ、スズメ、オオタカ、アカゲラ、モズ等。


3月12日、横浜市青葉区寺家ふるさと村

 このままずっと暖かさが続いて、桜が例年よりかなり早く花開いては困るなあと前に書いたと思うが、そんな杞憂を打ち消すかのように、今日は寒の戻りの冬晴れである。しかも、ラジオのニュースによると、冬型の気圧配置がかなり強まっていて、上空には非常に冷たい寒気が入り、日本海側や東北地方を中心に大雪に見舞われるているという。すでに新潟県の湯沢では積雪が70cmを越え、仙台では吹雪、名古屋や関が原でも雪が舞って、東海道新幹線が徐行運転をしているとの事である。少し前に気象庁から桜の開花予想が発表されたが、この寒の戻りで桜の開花はかなり後退することだろう。大雪に見舞われている地方の方にはまことに申し訳ないが、風がかなり強くピーカンで撮影日和とは言い難いが、午後から用事があるので午前中だけ寺家ふるさと村へ出かけてみた。
 車を駐車場に停めて散策を開始するが、寒の戻りとは言え冬本来の寒さではなく、風さえなければぽかぽかした春の陽気である。もう各種のスミレが咲いているのではと期待したのだが、このところ寒の戻りが続いたためか、タチツボスミレやノジスミレが見られる位で、まだまだこれからであった。木々の芽吹きや花の開花はかなり早いと思ったが、地表近くに咲く野の花は例年通りのようなので、なんとなく腑に落ちない。それでも小さな谷戸に沿った小道に分け入ると、キチョウ、テングチョウが日向ぼっこをしていて、足元からひらひらと飛び立つ。農家の庭先には、ビオラ、ラッパスイセン、スノーフレーク、ムスカリ、ハナニラ、プリムラ、クロッカス等の花壇の花が咲き乱れている。「なんだかおかしいなあ、毎年春はこんな感じだったっけ」と、野のスミレの開花だけが取り残されているようなので、本当に不思議に思った。

<今日観察出来たもの>花/スノーフレーク(写真上左)、ハナモモ、ユキヤナギ、ボケ、ハクモクレン、トサミズキ、サンシュユ、ミモザ、マンサク、ツバキ、ウグイスカグラ、キブシ、オオアラセイトウ、ハナニラ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ、タネツケバナ、コハコベ、タチツボスミレ、ノジスミレ、ラッパスイセン、ムスカリ、クロッカス等。蝶/モンシロチョウ、キチョウ、テングチョウ等。鳥/ヒレンジャク、モズ、シジュウカラ、ツグミ等。その他/ハナズオウの蕾(写真上右)、ソシンロウバイの実(写真下左)、クサイチゴの芽吹き(写真下右)、マユミの芽吹き等。


3月11日、神奈川県大和市泉の森公園

 今日は午前中は雨、午後から雨は止むと予想されていた。そこで一度起床して朝食を食べた後、また布団に入った。これを二度寝と言うらしいが、かなりの主婦の方の得意技らしい。それでもすぐに目覚めてしまって、外を見たら雨は止んでいたので、昼食かたがた車を走らせた。吉野家もすき屋も松屋ももう飽きたので、泉の森公園近くのトラックセンターを思い出した。ここはトラック運転手さん専用のパーキングセンターなのだが、こっそりなら一般の者でも利用できる。それにコーナンで980円で購入した防寒作業着姿なら、どう見たって疑われる事は無いだろう。そんな訳で、格安でボリュームたっぷりの昼食をとった後、泉の森公園へ行ったが、無常にも一時間後にまた雨が降って来た。今日は雨のシャワーによる無料洗車、そして、主婦の方でもしないだろう三度寝の一日となった。

<今日観察出来たもの>花/サンシュユ、キブシ、コブシ等。鳥/ヒドリガモ(写真上)、ソウシチョウ、ミソサザイ、アオジ、シジュウカラ、ヒヨドリ、キジバト、スズメ、ハクセキレイ、ホシハジロ、カルガモ、マガモ、ヨシガモ、バン、オオバン、コサギ、カワウ等。


