2005年:つれづれ観察記
(12月)


12月30日、東京都町田市小野路町

 今日は3つの意味でのエンディングの日である。もちろん一つには今年最後の道端自然観察及び写真撮影の日であり、2つには1年間続けて来た「小野路図師紀行」の締めくくりの日であり、そして3年間も続けて来た、この「つれづれ観察記」の最終日でもある。こんな記念すべき日は、当然、小野路図師へ行かねばならないと、30日まで大切に取っておいたのだ。もちろん明日は大晦日、最近寒くて雑巾掛けが憚れ、愛車「小野路号」の掃除をずっと怠っていたので、たっぷりと可愛がってあげねばならない。今日の小野路はとっても静かで、無人野菜販売所にて小松菜を一束100円にて3束購入する事も出来た。明後日の元旦のお雑煮は、小松菜のてんこ盛りが食べられそうだ。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ホトケノザ、オオイヌノフグリ、ソシンロウバイ等。蝶/ジャコウアゲハの蛹(写真上左)、オオムラサキの幼虫。昆虫/ウスタビガの空繭、ハラビロカマキリの卵のう。鳥/モズ、ヒヨドリ、ハクセキレイ、スズメ、ハシブトガラス等。その他/クズの冬芽葉痕、ニセアカシアの冬芽葉痕、センダンの冬芽葉痕、トキリマメの実、ツルウメモドキの実、ノイバラの実、ニシキギの実、クサギの実、ナンテンの実(写真上右)、カラスウリの実等。


12月29日、横浜市戸塚区舞岡公園

 今日は本年度最後の舞岡公園行きである。また、一年間続けて来た舞岡公園散策手帳も、今日をもって完了し終了する。舞岡公園には記憶が無い程前から通っていたが、今年程頻繁に出掛けたのは初めてであった。週一回のペースであったが、一度として同じ状況であった事は無く、生き物たちは日々変化し暮らしていたようだ。今日は大変御世話になったK女史やチャリコバサン等に年末の挨拶をした事は勿論だが、舞岡公園の生き物を代表して、アゲハの蛹のウリちゃん、サワグルミの葉痕のサワちゃんにも勿論年末の挨拶は怠らなかった。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<昨日今日観察出来たもの>花/ヒイラギ、ヤツデ、カンツバキ等。蝶/アゲハの蛹(写真上右)、モンシロチョウの蛹等。昆虫/クロスジフユエダシャク、イラガの繭、オオカマキリの卵のう、チョウセンカマキリの卵のう等。野鳥/ヤマシギ、アオゲラ、ルリビタキ、シジュウカラ、スズメ、ハシブトガラス、ツグミ、ヒヨドリ、キジバト、コジュケイ等。キノコ/エノキタケ、スギタケ等。その他/サワグルミの冬芽葉痕(写真上左)、キウイの冬芽葉痕、アオキの実、キウイの実、クチナシの実、サネカズラの実、ナンテンの実、ノイバラの実、ガマズミの実、ニシキギの実、マユミの実、ウツギの実、センリョウの実、マンリョウの実等。


