■撮影の実際

<自然光撮影での留意点>

 小さくて動き回ることの多い昆虫の撮影には後述するストロボテクニックが必携となりますが、自然光による撮影が昆虫写真でもやはり基本です。特に蝶やトンボ等はなるべく自然光で撮りたいものです。また、コガネムシやタマムシ等の金属光沢を持った昆虫をストロボで撮影すると本来の色がでません。昆虫を小さく扱って情緒的な作品作りにも自然光がベストです。自然光による撮影の留意点は、絞りの選択と露出補正が中心となり、ストロボ撮影ではさほど問題とならない手ブレや被写体ブレに十分注意をはらわねばなりません。

<絞りの選択>

 自然光による撮影ではシャッター速度の許す範囲で自由に絞りを選択できます。背景をぼかして昆虫を浮き上がらせるには絞りを開放近くで使用し、甲虫などの丸みのある昆虫や図鑑的に撮影する場合には、絞りをf8前後まで絞って撮影します。この絞りの効果、絞りを絞り込むに従ってピントの合って見える範囲(被写界深度)が前後に広がる。厳密にはピントを合わせた部分の後ろに深く手前に浅くピントの合って見える範囲が広がります。初めて一眼レフカメラを手にして絞りを絞って接写した場合、フィールドでファインダーで見た像と出来上がって来た像とが異なっているという問題にぶつかります。一眼レフカメラのファインダーに映し出される像は、絞りを絞ってもピント合わせをしやすくするために絞り開放の状態(被写界深度が浅い)の像が映っていて、シャッターを切った時に絞りが瞬間的に絞り込まれようになっています。プレビュー機構(被写界深度確認機構)が付いているカメラなら、プレビューボタンを押せばファインダー上で絞り込んだ像を確認できます。

<撮影モード>

 一眼レフカメラには各種の撮影モードが搭載されています。具体的に列挙しますと、

・絞りもシャッター速度も適正露出になるよう手動で選ぶマニアルモード。
・絞りを選べばカメラが自動的に適正露出になるシャッター速度を選んでくれる絞り優先オート。
・シャッター速度を選べばカメラが自動的に適正露出になる絞りを選んでくれるシャッター速度優先オート。
・絞りもシャッター速度もカメラが自動的に適正露出になるように選んでくれるプログラムオート。

の4種類が普通です。後の3種のモードをマニュアルモードに対してAEモードとも呼んでいます。初めて一眼レフカメラを手にした方は、フルオートのプログラムオートが簡単で失敗のないモードと思われることでしょう。カメラの取扱い説明書にもそう書かれて勧めています。確かにネガカラーフイルムを使用した運動会や結婚式、旅行やレジャー等でのスナップには、失敗もなくお勧めのモードですが、前記したように作品作りには絞りの効果を充分考え、狙いによって絞りを選択することが重要となって来ます。このためプログラムモードでプログラムシフトを使用するという方法もありますが、撮影モードは絞り優先オートを使うことをお勧めします。

<カメラの測光方式>

 一眼レフカメラに内蔵されている露出計は、被写体に当たって反射してきた光を計ります。その方式には以下のような3種類のものがあります。例えば撮影モードを絞り優先オートとした場合には、選択した絞りに対して標準露出となるシャッター速度を自動的に各測光方式が決めてくれます。

・多分割測光…ファインダー画面を5分割とか10分割とかに分けて反射して来た光を計り、内蔵されたコンピューターに蓄積された膨大な撮影データに照らし合わせて標準露出を決定する方式。
・中央重点測光…反射してきた中央部分の光を重点的に計って、標準露出を決定する方式。
・スポット測光…中心のごく狭い範囲に反射して来た光を計って、標準露出を決定する方式で、入門機種には付いていない場合が多い。

以上のような測光方式がありますが、撮影モードの所でも書いたように、ネガカラーフイルムを使用した家族や旅行等のスナップや順光状態での風景写真には失敗の少ないの多分割測光をお勧めします。ポジフイルムを使用した接写や特殊状況下や極端な構図での作品作りには、コンピューター任せではない中央部重点測光に慣れた方が良いと思います。スポット測光は明暗差が激しい被写体に於ける適正露出決定に有効ですが、各種の写真を撮り慣れたベテラン向きの測光方式とも言えるでしょう。