3月10日(午後)、神奈川県(仮称)アカゲラの森

 午後からは急に安楽亭の焼肉を食べたくなったので、安楽亭の近くの(仮称)アカゲラの森へ行ってみる事にした。焼肉といっても、一番格安のランチメニューのカルビランチだから大した事はない。しかも、お肉は80gだから、ほんのちょっぴりである。そんなちょっぴりのお肉を、生まれてからずっと箸の使い方が下手だから、焼肉の網の隙間から小さいものだが二つも落としてしまった。これでは今日はこれから、良いことはなさそうだなあと思ったが、アカゲラが夕方お出ましになってくれた。しかも、雌雄ともに撮影出来たのだからラッキーである。昔から「災い転じて福となす」と言うではないか。一個人の人生、最後まで生きてみなければ分かりませんよね、という訳なのである。いくつになっても現役そして青春、上を向いて前向きに明るく生きなければねと、お肉ぽとりは教えてくれた。

<今日観察出来たもの>鳥/アカゲラ(写真上左)、コゲラ(写真上右)、カワセミ、シジュウカラ、ヤマガラ、カワラヒワ、ハクセキレイ、コサギ、カルガモ等。


3月10日(午前)、横浜市青葉区元石川町

 今日は16日に予定されている3月の道端自然観察会の下見に、横浜の桃源郷である元石川町の丘に行った。例年ならハナモモの満開は春分の日の21日前後なのだが、異常な程の暖冬だったから、早く咲いてしまうのではないかと心配になったのだ。なにしろ、気象庁のソメイヨシノの開花予測は、例年より10日前後も早いというのだから尚更だ。毎年この丘を訪れる時は、「どうかハナモモが咲いてますように」と期待するのだが、今年は、「どうかハナモモが咲いていないで欲しいなあ」と期待するのだから、なんとなく変である。それもこれも、16日の道端自然観察会の日に満開となって欲しいと願っているからである。しかし、やはりハナモモはほぼ満開に近く、あと数日で完全に満開となる事だろう。果たして16日までもつのだろうかと心配になった。それでも日当りがかんばしく無い所は五分咲き程なので、16日にハナモモがまったく見られないとはならないだろう。
 形の良い一枝を定番どおり青空に抜いて撮影すると、他の花はどうであろうかとあちこち見に行った。ここには、一般的に知られるスモモとは少し異なったベニスモモがたくさん植栽されている。こちらの方はまだ五分咲き程度なので安心した。まあ、「スモモもモモもモモのうち」と言うくらいだから嬉しくなった。更に、ヒュウガミズキ、ユキヤナギ、ハクモクレン、ミモザ等は、まだこれからであった。また、野の花としてはタチツボスミレが咲き始め、サルトリイバラ、ミツバアケビ、キブシ等も、もう少しといった状況である。お墓の横のシキミの大木は、まだ花をつけていて美しかった。そんな訳で、16日に予定されている道端自然観察会は楽しいものになるだろうと予測されたが、後はお天気ですね。こちらの方は日頃行いの良い方ばかりだから大丈夫であろう。

<今日観察出来たもの>花/ハナモモ(写真上左)、ベニスモモ(写真上右)、ヒュウガミズキ(写真下左)、ユキヤナギ、ボケ、ハクモクレン、トサミズキ、ミモザ、オウバイ、ツバキ、シキミ、ヒサカキ、オオアラセイトウ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ、タネツケバナ、コハコベ、タチツボスミレ等。蝶/モンキチョウ。その他/サルトリイバラの芽吹き(写真下右)、マユミの芽吹き等。


3月9日、茨城県(仮称)コミミズクの里

 だいぶ前から情報を頂いていたが、去年、コミミズクはたくさん撮ったから、今年はパスと思っていた。しかし、お仲間がみんな行くので、バスに乗り遅れるのもなんだなあと地図を開いてみた。すると駅から歩けるし、ほぼ乗り換えなしで行かれる事が分かった。しかも、片道1010円というお安さだ。更に、コミミズクは午後3時位から現われるので、寝坊してゆっくり行けば良いのだ。これはもう行かなければ損と、電車の中で眠りこけながら行った。すると、舞岡横浜組、大和相模原組、秋ヶ瀬埼玉組が、それぞれ各15人程であちこちに固まっている。それぞれの組の知人に挨拶した後、もちろん私は舞岡横浜組に入ってコミミズクの出を待った。すると午後4時30分に現われて、メモリーカードの残量が無くなるまで撮り続け、またまた車中で眠りこけて帰宅した。今日も本当にらくちんな鳥撮りで、しかもコミミズクなのだから最高である。

