2005年:つれづれ観察記

(4月)


4月30日、横浜市緑区新治市民の森

 今月に入っての冒頭の観察記で「先月は、まるで気が狂ったかの様にフィールドへ出かけ、しかも、午前と午後とで場所を違えたりしたから、このつれづれ観察記は、まるでエンドレスかのように異常に長くなった。しかし、これからは、そんな事はもうしばらく無いだろう」と記したが、どうしてどうして、今月は先月よりも長くなってしまったようである。この一文は来月の5月のために、繰り延べするしかな無い。
 今日も昨日と同様に抜けるような青空で、しかし、風はだいぶ収まった。このところ各所で、カワトンボ、ヤマサナエ、シオヤトンボ、ハラビロトンボを目にしているので、今日はトンボデーにしようと家を出た。本来なら、トンボやチョウをメインに撮影する時には、180ミリマクロレンズを装着する。しかし、花や甲虫等を撮ろうとすると、どうしても被写体深度が浅くなるし重量も重くなるから、トンボを見つけた時に使用しようとテレコンをポケットに忍び込ませた。しかし、これはやはり安易な考えで、いちいち付け替えるのが面倒となり、90ミリマクロのままで撮ろうと近付くと、枯れ草枯れ木等を踏んでしまって、せっかく良い所に止っていたのに逃げられる事の繰り返しであった。更にズボンには、枯れたオナモミの実がたくさん付くというお土産付で苦笑してしまった。
 そんな訳でトンボ撮りは諦めて、いつものように何でも屋となった。道端には野生化が著しいイモカタバミやオオアマナが咲いていた。また、芽吹きが一番遅いというネムノキの芽吹きを撮った。夜になると小葉を閉じて眠っているかのように見えるからネムノキなのだが、春になってもなかなか芽吹かないからネムノキでも良いのかなと笑ってしまった。また、コナラにはヒメクロオトシブミの揺籃がたくさんぶら下がり、異常気象とも言われていたが、生物暦は順調に推移しているようである。

<今日観察出来たもの>花/イモカタバミ(写真上左)、オオアマナ(写真上右)、アカバナユウゲショウ、ナカミヒナゲシ、ヒトリシズカ、ミツバツチグリ、ニリンソウ、フデリンドウ、ミツバウツギ等。蝶/アオスジアゲハ、コミスジ、クロコノマチョウ、コチャバネセセリ等。昆虫/ヒメクロオトシブミの揺籃(写真下左)、ヒメクロオトシブミ、ホシハラビロヘリカメムシ、カワトンボ、ヤマサナエ、シオヤトンボ、ハラビロトンボ等。鳥/カケス、ヒヨドリ、カワセミ、カルガモ、コゲラ、ホオジロ、シジュウカラ、ヤマガラ、スズメ等。その他/ネムノキの芽吹き(写真下右)等。


4月29日、横浜市緑区三保市民の森

 朝起きてみたら、本当に久しぶりの抜けるような青空が広がっていた。風も少々強くて、まさに薫風、鯉のぼり日和である。こんな日よりは、もう何べんも記して来たが、写真撮影にはノーサンキューなのである。しかも、初夏の紫外線量は一年で一番強いと言われている。日に焼けるのは女性ではないのでそんなに気にしていないが、男性でもシミの原因となるし、皮膚癌も心配である。そこで日焼け止めクリームをポケットに忍ばせ、日陰の多い風が遮られる三保市民の森の谷道へ、またまた行った。
 しかし、前回よりも野の花の数がとても少ない。今まで撮影して、この観察記にご紹介した、フデリンドウ、ヒトリシズカ、イチリンソウ、ニリンソウ等は咲いているが、新たなるものは見当たらない。しからば昆虫はと言うと、これまたこんな日はうきうきしていて葉の上で、じっとしていてはくれない。まさに困ったなあといった按配であった。しかし、ここで挫けて何も撮れないなんていうのは、野鳥ではないのだから、花虫とおるの腕の見せどころと活を入れた。
 まず最初に、早くも赤くなったヘビイチゴの実を見つけた。まん丸に生長していないのに赤く色づいているのにはびっくりした。次に、コナラのかなり朽ちた丸太から可愛らしいキノコが生えていた。こうなったら後は昆虫を撮ろうと目を皿のようにしたら、サルトリイバラの葉にアカクビナガハムシを見つけた。サルトリイバラと言えばルリタテハの食草だが、こんな美麗なハムシも食卓に上るのである。最後にヒメクロオトシブミとその揺籃を見つけたので、揺籃を撮ろうとしたものの日陰であったためか、今一、立体感にかけるものとなってしまった。そこで葉上にいたコメツキムシの仲間を撮影した。コメツキムシの種名判別はとても難しいが、かなり毛深いものであった。

<今日観察出来たもの>花/ヒトリシズカ、ミツバツチグリ、イチリンソウ、ニリンソウ、タチツボスミレ、ハナイカダ、ジロボウエンゴサク、ツルカノコソウ、フデリンドウ等。蝶/カラスアゲハ、ルリタテハ等。キノコ/ナヨタケ属の仲間(写真上左)、ニガクリタケ等。昆虫/アカクビナガハムシ(写真下左)、ヒメクロオトシブミ、コメツキの仲間(写真下右)、ホシハラビロヘリカメムシ、カワトンボ、カクムネベニボタル等。その他/ヘビイチゴの実(写真上右)、ウグイスカグラの実等。


4月28日(午後)、横浜市緑区新治市民の森

 午後から安楽亭の焼肉が食べたくなったので、安楽亭から至近の新治市民の森へ行った。ところが今までのメニューが変わって、一番お安いランチの値段が50円ばかり下がったが、お肉の質がかなり落ちたのでがっかりした。それでも散策を開始すると、新治小学校横の畑に、ハト位の鳥がホバリングしているのに出会った。チョウゲンボウのチョウちゃんである。チョウちゃんはどうやら狩りに失敗したらしく、畑から飛んで来て電柱の上に止ってくれた。写真としては冴えないものの、新治で初めての記念すべき一枚となった。いつものポイントに到着すると、空が急に暗くなって雷が鳴り雨が降り出した。そこでサングラスをいつもかけている元気溌剌の若者と、屋根のある所で雨宿りとなった。心だけは若者と同じにとオーバーホールを願ったが、雨が止んでもこれといったものは現われず、とほとぼ帰る熟年男のままであった。

<今日観察出来たもの>鳥/カルガモ(写真上左)、チョウゲンボウ(写真上右)、シジュウカラ、ヤマガラ、ヒヨドリ、カケス、ウグイス、コゲラ、コサギ、ツバメ等。


4月28日(午前)、横浜市都筑区茅ヶ崎公園

 今年の連休は、もう10年近く続けていた新潟行きは止めにして、近場でのんびりゆっくりする事に決めた。その理由は、遠くまで行って珍しいものを見たい撮りたいとは思わなくなったし、五十肩が治らないから、何となく節々がこわばって元気が出ない。まあ、色々な意味でのオイル切れで、オーバーホールしないと駄目らしいが、カメラや車と異なって、どうしたらオーバーホールが出来るのかが分からない。人間オーバーホール車検病院なんていうのがあれば、入院したいものである。
 それにもう何べんも記しているが、近場だって、その気になれば美しいもの面白いものがたくさんある。それをカメラで優しくパチリして行けばとっても楽しいのだ。まあ、本当の意味での近場道端自然観察に目覚めたと言う訳なのである。今日はキンランが咲いていた。誰もが美しいと感ずる花である。午後からの新治市民の森への移動中、ラジオから懐かしい加藤和彦の歌が流れて来た。「命かけてと誓った日から、素敵な思い出残して来たのに、あの時同じ花を見て、美しいと言った二人の心と心が、今はもう通わない、あの素晴しい愛をもう一度」という歌詞の歌である。まさにキンランは「あの時同じ花を見て、美しいと言った二人の心と心の花」なのである。素直になりさえすれば「あの素晴しい愛はもう一度」の筈なのに、ちょっと大人になると、心の五十肩が始まるようである。人間オーバーホール車検病院がもしあったら、そんな心も元に戻してくれる事だろう。
 話は大いに脱線したが、やっとアオキの実が一年近くかかって赤くなった。昆虫も種名判別の難しいナガタマムシやゾウムシも現われた。雑木林の中には黒装束のヒカゲチョウが現われ、黄金週間近場道端自然観察万歳である。