露出補正

 初めて一眼レフカメラを手にした方は、測光モードを多分割測光にしておけばコンピューターが適正な露出を選んでくれて、シャッターボタンを押しさえすれば露出に関しては問題はないと考えがちです。しかし、ポジフイルムを使用した作品作りには厳密な露出が要求されます。また、自分のイメージにあった写真を手にするためには露出の補正が必要となります。例えば反射率の高い黄色いタンポポに昆虫が止まっている時など、カメラが示す適正露出で撮影すると露出はアンダーになってしまいます。逆光や水面の反射、青空をバックにした撮影も同様です。このような場合は露出補正ダイヤルを使ってプラスに補正しなければなりません。逆に、黒っぽい背景ではマイナス補正をしなければなりません。このようなことが起こるのはカメラの露出計が標準的な光の反射率18%を基準としていて、反射率18%の色を適正に再現するように出来ているからです。露出補正の量は多分割測光か中央重点測光かによっても異なり、カメラの機種やフイルムによっても異なります。白っぽいものはプラスに黒っぽいものはマイナスに“クロマイシロップ”と覚えて、1/2 刻み位で補正量を変えて数カット撮影し、経験でつかむことが大切になってきます。

<ピントは目に合わせる>

 昆虫の写真は人物や動物の写真のセオリー通り、目にピントを合わせるのが普通です。目にピントが合ってさえいれば、絞り開放前後の浅い被写界深度で撮影したものでもピンボケには見えません。さらに、構図上仕方の無い場合を除いて、目とその他の部分にもピントが来るようカメラ位置を決めて撮影しましょう。ピント合わせはAFカメラでもマニュアルフォーカスが基本です。





■ストロボ撮影

<昆虫写真にストロボは必携>

 接写が多い昆虫写真では、拡大率を上げれば上げる程、シャッター速度は遅くなります。また、丸っこい甲虫などを隅々まで鮮明に写そうとすると、被写界深度を高めるために絞りを更に絞らなければならず、ますますシャッター速度が遅くなります。このためストロボの力を借りることになりますが、至近距離からのストロボ光は非常に明るく、光量の少ない小型のストロボでも絞りをf16位にまで絞れます。しかも、ストロボの閃光時間は普通1/1000秒以上ですから、動き回る昆虫を手持ちで撮影しても被写体ブレや手ブレなどの無い鮮明な写真が得られます。また、逆光で写したい昆虫が暗くなっている場合や樹木の幹に止まるセミなどには、後述する日中シンクロ(スローシンクロ)とい方法で、昆虫も背景も明るく写すことが出来ます。

<ストロボの選択と取付>

 昆虫の写真撮影には、影が出ないために立体感のかけたものになりがちですが、左右からの2灯式のマクロストロボは便利です。しかし、現在2灯式のマクロストロボは、オリンパスとニコン、キャノン、ミノルタ(上下左右の4灯式だが左右2灯で発光可能)しか発売されておらず、他のメーカーのものは左右から発光できてもリング状のものとなっています。リング状のものは蝶や蛾などには使えますが、光沢を持った甲虫にはリング状の写り込みが発生し、見苦しい写真となります。このため、2灯式のマクロストロボが発売されていないメーカーのカメラを使う場合は、上記の他のメーカーのものをマニュアル発光に必要でない接点を絶縁してマニュアルで使うか、クリップオンタイプのストロボを一灯で使うことになります。
 クリップオンタイプのストロボ一灯でも、至近距離からの発光になりますから各種のものに反射して、影は出ますが程良い程度のものとなります。なお、クリップオンタイプのストロボをカメラのアクセサリーシューに直接取り付けた状態では、100mm 前後のマクロレンズでの至近距離での接写では被写体に光がうまく当たりません。このため市販のバウンズシューアダプターで、光を被写体に当たるようにしなければなりません。もっとも、200mm 前後のマクロレンズなら、撮影距離にもよりますが、アクセサリーシューに取り付けたままでも使えます。いずれにしてもストロボは必ずマニュアルで使えて、光量調節ができるものが必要となります。また、撮影距離が長くなる200mm クラスのマクロレンズには、光量の多いクリップオンタイプのストロボが有利です。