<今日観察出来たもの>鳥/コミミズク(写真上)、ノスリ、カワラヒワ等。


3月8日、横浜市港北区新吉田町

 寒は戻ったとはいえ、真冬の寒さに比べればかなり暖かい。気象庁によれば、平年並みの気温との事である。しかし、空を見上げると本当に真っ青で、まるで今が盛りのオオイヌノフグリの花の色のようである。きっと、大気は澄み上空には寒気が居座っているのだろう。空の色だけ見れば厳冬期のようにも見える。こんなピーカンの日に花撮りなんて最悪なのだが、かといって日陰に咲いているものを見つけて撮影しても、春ならではの暖かさと華やかさが出ない。まあ、そんな事は充分承知していたが、昼までの数時間を散歩がてらに散策してみた。
 今年に入って筑波山に遠征したきりで、あとは日帰りの埼玉南部のプチ遠征ばかりで、ほとんど自宅から近い里山ばかりを散策している。知人は山中湖、利根川、両神山、栃木市星野などへ鳥撮りや花撮りに出かけているが、私は戦時中の銃後を守る国土守備隊のようである。美しいハナネコノメが高尾山へ行けば見られる季節なのだが、高尾と聞いただけで、遠いいなあ、かったるいなと感じてしまう。五十肩になって以来、どうも上半身の筋肉が固まったようで、やる気や自由の筋肉までもが固まってしまったようである。
 しかし、そんな屁理屈よりも生まれ育った野山の散策が、なんと言っても一番楽しいのである。今日見られた花は前回とほとんど同じであったが、植木屋さんの畑でアセビ、トサミズキ、ハナモモが加わった。アセビには真っ白の花が咲く品種も多く見られるが、この薄ピンクの花が金平糖の色のようで大好きである。その他の花は前回紹介したので、今日は芽吹きを撮る事に決めた。今からほんの少しの間しか芽吹きは撮れないのだから、見つけると必ずカメラを向けた。銀色の微毛に包まれたコナラの芽吹きを見つけて、春だなあと実感した。

<今日観察出来たもの>花/アセビ(写真上右)、ネコヤナギ、ヒカンザクラ、ハナモモ、ボケ、ウメ、ハクモクレン、トサミズキ、ジンチョウゲ、ヒイラギナンテン、オウバイ、ツバキ、ウグイスカグラ、コマツナ、フキノトウ、ハナニラ、オオアラセイトウ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ、タネツケバナ、ノゲシ、コハコベ、トウダイグサ、シバザクラ等。蝶/モンシロチョウ。その他/コナラの芽吹き(写真上左)、イボタの芽吹き(写真下左)、モミジイチゴの芽吹き(写真下右)、コウヤボウキの芽吹き、ニワトコの蕾等。