<今日観察出来たもの>花/キンラン(写真上左)、シャガ、タチツボスミレ、ツボスミレ、ニリンソウ、ウワミズザクラ等。蝶/ヒカゲチョウ。昆虫/マツアナアキゾウムシ(写真下右)、ナガタマムシの仲間(写真下左)等。その他/アオキの実(写真上右)等。


4月26日、埼玉県さいたま市秋ヶ瀬公園

 繁殖地でのオオルリは去年撮ったが、渡りの途中、首都圏に立ち寄るものは撮った事が無かったので、是非とも撮りたいと思っていた。今日は何処に行こうかとさんざん迷ったが、一番風が弱い所は秋ヶ瀬公園なので、最近かなり飽きてきたが行ってみた。到着して散策を開始すると、かなりの数の野鳥カメラマンが梢の方にレンズを向けている。近寄って見るとオオルリが止っているではないか。しかし、空中に飛んでいる昆虫をフライングキャッチしたりして、囀っている時より撮りづらい。聞くところによると、渡り途中のオオルリの雄は、繁殖地とは異なってあまり囀らないとの事である。それでも午後3時頃の通り雨がやって来るまで、4羽のオオルリの雄が四六時中見られたので、なんとか証拠写真よりややましな写真を撮る事が出来た。キビタキも2羽いたものの、今日はオオルリ狙いで一日を通した。

<今日観察出来たもの>鳥/オオルリの雄(写真上)、キビタキ、サンショウクイ、クロジ、ツグミ、シロハラ、シメ、カケス、ウグイス、シジュウカラ、アオジ、コゲラ、ヒバリ、キジ、コジュケイ、セッカ、ムクドリ、ヒヨドリ、ゴイサギ、コサギ、ハシブトガラス、スズメ等。


4月25日、横浜市港北区新羽町鶴見川

 今日は正午過ぎまで雨であったが、明日から一週間程、傘マークがない。いよいよ風薫る、鯉のぼり泳ぐ、晴れやかな日々がやって来る。そんな訳で、雨が止んだからといって束の間の散策へ行くことも無いのだが、明日からは野鳥を狙おうと思っているので、何にも撮れない事もあるかもしれない。何にも撮れなくて、この観察記がしばらくお休みになると、花虫とおるさんは病気にでもなったのかなと、アクセスしてくれている方々が心配するかもしれない。そうなっては困るので予定していた昼寝を取り止めて、しぶしぶ新羽町の鶴見川へ出かけた。
 鶴見川はわが故郷の一級河川であり、まあ寅さんでは無いが産湯を使った川である。チェコの作曲家ベドジフ・スメタナの6つの交響詩からなる「わが祖国」は著名だが、二番目に演奏されるのがモルダウである。モルダウ川はプラハをとうとうと流れる大河であり、スメタナにとっては故郷の川なのである。この曲を聴くたびに、遠い子供の頃の懐かしい夕暮れの情景が浮かび上がって来る。あの頃は何も悩みが無くって幸せだったなあ等という感情とともに。群馬県前橋出身の偉大な詩人である萩原朔太郎の詩にも、故郷を流れる利根川が度々登場する。そんな懐かしい故里の川らしさは鶴見川にはもうほとんどないが、新羽町あたりはその面影が僅かながら残っている。
 ここへ来たら、まずはオニグルミに挨拶に行かなければならない。きっと雌花が咲いているだろうと思ったら、サインはVと楽しそうに咲いていた。また、土手には、アカツメクサ、シロツメクサ、ヘラオオパコと、河川の土手ならではの野の花が群落を作って見られ、ベニシジミやヤマトシジミが羽を閉じて静かに眠っていた。

<今日観察出来たもの>花/オニグルミの雌花(写真上左)、ヘラオオバコ(写真下左)、アカツメクサ(写真下右)、シロツメクサ、ハルジオン、ハナウド等。蝶/ベニシジミ、ヤマトシジミ等。昆虫/シロスジヒゲナガハナバチ(写真上右)、セボシジョウカイ、テントウムシ、ナナホシテントウ等。その他/イタドリの芽吹き等。


4月24日、神奈川県川崎市宮前区東高根森林公園

 ゴールデンウイークは晴れの良い天気が続くようだが、このところの陽気には眉をしかめてしまう。まあ、毎年そうなのだが、天気が悪いと気分まで滅入ってしまう。今日はやっと風が収まったものの、どんよりとした曇り空で気温が低い。こんな天気は花の撮影には最適だと思ったのだが、これといった花が見られない。春の花が終って、初夏の花待ちといった按配なのである。もっとも湿生植物園には、植栽されたエンコウソウ、クリンソウ、ミツガシワが咲いていたが、木道からの撮影となるから、90ミリマクロレンズでは遠過ぎて高嶺の花だ。しからば昆虫やーいと探してみたのだが、気温が低いためかそれほど見られない。東高根森林公園は自然公園として発足したにもかかわらず、いつ行っても草刈機のエンジン音がして都市公園化している為に、昆虫の数が減っているようだ。動力付草刈機は省力化には貢献しても、動植物に優しいとは決して言えない。
 そんな訳で、雑木林の縁に植栽されているアジサイの植え込みを、それこそ何べんも往復してしまった。昆虫やクモは葉の裏に隠れている時もあるし、また飛んで来るものもあるから、何べん往復してもまた新たなる発見があると言う訳なのだ。しかし、前述したように見られる昆虫はとても少ない。昨年の秋はカメムシ等がほとんど見られなかったから、まだその個体数の回復は無いのは分かっているものの、チャバネアオカメムシやエサキモンキツノカメムシ位いてもよさそうである。それでも、セボシジョウカイ、キイロテントウ、ヤマトフキバッタの幼虫、ヤブキリの幼虫等を見つけ、極小のゾウムシも2種類観察した。こんなどんよりと寒々しい中で、マッチ売りの少女が灯した一本のマッチの炎の様に、ムネアカアワフキの赤がとても綺麗に見えた。

<今日観察出来たもの>花/エンコウソウ、クリンソウ、ミツガシワ、タチツボスミレ、ムラサキケマン、ニリンソウ、アメリカハナミズキ、ヤマブキ、ウワミズザクラ等。昆虫/ヤマトフキバッタの幼虫(写真上左)、ムネアカアワフキ(写真上右)、セボシジョウカイ(写真下左)、ヤブキリの幼虫、ヒメクロオトシブミ、キイロテントウ、クロウリハムシ等。その他/ウロコアシナガグモ(写真下右)、ワカバグモ等。


4月22日(午後)、横浜市緑区新治市民の森

 午後からも昨日と同じ新治市民の森へ行った。こんな強い風が吹く日に、野鳥観察及び撮影なんか気違い沙汰だと思うのだが、それでもポイントには常連さんが4人もいたのには驚いた。「今日も、なんにも出ないよ」と諦め顔で、眉をしかめながら早々と帰って行った。人が帰った後が本番と粘ってみたのだが、時折、ヤマガラやシジュウカラがやって来る位である。コサギも相変わらず見られたが、今日は高い木の枝に止まることもない。起死回生の大物一発と期待しても、やはりこの風では無理のようだ。そんな訳で、かなりの粘り腰の私も「何にも来ないよ」と諦めた。それにしても、強い風が吹く中での二日間連続の道端自然観察及び写真撮影、ほんまに疲れました。とぼとぼと重い足を引きづりながら、明日は何があってもお休みにしようと、家路についた事は言うまでも無い。