<ストロボはマニュアルで>

 現在発売されているメーカー純正のマクロストロボを含めたストロボは、全てカメラまかせのTTLオートが使えます。しかし、昆虫が細い枝に止まっていて背景が離れている場合や、反射率の非常に高い或いは低いものに止まっている場合、また日中シンクロ等では各種の補正や調整が必要となります。カタログには簡単そうに書かれていますがとても面倒臭いものです。また、バウンズシューアダプターで被写体に光が当たるようにした場合、当然マニュアル発光による撮影となります。以上のような事を考えますと、全ての撮影に対応できるマニュアル発光による撮影に慣れた方が単純明快です。その場合、以下のような使用するマクロレンズ別の、各発光量に対する撮影距離別の適正絞り値を求めておく必要があります。
 撮影距離別の絞り値を得るには、まず自分が使用するストロボのガイドナンバーと下記の表とを見比べて、おおよその絞り値を決め、前後一段の計3カットを室内で撮影してみれば分かります。そしてフィールドへ出て、標準的な撮影条件における昆虫を、得られた絞り値の前後を入れて計3カット撮影して、フィールドでの適正絞り値を確定します。そして、反射率の非常に高い背景に止まっていたり、かんかん照りの時などは1絞り閉じ、反射率の非常に低い背景に止まっている場合や夕方や曇天の日には1絞り開け、夜間は更に1絞り開けるようにします。このように書くと面倒臭いようですが、慣れれば単純明快です。以上のようにして各種のレンズやストロボの発光量に応じた撮影距離別の適正絞り値の表を作ります。そして作った表は縮小コピーをして、ストロボやカメラやレンズにセロテープで張っておきます。

<撮影距離別の適正絞り値例>

●使用ストロボ…サンパックB3000
 FULL発光時ガイドナンバー 30
 1/16発光時ガイドナンバー  7.5
●ISO 100のフイルムを使用
●AiAFマイクロニッコール105mmF2.8
 ストロボはバウンズシューを使ってカメラに取り付ける。

  撮 影  FULL発光  撮 影  1/16発光
  距 離  での絞り値  距 離  での絞り値

  0.3 m      f32  0.3 m      f16

  0.5 m      f22  0.4 m      f11

  0.7 m      f22  0.5 m      f11

    1m      f16  0.6 m      f8

●Aiマイクロニッコール200mmF4S(IF)
 ストロボはカメラのアクセサリーシューに直接取り付ける。

  撮 影  FULL発光  1/16発光            距 離  での絞り値  での絞り値

  0.7 m     f16     f5.6

    1m     f11     f5.6

  1.5 m     f11     f5.6

    2m     f8      f5.6

  2.5 m     f8        

    3m     f5.6        

 















<日中シンクロの方法>    

 昆虫の撮影に限らずバックが被写体から離れている状態でストロボを使いますと、被写体は適正露出に撮れても、バックは夜に撮ったように真っ暗になってしまいます。ことに細い枝や草の茎に止まっている昆虫や、樹木の幹で鳴いているセミ、クヌギの樹液に集まっている蝶などの撮影には、日中シンクロの手法は重要です。また、逆光や暗い曇天や夕方や早朝など光が不足する状況での自然光による撮影は、メリハリの無いものとなってしまいます。このような場合にも日中シンクロの手法を使います。

 例えば、カブトムシが背景の明るい細いクヌギの樹液にやって来ているような場合、まず、三脚を立てて構図を決めます。次にレンズの距離目盛りを見て撮影距離をつかみます。そして使用するストロボに応じた上記したあらかじめ作成した距離別の絞り値にレンズの絞りを合わせます。撮影モードをマニュアルにして背景が適正露出になるようにシャッタースピードを決めて、元の構図に戻してシャッターを切ります。

 もう少し具体的に書いてみますと、使用するレンズは200mm マクロレンズ、ガイドナンバー30のストロボを、撮影距離1mの適正絞り値はデータ表からf11となります。この絞り値による背景の適正露出を得るためのシャッター速度は1/30秒と言った具合になります。もっとも慣れるまでは絞り値やシャッタースピードを変えて、数枚写しておくことが必要です。