3月7日(午後)、埼玉県(仮称)ミヤマホオジロの森

 秋ヶ瀬公園のレンジャクは、正午近くになると動きがかなり鈍くなった。集ったカメラマンは、みんな昼飯をぱくついている。それでも午後しばらくすると、また活発になるだろうと思われたが、お腹も減ったし、午後は(仮称)ミヤマホオジロの森へと決めていたので、後ろ髪を引かれる思いがしたが、秋ヶ瀬公園を後にした。(仮称)ミヤマホオジロの森にいる野鳥は、もうほとんど撮ってしまったが、先日の宝塚のレビューか常磐ハワイアンセンターのフラダンスか徳島の阿波踊りか、我が住む町である綱島の夏祭りかといった按配の綺麗どころの集合を、もう一度目にしたかったのだ。
 今日は寒の戻りでかなり寒く、鳥の出が心配されたが、いつものように様々な小鳥が出迎えてくれた。2月20日に来た時はアトリは1羽も見られなかったが、前回の2月27日にはたくさん見られ、今日も我が物顔で振舞っていた。なにしろアトリは、ミヤマホオジロやオオマシコを追い立てるのはもちろんだが、自分の仲間でも気に入らないと追い立てるのである。自己主張が強いのか、喧嘩っ早いのか、困った鳥ではあるが、大自然の中ではそれ位逞しくないと生きて行けないのだろう。オオマシコなんか、アトリがやって来ると席を譲って、立ち去るまで小枝に止って様子を見ている。私なんかも気が弱い性格だから、片隅で縮こまっていた事が多い人生で、オオマシコの寂しげな心情が良く理解出来る。人間でも、心が強く身体も丈夫で喧嘩が強い方がいるが、そんな方には、心や身体が弱い人間の心情は理解し難いのではなかろうか。またまた横道に逸れてしまったが、今日も様々な小鳥をカメラに納める事が出来て、とっても楽しい埼玉県での一日は瞬時に日没となった。

<今日観察出来たもの>鳥/オオマシコ(写真上左)、トラツグミ(写真上右)、ミヤマホオジロの雌(写真下左)、アトリの雄(写真下右)、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロ、ウソ、アカゲラ、シロハラ、ビンズイ、カケス等。


3月7日(午前)、埼玉県さいたま市秋ヶ瀬公園

 レンジャクが姿を消してしまったので、しばらく他所に浮気をしていたが、やっとたくさん戻って来たというので、久しぶりに秋ヶ瀬公園へ行ってみた。レンジャクはヤドリギの実を食べつくすと、またすぐ何処かへ消え去ってしまうかもしれないので、間に合うかどうかなあと心配したが、ヤドリギの見られる広場に出向くと、すでに10人位のカメラマンがいて、しかも盛んにシャツターを切っていた。それを見ると思わず笑みがこぼれた。到着したばかりの時は5羽ばかりだったが、すぐに他の群れがやって来て、10羽程となった。しかし、レンジャクは、なかなかすかっとした枝に止まらない。止ったとしてもすぐにぷっくり膨れたお腹を見せるので、なかなか良い写真が撮れない。そんな訳で100カット位カメラに納めたものの、その大半は消去する事となった。レンジャクを里山で撮る事は、本当に難しいなあと改めて感じた。

<今日観察出来たもの>鳥/ヒレンジャク(写真上左)、シメ(写真上右)、シロハラ、ツグミ、ルリビタキ、スズメ、オオタカ等。


3月6日、東京都練馬区光が丘公園

 昨日は非常に強い風が吹いて、大荒れの一日であった。そんな日は身体を休める日と決めているが、確定申告書の提出を忘れていたので、電卓と睨めっこの一日となり、なんだか疲れがどっと出てしまった。また、大風が吹くと枯葉やゴミが自宅周辺にたくさん散乱するから、朝から箒で掃き清めた。それでも正午までかなり時間が残ったので、電車で練馬区の光が丘公園まで行ってみた。東急、営団、都営と乗り継いで光が丘まで行くと680円もかかるが、東急、営団で地下鉄成増まで行くと480円で行かれる。どちらで降りても、ポイントまで歩く距離は左程変わらないので、むろん後者のルートをとった。しかも、眠っていれば着いてしまうのだから、骨休めには電車での鳥撮りは最高である。今日はまだ夏鳥がやって来ていなかったから、左程珍しい野鳥には巡り合わなかったが、本当にらくちんな一日となった。