<今日観察出来たもの>鳥/シジュウカラ(写真上左)、ヤマガラ(写真上右)、ウグイス、コサギ、カルガモ、ツバメ等。


4月22日(午前)、横浜市緑区三保市民の森

 今日も昨日に増しての強い風が吹いている。これでは何処へ行っても駄目なので、二日連続で同じ所へ行くなんて滅多に無いのだが、またしても三保市民の森の谷道へ行った。ほんの500メートル弱の道のりを、ナメクジが這うような速度でじっくりと歩けば、昨日見落としたものが見つかるかもしれないと思ったのだ。谷道へ入ると、不思議な事に風は昨日よりも弱い。向こうから農家のおばさんが、大きな竹篭を背負ってやって来た。「何か珍しいものでもあるのかい」と聞く。「そんなに珍しいものは無いけど、季節の花が咲いているからね」と答えた。おばさんの話によると、自宅に植えてあるクマガイソウが咲き出して、撮らせて下さいとカメラマンがやって来たと言う。今年は珍しい野の花を撮りに行く気が起きないから、クマガイソウの事はすっかり忘れていたが、もうそんな季節になったのである。
 谷道の各所にはすっかり背丈が伸びたタチツボスミレが咲いている。スミレの季節ももうすぐお終りである。そう思うととても名残惜しくなって、2輪仲良く並んで咲いているものを見つけて撮影した。また、昨日も観察したのだが、ぽつりぽつりと二株咲いているだけだったので撮ろうとは思わなかったが、今日は、そんな事は言ってられない。やはり季節の代表的な野の花であるイチリンソウを、ローアングルで素直に切り取った。液晶ディスプレーで確認すると、品格溢れる美しい花である。最近ご無沙汰している小野路町のニリンソウの谷では、数多くのイチリンソウも咲き誇っている事だろう。その他、ゴンズイの芽吹きやハナイカダの花を撮って、最後に昆虫で締めくくろうと思ったが、ツマキチョウの雄には飛び去られ、カワトンボも絵になる場所には止ってくれなかった。

<今日観察出来たもの>花/イチリンソウ(写真上左)、タチツボスミレ(写真上右)、ハナイカダ(写真下左)、ヒトリシズカ、ジロボウエンゴサク、ムラサキケマン、ツルカノコソウ、ニリンソウ、フデリンドウ等。蝶/ツマキチョウ、モンシロチョウ。昆虫/カワトンボ、カクムネベニボタル等。その他/ゴンズイの芽吹き(写真下右)、カラスザンショウの芽吹き等。


4月21日(午後)、横浜市緑区新治市民の森

 午後からは車の中でかなり長く昼寝をして風の収まるのを待ったが、一向に静まる気配は無い。これでは鳥撮りどころではないなと思ったが、お仲間の顔でも見に行こうと、デジスコ担いで新治市民の森へ行った。すると土曜日曜の鳥撮りゴールデンメンバーが勢揃いしていた。新治市民の森はこれといった珍鳥が見られる訳ではなく、また駐車場からも遠いいし、撮影距離もかなり長いから、撮れてなんぼのキ印鳥撮りマンはほとんど来ない。まあ、のんびりゆったり健康鳥撮りフィールドという訳なのである。いつものように風が遮られる日当りの良い場所で、「なんか来ないかな」と、いっぱしにロマンだけは胸に抱いての健康鳥待ちとなった。夕方近くになって、やっといくらか風が治まり、常連さんのコサギやコゲラが枯れ枝に飛び乗りポーズをとってくれたので、数枚写真を撮ることが出来た。

<今日観察出来たもの>鳥/コサギ(写真上左)、コゲラ(写真上右)、カワセミ、ヤマガラ、アオジ、ウグイス等。


4月21日(午前)、横浜市緑区三保市民の森

 今頃の季節はかなり強い風が吹く事が多い。伸展した若葉が擦れ合って、傷ついてしまうのではないかと心配になる。しかも、今年はいつもの年より度々のように感ずる。年をとって物忘れが激しくなったが、昔に比べ、ここ数年は気象の変動が少し激し過ぎるのではなかろうか。今日もいざ出発と外へ出たが、かなり激しい風が吹いている。これでは花虫撮るはお手上げである。こんな風が強い時は、キノコや太い幹に止っている昆虫を撮影するしかない。そこで横浜動物の森へ行ってみたのだが、キノコは皆無で、風はビュービュー、帽子が面白いように飛ばされる。これでは写真撮影どころでは無いと、風が遮られる三保市民の森の谷道へ車を走らせた。
 駐車場に車を停めて歩き始めると、畑のキウイが芽生え、ポーポーの花が鈴なりに咲いている。同好の方が言うとおり、ポーポーの花は最初は緑色で、次第にチョコレート色になるようである。谷道へ入ると、いくらか風はあるものの帽子が飛ばされる事も無い。かなり高い丘が風を遮ってくれている為である。久しぶりの三保市民の森の谷道だが、意外と春の野花が咲いていてびっくりした。フデリンドウもかなり見られ、前に撮影したものが余り美しい絵柄とはならなかったので、何とか今日こそと努力してみたものの、本当に難しい花でギブアップとなってしまった。そこで各所に咲いているツルカノコソウとジロボウエンゴサクを、素直に切り取った。今日嬉しかったのはホオノキの芽吹きである。南斜面の暖かい所ではとっくに芽吹きは終わっているものの、北斜面だから少し遅れているようだ。しかも大木ではなく、目線に芽吹きが見られたので撮影はすこぶる楽であった。最後に昆虫やーいと探して、カクムネベニボタルを見つけ撮影して谷道を後にした。

<今日観察出来たもの>花/ツルカノコソウ(写真下左)、ジロボウエンゴサク(写真下右)、ムラサキケマン、イチリンソウ、ニリンソウ、フデリンドウ、タチツボスミレ等。蝶/モンシロチョウ。昆虫/カクムネベニボタル(写真上右)等。その他/ホオノキの芽吹き(写真上左)等。


4月20日、埼玉県さいたま市秋ヶ瀬公園

 昨年は、サクラが咲いている頃にオオルリが見られたと言うが、今春は二度ほど立ち寄ったが、短期間で何処かへ行ってしまったらしい。今年は暖冬で夏鳥の飛来が早いと期待されていたが、ここに来ての寒さのぶり返しで、逆に夏鳥の飛来が遅くなったようである。そんな訳で行っても無駄とは予想していたのだが、もしもの事があるので出かけてみた。今日もオオルリ、キビタキ狙いで、かなりの鳥撮りマンで賑わっていたが、誰一人として見られなかったようである。そこで、まだ撮影した事のないホオアカを撮ろうと田んぼのほうでかなり粘ったが、風がかなりあった事もあって、証拠写真しか撮れなかった。これでは今日の観察記は無しになるなと思ったが、クロジが餌付けされていて撮影出来た。この他、駐車場に戻る途中で、まあまあのカケスの写真をゲットして、やっと溜飲を下ろした。

<今日観察出来たもの>鳥/クロジの雄(写真上左)、クロジの雌(写真上右)、ツグミ、シロハラ、シメ、カケス、ウグイス、シジュウカラ、アオジ、ホオアカ、コゲラ、モズ、ヒバリ、キジ、セッカ、ムクドリ、ヒヨドリ、カルガモ、ハシブトガラス、スズメ等。


