(8月)
8月31日、横浜市都筑区鴨池公園
今日で8月は終了する。今夏は猛暑日続きで、ほっとしている方も多いのではなかろうか。本当に涼しくなったものである。8月の観察記は、暑さのピーク時に嬬恋村へ行っていたお陰で、「もう好い加減にしてくれ!」とのお声がかかるほど満載となった。しかし、前述したように吉井町の溜池では、環境悪化と極暑の為に、もくろんでいたイトトンボの仲間がほとんど撮れなかったのが心残りである。そこで、何かイトトンボの仲間が撮れるだろうと、ほんの短時間だが鴨池公園へ行ってみた。アブラゼミやミンミンゼミが異常な程に発生していてびっくりした。期待したイトトンボだが、なんとキイトトンボがいて、横浜市に於いての私の初見となった。公園の周りの畑の脇に植えられているニラも咲き始めていて、ヒメアカタテハやツマグロヒョウモンが吸蜜に訪れていた。こうなったら季節はもう夏に逆戻りはしないだろう。
<今日観察出来たもの>花/ヤブラン、ツルボ、ワルナスビ、ヘクソカズラ、ヤブガラシ、アレチヌスビトハギ、アカツメクサ、ニラ等。蝶/キアゲハ、クロアゲハ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、スジグロシロチョウ、イチモンジセセリ、ムラサキシジミ、ベニシジミ、ツバメシジミ、ヤマトシジミ等。昆虫/キイトトンボ(写真上左)、アオモンイトトンボの未成熟雌(写真上右)、アオメアブ、ツマグロオオヨコバイ、シオカラトンボ、ミンミンゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシ、マメコガネ、トウキョウヒメハンミョウ等。その他/コブシの実、アメリカハナミズキの実等。
8月29日、横浜市港北区新吉田町
今日は前回行った時に8月末まで有効の50円引きのサービス券を3枚も貰ったで、仕方無しに吉野家へ行った。長期夏休みの間は、「吉野家」も「すき屋」も「松屋」も「なか卯」も無い所で過ごしていたのだから、牛丼もたまには良いのでは無かろうかと思った訳である。空は曇り空で湿度こそ高いものの、気温はかなり低くなった。週間天気予報を見ると、しばらくの間はお日様マークが見られないから、耐えがたき猛暑の夏も、これで終止符が打たれることだろう。そう思うと、今年の夏も短かったなあと思うのだから困ったものである。
そんな訳で牛丼を平らげると、そのまま帰って来るのもつまらないからと新吉田町へ寄ってみた。持参する一番軽いペンタックスに、マクロレンズ1本のみのお散歩スタイルである。この季節の新吉田町ではこれといったものは見られないと思ったのだが、いきなりスケバハゴロも出会って嬉しくなった。植木屋さんの畑に寄ってみると、ポーポーの実がまるでソラマメの鞘を大きくしたような格好で垂れ下がっていた。その幹にはツクツクボウシが止っていて、「おお涼しい、おお涼しい、猛暑、猛暑、もういいよ、もういいよ、じじじぃー」と鳴いていた。また、生垣のサンゴジュからは、赤い実をたくさんつけた房が重そうに垂れ下がっていた。
その後、これといったものに出会えなかったのだが、下草にキバラヘリカメムシが交尾していたので視線を上げてみると、頭上にはマユミの木があって、その葉にはキバラヘリカメムシの幼虫がたくさんいた。また、クマノミズキの実が色づいて美しかったのでカメラを向けると、チャバネアオカメムシがお食事中であった。今年はカメムシの仲間がかなり少ないのだが、それでもしっかりと命を繋いでいるんだなあと安心した。
<今日観察出来たもの>花/ヒメヒマワリ(写真上左)、ヒヨドリジョウゴ(写真上右)、キクイモ、ミズヒキ、ツユクサ、クズ、ヤブミョウガ等。蝶/キアゲハ、アゲハ、ヒメアカタテハ、キタテハ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、キマダラセセリ、イチモンジセセリ、チャバネセセリ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ等。昆虫/キバラヘリカメムシ(写真下右)、スケバハゴロモ、アオバハゴロモ、ホシハラビロヘリカメムシ、ウリハムシ、クロウリハムシ、アブラゼミ、ツクツクボウシ等。その他/ブルーベリーの実(写真下左)、ヒヨドリジョウゴの実等。
8月28日(午後)、神奈川県平塚市(仮称)ケリの里
天気予報では午後から雲りとあったので、田んぼへ行っても何とか耐えられるのではないかと、平塚方面へ車を走らせた。丸子茅ヶ崎線(中原街道)は瀬谷の先まで車線が広がっていて、かなり便利になった。途中、埼玉へ行くといくらでも見られる案山子のマークの看板が見えて来た。懐かしい「山田うどん」である。そこで迷う事無く入って、610円の「鯖の味噌煮ざる蕎麦セット」を注文した。
今日の目的は休耕田にいる各種のシギチドリ類である。広大な水田地帯には、どういう訳なのか耕作を休んでいる田んぼが極々少ないのだがある。そんな場所は、サギ類やシギチドリ類の溜まり場で、言わば、雑木林の中のクヌギの樹液のような存在なのである。開発が進んでいる神奈川県でも県央地域には、まだかなり水田が残っているのだが、平塚を選んだのはケリがいるからである。ケリは日本で見られる最大のチドリで、何故だか分布が偏っていて、日本全国何処でも見られる鳥では無いのだという。そんな訳で、一度はお目にかかっておきたいなあと思っていたのである。
目的地に到着すると、広大なたんぼの中に休耕田が点在しているから、まずは休耕田パトロールとばかりに車を走らせた。去年、ここで農道のぬかるみに車がはまって出られなくなった方がいるので、未舗装の農道はノーサンキューである。一回りすると、やや水があり草がまばらに生えている休耕田に、サギとケリの大型の鳥が集り、田植え前の水田の様な休耕田に、小型のシギチドリ類がいた。そこで交互に見て回って撮影を繰り返し楽しんだ。天気は曇り日とはなったものの田んぼはさすがに蒸し暑く、なんと4時間の間に、1リットルもの水分補給をする事となってしまった。
<今日観察出来たもの>花/ガガイモ等。鳥/ケリ(写真上左)、コチドリ(写真上右)、左はキリアイ・右はヒバリシギ(写真下左)、タカブシギ(写真下右)、エリマキシギ、ハクセキレイ、ダイサギ、チュウサギ、スズメ等。
8月28日(午前)、横浜市緑区(仮称)カワセミの森公園
そろそろ鳥の写真も載せないと、この観察記も寂しいとばかりに、久しぶりにデジスコを車に積んだ。高原での長期夏休みの間に一回鳥撮りを試みたのだが、ノーシャツターに終わった。早朝と夕方にのみ鳥の囀りと姿は見られるものの、それ以外の時間帯は高原といえども鳥影は本当に少ない。クロツグミなんかは、辺りが暗くなると囀り始めるのだからお手上げである。そんな訳で、真夏は「花虫撮る」に徹するのが一番である。鳥撮りの始めはカワセミからだと、(仮称)カワセミの森公園へ行った。待つ事たったの3分で御出ましになって、しっかりポーズを決めてくれた。期待して出かけても、お留守の事もあるようだから、今日は運が良いという訳である。30分も経たない内に止り物だが数カット撮れ、他の鳥も見られないので(仮称)カワセミの森公園を引き上げた。
<今日観察出来たもの>花/ガガイモ等。蝶/ツマグロヒョウモン、イチモンジセセリ等。昆虫/ギンヤンマ、チョウトンボ、コシアキトンボ、シオカラトンボ等。鳥/カワセミ(写真上)、ハシブトガラス等。
8月26日、東京都町田市小野路町
新治市民の森ではスケバハゴロモを発見出来なかったし、長い夏休みの間、本当に良く走ってくれた愛車「小野路号」の里帰りも兼ねて、久しぶりに小野路町へ行った。もっとも、今日もかなりの猛暑だから、雑木林の日陰の道端でほとんど過ごした事は言うまでも無い。道端には早くもキクイモが美しく咲き、イラクサは紐状の花穂を伸ばしている。オオブタクサには期待した通りにスケバハゴロモがたくさんいて、茎で吸汁しているものが殆どであった。また、ベッコウハゴロモ、ツマグロオオヨコバイもオオブタクサが好きで、こちらもかなりたくさん見られた。シラカシの下の葉上にはアミガサハゴロモが見られ、更にアオバハゴロモも見られたから、本当に小さなセミの仲間の天国であった。その他の昆虫は、第2化となるカノコガが僅かに見られた位で、多くの昆虫たちは暑さに耐え切れなくなって、涼しい日陰の草むらに隠れているようであった。夏の雑木林はセミの天下だが、道端の草むらにも小さなセミの仲間が一杯である。
期待した雑木林の日陰の道端は小さなセミの仲間のみで、仕方なく栗林まで日向の道をあるく羽目となった。万松寺谷戸入口ではミソハギがまだ盛んに咲いていて、その先のオオガハスも美しく花開いている。ハスの蕾にオオシオカラトンボが止まり、田んぼに突き刺されていた竹の棒にはシオカラトンボが止まっている。草がかなり生えた農道を歩いて行くと、ハネナガイナガが面白いように飛んで逃げて行く。去年、ミズオオバコが見られた休耕田は、からからに乾いていて何も見られない。栗林ではジャコウアゲハの雌がひらひらと飛んでいるが、暑さの中では追いかける気にもなれない。そんな訳で、久しぶりの小野路町も暑さと貧果に泣いたが、それでもローカル色豊かな夏の日は、快い幼少時代に連れ戻してくれた。
<今日観察出来たもの>花/キクイモ(写真上左)、ハダカホウズキ、イラクサ、ミズヒキ、センニンソウ、ツユクサ、ヤマホトトギス、クズ、オオケタデ、ノハラアザミ、ミゾソバ、ヤブミョウガ、クサギ等。蝶/ジャコウアゲハ、キアゲハ、クロアゲハ、ジャノメチョウ、キマダラセセリ、イチモンジセセリ等。昆虫/スケバハゴロモ(写真上右)、カノコガ(写真下右)、ベッコウハゴロモ、アオバハゴロモ、ツマグロオオヨコバイ、ホシハラビロヘリカメムシ、マメコガネ、クロウリハムシ、ミンミンゼミ、アブラゼミ、ショウジョウトンボ、オオシオカラトンボ、シオカラトンボ、アオメアブ等。その他/オオトリノフンダマシ(写真下左)、トリノフンダマシ、アマガエル、クサギの実等。