<今日観察出来たもの>鳥/シロハラ(写真上左)、ルリビタキの雌(写真上右)、ミソサザイ、ヤマガラ、シジュウカラ、アオジ、メジロ、ソウシチョウ等。


3月4日、東京都町田市多摩丘陵

 久しぶりの多摩丘陵である。車を停めて一歩外へ出た瞬間、「静かだなあ、広いなあ、誰もいないなあ、自然度が高いなあ」と呟いた。散策を開始すると、今年になって一番気温が高い事もあって、キタテハがあちこちで飛んでいる。谷戸へ入ると、他のフィールドとは比べものにならない程、びっしりとオオイヌノフグリやホトケノザの群落が続いている。そんな美しく煌びやかな絨毯の上を、モンキチョウが楽しそうに舞っている。本当に心安らぐ光景で、ここへ来て良かったなあと感じた。水がいつもある水田に目を向けると、紐状のヒキガエルの卵が産みつけられている。きっと、カエル合戦は凄まじいものであっただろうと想像された。また、路傍のスイバに目を向けると、コガタルリハムシがたくさん群がっていた。更に、早くもカキドオシの花が咲いているのには驚いた。冬の間はご無沙汰したが、やはりなんと言っても、これからはここがメインのフィールドだなと思ったことは言うまでもない。
 今日の第一の目的は、トガリアミガサタケである。ここをフィールドの一つとしている友人のブログに、すでに載っていたので、生えている事は分かっていた。トガリアミガサタケは、春一番のキノコで、フランス料理ではスープや煮込み等の食材として著名である。ただ、生で食べると中毒するから要注意である。まだ生え始めだから絵になるものがあるかなと心配したが、写真のように可愛らしい焦げ茶の尖り帽子が生えていて嬉しくなった。地面に這いつくばってかなりの時間作画してたが、テングチョウやキタテハが付近で盛んに舞っていた。その他、午前中の散策では、これといったものには出会わなかったが、午後からデジスコに代えて散策を再開すると、なんと2羽のベニマシコの雌がイヌコリヤナギの芽を啄ばんでいた。

<今日観察出来たもの>花/ツクシ(写真上右)、ウグイスカグラ、イヌコリヤナギ、ネコヤナギ、ブンゴウメ、サンシュユ、ボケ、ジンチョウゲ、ツバキ、タチツボスミレ、オオアラセイトウ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ、タネツケバナ、カキドオシ、セイヨウタンポポ、オランダミミナグサ、コハコベ等。蝶/モンシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、キタテハ、テングチョウ等。昆虫/コガタルリハムシ、ナミホシヒラタアブ等。鳥/ベニマシコの雌(写真下右)、ホオジロ、シジュウカラ、モズ、ウグイス、カシラダカ、スズメ、コサギ等。キノコ/トガリアミガサタケ(写真上左)等。その他/ガマズミの芽吹き(写真下左)、クロモジの芽吹き、ヒキガエルの卵等。


3月3日(午後)、神奈川県大和市泉の森公園

 午後からは、どうしてもカワヅザクラを美しく撮りたいと思って、大和市の泉の森公園へ行った。古民家の庭に植栽されているものは、やっと満開、今が見頃となってとても美しい。しかし、空は乳白色の曇り空、青空に浮かんだ爽やかな絵柄は、今日も望めそうもない。茶褐色の背景では余りにも寒々しい。そこで、こんもりと丸く刈り込まれたツゲをバックに撮影したが、まだまだこの美しい桜には相応しくはない。やはりもっと鮮やかな緑に抜くべきだったが、そうは問屋は卸さなかった。次に、かなり花開いたミツマタを撮りに行った。ミツマタの撮影は非常に難しく、ああでもないこうでもないと時間を費やしていたら、なんとぽっかり青空が一瞬だが広がった。すかさず青空をバックに入れて撮影し、これならカワヅザクラもと思って急いで引き返してみたが、またしても空は雲に覆われてしまった。
 その後、これといったものは見当たらないので、車に戻ってデジスコに機材を変えて再び歩き始めた。いつもなら野鳥カメラマンがたくさん集っているポイントは、今日は人影がまばらであった。きっと、埼玉県にアトリやベニマシコ、茨城県にコミミズクやチュウヒを撮りに遠征してしまったのだろう。私なんぞ止っている鳥を撮影することで満足しているから良いものの、今日の曇り空では飛翔写真は今一であるに違いない。次にもう一つのポイトンにも行ってみたが、誰一人見当たらないので唖然とした。これはラッキーと思ったが、ここで撮っても今まで何回とも無く撮った絵柄と代わり映えがしないから、カモでも撮ろうと池に行った。カモは完全に静止している事がほとんど無いから、デジスコでは撮影がかなり難しいのだ。それでもホシハジロやヒドリガモが撮影出来た。