12月28日、横浜市鶴見区県立三ツ池公園〜都筑区茅ヶ崎公園〜港北区新吉田町

 昨日、官庁や普通の会社より一日早く挨拶回りをして仕事納めとした。今日から冬休みに入った訳だが、毎日が日曜日のような今年一年であったから、サラリーマン時代のようなわくわくした思いはむろん無い。来年はもう少し仕事をしたいのだけど、お客さん次第だからなんとも言えない。今日は平日で駐車場が無料だから、県立三ツ池公園へ行った。公園内の3つの池は大きいから、まさか凍ってなどいないと思ったのだが、かなりの部分が凍っていた。家も車も暖房で暖かいし、フィールドへ行っても完全防寒だから寒いとは思った事は左程ないが、やはり今年はとんでもなく寒いのだろう。気象庁は早々今年の冬を暖冬から、20年ぶりの寒冬へと予想を変えた。寒冬という言葉を聞いて、そんな言葉があったのかなと耳を疑った。ここしばらく暖冬続きであった為に忘れているのかなとも思ったが、国語辞典を開いて見ると、寒冬等という言葉は載っていない。どうやら新しくつくられた言葉らしい。暖に対して寒だからなのだろうが、なんとなく腑に落ちない。しからば適当な言葉があるのかなと考えたが思いつかない。冬は寒いのが通り相場だから、昔の人は寒冬等と言う言葉はつくらなかったのだろう。暖かい冬のみを暖冬と表現して、他はたんなる冬で良いと思う。
 とにかく冬らしい冬が久しぶりにやって来て、三ツ池公園のユリカモメやセグロカモメは氷の上に乗っていて、足裏が冷えないのかなと心配になった。少しだけ残った凍らなかった部分に、キンクロハジロ、ホシハジロ、マガモ、カルガモ等が泳いでいた。こんな状態ではカワセミくんは餌が捕れないから鶴見川でも行っているのかなとも思ったが、姿を現してくれた。しかし、なんとなく身体が痩せているようにも思える。今日は午前中は思う存分野鳥を撮影するつもりであったが、池が凍っているばかりでなく、北風がとても強い。26日から風が強くなったが、今日あたりはおさまると思っていたが、まだまだとても強いのだ。かなり厳しい冬型の気圧配置のようである。かつて磯釣りが趣味であったが、こんな日に伊豆半島でも出むこうものなら、一向に止まない風によって釣り糸すら垂れらない状況になったものだ。畑の作物は凍ったり雪を被ったりして収穫が出来ず、漁師の方も海に漁に出られないから生鮮食料品は品不足で急騰する事だろう。ご婦人には見せられないもこもこの完全防寒姿で、この冬は元気一杯で乗り越えられそうだが、生鮮食料品の高騰には辛いものがある。それでも差し迫った正月の雑煮には、小松菜をてんこ盛りと願望する。
 そんな訳で今日は一日中、三ツ池公園のつもりだったが、貧果と強風の為に、午後からは新吉田町と茅ヶ崎公園へ行った。しかし、何処も彼処も状況に変化はなくて、ハイウェイパトロールならぬ近場フィールドパトロールとなってしまった。茅ヶ崎公園で毎年恒例の落ち葉捲りを試みてみたが、ずっと雨が降っていないこともあって、落ち葉も地面もからからで、僅かにエサキモンキツノカメムシとツマグロオオヨコバイを見つけたのみであった。多分、他の昆虫や蜘蛛もいたのだろうが、乾いた落ち葉には足場もなくて、何処かにぽろりと落ちてしまったのだろう。昆虫達にとっても、ひよっとしたら今年のこの寒さと乾燥は、20年ぶりの絶え難き冬となるのかもしれない。それでも茅ヶ崎公園では可愛い顔が人気のチャンチンの葉痕や真っ赤なソヨゴの実を撮った。
 最後に新吉田町に寄ってみた。日曜菜園が盛んだから、ヒメアカタテハ、キアゲハ、モンシロチョウの蛹が見つかるかもしれないと思ったのだが、僅かにモンシロチョウの蛹を一つ見つけたにとどまった。そこでニワトコがたくさん生えている場所に行って、大きな気球のような冬芽を被ったニワトコ坊やを撮影した。ニワトコは雑木林の中で最も早く花が咲き葉が開くから、冬芽がぷっくり膨らんでいるのも頷ける。最後に丘の上にある植木屋さんの畑へ行ってみたら、思った通りソシンロウバイが咲いていた。調布市にある神代植物公園は2月に入ってから、町田市の薬師池公園は3月に入ってから咲くのだから、横浜市港北区はとても暖かいと言える。なんやかんやと言っても、関東大震災以外にはこれといった自然災害には疎遠の横浜市に住んでいて幸運だった。吹雪と豪雪の中で暮らす方々の生活が本当に思いやられた。

<昨日今日観察出来たもの>花/ソシンロウバイ(写真上右)、カンツバキ(写真上左)等。蝶/モンシロチョウの蛹等。昆虫/ハラビロカマキリの卵のう、エサキモンキツノカメムシの越冬等。野鳥/キジバト、ハクセキレイ、ツグミ、シジュウカラ、スズメ、ヒヨドリ、オナガ、カワセミ(写真中右)、セグロカモメ(写真中左)、ユリカモメ、カルガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、マガモ等。その他/チャンチンの冬芽葉痕(写真下左)、ニワトコの冬芽葉痕(写真下右)、ソヨゴの実、ピラカンサの実、ニシキギの実、マユミの実等。


12月26日、東京都江戸川区葛西臨海公園

 とても楽しく勉強になった東京23区内道端自然観察も、今日で最後としたい。もちろん、これからもずっと都内の公園へ度々出向くと思うが、それは他所で紹介して行くつもりである。まだ行っていない区として豊島区と墨田区が残っているが、これといった緑地や公園もないし、また、この時期に行っても成果がないであろう。そこで今日は12月まで残しておいた江戸川区の葛西臨海公園へ行った。昨日の天気予報では風が強いとあったが、今日以外に行けそうもないので出掛けた。しかし、本当に風が強く寒かった。昨日の羽越線の事故や吹雪が続く日本海側各地の暮らしが思いやられた。詳細は「東京23区内道端自然観察館」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>鳥/チュウヒ、カワウ、アオサギ、コサギ、カワセミ、ハクセキレイ、オオバン、ミコアイサの♂(写真上左)、ミコアイサの♀(写真上右)、ホシハジロ、コガモ、キンクロハジロ、ヒドリガモ、ヒヨドリ、スズメ等。