4月19日(午後)、横浜市緑区新治市民の森

 午後からは、これも最近撮れなくて不完全燃焼となっているカワセミを撮ろうと、新治市民の森へ行った。首都圏の公園や緑地で最も撮り易い野鳥となっているカワセミだが、やはりいつ見ても美しく可愛らしい。この為、しばらくお目にかかれなかったり撮影出来ないと寂しくなる。今日は有り難いことに現われてくれたのだが、やはりなんとなくせかせかしていて落ち着きが無かった。カワセミを無事にカメラの中に納めてほっとすると、枯れ木に穴を掘っているコゲラを見つけた。しばらく観察していると仲良くなった相手と掘るのを交代したので、これならここが巣になる可能性が大である。しかし、枯れ木がちょっと細過ぎのようにも感ずる。果たしてこのまま産卵して愛の巣となるだろうか、そんな心配が頭をよぎったが、今年もコゲラの巣作りの一場面を撮る事が出来て、とっても嬉しくなった事は言うまでも無い。

<今日観察出来たもの>鳥/コゲラ(写真上左)、カワセミ(写真上右)、シジュウカラ、ヤマガラ、アオジ、ウグイス、カルガモ等。


4月19日(午前)、横浜市都筑区茅ヶ崎公園

 ここ数日、本当にゴールデンウィーク前の4月中旬なの、と疑ってしまう程の寒さが続いている。昨日は九州の阿蘇山で、なんと30cm近くの積雪があったという。また、富士山麓の河口湖でも雪が降ったらしい。そんな訳で、今日も曇り空で冷たい風がかなり強い。昨日は雨のために一般撮影は、ほんの10分程の、しかもアジサイの葉上の昆虫やクモの観察だけに終わってしまって、かなりの不完全燃焼となった。そこで仕事を終えると、昨日の続きとばかりに茅ヶ崎公園へ行った。
 もちろん、ターゲットはアミガサタケである。アミガサタケは数種類あるし、また色々な場所に生えるのだが、通常、桜の木の下と相場は決まっている。サクラが散って、まだ花びらが地面に僅かに残っているような時期に発生する。それならサクラさえ植栽されている所なら何処でも生えているのかというと、そうでも無さそうである。今日は、サクラの花びらや葉がたくさん吹き溜まってかなり堆積し、池の上の常に湿気がありそうな場所に生えていた。ここ数年、キノコ観察及び撮影にかなり時間を割いたが、今年はなんとなく気が乗らない。しかし、独特の格好のアミガサタケは是非撮っておかなければ片手落ちの、春のキノコなのである。
 アミガサタケを無事に撮り終えると、他に被写体はないかと探し回ったが、なにしろ風が強く曇り日だから、これといった被写体は見つからない。昨日は風が無かったから、僅か10分程の一株のアジサイで、とても楽しい観察及び撮影が出来たのだが、今日は風の為にアジサイの葉上には何もいない。そこで仕方なしに公園に植栽されているツツジの花やヒイラギの芽吹きを撮り、またアミガサタケが生えていた場所に戻ってキクラゲを撮った。

<今日観察出来たもの>花/ツツジ(写真上左)、ツルニチニチソウ、ケキツネノボタン等。キノコ/キクラゲ(写真下左)、アミガサタケ(写真下右)、タマキクラゲ、エゴノキタケ等。その他/ヒイラギの芽吹き(写真上右)、アオキの実等。


4月18日(午後)、横浜市都筑区茅ヶ崎公園

 午後からは雨が降らなければ昨日撮影出来なかったアミガサタケを撮ろうと思い、茅ヶ崎公園へ行った。しかし、散策を開始すると小雨が落ちて来た。もしかしたらまた止むのではないかと、大きなコナラの木の下で雨宿りをしたが、まだ芽吹き始めたばかりだから雨粒が少々落ちて来た。コナラの根際にはアジサイが植栽されていたので、じっと待ってるよりましだなあと思い、何か昆虫やクモはいないかと丹念に見て回ったら、なんと5種類の昆虫やクモを見つける事が出来た。ツマグロオオヨコバイは以前に紹介しているので撮影は割愛したが、ほんの10分間程で、写真の様なバラエティーに富んだものを撮影出来たのだから素晴らしい。
 まずは触覚に白い部分があるハチを見つけた。胸にも白紋、腹部も特徴があるのですぐに分かると思ったが、自宅に帰って図鑑やHPで調べてみたが、該当するものには出会わない。ハチの仲間は世界で10万種、日本にもかなりのものが生息しているのだから、身近にいるものでも図鑑に記載されていないのは当たり前なのだろう。次に真赤な身体に三つの黒ボタンのカメムシの幼虫を見つけた。こちらは「日本原色カメムシ図鑑」にはなく、お仲間の天道虫さんが編集なされた「日本産幼虫図鑑」に載っていた。この他に昆虫はいないので、威張った格好で葉に静止しているワカバグモを撮った。きっと落ち葉の下で越冬したものであろう。更にアジサイの葉の裏に、身体は真赤であるが、お尻に大きな丸く黒いワッペンを貼ったような極小のクモを見つけた。こちらは図鑑にシロスジショウジョウグモのクロテン型とある。クモも同じ種類でも様々な斑紋変異があるのだと知った。以上、たった10分一株のアジサイで、とても楽しい観察及び撮影が出来てほっとしたら、激しい雨が降って来た。

<今日観察出来たもの>昆虫/ハチの仲間(写真上左)、クヌギカメムシの幼虫(写真上右)、ツマグロオオヨコバイ。その他/シロスジショウジョウグモのクロテン型(写真下左)、ワカバグモ(写真下右)。


4月18日(午前)、横浜市鶴見区県立三ッ池公園

 このところ花や樹木の芽吹きが続いたから、そろそろ野鳥と思っていたが、昨日は午後から雨となり、舞岡公園でのデジスコの出番は無かった。今日も午後からまた雨との予報なので、到着するや否やデジスコ担いで散策を開始した。狙いはカワセミなのだが、何処を見回しても不在である。やはり巣作りないし抱卵でもしているのか、今の時期、何処へ行っても見られない。また、居たとしても落ち着きが無く、やはりカワセミを狙う季節ではないようだ。そこで他の鳥やーいと一回りしたのだが、お相手してくれたのはカルガモとユリカモメだけであった。しかし、しかと見届けたのではないが、ルリビタキの雌らしき鳥が居たのには驚いた。ことによったら時期からいって、他のヒタキ類なのかもしれない。池には留鳥のカモ位しか居ないと思ったが、かなりの数のキンクロハジロが浮かんでいた。

<今日観察出来たもの>鳥/カルガモ(写真上左)、ユリカモメ(写真上右)、キンクロハジロ、ツグミ、シメ、ヒヨドリ、メジロ、ルリビタキの雌(?)、ウグイス、シジュウカラ、コゲラ、スズメ、ハシブトガラス等。


4月17日、横浜市戸塚区舞岡公園

 今週は金曜日まで傘マークがずっと続いて、お日様マークは見られない。まるで梅雨に入ったかのような天気である。4月も毎日のようにフィールド詣を繰返して来たから、しばらくは長期休養しても良いのだが、それもやはり寂しい。そこで、雨の止み間に舞岡公園へ久しぶりに行ってみた。冬鳥のシーズン中は、ここでしか撮影の難しいアオシギやヤマシギ狙いで、カメラマンが芋を洗うかのようにごった返していたから行く気が起きなかったが、これからしばらくは「閑古鳥」しか見られないから、無料で車を停められるスペースも空いている。そんな訳で、今日の舞岡公園は有名になる前の静かな緑濃き公園であった。
 今日の主要な目的はアミガサタケである。そこで例年、発生が見られるサクラがたくさん植栽されている場所に行った。しかし、今年はどうした訳か見られない。アミガサタケが美味しいキノコだと知れ渡って来たので、摘み取られてしまったのかもしれない。そこで尾根近くにあるサクラの根元を丹念に探し回ったら、やっと3本見つける事が出来たが、背景が猥雑で近過ぎ、どう撮っても絵にならないのでシャッターは切らなかった。次に、サワちゃんとあだ名をつけた、とても可愛らしい葉痕のサワグルミの芽吹きを見に行ったが、こちらは開き過ぎているものが多く、ちょうど良い芽吹きのものには可愛らしい葉痕がなくて、こちらもシャッターは切らなかった。そんな訳で小谷戸の里入口にある植栽のメギの花を撮ったり、可愛らしいヒメコウゾの丸っこい雄花を撮ったりしていたら、天気予報通り雨が落ちて来た。慌ててあともう一枚とケキツネノボタンを撮ったら、標準的な花弁の数である5弁のものではなく4弁のものを撮ってしまったが、雨が激しくなって撮り直す事が出来なかった。