8月24日(午後)、横浜市緑区新治市民の森
午後からはどうしようかなと思ったが、懐かしい安楽亭の焼肉ランチを食べたくなった。焼肉にキムチでも食べれば、少しは元気になるかもしれないと思ったのである。そこで安楽亭から至近距離の新治市民の森の遊水地へ行った。ここにはオオブタクサが多いから、ことによったらスケバハゴロモが見られるかもしれないとも思った訳である。案の定、小道を塞ぐようにオオブタクサが生えていたものの、ベッコウハゴロモとツマグロオオヨコバイがいるだけで、スケバハゴロモは見られなかった。日陰の涼しい場所では高原でもたくさん咲いていたダイコンソウがみられたものの、その他の花は一服の様であった。
蝶では日陰の葉上でキマダラセセリが休んでいた。6月の栗の花が咲く頃に現われる第1化のものに比べると1回り程小さい。セセリチョウの仲間は他の蝶と異なって、分類学上かなり離れた関係なのだが、なんとなく縫ぐるみのような頭部をしていて、可愛らしいと思うのだがいかがだろうか。甲虫の仲間は常連さんのマメコガネ位かなと思ったが、ヤマグワの幼木の小枝にクワカミキリがいてほっとした。小枝を口器で削りながらの食事で、そんな食痕を見つければクワカミキリは容易く発見出来る。また、大きくなった木では小枝に勢いが無くなるから、クワカミキリのお気には召さないようである。
その後、日向を歩いて新治市民の森の各所を歩いてみよう等という気は全く起こらず、ほんの短時間、遊水地回りのみを散策して、樹液酒場が気になる横浜動物の森公園を覗いてみた。樹液は乾く事無く出ていたものの、クロカナブン、カナブン、コガタスズメバチ、サトキマダラヒカゲ等が見られるだけで、ゴマダラチョウやアカボシゴマダラの姿は無かった。横浜市内の昆虫酒場は、もうすぐ閉店となる事だろう。
<今日観察出来たもの>花/ダイコンソウ(写真上左)、イラクサ、ミズヒキ、センニンソウ等。蝶/キマダラセセリ(写真下左)、アゲハ、キアゲハ、イチモンジセセリ等。昆虫/ベッコウハゴロモ(写真上右)、ツマグロオオヨコバイ(写真下右)、クワカミキリ、ホシハラビロヘリカメムシ、マメコガネ、ウリハムシ等。その他/カマツカの実、シュレーゲルアオガエル等。
8月24日(午前)、横浜市都筑区茅ヶ崎公園
甲子園の高校野球は、爽やかな公立高校の佐賀北高校が優勝した。そこで、天気もそろそろ爽やかになるかなと思ったら、9月半ばまで残暑が厳しいという。安倍ちゃんの続投で日本国民の多くはうんざりしているのに、残暑までもが続投とは本当に救われない。小沢ちゃんは小さくとも沢の字がつくのだから、いくらかは涼しいに違いない。カレンダーを見ると、8月はまだ一週間もある。高原での長期夏休みで8月の観察記はとても長くなったし、これ以上、観察記を書き続けると、なかなかページが開かないとお叱りをこおむるかもしれない。また、まだやってるのと、安倍ちゃんみたいに支持率が急落するのも困ったものである。そんな事を思いながら今日は曇り日なので、慣れ親しんだフィールドは長期の夏休みの間にどの様に変ったかなと気になって、仕方無しに出かけてみた。
まずは至近距離の茅ヶ崎公園へ行った。散策を開始すると、とても湿度が高くて蒸し暑い。各種のセミが鳴いているだけで花はほとんど見られず、まるで時間が止ったかのようであった。様々な花が咲き乱れ、蝶が飛んでいた高原とは大違いである。それでも何か絵になるものはないかと歩いて行くと、葉が毛虫に食べられて実だけが残っているコナラの小枝があった。こんな暑いのにコナラの実は正ちゃん帽(スキー帽)を被っていて可哀想だなあと考えながら草むらへ行くと、アレチヌスビトハギの葉にシロコブゾウムシを見つけた。シロコブゾウムシは普通、ハギやクズにいるのだが、弱々しくともアレチヌスビトハギはハギの仲間、そう思うと「成る程ね」とほほ笑んだ。その後、これといったものには出会えなかったが、やはりアブラゼミを撮っておこうとスローシンクロで写し止めた。
<今日観察出来たもの>花/キツネノマゴ、ヤマハギ、キンミズヒキ等。蝶/ベニシジミ(写真下右)、クロアゲハ、キチョウ等。昆虫/アブラゼミ(写真上左)、シロコブゾウムシ(写真下左)、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、カナブン、アオバハゴロモ等。その他/コナラの実(写真上右)、シラカシの実、ヤマボウシの実等。
8月22日、横浜市青葉区寺家ふるさと村
今日は8月の第4週の水曜日、寺家ふるさと村においての定点観察会の日である。このところの猛暑続きで皆さんへばっているだろうし、また、参加されても熱中症になって倒れでもされたら大変である。また、この時期、見るもの撮るものも無いので、あえて8月もやりまよとの掲示は出さなかった。それでも誰か来るかもしれないとも思ったが、集合時間の10時になっても誰も来ない。ほっと胸を撫ぜおろしたのは言うまでも無いが、ここまで折角来たのだから一人で午前中だけ散策してみようと歩き始めた。
何かしらのキノコや今の時期たくさん見られるツクツクボウシタケが見られるかなと、キノコのポイントへ行ってみたが、全く何も生えていなかった。しかし、ムラサキシジミが大発生していて、羽を開いてくれたらよさそうなものの、この時期に日光浴などしないのだから撮影する気にもなれない。また、今年はアブラゼミが大発生のようで、一本の木に数匹止っているのもざらであった。陽が当たる田んぼに降りて来るととても暑い。早くもイネの穂が出ていて、それを狙ってかスズメの数も多く見かけられた。こんな暑い日は日陰の昆虫横丁しか無いと丹念に見て行ったが、イチモンジセセリ、オジロアシナガゾウムシ、クロウリハムシ、ホシハラビロヘリカメムシ等の常連さんが僅かに見られるだけであった。
そこで何故かここにはたくさん見られるユウガギクや高原にも咲いていたミズタマソウを撮影した。今日の目的たるコバノカモメヅルも咲いていたが、雨がこのところ全く降らないので、花びらが閉じ気味で生気を失っていた。田んぼに立てかけられた竹の棒には、日陰になる方だけにハネナガイナゴが止っていて笑ってしまった。正味2時間の日陰を中心とした散策であったが、とっても疲れて飲み物の自動販売機に倒れるがごとくに駆け込んだ。
<今日観察出来たもの>花/ユウガギク(写真上左)、ミズタマソウ(写真上右)、コバノカモメヅル、ダイコンソウ、オモダカ、センニンソウ、ワレモコウ、ツリガネニンジン、ヤマホトトギス、ツユクサ、ノダケ等。蝶/ヒメウラナミジャノメ(写真下左)、クロヒカゲ、クロアゲハ、ムラサキツバメ、ムラサキシジミ、ツバメシジミ、ルリシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/ハネナガイナゴ(写真下右)、アゲハモドキ、オジロアシナガゾウムシ、クロウリハムシ、ツマグロオオヨコバイ、ホシハラビロヘリカメムシ、シオカラトンボ、ミンミンゼミ、アブラゼミ等。鳥/カイツブリ、ガビチョウ、スズメ等。その他/シュレーゲルアオガエル、アマガエル等。
8月20日、群馬県多野郡吉井町赤谷公園
今年もまた去年と同じく甘楽PAに12時に着くように嬬恋村を後にした。なぜなら上州名物のモツ煮定食がなんと620円なのである。量も多いし柔らかいし、なによりとても美味しいのである。海老名ASや談合坂ASなんて、高い不味いのものばかりだが、まこと国定忠治の上州、きっぷが良いのである。
赤谷公園へ到着し、溜池へ降りて行く道のある雑木林のクヌギの木を見て回ったが、去年、オオムラサキやスミナガシが見られた木は、すっかり枯れていた。まるで多くの昆虫たちに体液を吸われて弱ってしまったかのようである。しからば、去年見られたオオミズアオやゴイシシジミはいないかと丹念に探したのだが、これまた見つける事が出来なかった。昼食に立ち寄った甘楽PAのトイレに羽化したばかりのものがいたので、時期的にはぴったりな筈である。もっとも隣接する空き地の木が切られ手入れがなされていたので、環境がかなり悪くなったのかもしれない。しかし、アブラゼミやミンミンゼミは、異常発生なのではと思われる程にたくさんいた。
溜池に降りて行くと、池に流れ込む小川で婚姻色をしたオイカワがすいすい泳ぎ、水面にはハグロトンボが舞っていた。しかし、溜池はホテイアオイや浮草等に占領されて水面がほとんど見えない。貴重なヒシ等の在来植物もこれで見られなくなるかもしれない、そんな訳で、目的としたイトトンボはそれ程多くはなかった。しかも、木陰一つ無い溜池の日差しは強烈で気温もぐんぐん上がり、あやうく熱中症になりかかった。そこで車に戻り、半袖半ズボンに着替え、サンダルに履き替えると、クーラーをがんがんかけて身体を冷やした。期待した赤谷公園がこんな状況となり、また、とんでもない暑さに閉口して、来年からは帰路の途中も涼しい所が良いかなと思いながら、上信越自動車道に乗った。
<今日観察出来たもの>花/ヤブラン、ツリガネニンジン、ハス等。蝶/アゲハ、オオムラサキ、ゴマダラチョウ、コミスジ等。昆虫/ツクツクボウシ(写真上右)、ハグロトンボ(写真下左)、セスジイトトンボ(写真下右)、クロイトトンボ、チョウトンボ、ミヤマアカネ、コフキトンボ、ショウジョウトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシ、ニイニイゼミ等。キノコ/ヒトクチタケ(写真上左)等。
8月19日(午後)、群馬県吾妻郡嬬恋村プリンスランド