12月24日、神奈川県平塚市土屋

 今日はとんでもない事が起きた。昨日も野鳥がいなかった為にデジスコ撮影に欲求不満が残ったので、今日は東名高速を使って金目川へ行った。ここなら川岸にたくさんの野鳥が見られると思ったのである。しかし、到着してデジスコを三脚に装着したら、カメラの液晶画面がおかしい。黒い染みのようなものが出て、画面のほとんどが肌色のカーテンを引いたようなのである。電池を抜いて再び差し込んでみたり、様々なボタンを押してみたりしたが、一向に改善しない。12月1日に購入したばかりなのだから、まだ1ヶ月もたっていないのに故障である。落としたり何処かへぶつけたりした事も無いから初期不良に違いない。そう思ってメーカーに電話すると、いかにも「貴方様の過失ですよ、液晶画面を有料で交換しなければなりませんね」等というような失礼な返答である。「落としたり何処かにぶつけたりしていないのだから、初期不良ですから交換して下さい」と言っても、「現物を見ないと判断出来ないから送って下さい」との事であった。はなから疑ってかかっているのだからどうしょうもない。「こんなに生まれ育ちの良い正直者の花虫とおるが嘘をつく訳は無いでしょう」と言いたいところだが、大会社の社員なんてマニアル通りの返答しかしないのだから馬の面に念仏である。まあ、この決着はどうなるのかは分からないものの、いずれにしても例え無料で修理してくれたとしても、こんな応対の悪いメーカーの商品は金輪際一切買わないぞと思った。まずは嘘でも「大変ご迷惑をおかけします」から始まるのが、大人の会話だと思うのだが、いかがなものだろう。
 そんな訳ですっかり朝からブルーデーとなって、楽しく散策し写真を撮るなんて気持ちがすっかり失せた。そこでこのまますぐにUターンして、メーカーに乗込んでやろうかなとも思ったが、せっかく高速道路代とガソリン代をかけてやって来たのだし、天気も良いので少し散策してみようという事になった。まさかデジスコが故障するとは思わなかったので、野鳥撮影用の超望遠レンズと一眼レフカメラは持参してなかったのだ。そこで一般撮影機材でのしぶしぶの散策となったが、どうも頭の中が雑音だらけで調子が出ない。楽しい道端自然観察及び写真撮影は、健全な心からはじめてなされるのである。しかし、いつも様々な北風に揺れる変な物、すなわち冬の風物詩がたくさん見られる栗林に行ってみたら、オオカマキリの卵のう、ハラビロカマキリの卵のう、チョウセンカマキリの卵のう、ウスタビガの空繭、オオミノガの巣等が撮って下さいとばかりに青空に浮かんでいた。「まあ、カメラの件はどうなるかは分からないが、小額のお金で済むことだし、会社の規則でがんじがらめの善良なるサラリーマンさんを苛めるのも得策ではないな」等と仏心が浮かんで来るのだから、花虫とおるはまことに人間が出来ている。そんな余裕が生まれたからか、冬に入って撮りたいと思っていたウスタビガの空繭が、ちょうど撮影に手頃な高さに見つかったのだ。ウスタビガがこの繭の中に閉じこもるのは6月下旬から7月上旬で、この頃は葉が緑色だから、見つけ出すのは本当に難しい。そして落葉が始まる11月に入ってから成虫が羽化して来る。毎年、こんなに寒くなってからどうしてと思うのだが、天敵がなりを潜めるのだから生存上、適期なのだろう。そしてすぐに交尾し産卵する。ウスタビガの空繭はその格好から別名ツリカマスと呼ばれ、絹の一種なのだから冬の陽に緑色に輝いてとても美しい。
 そんな訳で様々な冬の風物詩をカメラの中に納めると、すっかり心は落ち着き、本来なる道端自然観察の目が戻って来て、畑に植栽されているカシグルミだと思われる葉痕や、早くも咲き出したソシンロウバイを撮った。マンサクは他に咲きかげてまず咲くからマンサクと名づけられたと言われるが、ソシンロウバイやロウバイの方がもっと早く咲く。もっとも、ソシンロウバイやロウバイは中国原産だから、日本の山野ではやはりマンサクが一番先に咲くのだろう。午後になると急に風が強くなり、早く帰ってメーカーの修理センターに宅急便でカメラを送らなければならない。どうなるかは分からないが「年内修理」の確約だけはとっておいた。「正月休みに遠出して思いっきり撮りたいので買ったのに」という事だけは分かってくれたらしい。お客様を疑わずに信用し、親切で素早い対応こそが、これからの企業の生き残りの筈である。損して元をとれば良いのでっせ、カシオくん。