<今日観察出来たもの>花/ケキツネノボタン(写真上左)、キツネアザミ(写真上右)、メギ(写真下右)、レンゲソウ、タガラシ、ムラサキサギゴケ、ハルジオン、ホタルカヅラ、タチツボスミレ、ツボスミレ、ビオラソロリア、セリバヒエンソウ、セイヨウタンポポ、ムラサキケマン、オオアラセイトウ、ハナニラ、ナシ、ハナズオウ、モクレン等。昆虫/エサキモンキツノカメムシ、マルカメムシ等。キノコ/アミガサタケ等。野鳥/シメ、アオジ、ウグイス、スズメ等。その他/ヒメコウゾの芽吹き(写真下左)、サワグルミの芽吹き等。


4月15日、横浜市港北区新吉田町

 最近、年を取ったためか、相変わらず治らない五十肩のせいか、それとも大方のものを撮ってしまったせいか、どうしても会いたい見たい撮りたいもの以外は、遠征する気が起きなくなった。それに近場で普通種相手に、タムロン90ミリマクロで作画して切り取るのがとても楽しいのだ。今日は散策を開始すると、最近になって野の花の仲間入りをした、ナカミヒナゲシが美しく咲いていた。ケシの仲間と言ったら公園等に植栽されているアイスランドポピーが各種の色合いの花があって美しいのだが、どうしてどうしてナカミヒナゲシも可愛らしくてとても美しい。今日は背景に小松菜の花を入れて、ほんわかと撮影した。路傍に目を向けると、黄色いカタバミの花も咲いている。カタバミは路傍の本当に極々普通種なれど、接近して見るととても端正な花である事が分かる。ヤマトシジミの食草だが、まだ幼虫を観察していないのだから困ったものだ。
 植木屋さんの畑へ行くと、ドウダンツツジ、ミツバツツジが咲いている。しかし、今日はポーポーの花を撮った。今までポーポーの花は濃い紫色と思っていたが、緑色のものも混ざって花開いていた。その後、今日は薄曇りの事もあって、ばんばん花や芽吹きの良い写真が連続して撮れた。そこで昆虫を撮ろうと、丘の上の雑木林の縁へ行ってみた。毎年、ここにあるノイバラの葉にたくさんのキイロテントウが見られるからだ。今日もかなりの数がいて、容易く撮る事が出来た。時計を見るともうすぐ12時、車にとぼとぼと戻って行くと、芽吹き始めたクズの新芽に、これまた極々普通種のマルカメムシが山のように群がっていた。この塊はなんとなく気味が悪いが、幹にお休み中の個体がいたので、可愛らしい顔が見えるように素直に切り取った。(お友達によると、ポーポーの花は緑色から、やがて濃い紫色に変わるそうです)

<今日観察出来たもの>花/ナカミヒナゲシ(写真上右)、カタバミ(写真上左)、ポーポー(写真下左)、イモカタバミ、ハルジオン、タチツボスミレ、ヒメスミレ、セイヨウタンポポ、ムラサキケマン、オオアラセイトウ、ウラシマソウ、ハナニラ、ドウダンツツジ、ミツバツツジ等。蝶/モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、ツマキチョウ、ベニシジミ等。昆虫/マルカメムシ(写真下右)、キイロテントウ、ナナホシテントウ、テントウムシ、ヨコヅナサシガメの幼虫等。その他/イチジクの芽吹き、アオキの実等。


4月14日、神奈川県大和市泉の森公園

 夏鳥はまだ撮れていないものの、このところ運良く野鳥の写真が続けて撮れた。このままでは「つれづれ野鳥記」になりそうなので、今日は一般撮影に専念しようと泉の森公園へ行った。また、ここにある「しらかしの家」で、野鳥のデジタルイラストレーターであり、大変お世話になったAさんの作品展が開催されている。到着すると、まずは各種の山野草が植栽されている雑木林に行った。至る所にヤマブキソウが目が覚めるような黄色で咲いていた。この他、ジロボウエンゴサク、ニリンソウ、イカリソウ、フデリンドウ等が見られ、花期はとっくに過ぎたがカタクリもあった。これはラッキーとカメラを向けるのだが、生憎、ピーカンで風も強く、しっとりとした絵にはなかなかならない。そこでヤマブキソウだけ太陽が木々の若葉に隠れた瞬間に、シャッターを切ってなんとか撮影した。
 その後、付近を散策したが、写欲を誘うものには出会わない。そこで「しらかしの家」へ行って、素晴らしいAさんの作品を観賞し駐車場に戻ろうとしたが、何か撮るものがあるだろうと古民家に寄ってみた。今日はヤマブキソウだけしか撮っていないので、観察記も無しだなと思っていたのだが、なんとか後3枚撮って、美しいヤマブキソウを紹介したいとも思ったのだ。するとフジが早くも咲き始めていて、フジの花らしくは無いものの、一部分をクローズアップして切り取った。更に、ほんの少し前に花を撮ったばかりと思っていた、カワヅザクラが赤く色づいた可愛らしい実をつけていた。こうなったら後1枚だと、モミジの芽吹きを撮影した。なんというモミジだろうと名札を見ると、モミジ(カエデ科)としか書かれていない。モミジという和名の樹木は無いんだがなあと呟いたのだが、関東地方で最も普通なイロハモミジかなと笑った。

<今日観察出来たもの>花/ヤマブキソウ(写真上左)、フジ(写真上右)、イカリソウ、ジロボウエンゴサク、ニリンソウ、カタクリ、フデリンドウ、タチツボスミレ、マルバスミレ、キランソウ、セイヨウタンポポ、ムラサキケマン、コクサギ等。蝶/キチョウ等。昆虫/クマバチ、アシブトハナアブ等。キノコ/アミガサタケ等。その他/モミジの芽吹き(写真下右)、カワヅザクラの実(写真下左)、ワカバグモ等。


4月13日、千葉県(仮称)オシドリの里

 昨年末から今年にかけての冬は、本当に色々な野鳥を撮った。しかし、これを撮らねば方手落ちというオシドリを撮影していなかった。ルリビタキだ、ミヤマホオジロだ、ベニマシコだ、なんて言ったって、一般の方にはチンプンカンプンだが、オシドリを知らない方は皆無であろう。そのオシドリがまだ見られるというので、仕事を済ませてから電車に乗った。ほとんど寝ていたから、あっと言う間に(仮称)オシドリの里へ着いた。今日も本当に楽珍な電車で鳥撮りやなとほくそ笑む。教えて貰った小さな池に行くと、なんと雄雌仲睦まじく寄り添っている。まさにオシドリ夫婦である。雄は前にもさんざん撮影していたが、雌を撮った事がないので、ばんばんシャッターを切った。雄はなんだこれという派手な衣装だが、雌はとてもシックな衣装でしかも可愛らしい顔をしている。そんな訳で、オシドリの雌の大ファンとなった。