午後はもちろん長いこと大変お世話になったプリンスランド内の散策に決めた。親戚の山の家に泊めていただいたお陰で、5万円入れて来たお財布に、まだ一万円も残っている。明日の高速道路代、ガソリン代、昼飯代に使っても、充分お釣りが来そうである。なんと10泊11日で5万円なのだから、本当に幸せ者である。いつものように元北軽井沢駅前の「ます屋」で鯖の味噌煮定食を食べ、プリンスランドに戻り、ムモンアカシジミの見られた場所に車を停めて健康昼寝をむさぼった。
散策を開始すると、細いヤマハンノキの幹にカナブンらしきものが止まっていた。近づいて確認すると極小のカブトムシの雄であった。嬬恋村で極小とはいえ、カブトムシに出会うのは久しぶりの事である。ことによったらまだ樹液が出ている木があるのではと付近を探し回ったら、褐色の蝶が飛び出して、その場所を教えてくれた。そこにはコムラサキの雄が2頭、かなり大きなカブトムシの雌が一匹、アオカナブンが2匹もいた。群馬の里山ではさんざんな目にあったが、なんとこんな至近距離に樹液酒場があったんだと苦笑した。
その後、前回はまだ傘がすっかり開いていないので、その正体がはっきりしなかったが、また行ってみると大きく傘を開いたアカヤマドリとなっていた。通常、アカヤマドリの傘の色は赤褐色なのだが、水分等の関係なのか黄褐色の傘となっていたのだ。いつもアカヤマドリが見られるヒマラヤスギの下なのだから、当然といえば当然である。キノコの図鑑に出てくるような典型的なものであったら、種名判別は簡単なのだが、そうでないと頭が混乱する。もっとも、キノコの図鑑も典型的な姿の写真ばかりを紹介している訳では無いのだから、これまた困った事である。
<今日観察出来たもの>花/ヤマハギ(写真上左)、ツリフネソウ、キツリフネ、キオン、ゴマナ、シラヤマギク、ツリガネニンジン、オオバギボウシ、コバギボウシ、シシウド、ウド、クルマバナ、オタカラコウ、センニンソウ、キンミズヒキ、ミズヒキ、ハエドクソウ、アカバナ、ノハラアザミ、オミナエシ、ダイコンソウ、カワミドリ等。蝶/コムラサキ、コミズジ、アサギマダラ等。昆虫/カブトムシ、アオカナブン等。鳥/アオゲラ、コゲラ、ゴジュウカラ、ハクセキレイ、キジバト等。キノコ/イロガワリ?(写真上右)、クサハツ(写真下左)、ミドリニガイグチ(写真下右)、キヒダタケ、ツチカブリ等。その他/チョウセンゴミシの実、ダンコウバイの実等。
8月19日(午前)、群馬県吾妻郡長野原町浅間牧場
嬬恋村での長期夏休みも今日一日となった。そんな訳で遠出する気にもなれないから、浅間牧場へまた行った。今回は牧場へ上がって行くコースを前回とは変えて、未舗装の林道を選んだ。昨日は気温が低くくて快適な一日だったのに、今日は強烈な太陽の光で焼け付くようだ。少し上がると雄大な浅間山が現われ、五合目から見る富士山に匹敵する迫力である。浅間山が見えない浅間牧場じゃ話にもならないのだが、とても暑いから日陰を選んで上って行った。するとイタドリにイタドリハムシがヒメヤシャブシの幼木の葉にオトシブミが見られた。更に登っ行くと、林の中から黄褐色の蝶が飛び出し葉の上に止った。何だろうと慎重に近づくと、なんと各所で探していたキマダラモドキであった。このシックな色合いバランスの良い羽の形、多くの蝶の中でもとても好きな一種である。また、林内には、まるで熟す前のブドウの房の様なチョウセンゴミシの実がたわわに実っていて嬉しくなった。
その後、前回と同じく牧場手前の草原へ行った。マツムシソウやワレモコウ等、初秋を感じさせる花々を撮っていると、なんとノハラアザミにスジボソヤマキチョウの雌やキアゲハが吸蜜に訪れた。「これなんですよね。浅間牧場のメインターゲットわ!」とほくそ笑んで、手持ちでばしばしシャツターを切った。デジタル一眼レフカメラになってISO感度が上げられるので、手持ちでもほほいのほいでとても撮影が楽である。浅間牧場はその名の通り牧場なのだから、自然植生を牧草地に変えているのは当然なのだが、今日の散策を通して、丹念に探し歩けば、まだまだ色々なものが見つかるんだと思ったことは言うまでも無い。今日はかなり暑いというのに、軽やかに「丘を越えて」の碑まで戻る事が出来た。
<今日観察出来たもの>花/オミナエシ、カセンソウ、ワレモコウ、ツリガネニンジン、ススキ、ノアザミ、ノハラアザミ、イヌゴマ、クルマバナ、シシウド、ウド、マツムシソウ、ノコギリソウ、オカトラノオ、タチフウロ、ダイコンソウ、コバギボウシ、コオニユリ、ゲンノショウコ等。蝶/キアゲハ(写真上左)、スジボソヤマキチョウ(写真上右)、キマダラモドキ(写真下左)、モンキチョウ、ヒメウラナミジャノメ等。昆虫/オトシブミ、ヨツスジハナカミキリ、ドロハマキチョッキリ、イタドリハムシ、アキアカネ等。その他/チョウセンゴミシの実(写真下右)、トチバニンジンの実等。
8月18日(午後)、群馬県吾妻郡六合村野反湖
午後からは雲行きが今一であったが、ここまで来たのだからと予定通り野反湖へ上がって行った。野反湖はダム湖であるが周りをハイマツが見られる高い山に囲まれ、透明な湖水が青々としていてとても美しく気持ちの良い高原である。蝶や野の花は今一なのだが、7月のニッコウキスゲの群落は素晴しい。また、この時期、ウメバチソウやヤマトリカブトが道端に生えていてくれるのも嬉しい限りである。
駐車場に車を停めて、今年もウメバチソウが見られるかなとダムサイトの方へ降りて行くと、有り難い事に一輪だけ純白な花を咲かせていた。付近には可愛らしい蕾がたくさんあるので、花期は9月入ってからだろう。ウメバチソウは天満宮の梅鉢の紋に似ているのでそう名が付けられたのだが、仮雄しべと呼ばれる細裂した先端に緑色の球体がついているとても面白い花である。このユニークな花芯を写し出すためには、露出をややアンダーで撮らなければならなくて、かなり撮影の難しい花である。
お次はヤマトリカブトだとキャンプ場の管理事務所まで行ってみると、一株の先端部分にのみ独特な青紫の花がついていた。付近にたくさんある株は、みんなソラマメのような蕾の状態で、これまた花期は9月に入っての事だろう。秋の高原の代表的な花であるリンドウの仲間もたくさん見られたので、きっと秋も楽しい花散歩が楽しめるに違いない。
一度はキャンプしてみたいと感ずるバンガローが立ち並ぶキャンプ場は、アキノキリンソウやヨツバヒヨドリが咲き乱れ、オオカメノキやナナカマドの実もたくさん見られた。余談だが、トイレで用を足すにはなんと3枚ものドアを開けないと便器に辿り着けない。それほど各種の蛾を中心とした昆虫が夜間に集って来るという訳なのだが、昼間でもかなりの種数の蛾が外壁に止っているので観察には最高かもしれない。
<今日観察出来たもの>花/ウメバチソウ(写真上左)、ヤマトリカブト(写真上右)、アキノキリンソウ(写真下左)、ワレモコウ、ヨツバヒヨドリ、ハンゴンソウ、ヤマホタルブクロ、ツリガネニンジン、ウド、シシウド、ヤナギラン、アカバナ、オトギリソウ、アサマフウロ、ヤマオダマキ、ノアザミ、ノハラアザミ、ノリウツギ等。蝶/アサギマダラ、ベニヒカゲ、ベニシジミ、オオチャバネセセリ等。昆虫/アキアカネ、テントウムシ、ヨツボシホソバ等。その他/オオカメノキの実(写真下右)、ナナカマドの実、ニッコウキスゲの実等。
8月18日(午前)、群馬県吾妻郡六合村和光原
今日は本当に久しぶりに北からの涼しい大陸の高気圧が南下して来て、関東地方は過ごしやすい曇り日が予報されていた。しかし、いざ出発と車に乗ったら、雨が落ちて来た。それでも今日は曇ったり小雨がぱらついたりの天候かなと思い、予定通りに六合村に向け出発した。今日のメインの観察地は野反湖なのだが、いつものように途中下車ならぬ途中観察で、和光原という六合村でも一番奥の集落周辺を午前中に散策した。急な山の斜面に家や畑が張り付いているようで、電気や水道はまだしも、ガスや下水道は当然通じてはいないのだろう。キャベツ畑が広がる嬬恋村に比べても、とても辺鄙な所と映る。しかし、土地のおばさんによると「良い所だよ!」との事で、住めばきっと都なのだろう。しかし、どう考えても、都市生活の便利さに慣れ親しんだ私には、住む事が出来ない。
また、六合村に住む方々はとても花が好きで、家の回りは花一杯で、オオハンゴウソウ、ルドベキア、ヒャクニチソウ、キバナコスモス、エゾギク、アスター、クサキョウチクトウ等、本当に美しくたくさん咲いている。また、畑の回りには、ピンクのナツズイセンが見られるのだから嬉しくなる。また、林道に入って行くと、これまたクサボタンというあまり見られない野草が咲いているのだから更に嬉しくなる。これらの花々をカメラの中に納めると、去年、様々なカミキリムシが見られた丸太の積んである所へ行ったが、腐朽がだいぶ進んだためか、それとも天候のためなのか、なんとキマワリが一匹這っているだけであった。今日の和光原は大満足とは程遠いものであったが、こんな途中下車ならぬ途中観察が大好きなので、発見の喜びを味わうためにも、来年もまたやって来ることだろう。
<今日観察出来たもの>花/ナツズイセン(写真上左)、クサボタン(写真上右)、クズ、センニンソウ、キツリフネ、ツリフネソウ、フシグロセンノウ、ハンゴンソウ、オオハンゴンソウ、ツユクサ、キンミズヒキ、ワレモコウ、オヤマボクチ等。蝶/コミスジ、サカハチチョウ、ジャノメチョウ等。昆虫/セマダラコガネ(写真下右)、キマワリ、クサツフキバッタ等。その他/サンショウの実(写真下左)等。
8月17日(午後)、長野県上田市民の森
今日は午後の観察は止めにしようかなとも思ったが、今年は長野県側へほとんど行っていない。毎年必ず行く信綱寺のある古城緑地広場にもお邪魔していない。それに天気予報では長野県は曇りとなっていた。そこで車を走らせて鳥居峠を越えたのだが、天気予報とは異なって晴れている。それでも前回よりは気温が低いものの、これでは西日が強烈な古城緑地広場ではホットケーキのように焼かれてしまう。そこで、林の中に入ってしまえばとても涼しかった上田市民の森へ行き先をかえた。散策を開始すると、すぐにトチノキの幹で前回は見られなかった美麗なツノアオカメムシを発見した。また、クヌギの樹液には8月中旬だというのに、オオムラサキの雄がなんと3頭もいて、比較的羽の痛みの少ないものも見られた。その他、ルリタテハもわんさか来ていて、相変わらずここだけは昆虫酒場がとても賑やかであった。