<昨日今日観察出来たもの>花/ソシンロウバイ(写真上左)、ホトケノザ等。昆虫/ウスタビガの空繭(写真下左)、オオミノガの巣(写真下右)、オオカマキリ卵のう(写真上右)、チョウセンカマキリ卵のう、ハラビロカマキリの卵のう等。野鳥/アオサギ、コサギ等。その他/クルミの仲間の冬芽葉痕(写真中左)、ナンテンの実、ピラカンサの実、ガマズミの実(写真中右)、ツルウメモドキの実等。


12月23日、神奈川県大和市泉の森公園〜横浜市緑区新治市民の森

 何処へ行っても冬鳥が見られないという状況が続いている。しかし、頭の中はすっかり野鳥撮影モードとなっていて、他の被写体には左程の興味が湧かなくなっている。そんな訳で野鳥がたくさんいて写真がたくさん撮れるようだったら野鳥撮影のみに専念、芳しくなかったら他のものの撮影に素早く切り替えるという方針で、残り少なくなった12月を過ごそうと思い立った。また、この3年間は「つれづれ観察記」を中心に散策し撮影して来たようで、また、デジタル一眼レフを手にしてからは尚更それが加速した。しかし、発色の良いフイルムを使用して風景や園芸植物の花、キノコをはじめとする様々な被写体の広角接写も手がけようと考え始めている。すなわち手際よく綺麗に切り取るだけの写真から、より広い風景や自然の中に息づいている植物や動物やキノコをカメラの中に納めたくなったのだ。また、様々な色合いの園芸植物や野の花を、あらゆる撮影技法を駆使して、イメージ的に美しくデザインしたくもなっているという訳である。
 以上の諸々の考えから、今日はもしかしたら野鳥がたくさん撮れるかもしれない大和市にある泉の森公園へまず行ってみた。今日は3連休の初日だから交通渋滞が心配されたが、国道246号線はがらがらで、あっと言う間に到着した。この3連休は余りにも冬休みに近いから、何処か遠くへ行こうという気が起きないのだろう。もっとも、たくさんのスキー場に通ずる関越自動車道や中央高速は大混雑かもしれない。カワセミを中心とした野鳥撮影のメッカとも言える泉の森だが、超望遠レンズをつけた方、デジスコ持参の方の姿はあまり多くない。カワセミの止まり木がある場所だけに数人見られるだけであった。ことによったら泉の森も他所と同じように冬鳥の到来が遅れているのかなと思ったら、まだルリビタキも来ていないという。「あーあ、やっばりそうなんだ」と気落ちしたが、まずは挨拶代わりにカワセミを撮った。デジスコならばいとも簡単にカワセミを大きく写せる。常連さんたちは飛翔やホバリングやダイビングのみを狙っているようだが、これは連写がきく一眼レフの世界である。幸先良くカワセミをカメラの中に納めたから、他の鳥を狙って散策を開始した。しかし、池の中を泳ぐカモ類や地面で餌を漁るキセキレイやハクセキレイ、イイギリの実を食べに来たヒヨドリ、梢の中のシジュウカラやメジロのみで、しかも散歩の方が多いからか、デジスコでも撮影出来る静止状態がほとんど無いといった有様であった。これでは素早く他の撮影モードに切り替えるしかないなと、11時を少し回った時刻だったが泉の森をあとにする事にした。
 何処へ行こうかと考えたが、昨日が冬至だったのだから陽がすぐに暮れる。そこで国道246号線を引き返して、勝手知ったる新治市民の森へ行った。新治市民の森と言っても、周辺のみを散策しただけで、池ぶち広場等の奥へは入らなかった。まず、最初に12月18日に上手く撮れなかった、ツルウメモドキとサンシュユの実を撮り直しに行った。ツルウメモドキは相変わらず黄色と赤のカラフルな配色で青空に浮かんでいた。また、サンシュユの実はだいぶ萎びて来てはいるが、前回紹介していなかったので、冬の青空を背景に切り取った。撮影が無事に済むとUターンして、満倉谷戸へ行く事にした。ここは小場所だが、ちょうど撮影に良い高さの栗畑になっていて、小枝につくハラビロカマキリやオオカマキリの卵のうを撮影するのに最適なのだ。ハラビロカマキリは太い木の幹や板塀等の比較的平らな場所に卵のうを産み付けるのだが、小枝に見られるものも多い。逆にオオカマキリは、細い木の小枝やススキ、アズマネザサ、セイタカアワダチソウ等の茎にしか産卵しない。もう一種、首都圏でも普通のチョウセンカマキリは、どちらかと言うと中ぐらいの太さの枝や棒がお気に入りのようである。今年も満倉谷戸の栗林にはハラビロカマキリの卵のうがたくさんついていた。他に何か撮るものはないかと探して見ると、モズのはやにえがたくさん見られた。その中でもツチイナゴは大物で、成虫で越冬するのだからモズにはとても有難い昆虫だろう。三脚を立てて慎重に撮っていると、手足がゆっくりと動くではないか。まだ生きているのである。他所でも度々経験しているが、モズはなるべく長く生きているようにと急所を外して刺すようである。刺したと同時に死んでしまっては鮮度が直ぐに落ちるし、乾涸びてしまったら堅くなって食べるのに苦労するからなのだろう。この他、ケヤキの大木の樹皮が剥がれそうだったので捲ってみたら、ヤニサシガメが越冬していた。こんな訳で出掛けてもただでは帰らない作戦は見事成功したが、やっぱり思いっきり野鳥を撮影したいとの欲求が強くなった。