<背景に葉を添える>

 背景を暗くしない方法として、昆虫の後に面積の広い葉をそっと添えることも方法です。フィールドで簡単に見つかる葉で一番好適なのは、何と言ってもクズの葉でしょう。クズの葉以外でも面積が広い葉なら使えますが、なるべく明るいグリーンのものを選びましょう。なぜなら、いくら背後に置くと言っても葉脈等が鮮明に写らないように10cm位は離しますので、バックに置いた葉は幾分暗く写るからです。また、細い枝や草の茎に止まっている場合、バックに使う葉の置く位置とストロボの照射角度によって、枝や茎の影がバックの葉にできる場合も起こりますから、色々試して最適な方法をつかんで下さい。


■撮影アクセサリー


【昆虫写真にも三脚は必携】

 花に吸蜜する蝶の撮影などでは、三脚を立てている暇が有りません。なるべく早いシャッター速度で(1/250 秒以上)手持ち撮影に徹するしか方法は有りませんが、出来うる限り三脚を使って目にしっかりとピントが合って、手ブレや被写体ブレの無い鮮明な写真を心がける事が必要です。曇り日や早朝などは光量が不足しがちでスローシャッターになりますし、日中シンクロなどでは三脚がなければどうしょうもありません。昆虫写真には全ての脚を伸ばした時に目の高さまでになり、ローアングルが可能な三脚が必要です。大きさや重さは常時携行しても苦にならない脚の重さか2kg前後のものが良いでしょう。雲台はツマミ一つで自由にアングルが変えられる自由雲台が一番です。

【あると便利なアクセサリー】

・レリーズ
 200mm クラスのマクロレンズを使用してシャッター速度が遅くなる場合や、日中シンクロでシャッター速度が遅くなる場合等、面倒臭がらないでケーブルレリーズやリモートコードを使いましょう。またとないシャッターチャンスを確実にものにしないと、後で後悔のフイルムの山を築くことになります。

・中間リング、テレコンバーター
 等倍まで写せるマクロレンズがあればほとんど使用しませんが、等倍以上の撮影には重要なアクセサリーです。この場合、テレコンバーターは中望遠マクロレンズで使用するより標準マクロレンズの方がピント合わせ等の使い勝手が良く、露出は失敗の少ない多分割測光をお勧めします。ポジフイルムを使用した接写や特殊状況下(逆光、夕暮れ、霧の中等)での作品作りには、コンピューター任せではない中央部重点測光に慣れた方が良いと思います。スポット測光は明暗差が激しい被写体に於ける適正露出決定に有効ですが、各種の写真を撮り慣れたベテラン向きの測光方式とも言えるでしょう。

■撮影後の整理と楽しみ

【フイルムの整理】

 撮影したフイルムはすぐに現像するのが基本です。ポジフイルムで撮影した場合、どこの写真屋さんへ持っていってもメーカー指定の現像所に取り次ぐ形となっていますので安心です。しかし、コンビニやスーパー等ではネガカラーフイルムの同時プリントには慣れている店員さんでも、ポジフイルムの取扱いに関しては不慣れな場合が多く、ポジフイルムの現像仕上げである全てのコマをカットしてマウントする仕上げと、マウント仕上げより割安な現像のみのスリーブ仕上げの違いにまごつくことも多いものです。今まで何べんも書いて来たように、ポジフイルムによる撮影では、同じ被写体に対して露出を変えて数カット撮影するのが普通です。その中の適正露出の一コマを保存することになるわけですから、他のコマはゴミとして捨てることになります。最初のうちはマウント仕上げで頼んでも、本格的に写真に取り組むことになったらポジフイルムの現像はスリーブ仕上げで頼み、自分でカットしてマウントしましょう。その為にはライトテーブル、フイルムチェック用の5〜10倍程度のルーペ、フイルムカッター又はハサミ、切手用の先の平らなピンセット、マウント、マウントしたものを整理するスライドファイルが必要となります。また、撮影データーをマウントに記入するための極細の油性のペンも用意しましょう。