林の中に入って行くとかなり涼しい。今日もエゾゼミが見られたが、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ヒグシ、ツクツクボウシ、ニイニイゼミと、平地のセミがフルキャストで鳴いている。ここなら9月に入ってチッチゼミ、また赤松が多いから初夏にハルゼミも見られるかもしれない。また、アカエゾゼミもいる事だろう。NHKテレビによると、大阪の都市公園はクマゼミだらけで他のセミはアブラゼミがほんの僅か見られるだけであるという。都市化に伴うヒートアイランド現象、地表面がからからで硬く、孵化した極小幼虫はクマゼミ以外は地面の中にもぐり込めないらしい。たかがセミだが、上田市民の森のように多様なセミが見られるという事は、それだけ自然度が高くて、他の生き物達にも暮らし易い環境だとの証明である。そんな事を考えながら、林の中の草原でタチフウロやカワラナデシコ等を撮影した。
<今日観察出来たもの>花/タチフウロ(写真上左)、カワラナデシコ(写真上右)、センニンソウ、オオバギボウシ、コバギボウシ、キンミズヒキ、キオン、ヒヨドリバナ、オトコエシ、ワレモコウ、ユウガギク、オヤマボクチ、ツリガネニンジン、ゲンノショウコ等。蝶/サトキマダラヒカゲ(写真下左)、オオムラサキ、ルリタテハ、ジャノメチョウ等。昆虫/ツノアオカメムシ(写真下右)、エゾゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、コクワガタ、アオカナブン、オニベニシタバ、カシワマイマイ、アキアカネ等。
8月17日(午前)、群馬県吾妻郡嬬恋村鹿沢高原
明日から曇りがちの天気に変わるという。キベリタテハの観察には晴れないし薄曇り位でないと難しいので、予定を早めて鹿沢高原へ行った。林道を車で上って行くと、早くもキベリタテハが飛立った。そこで車を停めて急いで戻ってみると、アスファルトの端の白いペンキの帯の上に止っている。まあ、証拠写真とはなるもののシャッターを切る気にはなれない。そこで何処か別の場所に止ってよと飛立たせたが、また同じような所へ止る。そんな事を繰返した後に、キベリタテハは遠くに飛んで行ってしまった。露出した岩などから滲み出ている汁を吸っている時などは、ものすごく接近しても逃げないのだが、路上でテリトリーを張っている時は非常に敏感である。
しかし、これなら今日は期待出来るのではとキベリタテハのポイントを各所回ってみたものの、相変わらずエルタテハが少し見られる位で寂しい限りであった。やはり去年に比べてキベリタテハはもちろん、エルタテハ、アサギマダラ、ベニヒカゲ等の数も少なく、シータテハ、クジャクチョウは全く観察出来ない。平地と同様に蝶を含めた昆虫の数が少ないようである。そこで仕方なく様々な高原の花を撮り、「民宿わたらせ」で、今季2度目の山菜天ぷら定食を食べて車に戻ってみると、なんと小野路号の周りをキベリタテハがひらひら舞っている。やがて車に止って黄色い縁取りのあるチョコレート色の羽の表を見せて静止した。これも証拠写真としては良いのだが、シャツターを切る気になれない。そんな訳で、またしても何処か別の場所に止ってよと飛立たせたが、また小野路号に舞い戻って来る。そんな事を何回繰返した後、キベリタテハは遠くに飛び去ってしまった。結局、写真は一枚も撮れなかったのだが、今日はキベリタテハにたくさん遊んで貰った。それだけでも、まあ満足と言えるのかもしれない。
<今日観察出来たもの>花/ヤナギラン(写真上左)、クサレダマ(写真上右)、クララ(写真下左)、ユウスゲ、コオニユリ、シシウド、ウド、ノダケ、ツリガネニンジン、ノコギリソウ、ノアザミ、ノハラアザミ、ヤマホタルブクロ、ツリフネソウ、オカトラノオ、メマツヨイグサ、クサフジ、チダケサシ、コバギボウシ、ゲンノショウコ、ワレモコウ、サワヒヨドリ、ハンゴンソウ、ヤマオダマキ、ヤマハギ、ヤマハハコ、カワラナデシコ、アサマフウロ、シモツケ、シモツケソウ、キリンソウ、オトコエシ、ヒメジョウザクラ、アキノキリンソウ、ゴマナ、ノリウツギ等。蝶/キアゲハ、アサギマダラ、キベリタテハ、エルタテハ、コムラサキ、イチモンジチョウ、モンキチョウ、ヤマキマダラヒカゲ、ベニヒカゲ、オオチャバネセセリ等。昆虫/アキアカネ(写真下右)、ミヤマハンミョウ、コエゾゼミ、ホタルガ等。その他/コケモモの実、オオカメノキの実等。
8月16日(午後)、群馬県吾妻郡嬬恋村プリンスランド
昼飯は毎年恒例の元北軽井沢駅前の「ます屋」で野菜炒め定食を食べた。こんな電子レンジでチンの生活を繰返していると、野菜が不足するから、その補給という訳である。元北軽井沢駅の「元」とは、その昔、ここまで電車が来ていたのである。昼飯をたらふく食べると、午前中に強烈な日光を浴びた事もあってか、急に眠くなった。そういえばこちらに来てから健康昼寝を忘れていた。そこで涼しい木陰に車を停めて、しばしの爆睡をむさぼった。
せいぜい30分位の昼寝だが、かなりの疲労回復がなされて、プリンスランドに戻った。いつもの場所に車を停めて散策を開始すると、オレンジ色の小さな蝶が飛立って葉の上に止った。慎重に近づいてみると、なんとムモンアカシジミではないか。ムモンアカシジミは8月になってから発生し、アブラムシやカイガラムシを食べる異色のゼフィルスである。まさかまさかこんな標高の高い、しかも別荘地内で見つけるとは、本当に嬉しくなった。
ムモンアカシジミを無事に撮影すると、後はキノコちゃんだなと、もしやアカヤマドリが生えているかもしれないと、再び前回も探した場所に行ってみると、傘の色が赤褐色ではなく黄褐色だが、どう考えてもアカヤマドリとしか考えられない独特なひび割れ傘のキノコが生えていた。ちょっとおかしいなと思ったものの、後日、傘が完全に開いた状態のものを確認して、アカヤマドリと確信した。
その後、某医科大学の宿泊施設の広大な庭に入れてもらって、キノコ写真三昧にふけった。なにしろ小川のせせらぎ沿いで、まばらな木立の下にはびっしりと苔が生え、各種イグチ、ツチカブリ、テングタケダマシ、ヒロハチチタケ、クサハツ等、今のこの時期のここら周辺のキノコが爆生していた。キノコ好きの方なら一日中いても楽しい事だろう。
<今日観察出来たもの>花/キオン(写真上左)、オタカラコウ、カワミドリ、キツリフネ等。蝶/ムモンアカシジミ(写真上右)等。昆虫/アカアシクワガタ、アカハナカミキリ、キモンガ等。キノコ/アカヤマドリ(写真下左)、オニイグチ(写真下右)、カレバキツネタケ、テングタケダマシ、オオキヌハダトヤマタケ、キヒダタケ、ミヤマイロガワリ、イロガワリ、ミドリニガイグチ、ツチカブリ、ヒロハチチタケ、ニッケイタケ等。
8月16日(午前)、群馬県吾妻郡長野原町浅間牧場
こう暑いと下界に下りて行く気が起きない。また、樹液の出が悪いので昆虫酒場は閉店気味、それにアップダウンが多いし、クーラーを使用するから、ガソリンが面白いように減る。1リットル146円のスタンドがほとんどだから、ガソリン代も馬鹿にならない。よって、下界に下りて行っても暑いばかりで成果も乏しく、お財布のみが軽くなるという悲しむべき事態に陥る。そんな訳で、近場で涼しい所ということで浅間牧場へ行った。「丘を越えて」の碑まで登って行くと、今日は浅間山がクッキリと見える。暑い暑いと言っても空は秋の青空で、鱗雲さえ浮かんでいる。付近の草原にはススキが穂を出し、オミナエシが黄色く色を添えている。といった按配なのだが、照りつける日差しは焼けつくようだ。帰って知ったのだが、なんと熊谷と多治見で、72年ぶりに日本の最高気温を更新する40.9度にもなったのだという。
今日の浅間牧場での目的はノハラアザミに吸蜜に訪れる各種の蝶で、去年とても面白かったのだが、その場所に行ってみると綺麗に刈られてノハラアザミは1本だに見られなかった。これは本当に困ったなあと牧場に通ずる樹林脇の涼しい木陰の道を上って行くと、コエゾゼミが木の幹に止っていた。コエゾゼミもエゾゼミと同じく梢の小枝に止っている事が多いので、まったくラッキーという訳である。また、林内には真赤な独特な形の赤い実が見られ、その葉の形からトチバニンジンの実である事がすぐに分かった。また、ナンバンハコベもたくさん見られ、それなりに楽しめた。牧場手前の草刈がなされていない草原では、カセンソウ、オミナエシ、ツリガネニンジン、マツムシソウ、タチフウロと、本来の浅間高原の花々が咲いていた。しかし、風が少しありかなり暑いので、美しい写真をカメラの中に納める事が出来ずに残念であった。
<今日観察出来たもの>花/オミナエシ(写真上左)、カセンソウ(写真上右)、ワレモコウ、ツリガネニンジン、ススキ、ノアザミ、ノハラアザミ、イヌゴマ、クルマバナ、シシウド、ウド、マツムシソウ、ノコギリソウ、オカトラノオ、タチフウロ、ダイコンソウ、コバギボウシ、コオニユリ、ナンバンハコベ等。蝶/キアゲハ、モンキチョウ、コキマダラセセリ、ヒメウラナミジャノメ等。昆虫/コエゾゼミ(写真下左)、アキアカネ等。その他/トチバニンジンの実(写真下右)等。
8月15日(午後)、群馬県吾妻郡嬬恋村バラギ湖
バラギ湖はそんなにポイントがある訳ではないので、前回と同じ湖畔一周の遊歩道に入った。参加者の方々も真赤なフシグロセンノノウがお目当てである。遊歩道に入ってすぐの左手に群落があるが、以前はそこは木立の中であったのだが、木々が伐採されて陽が当たる草原に咲いている。撮影にはシャッター速度が上がって有り難いものの、やはりフシグロセンノウは木陰に咲いていてこそ風情がある。また、いざ写真を撮ろうとすると、花弁が虫に食べられていたりして、なかなか良い花に巡り合わないのである。