<昨日今日観察出来たもの>花/ホトケノザ、ナズナ等。昆虫/ツチイナゴのモズのはやにえ(写真下左)、ヤニサシガメ(写真下右)、イラガの繭、ハラビロカマキリの卵のう(写真上右)等。野鳥/カワセミ(写真中左)、キジバト、ハクセキレイ、キセキレイ、シジュウカラ、メジロ、スズメ、ヒヨドリ、マガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ヒドリガモ、バン等。その他/クサギの冬芽葉痕(写真中右)、オニグルミの冬芽葉痕、ナンテンの実、ピラカンサの実、サンシュユの実(写真上左)、ツルウメモドキの実、イイギリの実等。


12月21日、東京都品川区大井ふ頭中央海浜公園

 冬鳥の飛来が遅れている事もあって、何処へ行っても野鳥の姿は少ない。デジスコセットを購入して張り切っているのに、まったく欲求不満の日々が続く。いくら素晴らしいスキーセットを揃えても、雪が積もらなければ滑れないのと同じである。そんな欲求不満を晴らすべく、カワウでもアオサギでもユリカモメでもなんでも良いから撮りたいと、東京港野鳥公園へ行った。しかし、前回来た時よりも更に野鳥の数は減じていて、早々に引き上げて、至近距離にある大井ふ頭中央海浜公園へ行った。東京港野鳥公園では、唯一、オオタカを観察したが、逆光でしかも遠い場所に止まっているのだからなす術は無かった。東京港野鳥公園にしろ大井ふ頭中央海浜公園にしろ、潮の干満の影響を受ける所では、干潮時が野鳥観察及び撮影のグッドタイムと相場は決まっている。学校で習ったように一日24時間のうちに干潮、満潮はそれぞれ2回あるのだが、今の時期は昼間の干潮はほんのちょっと潮が引くだけで、大きく引くのは夜間となる。そんな事はネットで調べて十分分かっていたのだが、デジスコで野鳥を撮影したいという願望は、そんな潮の干満等どうでも良いと言う訳である。しかし、結果としては、やっぱり干潮時に行くべきであると痛感した。
 大井ふ頭中央海浜公園は、野球場、テニスコート等があるスポーツの森と自然観察や魚釣りのできる「なぎさの森」、更に野球場に隣接する「せせらぎの森」がある。この中でせせらぎの森は、シーズンなら昆虫観察にうってつけの場所で、ギンイチモンジセセリ、アオモンイトトンボ等が生息している。今日はもちろん、最初になぎさの森へ行った。自然観察路の奥に野鳥観察のできる野鳥観察小屋があるが、観察窓から覗くと棒杭にカルガモが眠っているだけであった。付近を取り巻く森は常緑樹が多く、イイギリが各所に植栽されていて赤い実が垂れ下がり、ヒヨドリがたくさん見られたが背景が今一であった。特筆すべきは、シナサワグルミが植栽されていた事だろう。しかし、今日はデジスコだけに賭けている。そこで京浜運河に面したしおじ磯にも、板材で簡単な野鳥観察施設があるので行ってみると、今日はやはり潮時が悪いのか、砂浜にたくさん突っ立っている棒杭には何も止まっていなかった。「あーあ、今日は野鳥公園で撮影したカワウの写真一枚のみか」と、嘆き節がとうとう始まった。今日の天気予報は一日中曇りであった筈だが、風も無く青空が広がりとても暖かい。もう時期では無いと思われるが、ハゼの投げ釣りを楽しんでいる方々が見られた。かかれば今の時期だから大きなケタハゼであろう。ことによったらカレイもいるのかもしれない。しかし、そんな釣り人をあざ笑うかのように沖合いでボラがジャンプし、投げ竿の先の鈴はちゃりんとも音を立てない。釣り人も私と同じで坊主のようだが、広々とした京浜運河を眺めながらの日向ぼっこもまた良いものである。
 そんな慰めを頭と胸の中に叩き込んでも、デジスコで野鳥を撮りたいと言う欲求が満足しないのは当たり前である。そこで「はぜつき磯」へ行ってみた。すると棒杭にユリカモメが一羽止まっていた。ユリカモメなら自宅から至近の県立三ツ池公園に腐るほどいるのだから、まあどうって事は無いのだが、今回は賓客である。デジスコで絵になるポーズをとった時にすかさずシャッターを切るのだが、ユリカモメは羽づくろいに夢中で、瞬時として静止する事が無いから意外と大変であった。こんな時はシャッターを押してからのタイムラグの無い、また、ISO感度を上げてシャッター速度を早くしてもノイズの出ない一眼レフカメラなら、ほほいのほいなのだがとも思った。撮影が簡単な筈の棒杭に止まるユリカモメと戯れていたら、たくさんの大きな石で磯らしさを出している砂浜の一角にイソシギが飛来した。ちょこまかちょこまか動くから、例え一眼レフでもなかなか撮影が難しい野鳥である。しかし、石の上で一瞬静止したので、なんとか撮影する事が出来た。デジスコは動くものは苦手であるが、かなり粘れば撮影する事が出来る事が分かった。
 これまでこの観察記をUPするに足る写真枚数を手にする事は絶対に不可能と思っていたが、これで俄然やる気になった。なんだあと言われそうだが、カルガモとキンクロハジロもゲットした。カルガモは身体が大きいから、一番倍率の低い1140ミリにしても、画面一杯となってしまう。だから、かなり遠くにいるものを狙わなければならなくなるのだから、一眼レフ時代には考えられない事である。そして最後にユリカモメが止まる棒杭の近くに、身体の大きなセグロカモメがやって来た。セグロカモメなんて、秋葉原の神田川の棒杭にも止まっているのだから、これまたユリカモメ同様にどうって事は無いのだが、今日の撮影した唯一の大物となった。以上、昨日の舞岡公園に続いて、ぎりぎりの撮影枚数確保となったところで、季節風が猛烈に吹き出して来た。私のデジスコセットは軽いから、風が強いと簡単に倒れてしまう。まあ、ここが潮時と欲求不満は依然解消しなかったものの、駐車場に急いで戻った。