<今日観察出来たもの>花/カワヅザクラ(写真上左)、ミツマタ(写真上右)、サンシュユ、アブラナ等。鳥/ホシハジロ(写真下左)、ヒドリガモ(写真下右)、ソウシチョウ、ミソサザイ、アオジ、カルガモ、マガモ、キンクロハジロ、ヨシガモ、オナガガモ、オオバン、コサギ、カワウ等。


3月3日(午前)、横浜市緑区新治市民の森

 3月に入ると、なんとなく冬鳥の撮影シーズンは終わったかのように感じられて、鳥撮りの意欲があまり湧いて来ない。冬鳥の撮影は、ぴしっと身が締まる寒い季節が相応しい。それに、週一回の埼玉プチ遠征と電車でらくちん都内の公園鳥撮り巡りをしていれば、なにかしらの野鳥に会えるだろうから、それでこれからの鳥撮りは良いのかなあとも思う。かと言って、かなり暖かくはなったが、各種の蝶や昆虫達のお出ましには時間がまだまだ必要だ。そんな訳で、今日は何処へ行こうかなと思い悩んだが、シキミの花、イヌコリヤナギの雄花、クサボケの花を撮ろうと、一昨日行った新治市民の森に再び行ってみた。とは言っても、新治小学校周辺の梅田川の川筋を散策したのみで、谷戸奥には一歩も足を踏み入れなかった。
 ヤナギ科ヤナギ属の仲間は非常にたくさんの種類があって、私なんか最近こそ、エブリディ・ナチュラリストの様相を呈しているが、何を隠そう、今でもよちよち歩きのウィークエンド・ナチュラリストである。そんな訳で、ヤナギの仲間で、どうにか見分けがつくかなと思われるのは、ネコヤナギ、シダレヤナギ、アカメヤナギ、バッコヤナギ、そしてイヌコリヤナギである。それも春夏秋冬いつでも見分けがつく訳ではなく、花、ことに雄花が咲いていれば見分けがつくかなといった体たらくである。そんな見分けがつくヤナギの中で、なんとなくイヌコリヤナギの雄花が好きなのである。可愛らしくシンプル、これがなんとなく好きな理由であろう。
 あああ、ヤナギの仲間のお話が随分長くなってしまった。今日はお墓の傍らに植栽されているシキミが咲き出し、クサボケの花は野鳥に花びらを食べられたのか、美しく咲いているものには一つも出会わなかった。また、ウグイスの囀りを今年になって初めて聞いた。

<今日観察出来たもの>花/シキミ(写真上左)、イヌコリヤナギの雄花(写真上右)、ネコヤナギ、ヒカンザクラ、カワズザクラ、ブンゴウメ、サンシュユ、ボケ、クサボケ、ジンチョウゲ、ツバキ、フキノトウ、オオアラセイトウ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ、タネツケバナ、ノボロギク、セイヨウタンポポ、オランダミミナグサ、コハコベ等。鳥/ウグイス等。その他/ナワシログミの芽吹き(写真下左)、マユミの芽吹き(写真下右)、イボタの芽吹き等。


3月2日、東京都台東区上野公園

 午前中に雑用を済ませると、ちょっとした仕事で飯田橋へ立ち寄らなくてはならないので、電車で鳥撮りに上野公園へ行った。上野のお山は、都会のど真ん中なのに、なんでと驚く程の鳥が入る時がある。今年もミソサザイやトラツグミが現われたと聞いたが、地元の方は撮り飽きたのか、ポイントにはもう誰もいなかった。それでも、ルリビタキの若い雄、アカハラ、シロハラが近くで見られた。ことにルリビタキは、付近に転がっている棒を地面にさしたら、すぐにやって来て盛んにポーズをとってくれた。しかし、背景を慎重に選ばないと、ロープや建物等の人工物が入ってしまう。そこでまずは大きな木の幹を背景に入れて撮り、次に常緑樹の梢を背景に入れて撮った。液晶ディスプレイで撮影画像を確認すると、上野公園で撮ったとは誰しもが思わない絵が映し出されていて、にんまりとした事は言うまでもない。