遊歩道を更に進むと、ミズタマソウと蕾が赤いミズタマソウに良く似た格好のタニタデがたくさん生えていた。また、目聡い鎌倉のNちゃんが「これ見たことがない」と指差す。無理も無い、私も去年初めて出会ったナンバンハコベであった。
遊歩道を更に進んで遊歩道の中程、前回、オトシブミとゴマダラオトシブミが見られたヤマハンノキの幼木の葉には、今日も有り難い事に両種とも見られた。ことに山地でしか見られない真赤なオトシブミはたくさんいて、参加者の方々は次々とシャッターを切った。ゴマダラオトシブミは、やはり目聡い鎌倉のNちゃんが見つけてくれた。Nちゃんによると、オトシブミは揺籃を地面に落としたようである。こんな習性を観察するのもオトシブミやチョッキリならではで、種類によっては落とさないもの、落としたり落とさなかったりするものもいるようである。
ぐるっと一周して駐車場に戻ると早くも午後4時、帰省ラッシュの中を帰らなければならないお仲間に、裏道である二度上峠越えの途中まで道案内をした。高崎まで辿り着けば、なんとか今日中に自宅に辿り着けるだろう。来年の高原での観察会を約束して、今日の一日は無事に終わった。
<今日観察出来たもの>花/タニタデ(写真上左)、ツリフネソウ(写真上右)、キツリフネ、ミズタマソウ、オヤマボクチ、クルマバナ、フシグロセンノウ、オトギリソウ、トモエソウ、マルバダケブキ、ノコギリソウ、ノアザミ、ノハラアザミ、ヤマホタルブクロ、サワギキョウ、クサレダマ、カワミドリ、ウツボグサ、オカトラノオ、シシウド、ウド、メマツヨイグサ、クサフジ、ダイコンソウ、チダケサシ、コバギボウシ、コオニユリ、キキョウ、ゲンノショウコ、ワレモコウ、ヤマトリカブト、メタカラコウ、ナンバンハコベ等。昆虫/ゴマダラオトシブミ(写真下右)、オトシブミ、マメコガネ、、ヒョウモンエダシャク等。その他/ミヤマザクラの実(写真下左)等。
8月15日(午前)、群馬県吾妻郡嬬恋村鹿沢高原
今日は楽しみにしていた「キベリタテハ観察会」の日である。集合時間よりも1時間ほど早く現地に到着して付近を散策していると、お仲間の座間市のSさんに出合った。集合時間までの間がもったいないという訳である。こんな遠い所だから参加者はかなり少ないと思ったが、なんと私も入れて計7名となった。天気は有り難い事に雲が多くて、こんな日は高原の花を撮影するのにはぴったりなので、みんなばしばしシャッターを切った。目的のキベリタテハだが、ポイントを次々に回ってみたものの遂に見ることが出来なかった。それでも、アサギマダラ、エルタテハはたくさんいて、高原の花々は美しく咲き乱れていた。そんな訳で参加者全員とても満足そうであった。
この辺りの一級の景観は池の平に譲るが、お盆の頃は都会の繁華街の様な賑わいとなってゆっくりと楽しめない。しかし、ここは捕虫網を持った蝶の採集家が目障りだが、本当にのんぴりとした別天地である。また、「民宿わたらせ」も大好評で、胸を撫ぜ下ろした事は言うまでも無い。今日一番の私にとっての収穫はモウセンゴケの花で、お恥ずかしい話だが、モウセンゴケは胞子で増える地衣蘚苔類であるとずっと思っていたので、まさか可憐な白い花が咲くとは思っていなかったのだ。以上、午前10時からの観察会はあっという間に昼飯の時間となった。「民宿わたらせ」へ戻ると、もちろん岩魚の塩焼き定食を注文した。
キベリタテハがいないのなら午後からバラギ湖へ行ってみようという事になって車を走らせたら、なんと2分も走らないうちにキベリタテハが道路上に飛んでいた。それを確認したのは私だけだったのだが、かなりのスピードが出ている下り坂だったので、急停車して皆さんに観察してもらえなかったのがまことに残念であった。
<今日観察出来たもの>花/ユウスゲ(写真上左)、モウセンゴケ(写真上右)、コオニユリ、シシウド、ツリガネニンジン、アカバナ、オトギリソウ、マルバダケブキ、ノコギリソウ、ノアザミ、ノハラアザミ、ヤマホタルブクロ、クサレダマ、ツリフネソウ、ウツボグサ、オカトラノオ、ウド、ヤナギラン、メマツヨイグサ、クサフジ、ダイコンソウ、チダケサシ、コバギボウシ、ゲンノショウコ、ワレモコウ、サワヒヨドリ、ハンゴンソウ、ヤマオダマキ、ヤマハギ、ビロードモウズイカ、ヤマハハコ、カワラナデシコ、アサマフウロ、シモツケ、シモツケソウ、キリンソウ、ウスユキソウ、クガイソウ、オトコエシ、ヒメジョウザクラ、イケマ、ノリウツギ等。蝶/アサギマダラ、キベリタテハ、エルタテハ、コムラサキ、テングチョウ、ベニヒカゲ、オオチャバネセセリ、ゼフィルスの雄等。昆虫/ヨツボシナガツツハムシ(写真下右)、ルリボシヤンマ、アキアカネ、ヒナバッタ、コエゾゼミ等。その他/コケモモの実(写真下左)、オオカメノキの実等。
8月14日(午後)、群馬県高崎市倉渕村西榛名広域農道
今日の様な猛暑でも倉渕村に下りて行くのは、樹液にやって来る様々な蝶や昆虫が見られるからである。その前に、いつものように定食屋でハムエッグ定食を食べて、西榛名広域農道に通ずる道を上って行った。途中、棚田の脇にあるクヌギの木が樹液を出しているので車を停めて見に行ったが、今年はからからに乾いていてカナブンすら見られない。ここでこういう惨状では他所も駄目かなと暗い思いがよぎったのは言うまでも無い。広域農道に到着すると炭焼き小屋に積んである丸太を見て回った。太陽が当たっているのにルリボシカミキリが見られた。もう少し日陰に置いてあったら、他のカミキリや美麗なタマムシもやって来るだろうにと、いつも残念に思う。
多分シイタケのほだ木を育てているのだろうクヌギやコナラを主体とした美しい雑木林に入って行くと、久しぶりに薮蚊の歓迎を受けた。そこで高原では必要の無い蚊取り線香に火をつけ腰にぶら下げた。まず最初にノコギリカミキリがコナラの幹に止っていた。これは幸先が良いなと思ったものの後が続かない。そこで次の雑木林、次の雑木林と巡り歩いたものの樹液がまるっきり出ていなくて天を仰いだ。去年もそんな沈痛なムードであったが、最後の雑木林でミヤマクワガタ、スミナガシ等に出会えて万々歳だったので、最後の望みをかけてその雑木林に行ってみた。二本のクヌギの木から樹液は出ていたが、コクワガタ、アオカナブン、ルリタテハ等の平凡なものだけで、かなり粘ったものの遂にスミナガシには出会えなかった。これでは今日は惨敗だなあと覚悟したが、最後にヤナギの木でアカアシクワガタを撮って切り止めにした。今日の倉渕村はとても暑かったが、ニュースによると軽井沢でも30度を越えたという。今日の貧果と暑さは心を暗くして、これからの観察に自信が持てなくなった。
<今日観察出来たもの>花/ツルフジパカマ(写真上右)、ナンテンハギ、コマツナギ、ヤマハギ、ノササゲ、クズ、オオハンゴンソウ、アキノタムラソウ、キツネノカミソリ、ヘクソカズラ、コバギボウシ、ミズタマソウ等。蝶/コムラサキ、ルリタテハ、サトキマダラヒカゲ等。昆虫/ノコギリカミキリ(写真上左)、アカアシクワガタ(写真下左)、コクワガタ(写真下右)、ヨツボシオオキスイ、アオカナブン、ルリボシカミキリ、オオゾウムシ、マダラアシゾウムシ等。
8月14日(午前)、群馬県高崎市倉渕村烏川渓谷
今日も青空が広がっている。もう半月程猛暑が続いている訳で、本当にうんざりする。こんな時は高原にいるのが一番なのだが、二度上峠を越えて倉渕村へ降りて行くのだから、まあ変人かもしれない。峠を越えると榛名山方面は曇っている。「ヤッター!」と歓声を上げたものの、結局は時が経つに連れて雲一つ無い青空となった。
今日の主なる観察地は後述する西榛名広域農道なのだが、そこへ直行というのも芸が無い。そこで途中停車しての観察という訳で、普通なら車で通り過ぎてしまうような所である。そんな名も無き場所での道端自然観察も、実は大変面白いのである。散策を開始すると、かなり多くのサカハチチョウの夏型がオトコエシで吸蜜していた。他の花には見向きもしないのだから、余程お気に入りなのだろう。サカハチチョウは春型と夏型では斑紋ががらりと変わって、蝶の分類が進んでいない頃には別種として扱われていたという。また、一見するとサカハチチョウに良く似たコミスジもたくさんいて、小鳥の糞でも着いているのだろうか、小枝に静止して口吻を伸ばしていた。
路傍にたくさん生えるイタドリの葉には、テントウムシに擬態したイタドリハムシが見られた。その他、甲虫ではヨツスジハナカミキリやアカハナカミキリが見られ、花では路傍にキツリフネ、ツリフネソウ、クルマバナが咲き、山の斜面下部の日陰にはタマアジサイが群落をつくって咲いていた。また、あまり見られないクサボタンが釣鐘型の可憐な花を咲かせていたので嬉しくなった。別段、これと言った注目すべきものは観察出来なかったものの、こんな見過ごして通り過ぎてしまう様な道端にも様々な昆虫達が生活し、様々な野の花が咲き誇っているんだと、そんな貴重な思いを与えてくれた。
<今日観察出来たもの>花/クルマバナ(写真上左)、キツリフネ(写真上右)、クサボタン、ツリガネニンジン、オトギリソウ、オトコエシ、センニンソウ、タマアジサイ等。蝶/サカハチチョウ(写真下左)、コミズジ(写真下右)等。昆虫/イタドリハムシ、ヒグラシ、ウシアブ、ヨツスジハナカミキリ、アカハナカミキリ等。
8月13日(午後)、長野県上田市民の森
午後からはどうしようか、このまま菅平高原にいてダボスの丘の方へ行ってみようか、キキョウやマツムシソウが咲いているだろうし、野鳥観察のポイントでもある。そう考えたものの、野菜は食べ放題だが
900円とお高いビーフカレーを、かなり待たされて食べるのもかったるい。そこで真田町の駅前食堂目指して涼しい高原を後にした。信州の下界もとても暑く、おまけに駅前食堂はお盆休み。仕方なく近くの食堂へ入ってみたら、なんとサンマの塩焼き定食が600円と格安なのには驚いた。