<今日観察出来たもの>鳥/オオタカ、カワウ(写真下右)、アオサギ、セグロカモメ(写真中左)、ユリカモメ(写真中右)、イソシギ(写真上右)、ハクセキレイ、オオバン、マガモ、ホシハジロ、カルガモ、キンクロハジロ(写真下左)、カルガモ(写真上左)、ヒヨドリ、スズメ、メジロ等。


12月20日、横浜市戸塚区舞岡公園

 今日で今年最後にしたい、あるいは、なるかもしれない本当に貧果に泣いた1日であった。咲いてる花が一つもないと言い得る状況で、午後になっても各所の溜池は全面氷結のままで、ハシブトガラス以外、これと言った野鳥が現れずデジスコ撮影の練習にもならなかった。今年一年様々な被写体で賑わった舞岡公園ではあるが、もうお手上げの状況で、冬鳥がたくさんやって来るまで行く気がしなくなった。もし舞岡のファーブルさんに途中出会わなければ、どうなった事であろう。氏が貴重なイラガの繭のありかを教えてくれた。そんな訳で今日は、ぎりぎりの8カットを撮ったのみとなった。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<昨日今日観察出来たもの>花/フユザクラ、チョウセンレンギョウ、ヤツデ、カンツバキ等。蝶/ウラゴマダラシジミの卵、アゲハの蛹等。昆虫/クロスジフユエダシャク、イラガの繭、ハラビロカマキリの卵のう(写真上右)、オオカマキリの卵のう、チョウセンカマキリの卵のう等。野鳥/キジバト、ジョウビタキ、ハクセキレイ、キセキレイ、シジュウカラ、スズメ、ハシブトガラス、ヒヨドリ、コサギ等。キノコ/エノキタケ、スギタケ等。その他/ハコネウツギの冬芽葉痕、クズの冬芽葉痕(写真上左)、イロハモミジの紅葉、ナンテンの実、ノイバラの実、ガマズミの実、ニシキギの実、マユミの実、ウツギの実、センリョウの実、マンリョウの実等。