<今日観察出来たもの>鳥/ルリビタキの若い雄(写真上)、アカハラ、シロハラ、ツグミ、ムクドリ、シジュウカラ等。


3月1日(午後)、横浜市緑区新治市民の森

 午後からは、このところ野鳥撮影ばかりが続いていて、またしても「つれづれ野鳥記」の様相を呈して来たので、自宅に戻ろうかなとも思ったが、根が貧乏性、もしかしたら良い写真が撮れるのではと、新治市民の森へ行った。いつもなら数人の鳥撮りマンがいる筈のポイントに到着したが、今日は誰一人としていない。これはラッキーかなと思ったが、待てども待てども、これといった比較的珍しい鳥はやって来ない。みんな見たい鳥、撮りたい鳥がいなくなったから、誰もやって来ないのだなあと分かった。それでもしつこく、待てば海路の日よりありとばかりに待ち続けたがコサギとカワセミを撮ったのみで、夕日は雑木林の梢に静かに沈んで行った。ただ、どういう訳か前回と同じで、2羽のコサギが縄張り争いをしているのか、高い枯れ木の天辺や枝に止まる事が多くて、思わずほくそ笑んだ。

<今日観察出来たもの>鳥/コサギ(写真上左)、カワセミ(写真上右)、カシラダカ、アオジ、シジュウカラ、ヤマガラ、カルガモ等。


3月1日(午前)、横浜市港北区新吉田町

 いよいよ今日から3月、名実ともに春となった。まことに早いものである。しかし、このところ寒の戻りがあって、先々週に比べて春の進み具合は、ほんの少しかなといった感じである。例年なら、寒の戻りはとても憎きものだが、今年のような異常な暖冬が続いては、「ようこそいらっしゃいませ、遠慮せず、のんびりと長居して下さいね!」と大歓迎である。このまま春が進んでしまったら、入学式も入社式も葉桜に迎えられる事になる。一生に何度もない慶事なのだから、記念写真はソメイヨシノの花盛りの下で撮りたいものである。また、蝶大好き人間にとっては、ギフチョウが3月半ばに発生という、とんでもない事態がやって来る。ことに五十肩を患い、だいぶ歳をとった私には、急激や異常は、ほんまに疲れるのである。毎年毎年同じ調子、これが身体の健康は勿論の事、心の健康にももっとも効果的である。
 車を停めて歩き始めると、迷う事無く民家の塀越しに撮影出来るネコヤナギを見に行った。すると雄花が咲き始めていたので嬉しくなった。もっともネコヤナギは雌雄別株だから、この木に咲く花はみんな雄花ということになる。雌花は美しいとは言いがたいから、ここに雄株が植栽されていているのはラッキーである。もっとも、民家に植栽されているものは、みんな雄株なのかもしれない。ネコヤナギを撮影すると、もう咲いてる筈と、ヒカンザクラ(カンヒザクラ)を見に行った。日当りの良い場所に植栽されているものは、ちらりほらりと咲いていた。花は釣り鐘状だから、見上げるように撮影しないと花芯が見えない。また、花芯に陽が差し込む事はほとんど無いから、なかなか撮影が難しい桜である。中国南部の原産で、日本の桜と交雑して、オオカンザクラ、カンザクラ、カワヅザクラ等が生まれたと言う。

<今日観察出来たもの>花/ネコヤナギ(写真上左)、ヒカンザクラ(写真上右)、ボケ(写真下左)、ボケ(写真下右)、カワズザクラ、ウメ、シナマンサク、ジンチョウゲ、ヒイラギナンテン、オウバイ、トサミズキ、ツバキ、ウグイスカグラ、フキノトウ、ハナニラ、オオアラセイトウ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ナズナ、タネツケバナ、オニタビラコ、ノゲシ、オランダミミナグサ、コハコベ等。蝶/キタテハ、モンシロチョウの蛹。その他/アジサイの芽吹き、コウヤボウキの芽吹き、イボタの芽吹き、ニワトコの蕾等。



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