真田町周辺には多くの道端自然観察の好場所があるのだが、もしかしたらアイタケが生えているかもしれないと上田市民の森へ行った。しかし、キノコはまったく見られなかったので眉をしかめた。それでも林の中はとても涼しく、ここでは初めてとなるエゾゼミがたくさん見られた。昨晩のNHKテレビ「ダーウィンが来た」で放送されていたアメリカの17年ゼミ(17年に一度しか現われない)とまでは行かないものの、エゾゼミの発生数も年によって、かなりの過多があるのだろうか。また、平地のセミはほとんどが幹に止っているが、エゾゼミやコエゾゼミは梢の細い枝の方に止っている事が多いのも、習性としては面白い。
ここでの目的の一つである美麗なツノアオカメムシは、かなり探したものの見つからなかった。しかし、クヌギの樹液に飛び古したオオムラサキやルリタテハや各種のカナブン、オニベニシタバ、コシロシタバ等が見られ、ごつい姿のウスバカミキリにも出会った。また、カシワマイマイがたくさんいて、シラカバの幹に独特の卵塊を産みつけていた。そんな訳で樹液が出ている木を何回も見回ったら、なんとミオマクワガタが、のそりのそりと降りて来た。これなんですよね里山の雑木林の楽しみはと、にんまりした事は言うまでも無い。
<今日観察出来たもの>花/カワラナデシコ、センニンソウ、オオバギボウシ、キンミズヒキ等。蝶/オオムラサキ、ルリタテハ、ジャノメチョウ、クロアゲハ等。昆虫/エゾゼミ(写真上左)、アオカナブン(写真上右)、ミヤマクワガタ(写真下左)、ウスバカミキリ(写真下右)、ミンミンゼミ、ニイニイゼミ、ヒグラシ、オニヤンマ、シロテンハナムグリ、オニベニシタバ、カシワマイマイ等。
8月13日(午前)、長野県上田市菅平高原
一昨日行ったバラギ湖で、期待したキマダラモドキが見られなかったので、昨年、かなり見られた菅平高原の「自然館」へ行った。昨年見られたポイントへ行ってみたものの、1頭だに見られない。そこで、ぐるりと1周遊歩道を歩いたが、キマダラモドキはおろか他の蝶も見られないのだからお手上げである。しからば花はというと、コンフリーがやたらに多いだけで、これといったものが見られない。ウバユリがまだ咲き残っていたものの終期で、やっとミゾホオズキを撮る事が出来た。昆虫ではアシアカカメムシという平地では見られないカメムシが多産していたものの、去年、ルリボシヤンマが飛んでいた池へ行ってみたが、リスアカネがかわりにいるだけであった。野鳥ではアカハラが人懐こくて、デジスコを持っていたら良い写真が撮れた事だろう。やはり菅平は開発が進んでいて道端自然観察には不適、若者のスポーツの高原であった。
<今日観察出来たもの>花/ミゾホオズキ(写真上左)、イヌゴマ、コンフリー、アカバナ、ミズタマソウ、アサマフウロ、ゲンノショウコ、ダイコンソウ、ウバユリ、ツリフネソウ、キツリフネ、セリ等。蝶/クロアゲハ、キアゲハ等。昆虫/リスアカネ(写真上左)、アシアカカメムシ等。鳥/アカハラ、アオサギ、カルガモ等。
8月12日、群馬県吾妻郡嬬恋村鹿沢高原
今日は何たって此処、花と蝶の宝庫である鹿沢高原へ行った。今年は蝶の発生数が平地では少なく、カンカン照りが続いて乾燥しているから、果たしてどうだろうと心配が頭をよぎった。いつもの様に林道をゆっくり車で上って行くと、エルタテハ、コムラサキ、アサギマダラが出迎えてくれた。この分なら蝶に関してはあぶれは無いだろうと、様々な蝶が見られる第1ポイントに車を停めて散策を開始した。すると水色にキラキラ光るゼフィルスの雄が卍飛行をしていて、しばらくすると葉上に止って羽を開いた。慎重に近づいて見ると、オオミドリシジミの仲間なのだが、山地には様々なゼフィルスがいるので、種名の確定までには至らなかった。また、コムラサキの大きな雄が日光浴をしていて、路傍のサワヒヨドリには本当にたくさんのアサギマダラが吸蜜していた。
15日には、ここで「キベリタテハ観察会」が開かれる。そこでキベリタテハの最大のポイントである岩が露出した場所へ行って見た。例年、岩から滲み出る汁を吸いに、キベリタテハ、エルタテハ、シータテハ、クジャクチョウ、コムラサキ等が集って来るのだが、今年は汁がまるっきり出ていなくて、エルタテハが見られるだけであった。これを見て15日の観察会が思いやられたが、アザギマタラやエルタテハはかなりいるし、高原の花々は百花繚乱である。蝶だけがメインの方々ではないので、きっと満足してくれるだろう。そこでいつものように民宿「わたらせ」へ行って、山菜天ぷら定食を注文した。シンプルでとても美味しい。キベリタテハ観察会に参加する方々は、この「わたらせ」の美味しい料理を味わえ、なんと言ってもとっても涼しいのだから、命の洗濯になる事は間違いないなと確信した。
<今日観察出来たもの>花/コオニユリ(写真上左)、シシウド(写真上右)、ツリガネニンジン(写真下左)、アカバナ、オトギリソウ、マルバダケブキ、ノコギリソウ、ノアザミ、ノハラアザミ、ヤマホタルブクロ、クサレダマ、ツリフネソウ、ウツボグサ、オカトラノオ、ウド、ヤナギラン、メマツヨイグサ、クサフジ、ダイコンソウ、チダケサシ、コバギボウシ、ゲンノショウコ、ワレモコウ、サワヒヨドリ、ウスユキソウ、ハンゴンソウ、コウリンカ、クガイソウ、ヤマオダマキ、ヤマハギ、ビロードモウズイカ、ヤマハハコ、カワラナデシコ、アサマフウロ、シモツケ、シモツケソウ、キンレイカ、キリンソウ、カラマツソウ、ユウスゲ、オトコエシ、ノリウツギ等。蝶/アサギマダラ(写真下右)、エルタテハ、コムラサキ、テングチョウ、ベニヒカゲ、ヒメキマダラヒカゲ、キアゲハ、オオチャバネセセリ、ゼフィルスの雄等。昆虫/アカハナカミキリ、ミヤマハンミョウ、アキアカネ、コノシメトンボ、ヒナバッタ、コエゾゼミ、キモンガ等。その他/オオカメノキの実等。
8月11日(午後)、群馬県吾妻郡嬬恋村プリンスランド
今日は泊まり先の親戚の山の家の草むしり及び落ち葉集めもあるし、これからの食料の買出しもあるからとバラギ湖を午前中だけで切り止めにした。スーパーに立ち寄って戻ったものの、まだ陽がかなり高い。まあ、草むしり等は夕方の2時間位で済ませれば良いかなと、シグマ150ミリマクロからシグマ17〜70ミリマクロに付け替えて、キノコのポイントである軽井沢白樺高原教会周辺に向った。キノコの命はとても短いから、初日に覗いておかなければ後悔するかもしれないとも思った訳でもある。このところ猛暑続きで雨が降らないからキノコの発生は少ないだろうと、それほど期待していなかったのだが、小川沿いの苔むした場所で、ミヤマイロガワリ、イロガワリ、ミドリニガイグチ、ヒメコウジタケ等がかなり生えていて、また、林の中にはツチカブリが爆生していた。
これなら夏休みに一番楽しみにしているキノコであるアカヤマドリも生えているかもしれないとテニスコート脇のポイントへ行ってみたが、虫に食われたイボテングタケとカワリハツが生えているだけだった。また、隣接するウスタケのポイントへ行って見たが、かなり萎びた老菌が見られただけであった。きっと一週間位前なら様々なキノコが見られただろうと舌をかんだ。それでも今日は初日である。週間天気予報ではお日様マークばかりが並んでいるが、山間部だから雷様の登場も期待出来ると、山の家に戻って草むしりを開始した。大きなポリ袋に6杯になった所で、高原だというのに汗をびっしょりかき疲れてしまったので中止した。この分では後4杯の計10杯となるだろう。明日から一日一杯の草むしり及び落ち葉集めをして行けば良いのだと、冷たく美味しい水道の水をがぶ飲みした。
<今日観察出来たもの>花/キオン、オタカラコウ等。キノコ/ミヤマロガワリ(写真上左)、ツチカブリ(写真上右)、ヒメコウジタケ(写真下左)、クロラッパタケ(写真下右)、テングタケ、シロイボカサタケ、イロガワリ、ミドリニガイグチ、カワリハツ、ヒロハチチタケ、ウスタケ、ニッケイタケ、オニイグチ等。鳥/クロツグミ等。
8月11日(午前)、群馬県吾妻郡嬬恋村バラギ湖
昨日午前11時頃に自宅を出発して、陽がある内に嬬恋村になんとか到着する事が出来た。関越自動車道及び上信越自動車道はかなり空いていたのだが、都内を抜ける魔の環8が大渋滞であったのだ。1日早く夏休みのヴァカンスや帰省にと考えている方が多かったのか、また10日であったから、一般道が混む日であったのかもしれない。奇怪な山容の妙義山が良く見える横川SAで小休止すると、昔懐かしい高崎の駅弁「だるま弁当」が売られていた。苦手なコンニャクが入っているのも忘れて、今晩の夕飯にと購入した。それにしても上州には美味しい名物が多い。横川の釜飯、赤城山のわっぱめし、甘楽SAのモツ煮等がすぐに思い浮かぶ。軽井沢に到着すると、道路脇の気温表示が28度と表示され、それほど涼しくなかったものの、峰の茶屋を越えると快適な気温となった。
一夜明けた今日は、去年と同じでバラギ湖へ行った。車で20分とはかからない距離である。散策を開始すると強烈な真夏の太陽の光が降り注いで来た。大気が澄んでいるから尚更である。今日の目的はフシグロセンノウである。これから行く様々な高原では何故かフシグロセンノウにお目にかかれないのである。もう何べんも書いているが、フシグロセンノウに初めて出会ったのは青春の真っ盛りであった18歳の頃の大菩薩峠で、とても印象深く残っているのである。フシグロセンノウは今年もいつもの場所にたくさん咲いていて、無事にカメラの中に納める事が出来た。お次は林の中にいるキマダラモドキだと頑張ったのだが、お目にかかる事が出来なかった。しかし、ヤマハンノキの幼木の葉に、真赤なオトシブミやゴマダラオトシブミがたくさんいて嬉しくなった。