<今日観察出来たもの>鳥/オシドリの雌(写真上左)、オシドリの雄(写真上右)、オオバン、アオクビアヒル、ムクドリ、ツグミ、カワセミ等。


4月12日(午後)、埼玉県比企郡吉見町八丁湖

 午後からはどうしよう。このまま秋ヶ瀬公園でノビタキを撮ろうかなとも思ったが、カメラマンが多くなってノビタキも落ち着かなくなったし、至近距離で良い写真は撮れそうもない。また、空抜けだけど夏羽の雄が撮れたし、この時期にノビタキが見られる事が分かった。きっと昨秋、ノビタキが見られた神奈川県某所にも今頃現われているに違いない。だからまた、ノビタキにチャレンジ出来る事もあるだろう。そう思って八丁湖へ行く事にした。駐車場に車を停めて歩き始めると、芽吹き始めたクヌギの枝に、花や虫こぶを食べているニュウナイスズメとマヒワの群れに出会った。少し前なら絵になったかもしれないが、だいぶ葉が伸びて来たから、今一すっきりとした写真にはならない。どこか良い枝に止ってよと頑張ったが、忙しく食事を繰返すばかりであった。野鳥の宝庫の八丁湖も、やはり夏鳥の飛来待ちのようである。

<今日観察出来たもの>鳥/シロハラ(写真上左)、ツグミ(写真上右)、コゲラ、アトリ、ミヤマホオジロ、ニュウナイスズメ、マヒワ、シジュウカラ、ソウシチョウ、アオジ、マガモ等。


4月12日(午前)、埼玉県さいたま市秋ヶ瀬公園

 週一回は埼玉プチ遠征と決めているが、オオルリ、キビタキ等の夏鳥が現われたという情報も無い。しかし、このところ鳥の写真が撮れないので、何となく欲求不満である。こんな時でも秋ヶ瀬公園へ行けば、何かしらの鳥がいるだろう。そんな気持ちで出掛けてみた。いつもと同じ時間に到着したにもかかわらず、駐車場にはほとんど車が無い。という事は撮りたくなるような野鳥がいないのだ。子供の森を一回りしたものの、カケス、シメ、コゲラ等の常連さんがいるだけである。顔見知った方に出会ったので「皆さん何処に行ったんでしょうね」と聞くと、「ノビタキ、ホオアカ、セッカを撮ってるんじゃないかな」と言う。そこでその場所を教えて貰って行ってみると、いつも秋ヶ瀬公園で見かける鳥撮りの常連さんが数人いた。すぐにノビタキが現われて高い棒の先に止ってくれたが、なんと空には灰色の雲が浮かんでいた。

<今日観察出来たもの>鳥/ノビタキ(写真上)、ツグミ、シロハラ、シメ、カケス、ウグイス、シジュウカラ、アオジ、ホオアカ、コゲラ、モズ等。


4月11日、横浜市緑区新治市民の森

 今日は午後の短時間だが新治市民の森へ行った。目的はヒトリシズカである。毎年、余り陽が当たらないシラカシ林の縁にヒトリシズカが見られるのだが、だいぶ伐採されたので今年は無理かなと思っていたら、一株だけだが咲いていた。ヒトリシズカはその名の様に、ぽつりと1本咲いているのかと思われる方が多いと思われるが、兄弟と一緒に、ワイワイガヤガヤ固まって咲いている。どうしてこの様な名前が付けられたのか分からないが、ぽつりと一輪咲いているフデリンドウの方が、その名に相応しいように感ずる。もっとも表現は悪いが歯間ブラシのような花が一つ咲いているからかもしれない。ヒトリシズカを無事にカメラの中に納めると、カキドオシの花を撮った。その名の通り花が終わると茎はぐぐん伸びて垣根を越して繁茂するが、背丈が短い咲き始めの頃は、可愛らしい姿で微笑ましさえ感ずる。
 かつて同好の方が、冬でも地上部が枯れずに残っている植物は樹木と言っていたが、林縁に繁茂するクズは確かに地上部は枯れずに、葉痕の上から芽吹いていた。本当にクズは普通の野草とは違うな、ハギの様な植物だなと思って図鑑を開いてみたら、クズは野草図鑑に、ハギは樹木図鑑に載っていた。これで花も芽吹きも撮ったので、なにか昆虫はいないかなあと草原へ行って見たら、ベニシジミがかなり見られた。もっとも普通でお馴染みのシジミチョウだが、今年もお相手に参上しましたといった感じで嬉しくなった。ベニシジミは幼虫で越冬し、食草のスイバやギシギシの芽が伸び始めると、短時間で生長し蛹になって羽化して来ると図鑑にある。各種の蝶の名は知っていても、身近なベニシジミがどのようにして冬を乗り越え羽化して来るのかを観察した事がないのだから、本当に情けなく片手落ちである。

<今日観察出来たもの>花/ヒトリシズカ(写真上左)、カキドオシ(写真上右)、スミレ、アカネスミレ、タチツボスミレ、ノジスミレ、キランソウ、クサノオウ、セイヨウタンポポ、ムラサキケマン、カタバミ等。蝶/ベニシジミ(写真下右)、モンシロチョウ等。昆虫/ヤブキリの幼虫、ナナホシテントウ等。その他/クズの芽吹き(写真下左)、ヒメコウゾの芽吹き等。


4月9日、神奈川県川崎市宮前区東高根森林公園

 銀座や神田に勤めていた時も、「今日の昼飯は何を食べようか?」と悩んだ位だから、車で移動していると駐車場付きの食堂が少ないから、益々、昼食のレパートリーが減った。吉野家、松屋、すき屋は飽きたし、コンビニやスーパーの弁当はなお飽きた。最近になって、安楽亭の焼肉がレパートリーに加わったものの、毎日、焼肉というわけにはいかない。一時かなり流行った「ほっかほか亭」等の弁当屋は、このところとても稀少となった。出来上がるまで少々待たされるので、美味い安いにもかかわらず客足が少ないのだろうか。そんな希少価値のある「ほっかほか亭」が、東高根森林公園の駐車場の傍にあるのだから、たまには行ってみるかと腰を上げた。それに、もしかしたらオオルリやキビタキ等の夏鳥が見られるかもしれないとも思ったのだ。もちろん戸塚区や旭区の某市営公園とは異なって、平日は駐車場が無料であるから有り難い。
 デジスコを抱えて散策を開始すると、こんな所にと思われる道の横に、コゲラが巣を造っていた。可愛らしい顔をキョロキョロさせているのだが、今一、巣穴を掘ったエゴノキの枯れ木の格好が良くないので、シャツターは切らなかった。しかし、その後、これといった野鳥には巡り合えない。そこで駐車場に戻って、一般撮影機材に替えて散策を再開した。湿生植物園には、なんとシラネアオイが咲いていて驚いたが、90ミリマクロレンズでは余りにも遠過ぎた。そこで今が見頃のニリンソウやレンゲソウを撮影した。その後、キハダの葉痕の鼻が破れて、芽吹きが始まった様子を古代植物園に見に行ったが、絵になる状態の芽吹きには出会えなかった。駐車場に戻る途中、アジサイの葉に何か昆虫がいないかと注意深く探したら、もちろん今年初めてのヒメクロオトシブミを発見した。

<今日観察出来たもの>花/レンゲソウ(写真上左)、ニリンソウ(写真上右)、カラタチ(写真下左)、ムシカリ、ヤマブキ、ヤマブキソウ、オドリコソウ、シラネアオイ、エンコウソウ、ヤマザクラ、タチツボスミレ、セイヨウタンポポ、カキドオシ、ムラサキケマン、オオアラセイトウ等。昆虫/ヒメクロオトシブミ(写真下右)、ヤブキリの幼虫、テントウムシ等。鳥/アオゲラ、コゲラ、カケス、ヒヨドリ、キジバト等。その他/キハダの芽吹き、フジの芽吹き等。


4月8日(午後)、横浜市緑区新治市民の森

 前に、4月からは鳥の写真は3回に一遍位の登場になると思うと記してしまったので、午後からは仕方なしにデジスコを担いで新治市民の森を散策した。夏鳥の飛来の情報をちらほら耳にするようになったが、まだまだ散発的で本格化には程遠い。そんな訳で、冬鳥だがまだ旅立っていないツグミをゲットしたものの、見られる野鳥は一年中見られる野鳥ばかりである。今日はカワセミを撮ろうと思っていたのだが、巣作りに忙しいのか、それともお腹を空かした奥さんに餌を運んでいるのか、ほんの少し前のカワセミの行動とはかなり異なっていた。新治市民の森の鳥見鳥撮りの常連さんの話では、「今は飛び去ったら2時間位は戻って来ないよ」との事であった。そんな訳で、最も常連なる野鳥で被写体としては大きなカルガモを撮った。まさに「早く来い来い夏鳥さん」という訳でなのである。