12月18日、横浜市緑区三保市民の森

 昨晩から強い季節風が吹き始め、今日のお昼過ぎまで北風がピープー吹いた。天気予報によると猛烈な寒気に日本列島はすっぽりと覆われて、全国各地で大雪が降っているようである。私がゴールデンウィークに宿泊した新潟県の六日町ユースホステルは、うず高く雪が積もっている事であろう。ユースの毎年の積雪記録が張ってあったが、確か6メートルは越えていた年があったと記憶している。川端康成ではないが、長い関越トンネルを抜けると、そこは雪国であるのだ。幸い首都圏は空っ風が吹くだけで、活動の妨げになる雪は滅多に降らないのは有難い。空っ風で思い出したが、群馬県の赤城降しは台風並みの強風が吹く。このHPの掲示板にたびたびご投稿下さるご婦人方も群馬県在住の方が多いから、今日は猛烈な風にきっと悩まされた事だろう。そんな風が強くて気温が低い一日だから、今日は家に蟄居していようかなあとも思ったが、明日、写真を搬入して20日より25日まで、第2回里山写真クラブ作品展が始まる。そんな訳で今日行っておかないと、このつれづれ観察記が間遠うになると出掛けてみた。しかし、コーナンで1580円で購入した防寒作業着はとても暖かく、正ちゃん帽、防寒ズボンも履いているから、「おお、ついに寒い冬がやって来たのね」なんて、呟きながらの散策となった。
 とは言うものの今が一番被写体の無い季節、おまけに風がとても強いから撮影に梃子摺るぞと、三保市民の森の駐車場に直行しないで、途中、畑に棚仕立てのツルウメモドキの実を撮りに行った。そこはまだ日陰で、暖かければもっと様々なアングルから写真を撮れた筈だが、寒さに辛抱しきれずに早々と引き上げた。また、サンシュユの実が乾涸びてたくさん残っていた。三保市民の森に到着すると、まずは入り口の畑に植栽されているポーポーの葉痕を撮った。ネットで調べてみると、ポーポーは別名ポポーとも呼ばれ、北アメリカ東部の原産で、バンレイシ科という聞きなれない熱帯に多い植物の一つである。しかし、唯一、ポーポーのみが耐寒性が強く、このため日本ではほとんどの地方で栽培が可能で、病虫害に強く無農薬で楽に栽培でき、果実、秋の紅葉とも楽しめる樹木として人気がある。また、ポーポーの果実を発酵させてワインをつくると、ふくよかな芳香で甘く爽やかな飲み心地のデザートワインになるらしい。今まで馴染みの薄かった樹木であるが、調べてみると「なるほど合点」となって親しみが沸いて来た。
 来る途中にツルウメモドキを撮影して来たから、ウメモドキも撮影しないとなんとなく片手落ちに思えたので、三保平へ登って行った。もっとも、ツルウメモドキはニシキギ科、ウメモドキはモチノキ科だから、和名は似ていても類縁関係は遠い筈だ。その実も一目瞭然と違っている。以前、何処かで書いたと思うが、ツルウメモドキには、ニシキギやマユミと同様にキバラヘリカメムシがたくさんつく。そんなことからもニシキギ科の植物である事が判明する。その実はやはりニシキギ科のマサキに似ているが、マサキには常緑の為かキバラヘリカメムシはつかない。こんな植物の類縁関係と特定の昆虫の関係はとても面白く、今日はミツバウツギフクレアブラムシをミツバウツギではなくゴンズイで撮影したが、ゴンズイは実はミツバウツギ科の樹木なのである。昆虫にはアメリカヒロヒトリのように様々な植物を食するものもいるが、狭食性と言って、類縁関係のごくごく近いものしか食べないものもすこぶる多い。「昆虫を見つけたかったら植物を知れ、昆虫を知っている人は植物にも詳しい」と言われるが、まさに名言だろう
 三保平では地元の方が総出で落ち葉かきをしていて落ち着かない。落ち葉かきはほとんど落葉してからやらないと、何べんもかく事になるのだから、今が適期なのだろう。しかし、今日は風が強いから「サザンカ、サザンカ咲いた三保平、焚き火だ焚き火だ、落ち葉焚き」と言う訳には行かないようだ。そんな訳で素通りして、去年、モズがよくとまっていた地面に刺してある畑の中の太いモウソウチクを見に行ったが、まだモズはやって来ていなかった。このところ各地で大雪が降っているので、きっと、雪があっては餌もないだろうから、冬鳥達はこぞって首都圏目指して飛び立ったのではないかと期待したい。その後、谷道へ行って、センダンの落葉の柄の末端にある維管束跡を撮った。これがお猿顔の葉痕をつくった本人である。この顔がブラスないし♂としたら、どこかにぴったりと嵌る葉痕がある筈で、それがマイナスないし♀の顔となる。何処かに私がぴったり嵌る女性が存在しているのだろうが、私とは正反対の性格の持主なのだろうから道端自然観察なんていう趣味は無く、街角大好き女性に違いない。ことによったら歌舞伎町のネオン街にいるかもしれないので、今度勇気を出して行ってみても悪くない。午後からは季節風がより強くなったし、来週の写真展に風邪でもひいたら大変と一目散に帰宅した。