<今日観察出来たもの>花/フシグロセンノウ(写真上左)、アカバナ(写真上右)、オトギリソウ、トモエソウ、マルバダケブキ、ノコギリソウ、ノアザミ、ノハラアザミ、ヤマホタルブクロ、サワギキョウ、クサレダマ、カワミドリ、ツリフネソウ、ウツボグサ、オカトラノオ、シシウド、ウド、ヤナギラン、メマツヨイグサ、クサフジ、ダイコンソウ、チダケサシ、コバギボウシ、コオニユリ、ツユクサ、キキョウ、マツムシソウ、ゲンノショウコ、ワレモコウ、ヤマトリカブト、メタカラコウ等。蝶/ミドリヒョウモン、ヒョウモンチョウ、ジャノメチョウ、イチモンジチョウ、ゼフィルスの雄等。昆虫/ヒョウモンエダシャク(写真下左)、オトシブミ(写真下右)、ゴマダラオトシブミ、セマダラコガネ、マメコガネ、クロイトトンボ等。
8月9日、横浜市緑区横浜動物の森公園
朝起きて外へ出てみると、眩しいほどの夏の光に溢れていた。夏の太平洋高気圧にすっぽり覆われているようである。高校野球も甲子園で始まり、いよいよしばらくの間、日本の夏が全国各地隅々で繰り広げられる。私も明日から群馬県の嬬恋村にて、恒例の長期夏休みに入る。そんな訳で、何か撮り残したものはないかと考えていたら、ゴマダラチョウが浮かんで来た。そこで前回は見られなかったものの、一番可能性のある横浜動物の森公園へ行ってみた。すると、かなり弱ったゴマダラチョウが、よろよろと飛んで来てクヌギの幹に止まった。片方の羽は破損し触覚も曲がっていて、今日か明日かの命のようである。もっと新鮮な個体をカメラの中に納めたかったのだが、最近では希少種となりつつあるので、なるべく新鮮で生き生きとした写真になる方角からシャッターを切った。
<今日観察出来たもの>花/ダイコンソウ、ハエドクソウ、ヤブラン、ミズヒキ等。蝶/ゴマダラチョウ(写真上左)、アカボシゴマダラ、ジャノメチョウ、ルリタテハ、サトキマダラヒカゲ、アゲハ等。昆虫/オオシオカラトンボの雌(写真上右)、カブトムシ、カナブン、クロカナブン、ヒグラシ、マダラカマドウマ等。
8月8日、東京都葛飾区都立水元公園
今日は冷房がんがん昼寝たっぷりの楽珍電車で、寅さんの故郷、葛飾は柴又帝釈天の近くの都立水元公園へ行った。水元とはまこと的を得た名称で、足元に広々とした水辺が広がっている。この水辺は「小合溜(こあいだめ)」と呼ばれ、1300年頃の記述にも見られる古い歴史のある遊水地であるという。いつも水元公園へやって来ると、池でもないし川でもないし運河でもないしと感じていたが、大きな遊水地と分かって納得した。この広大な遊水地を渡って来る風はとても涼しく、木陰に入ると嬉しくなる程に快適である。今日も木陰で過ごすたくさんの方が見られたが、まこと当然な事であるなあと微笑んだ。
今日の目的はウチワヤンマとコムラサキである。去年まではチョウトンボをメインターゲットとしていたが、今年は有り難い事に港北ニュータウンで撮影出来たので、絵になる場所にいたら撮ろうと気楽なものである。また、風がかなり強いので、ひらひら飛ぶチョウトンボは水辺近くに寄りつかないだろうとも思った。小合溜の岸辺に期待して行くと、誰が立てたのか棒の先に早くもウチワヤンマが止まっていた。他所のウチワヤンマについては分からないものの、水元公園のウチワヤンマは50センチくらい近づいても逃げない。身体がオニヤンマ位の大きさだから、広角接写でもしたら楽しい写真となるであろう。また、水面から顔を出している古杭にも、たくさんウチワヤンマが止っていた。
そんな訳で楽々ほいとウチワヤンマをカメラの中に納め、去年、チョウトンボの見られた場所に行ってみたが、一匹だに見ることが出来なかった。こうなったら心置きなく涼しい木陰で樹液にやって来るコムラサキだと更に奥に進むと、去年たっぷり樹液を出していたコナラが、今年も昆虫相手の樹液酒場を開いていた。しかし、肝心要のコムラサキがいない、コガタスズメバチばかりである。これは困ったなあと丸太に腰を降ろして、しばし待つと、コムラサキがやって来た。しかし、紫色に光る雄ではなく雌である。そこで更に待つと、なんと合計4頭が一堂に会した。これは頂きと雄のみに絞ってシャッターを切ったが、なかなか紫色に光る写真が撮れない。羽化してから数日経ったものが多く、おまけにコムラサキは羽の開き具合、光の当たり具合によって、光ったり光らなかったりするのだから撮影がとても難しい。ぴたりと羽を開いて美しく光っているものは羽が痛んだ個体であったりして、とうとう3時間もの観察となってしまった。それでも最近珍しいアカタテハ等もやって来て、おまけに前述したようにとても涼しいから、あっという間に時間が過ぎ去った。やはり今日は8月8日、ワッハッハの日となった事は言うまでもない。
<今日観察出来たもの>蝶/コムラサキ(写真上右)、ルリタテハ(写真中左)、キタテハ(写真中右)、アカタテハ、ヒメジャノメ、クロアゲハ、キアゲハ、アゲハ、アオスジアゲハ等。昆虫/ウチワヤンマ(写真上左)、コガタスズメバチ(写真下左)、ニイニイゼミ(写真下右)、アブラゼミ、カナブン等。
8月7日、神奈川県大和市泉の森公園
アオバズクやサンコウチョウの巣立ちが終わると、鳥撮りは農閑期ならぬ鳥閑期となる。また、猛暑が続いている事もあって、8月は鳥撮りは全休だなと思っていた。しかし、デジスコセットを外気にさらさないと、カビの発生が心配である。そんな訳で、夕方近くになると梢が太陽光線を遮って日陰となる泉の森公園へ行った。期待したカワセミは何度も現れて止まり木に止まり、小魚を狙ってダイブを繰返してくれた。身体の色具合からして、今年生まれた個体のようである。こんな猛暑が続いても、自力で餌を捕らなければならない野生動物は本当に大変である。お金さえ持っていれば何とかご飯にありつける人間とは大違いである。昨晩観察したアブラゼミといい、今日のカワセミといい、こんなに頑張っているのだから、私も「年老いて五十肩を病む身」等と嘆いていては天罰が当たりそうである。
<今日観察出来たもの>蝶/アカボシゴマダラ等。昆虫/ギンヤンマ、シオカラトンボ等。鳥/カワセミ(写真上)、カルガモ、カイツブリ、キジバト、オナガ、スズメ等。
8月6日、横浜市都筑区茅ヶ崎公園
コーナンで買った格安防寒作業服を、また着る日がやって来るのかなあと疑ってしまう程の猛暑が続いている。年老いて五十肩を病む身には、まこと耐え難い日々の連続である。そんな訳で、夜の公園ならいくらか涼しいのではないかと、セミの羽化の観察に茅ヶ崎公園へ行った。ミンミンゼミの羽化も見られたものの、アブラゼミの羽化の最盛期で、こんなに地中にいたのかと驚く程の数であった。ミンミンゼミが見られた場所は、ある一定の場所のみだったので、きっと緩やかな棲み分けをしているのだろう。教育熱心で生き物大好きの若い母親と子供連れがセミの羽化の観察にやって来ていたので、樹液にやって来ているカブトムシを見せて上げると、飛び上がらんばかりに喜んでいた。覗き等の変質者と思われる可能性はあるものの、真夏の夜の昆虫観察は是非とも経験して欲しい道端自然観察の一つなのである。
<今日観察出来たもの>昆虫/アブラゼミの羽化(写真上)、ミンミンゼミの羽化、カブトムシ、カナブン等。
8月5日、横浜市緑区長津田町
今日も猛暑、35度をうかがう程に気温が上昇するという。車のラジオでNHKを選局すると、「暑いですね!もう堪りませんよ!セミがうるさいほど鳴いて、余計暑苦しく感じます!」なんて女性アナウンサーが喋るのだからうんざりする。夏にセミが鳴くのは当たり前だし、環境がとても良い証拠。みんなが暑い暑いと思っているのだから、公共放送のアナウンサーたるもの、火に油を注ぐような言動は止して貰いたいものである。どうせ冷房ががんがん効いているスタジオ内からの放送なのだから尚更だ。
まあ、こんな暑さをアナウンサーに苦言を申したてても気温は下がらないのだから、好い加減に散策しようと車を走らせた。今日の目的は、昨日とうとう発見出来なかったゴマダラチョウである。私の子供の頃は、カブトムシを探しに行くと、それこそ何頭でも見られたお邪魔蝶だったのだが、最近は本当に希少種となりつつある。更に昨日紹介した中国渡来のアカボシゴマダラと、その生態がほとんど同じなのだから、さぞかし暮らし難い事だろう。全国各地の池に放たれたブラックバスが、在来魚類を絶滅に追いやると駆除が始まったが、その内にアカボシゴマダラ撲滅作戦なんかが行なわれるかもしれない。
今日は先だって行った(仮称)カブトムシの森、(仮称)東名高速の森、(仮称)国道246号線の森と、緑区内の雑木林をパトロールしたが、とうとうゴマダラチョウを発見する事が出来なかった。もっともゴマダラチョウはもう少し発生時期が遅れるのかもしれないので、お盆の長期夏休み前に、もう一度挑戦してみることにした。そんな訳で今日はとてつもない貧果であったが、ススキの葉で休むアカハネナガウンカと戯れた。黒目(擬似瞳孔)が動くお惚け顔の昆虫である。その後、もう一枚と頑張ったが、暑さに抗し切れずに早々の退散となった。
<今日観察出来たもの>花/カクレミノ(写真上左)、ハエドクソウ(写真上右)、ヤマホトトギス、ヤブラン、ツユクサ、ミズヒキ、ツルボ等。蝶/アカボシゴマダラ、ジャノメチョウ、ルリタテハ、サトキマダラヒカゲ、クロヒカゲ、アゲハ等。昆虫/アカハネナガウンカ(写真下)、カブトムシ、カナブン、クロカナブン、オニヤンマ等。
8月4日(午後)、横浜市緑区横浜動物の森公園
午後からは雑木林の中だから暑さはしのげるだろうと、横浜動物の森公園へ行った。去年の8月5日に、なんとオオムラサキを始め、アカボシゴマダラ、ゴマダラチョウ、ルリタテハ等がいて、とっても面白かったので、今年もまたという訳である。今年の横浜動物の森公園の雑木林の樹液の出は今一で、果たしてどうかなあと心配したが、アカボシゴマダラが吸汁していてほっとした。アカボシゴマダラは今更ご紹介するまでもなく、篭脱けの鳥ならぬ篭脱けの蝶である。湘南地方の蝶愛好家が中国産のものを放蝶したらしく、今では八王子市でも見られるという。その飛翔はアサギマダラのように緩やかで、きっと性格も温和なのではと思っていたが、吸汁している先客を後から来たものが追払ったりするのを目撃した。今年は数少ない樹液を奪い合いという事なのだろう。