<今日観察出来たもの>鳥/カルガモ(写真上左)、ツグミ(写真上右)、カケス、ウグイス、キセキレイ、シジュウカラ、ヤマガラ、アオジ、カワセミ等。


4月8日(午前)、横浜市緑区横浜動物の森公園

 週一回の埼玉プチ遠征で疲れるのか、毎日のようにフィールドへ出かけるから疲れるのか、夜遅くまでパソコンに向かっているから疲れるのか、朝早く起きて小田急線の彼方の小野路町等の多摩丘陵へ行くのが億劫となっている。しかも今日は、統一地方選挙の投票日である。まずは投票を済ませてからとなると尚更だ。私も愛用しているカメラのキャノンさんは正社員の数が少ないらしく、同一労働でも賃金格差がはなはだしいと聞く。働く者を大切にしない会社や社会は、いずれ手痛いしっぺ返しが待っている筈である。そんな危惧を持ちながら投票場へ向った。清き一票か汚れた一票かは別として、酷税に苦しむ庶民としては当然の権利なのである。
 あらら、また話が横道に逸れてしまったが、そんな訳で自宅を出発するのが益々遅れてしまった。こんな時は至近の新吉田町と相場が決まっているのだが、横浜動物の森公園へ行ってみた。散策を開始するとヤマグワやヒメコウゾが芽吹いて、とっても可愛らしい蕾がのぞいている。小さな流れのある場所に行って見ると、早くもカワトンボやシオヤトンボが羽化していて、太陽光線にぴかぴかと新鮮な羽が光って飛んでいた。路傍のセイヨウタンポポに目を向けると、可愛らしいヤブキリの幼虫がちょこんと乗っかっている。毎年思うのだが、自然の歩みは留まる事無く進んで行く事に驚愕の念を持つ。久しぶりにクリがまばらに植栽されている草原に行ったら、草原特有の生き物は見られなかったものの、クリの芽吹きに何やら赤いものがついている。近付いて見るとクリタマバチによるクリメコブズイフシの虫こぶである事が分かった。このためクリの若葉もご覧のように歪でいたが、クリメコブズイフシの虫こぶは宝石のように美しかった。

<今日観察出来たもの>花/ミツバアケビの雄花の蕾(写真下左)、アケビ、ヤマザクラ、ウグイスカグラ、キブシ、タチツボスミレ、ノジスミレ、セイヨウタンポポ、カキドオシ、ムラサキケマン、オオアラセイトウ、ケキツネノボタン等。蝶/ツマキチヨウ、モンシロチヨウ、スジグロシロチョウ、ミヤマセセリ等。昆虫/ヤブキリの幼虫(写真上左)、カワトンボ、シオヤトンボ等。その他/クリメコブズイフシ(写真上右)、ヤマグワの芽吹き(写真下右)、ハナイカダの芽吹き、ハリギリの芽吹き、エゴノキの芽吹き等。


4月7日、横浜市都筑区茅ヶ崎公園

 毎年の事だがスミレやギフチョウ等を観察し終えると、溜まっていた疲れがどっと出る。山野草でも蝶でも、春一番に花開き現れるスプリング・エフェメラルの生き物達の観察が一段落するからである。これからは春本番の、例えば蝶ならアゲハチョウ、キアゲハ、クロアゲハ、アオスジアゲハ等の綺麗どころが、暖かい春風に乗って舞い始めるのである。
 今日はそんな訳と昨日の疲れもあって、至近距離の茅ヶ崎公園へ行った。車を停めて散策を開始すると、雑木林の縁では真っ黄色のヤマブキが咲き始め、自生なのか植栽なのか分からぬものの、赤紫のミツバツツジとのコントラストがとても美しい。だいぶ伸展したアジサイの葉を見ると、成虫で越冬したツマグロオオヨコバがたくさんいた。毎度お馴染みの図鑑的に撮っても面白くないので、正面から顔をアップで撮ってみた。越冬中は何一つ口にすること無しに落ち葉の下でじっとしていたので、柔らかいアジサイの若葉での食事は最高なのだろう。笑顔一杯の顔のように見えた。
 丘の上の道路に出ると植栽されているトチノキの芽吹きが始まっていて、べとべとした焦げ茶の芽鱗が開いて顔を出した葉っぱの赤ん坊を、微笑みを浮かべて撮影した。その後、今日の茅ヶ崎公園での観察の第一目的であるフデリンドウを探しに行った。去年は爆生という表現がぴったりな程に数多く見られたが、今年はちらりほらりと見られる位であった。その理由は強度の落ち葉掻きにあるようである。しかし、背丈の低いか細い命の代表のようなフデリンドウには、そんな落ち葉掻きが行なわれるような所がぴったりなのだから致し方あるまい。この他、陽が余り差し込まない斜面にニリンソウの群落を見つけて、とっても嬉しくなった。

<今日観察出来たもの>花/フデリンドウ(写真上左)、ヤマブキ、ハナズオウ、ミツバツツジ、ドウダンツツジ、アオキ、ムラサキサギゴケ、タチツボスミレ、マルバスミレ等。蝶/モンシロチョウ、キチョウ、ベニシジミ、ムラサキシジミ、ルリシジミ等。昆虫/ツマグロオオヨコバイ(写真下右)等。その他/アカメガシワの芽吹き(写真下左)、トチノキの芽吹き(写真上右)、アオキの実、ヤツデの実等。


4月6日、神奈川県相模原市藤野町石砂山

 今日はお仲間達と今年に入って4回目となる、道端自然観察会の日である。天気が心配されたが、午前中は晴れとの事でほっとした。今日のメーンの観察ターゲットは、もちろんギフチョウとエイザンスミレである。ことにギフチョウは太陽が出ていないと御出ましにならないから、とっても難しい観察会なのである。久しぶりに丹沢に踏み込んだが、高い山々には雪がついていてびっくりした。一昨日の雨が丹沢では雪となったのだ。現地に到着すると午前10時だというのに気温がかなり低い。しかし、登山道を少し入るとミヤマセセリが飛び出して来たから、きっとギフチョウに出会えるだろうと思った。こんな気温の低い日の方が地面に止って日光浴をするから、撮影にはベストともいえる。気温が高いと「春が来た春が来た」と喜んでしまって落ち着きが無く、飛び回っているだけでなかなか静止してくれないのである。
 今日はか弱きご婦人も同行しているので、無理をせずに三つめのピークまで行った。ギフチョウは吸蜜や産卵時を抜かして、午前中は小高くなった所にやって来るという習性があるから、全員荷物を降ろして御出ましを待った。するとすぐにギフチョウがやって来た。私が一番先に撮るのもなんだが、「一枚撮っておかないと観察記が書けないので失礼」と言って撮った。その後、みんながギフチョウをカメラの中に納めた事を確認すると、篠原の部落へエイザンスミレを観察するために移動した。みんなで、タチツボスミレ、マルバスミレ、エイザンスミレの咲く斜面を鑑賞しながら昼食をとっていると、ここにもギフチョウが飛んで来てスミレで吸蜜を始めた。その後、登山道入口まで散策したが、空が曇って来て蝶は1頭だに飛ばなくなったので、野の花を撮影しながら町営駐車場に戻って早々の解散となった。