【撮影後の楽しみ】

 自分で納得行く写真が撮れたらプリントにしてみましょう。出来ればサービスサイズであるL判ではなく、思い切ってLL判してみましょう。ポジフイルムからプリントにする方法はダイレクトプリントとレーザープリントの2種類がありますが、レーザープリントの方がフイルムに忠実な発色をするように思われます。また、気に入った作品を年賀状などのポストカードにしてみたり、作品がたくさんたまってきたら、公共施設などでミニ写真展を開いてみましょう。また、テーマを決めてあるいは地域を決めて、風景写真や花の写真なども取り入れた自分だけのアルバムをクリアファイルで作って欲しいものです。ますます昆虫写真の楽しさが広がって来ることと思います。

■服装と小物類

【昆虫撮影の服装】

 昆虫の撮影の服装は盛夏でも長袖、長ズボンが鉄則です。長袖の袖をまくって着用するのと半袖とでは大した変わりは無いようですが、実際には大違いです。また、肘を地面について撮影する時など長袖ならスムーズで安心です。また、ポケットがたくさんついているチョッキは、以下に紹介する小物類を収納するのにとても便利です。靴は軽登山靴か長靴が最適です。ブッシュや雑木林の中などに入り込んだ時に足を擦り傷や切り傷から守り、また、万が一のマムシとの遭遇にも安心です。また、長靴は道がぬかるんでいても、浅い川を渡る時にも便利です。また、帽子は日差しを防ぐため以外に、小枝等で頭部を傷つけないためにも必着です。これらの服装類や長靴等は、スーパーや登山用品のお店はもちろん、大きな釣具店でも扱っていますから、いろいろ比較してみて最適なものを見つけましょう。

【持って行くと役立つ小物類】

・ポケット図鑑
 写真に撮っておけば自宅で種名を判断できると思われがちですが、アカトンボの仲間やセミの抜け殻など、昆虫は微妙な差異によって判別せねばならぬものが多く、出来るだけ撮影現場で種名を確認しておくことが必要です。そのためには携帯に便利なポケット図鑑や、必要な箇所のみをコピーして持参することをお勧めします。

・手帳
 小さな鉛筆の付いている胸ポケットに入る大きさの手帳は便利です。撮影のデータを記入するのはもちろんですが、フィールドでの各種の事柄をメモしておきましょう。また、帰宅してからフィールドでの一日の出来事や観察した昆虫等を、別の大きめのノートに詳細に整理しておきましょう。この自宅での整理は、たとえ疲れていたとしても記憶が鮮明なその日の内に片付けておくのが鉄則です。

・洗濯バサミや紐
 ありのままの状態で写すということが基本になりますが、自然を極力傷つけないという前提にたって、邪魔な物をしばし除けておいたり整理したりする場合に必要です。また、風に揺れているものを付近に転がる棒等を使って止めて置く場合にも必要となります。

・ナイフ
 フィールドに転がっている棒や木に絡まっている蔓などは、上記の目的で使用できます。この場合、ナイフの他にハサミ等が付いている十徳ナイフが便利です。購入に際してはナイフと洋バサミが必ず付いている物で、切れ味が良く耐久性のある高級の物を求めましょう。

・ルーペ
 昆虫は種類数が多く、また、違う種類でも微妙に異なっています。微妙な突起や毛があるかどうか等が種類分けの決め手となります。この場合、ルーペがあると重宝します。

・携帯用灰皿
 フィールドをタバコの吸い殻で汚すことは厳禁です。また、枯れ草火災などからの山火事への原因ともなります。携帯用灰皿の持参は、タバコ好きの方がフィールドへ出向く時の最低限のマナーとなります。

・携帯電話
 静かなフィールドでの携帯電話の頻繁な使用は困りものですが、人里離れた場所に出向く時には、事故や車の故障などの万が一を想定して、持参すると良いでしょう。

【薬類】

・虫さされ予防の薬
 昆虫観察につきものなのが藪蚊です。6月中旬から10月中旬位までは虫さされ予防の薬をスプレーするか、腰にぶら下げることの出来る容器に蚊取り線香を入れて藪蚊対策を講じましょう。

・かゆみ止めの薬
 上述したような対策をとっても、少しは藪蚊に刺されてしまいます。また、気をつけていればほとんど刺されることは有りませんが、万が一、蜂や毒蛾にやられた時のにも安心です。

・日焼け止めクリーム
 紫外線による皮膚ガンが増えて来ていると言われています。日本ではそこまで心配することは無いようですが、ご婦人には必携のクリームです。