そん訳でアカボシゴマダラは容易く撮影出来たが、オオムラサキはともかく、ゴマダラチョウには会いたい撮影したいと探し回ったが、1頭だにお目にかかれない。こうなったら湿地の近くで薮蚊がやたらに多い雑木林に行くしかないなと考え行って見たが、ゴマダラチョウの姿はここにも無くアカボシゴマダラがかなりたくさんいた。また、ジャノメチョウ、クロヒカゲ、サトキマダラヒカゲも吸汁していて、瑠璃色に美しいルリタテハも見られた。ルリタテハは羽を閉じていたらただの黒褐色の蝶だから、羽が開くのを三脚を立てて待ち続けた。そんな辛抱が実って無事に羽を開いた写真を手にする事が出来たが、薮蚊にたくさん刺されてしまった。蚊取り線香を腰にぶら下げていても、長ズボンをはいていても、薮蚊がわんさかいる所ではかなり刺されてしまう。まあ、肥満気味なのだから血液ぐらい提供しても良いのだが、やっぱり痒いのは御免である。
<今日観察出来たもの>花/ヤブラン、ツユクサ等。蝶/アカボシゴマダラ(写真上左)、ジャノメチョウ(写真上右)、ルリタテハ(写真下左)、サトキマダラヒカゲ(写真下右)、クロヒカゲ、アゲハ等。昆虫/カブトムシ、カナブン、クロカナブン、ノコギリクワガタ、ノコギリカミキリ等。キノコ/テングタケダマシ、カワリハツ等。
8月4日(午前)、横浜市青葉区寺家ふるさと村
昨日に続いて台風5号の影響で風がとても強い。その台風だが、再び津軽半島へ上陸したらしい。勢力が衰えたといっても、青森県のリンゴ農家の被害が心配である。また、ラジオのニュースによると、強い風が箱根の山を越える事によって生ずるフェーン現象で、首都圏の気温はぐんぐん上がっているとの事である。こんな日に道端自然観察もなんだが、キノコなら風にもびくともしないし、また、木陰に生えているのだから幾分涼しいだろうと寺家ふるさと村へ行った。しかし、先週の水曜日(25日)には、それこそ目が回る程に各種キノコが爆生していたが、今日はほとんどその姿が見当たらない。せめてテングタケの幼菌位あるだろうとふんだのだが、本当にキノコの命は短いなあと感じた。今日は土曜日だからN仙人も来ていて、昼間だというのに薄暗い仙人が好む藪の中で、なんとヒグラシの雄が羽化していた。
<今日観察出来たもの>花/ダイコンソウ、ユウガギク等。蝶/ウラギンシジミ、ムラサキシジミ等。昆虫/ヒグラシの羽化(写真上左)、ミヤマクワガタ等。キノコ/キツネタケの仲間の幼菌(写真上右)、キタマゴタケ、カワリハツ、キチャハツ、オサムシタケ等。その他/アマガエル、シュレーゲルアオガエル等。
8月2日、山梨県北杜市白州町中山峠
天気予報によると今日は曇り日でとても快適な散策日和となる筈であった。しかし、清里の宿で朝起きてみると霧雨が降っていた。もう少し時間が経てば曇りになるさと車を走らせた。野辺山に入ると霧雨は止んだが、更に標高をあげて八ヶ岳高原の美鈴池まで行ってみると、また霧雨となってしまった。水滴をつけたシモツケやウツボグサやクサレダマが美しく咲いていたが、カメラを出す訳にはいかない。
そこでUタウンして標高を下げて、海ノ口牧場へ行ってみたが、アサギマダラやキマダラモドキが見られたもののかなり風が強い。どうやら台風5号の影響のようである。これは本当に困ったな、佐久平の方でも行こうか、それとも長坂のオオムラサキ自然生態園でも行こうか等と考えたが、風も遮られるだろうと、結局、昨日散策した白州町中山峠へ行く事にした。国道141号線でどんどん標高を下げて八ヶ岳を振り返ると、どうも中腹1500メートルから上が厚い雲に覆われて天気が悪いようである。
一口に中山峠と言ってもかなり広いから、今日は昨日急ぎ足の散策となった峠直下の別荘地周辺、また、峠を越えた南アルプスの駒ヶ岳が間近に見える辺りを散策する事とした。現地到着が午前11時となったが、まずは昨日撮影が出来なかったホソバセセリとクロヒカゲモドキを別荘地に通ずる小道で狙った。両方とも無事にカメラに納める事が出来たものの、ベストショットとは言いがたい。シロスジカミキの産卵痕等から樹液が出ているコナラがかなりあって、オオムラサキやカブトムシが見られた。きっとクロヒカゲモドキもこれらの樹液目当てにやって来ているのだろう。そんな訳でもっと良い写真、樹液に吸汁するクロヒカゲモドキをと探し回ったら、クロヒカゲモドキは見られなかったものの、ミヤマクワガタがかなり高い所で吸汁していた。こんな事はあまりやりたくないのだが、三脚の脚を眼一杯伸ばしてミヤマクワガタを地面に落として、またコナラの幹に這わせて撮影した。
別荘地に入って、下草が刈られたクヌギ林に行ってみると、草刈機が傷つけた根元から樹液が滲み出ていて、カブトムシがうようよ蠢いているのには驚いた。また、丸太が積んである所では、ルリボシカミキリがたくさん集っていて、この他、ウスイロトラカミキリ、シロヒゲナガゾウムシ等がやって来ていた。最後に峠を越えて車を水田脇に停め、中山峠方面へ引き返した。花では多摩丘陵ではあまり見られないノカンゾウがたくさん咲き、荒地にはビロードモウズイカが背比べをしていた。この道もやたらカブトムシが多くて苦笑いを浮かべたが、チチタケの仲間とイグチの仲間をカメラに納め、この辺でもういいかなと満足して半袖半ズボンに着替えて、暑ーい暑い横浜目指して帰路に着いた。
<今日観察出来たもの>花/ノカンゾウ(写真上左)、オトギリソウ(写真上右)、ユウスゲ、オトコエシ、ガガイモ、ビロードモウズイカ、ナツズイセン等。蝶/ホソバセセリ(写真下右)、コチャバネセセリ、オオムラサキ、ルリタテハ、キタテハ、コミスジ、イチモンジチョウ、クロヒカゲ、クロヒカゲモドキ等。昆虫/ミヤマクワガタ(写真中左)、ルリボシカミキリ(写真中右)、ゴマフカミキリ、ウスイロトラカミキリ、ヨツスジハナカミキリ、シロヒゲナガゾウムシ、カブトムシ、オオクシヒゲコメツキ、アオカナブン、カナブン、ヨツボシケシキスイ、コクワガタ、キマワリ、セマダラコガネ、アカガネサルハムシ、オニヤンマ、アキアカネ、ナキイナゴ、ヒグラシ等。キノコ/チチタケの仲間(写真下左)、イグチの仲間、タマゴタケ、ヒトクチタケ等。
8月1日、山梨県北杜市白州町中山峠
いよいよ暑ーい暑い8月に入った。これから9月半ばまで、首都圏平地は炎熱地獄と化す。野鳥の姿はほとんど見られなくなり、昆虫も野の花も夏枯れだが、セミやトンボ、一部の樹液に集る甲虫や蝶達は元気である。それでも日盛りに道端自然観察へ出かけるなんて自殺行為で、日陰の多い雑木林の中くらいしかお勧め出来ない。もっとも朝夕の涼しい時間帯なら良いのだろうが、早起きが苦手となった私にはお手上げである。
そんな訳で今日と明日の2日間、涼しい所への遠征となった。昨年の今頃の観察記を見て頂ければ分かるが、去年は、甲斐市(仮称)オオムラサキの里、北杜市白州町中山峠、長野県南牧村八ヶ岳高原の3ヶ所を回って、とても充実し楽しかったので、今年もまたということになったのである。しかし、甲斐市(仮称)オオムラサキの里は7月20日に行ったばかりなので、今回は一泊二日の2ヶ所巡りとなった。
初日の今日は、もう何べんともなく散策したことのある白州町中山峠へ行った。甲府盆地はとんでもない暑さで、おまけにしつこいほどの薮蚊に悩まされるのだが、ここまで高度を上げるとかなり涼しくなり、薮蚊もほとんどいない。南アルプスからぽつんと離れた低い山はコナラやクヌギを主体とした雑木林で、更に国道20号線を走って富士見辺りまで行くとカラマツ林になるのだから、まあ言ってみれば標高からいってぎりぎりの高さの雑木林だとも言えよう。
林道の木陰に車を停めると、まずはキキョウとホソバセセリを探しに、田んぼ脇の山裾の道に入った。植物園や公園等へ行けばキキョウが植栽されている事も多いが、天然自然のキキョウとなると多摩丘陵では既に絶滅したようである。今年は去年より花期が遅れているようで蕾のものが多かったが、それでも花開いているものがあってほっとした。逆にオカトラノオはほとんど咲き終わっていて、この花の蜜が大好きなホソバセセリは見られなかった。それでもトモエソウが美しく、雑木林の中には立派なアカヤマドリが生えていた。
次にオオムラサキやスミナガシが見られる雑木林に行ったが、今年はほとんど樹液が出ていなくて、僅か一本の農道沿いのクヌギにオオムラサキが見られたのみであった。下に清流が流れている涼しい風が吹き上げて来る雑木林の縁に行ったら、なんとなんとまだ褐色だがホソミオツネントンボがわんさかいて驚いた。また、赤くて面白い形のクスベニカミキリも初めて観察した。更に林道を進むとタマゴタケ等が生えていて、首都圏では見ることの出来ないキバネセセリが地面で吸水していて嬉しくなった。私の接近に飛立って葉裏に止ってくれたので、良い写真となってほくそ笑んだ。これだから中山峠行きは止められない。
<今日観察出来たもの>花/トモエソウ(写真上左)、キキョウ(写真上右)、ハエドクソウ、ヤマハギ、ダイコンソウ、ユウスゲ、コマツナギ、ナンテンハギ、ノアザミ、オカトラノオ、チダケサシ、ゲンノショウコ等。蝶/キバネセセリ(写真下右)、ホソバセセリ、オオムラサキ、コミスジ、イチモンジチョウ、クロヒカゲモドキ等。昆虫/オニヤンマ(写真中左)、ミヤマアカネ(写真中右)、ノシメトンボ、ホソミオツネントンボ、オオアオイトトンボ、カブトムシ、ノコギリクワガタ、カナブン、マメコガネ、ルリボシカミキリ、クスベニカミキリ、キンモンガ、ヒグラシ、ヤマトフキバッタの幼虫、シオヤアブ等。キノコ/タマゴタケ(写真下左)、ブドウニガイグチ、アカヤマドリ、チチタケ等。