<今日観察出来たもの>花/エイザンスミレ(写真下右)、マルバスミレ、タチツボスミレ、ノジスミレ、アカネスミレ、シュンラン、ヒトリシズカ、マムシグサ、アマナ、カテンソウ、ムラサキケマン、キケマン、アブラチャン等。蝶/ギフチョウ(写真上左)、ギフチョウの卵(写真上右)、ヒオドシチョウ、ルリタテハ、テングチョウ、スジグロシロチョウ、スギタニルリシジミ、ミヤマセセリ等。昆虫/ビロードツリアブ等。鳥/ルリビタキ、キセキレイ、ホオジロ等。その他/オニグルミの芽吹き(写真下左)、アワブキの芽吹き等。


4月5日、東京都板橋区荒川戸田橋緑地

 今日は昨日のプチ遠征の疲れを癒すために、寝坊をしようと思っていたら、統一地方選挙の候補者の宣伝カーの拡声器で目が覚めてしまった。この為、仕事をすませて時計を見ると、まだ10時半である。そこで鳥の写真も両目を開けておこうと、電車で楽々ほいの都営地下鉄高島平駅から徒歩10分と至近の荒川戸田橋緑地へ行った。ターゲットはヒバリである。野草とか蝶とか、その道にかなり通じていて長年にわたって写真を撮っている方でも、普通種がおろそかになっている場合が多い。野鳥の分野でもしかりで、今季、鳥撮りマンを大いに興奮させたコミミズクやキレンジャクだって、その道の方には知られていても、一般の方には「なんだそれ」である。今日は運が良く、誰もがその名を知っているが姿を見た事がないというヒバリと、日本の国鳥であるキジを撮る事が出来た。

<今日観察出来たもの>鳥/キジ(写真上左)、ヒバリ(写真上右)、ツグミ、ムクドリ、カワラヒワ、ホオジロ、ハクセキレイ、スズメ等。


4月4日、埼玉県(仮称)キレンジャクの里

 これから鳥の写真は、3回に一遍位の登場となると思う。しかし、4月も鳥の写真を早々載せておきたいと思って、何かしらの鳥の写真が撮れる秋ヶ瀬公園へ行ってみた。しかし、いるのは今までの常連さん位で、夏鳥はやって来てはいなかった。そこで早々見切りをつけて、前々から情報を頂いていた(仮称)キレンジャクの里へ行ってみた。すると有り難い事にまだいてくれて、ばんばんシャッターを切った。デジスコで512メガのメモリーを一杯まで撮ることはほとんど無いが、いつの間にかメモリーはゼロとなった。すると雷が鳴り雨が落ちて来た。キレンジャクもこれからの荒れた天気が気になるのか、遠くへ飛び去った。そんな訳で、(仮称)キレンジャクの里も早々の撤収となり、なんとキレンジャクのみカメラの中に納めたという貧果の一日となった。でも、キレンジャクが撮れたのだから、まあ良いかなとほくそ笑んだ。

<今日観察出来たもの>鳥/キレンジャク(写真上)等。


4月2日、横浜市港北区新吉田町

 仕事をすませて時計を見ると、もうすぐ11時である。4月からはフィールドへはあまり行かないよ、この観察記もそれほど書かないよと昨日書いたが、一応両目を開けておかないと何となく落ち着かない。そこで、車で10分とかからない新吉田町へ行った。ご先祖様がお嫁さんをこの地から迎え、19年前、カメラ片手に道端自然観察を開始した因縁深きフィールドでもある。前にも記したと思うが、農家や民家が点在し、畑や僅かに残った雑木林があるだけという自然度の低い場所である。しかし、珍しいものは無いものの普通のものは一通り見られ、更に植木屋さんの畑が各所にあるから、写真の被写体なら、ちょっとした公園なんかには負けないのである。ここ数年、多摩丘陵や舞岡公園へ足繁く通って散策しなかったが、今年に入ってから頻繁に通ってみると、とても面白い事が分かった。ここだけで四季の微妙な生き物達、特に園芸植物の花の移ろいを味わう事が出来ると思った訳なのである。
 今日は勿論、待ちに待ったナシの花を撮りに行った。厳密に言うと、浜ナシと呼ばれる収穫するナシは盗まれないように囲いがされていて棚作りとなっている。しかし、付近に花粉を集めるためのナシが植えられていて、こちらの方は道端から撮影出来るので有り難い。今日も農家のご婦人が花粉を集めていたので聞いてみると、花粉を集めるナシはもちろん実がなるものの不味いとの事であった。無事に今年も大好きなナシの花を撮り終えると、最近、野生化しているのではと思われる程、各所で見られるビオラを撮った。子供の頃は三色菫と呼んでいたパンジーは大柄であまり好きではないが、この野生化しているようなビオラは大好きである。更に花ではハナズオウを加えた後、ナナホシテントウと戯れた。

<今日観察出来たもの>花/ナシ(写真上左)、ハナズオウ(写真上右)、ビオラ(写真下左)、カリン、ナワシログミ、ユスラウメ、ミツバツツジ、ドウダンツツジ、シデコブシ、モクレン、ボケ、ソメイヨシノ、アオキ、ニワトコ、タチツボスミレ、ヒメスミレ、カラスノエンドウ、ケキツネノボタン、レンゲソウ、ノゲシ等。蝶/モンシロチョウ等。昆虫/ナナホシテントウ(写真下右)等。その他/アカメガシワの芽吹き、クサギの芽吹き等。


4月1日、神奈川県川崎市麻生区黒川

 いよいよ4月、誰もが異を唱えない正真正銘の春に入った。先月は、まるで気が狂ったかの様にフィールドへ出かけ、しかも、午前と午後とで場所を違えたりしたから、この「つれづれ観察記」は、まるでエンドレスかのように異常に長くなった。しかし、これからは、そんな事はもうしばらく無いだろう。その理由は、暖かくなったからやらなくてはならない雑用が多々あるし、また、冬鳥が去って夏鳥がやって来ようとも、その種数は少ないし撮影も難しいから、出かけたとしても撮れないかもしれないからだ。それならば花やキノコや蝶や昆虫ならばと思うのだが、もうさんざん撮ったから、今一やる気が起きない。まあ、こんな愚痴が出るのも、フィールド疲れ撮影疲れが溜まっているからで、またまた性懲りもなく出かける事になるのだろうが、やはり3月のような爆走は無いと断っておきたい。
 今日は月が変わったからといって、フィールドが激変した訳ではないので、引き続いて春の山野草や各種の蝶を撮ろうと、久しぶりに黒川へ出かけた。まずは、かつてコツバメがたくさん見られた場所へ行ってみたが、コツバメの姿は一頭だに見られなかった。黒川周辺でも多摩ニュータウンの開発が続いて、フィールドがかなり狭められたからかもしれない。それでもミヤマセセリの交尾個体をなんと2ペアも見つけたが、絵になる場所ではなかったので枯れ草で刺激したら、1ペアは交尾を解き、もう1ペアは遠くに飛んで行ってしまった。そんな訳で今日も蝶はまたしてもゼロ、こんなことなら毎年確実にコツバメを撮っている多摩丘陵某所へ行けば良かったと思ったが、後の祭りである。そんな訳で、まだ今年は撮影していなかった、花弁が丸味を帯び色も紫が強いニオイタチツボスミレと、黒川ならではのリンゴの芽吹きを撮った。

<今日観察出来たもの>花/キジムシロ(写真上左)、ニオイタチツボスミレ(写真上右)、アオキ、クサボケ、キブシ、ジュウニヒトエ、タチツボスミレ、アカネスミレ、マルバスミレ、ノジスミレ、カラスノエンドウ、ケキツネノボタン、レンゲソウ、コオニタビラコ等。蝶/ルリタテハ、キタテハ、テングチョウ、キチョウ、ツマキチョウ、スジグロシロチョウ、モンキチョウ、ムラサキシジミ、ベニシジミ、ツバメシジミ、ミヤマセセリ等。昆虫/オオニジュウヤホシテントウ(写真下右)、ナナホシテントウ、コガタルリハムシ等。その他/リンゴの芽吹き(写真下左)等。



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