<今日観察出来たもの>花/サザンカ。昆虫/ミツバウツギフクレアブラムシ(写真下右)。その他/ポーポーの冬芽葉痕(写真中左)、カラスザンショウの冬芽葉痕(写真中右)、センダンの落葉(写真下左)、ウメモドキの実(写真上左)、ツルウメモドキの実(写真上右)、サンシュユの実等。


12月17日、東京都町田市小野路町

 今日は前回来た時よりもっと真っ白に霜が降りていた。地面だけでなく下草の低木の葉にも霜の結晶が着いている。もちろん谷戸田はカチンカチンに凍り、畑には霜柱がたっていた。雑木林はますます落葉して小道はふかふかのジュータンとなり、僅かにコナラの黄葉が残っているものの、ヤマコウバシの褐色の枯葉が目立つようになった。遂に厳冬期が間近であると感じさせる。しかし、野鳥の出はすこぶる悪く、カワセミすら見られない。せっかくのデジスコ撮影練習は空振りとなってしまった。モズやジョウビタキが見られるのは、どうも年明けからのようである。それでも何でも屋だから写真は確保出来たが、野鳥が一つも紹介出来ないのは寂しい限りである。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ニホンスイセン、サザンカ等。蝶/ヒメアカタテハ。昆虫/ニホントビナナフシ、クロスジフユエダシャク、アキアカネ、ハラビロカマキリの卵のう(写真上右)等。キノコ/ウチワタケ等。鳥/キジ、キジバト、ヒヨドリ、カシラダカ、キセキレイ、スズメ等。その他/霜の降りた葉(写真上左)、サンショウの冬芽葉痕、サルトリイバラの実、マンリョウの実、ノイバラの実、ニシキギの実、クサギの実、ナンテンの実、カラスウリの実等。


12月15日、神奈川県川崎市麻生区黒川〜町田市薬師池公園

 3年間も続けて来たこの「つれづれ観察記」も後数回でエンディングを迎える。どんなに美味しい食べ物だって、延々と食べ続けたら飽きるように、まあまあ普通の味のこの「つれづれ観察記」ならば、なお更飽きてしまうと言う訳である。来年から道端自然観察及び写真撮影が18年目に入る。色々なものを観察し撮影して来たが、振り返ってみると、それぞれの対象物に関しては飽きが来ても、良い写真を撮りたいという思いだけは枯れる事はなかった。写真家の間で「写真は深情け」と表現されているが、まさにその通りのようである。そこで来年からは、このHPを「道端自然観察館」から「道端自然写真館」へと変えたいとも思ったのだが、面倒臭いし色々支障が出るかもしれないから、このままで行くことに決めた。ターゲットを決めずに「良い写真を撮りたい」という思いだけで、フィールドを気ままに散策する事になるのだろう。
 それにしても今日もすこぶる寒い。完全に寒さは定着したようで、地球温暖化なんて本当なのだろうかと疑いたくなる位だ。箪笥の衣類は秋物から冬物に完全に入れ替えて、今日はモコモコスタイルで出かけた。それにしても四季のある日本に住んでいると、四季に合わせた衣類を購入しなければならず、また、とっておかなければならないのだから大変だ。南の国なら夏物だけ揃えれば良いのだから、非常に経済的だなあ等と考えながらフィールドへ到着した。車を降りて一般撮影機材で散策するが、本当に撮るものが無くなった。もうかなりの回数霜が降りたようで、道端も畑の縁も田んぼの畦もだいぶ褐色を呈して来た。こうなったら冬芽葉痕を撮れば良いのだと開き直ってみたが、それだけでこの観察記を飾るのも寂し過ぎる。しかし、まずは数枚確保しておこうと、畑に植栽されているキウイの葉痕を撮りに行った。オカメのような思わず笑みが毀れる顔がたくさんついていた。次に、恐らくカシグルミと思われるクルミの木が畑に植栽されているので見に行った。やはり自生するオニグルミに比べて、なんとなく上品な顔立ちの羊達がたくさんいた。これで冬芽葉痕の写真は2枚確保したからと、民家の生垣のマサキの実を撮ってから、いつもたくさんの様々な実が見られる小道へ行った。写真を見れば分かるように、マサキの実はマユミやツリバナの実に似ている。一応念のため図鑑を開いてみると、間違いなくニシキギ科ニシキギ属の一員であった。この仲間はほとんどが落葉樹だから、常緑のマサキは異端児とも言えよう。もっとも我が国に自生するものだけを収録してある図鑑だから、世界的にはもっと常緑のものもあるのかもしれない。今日の実の小道では、ヤマコウバシ、スイカズラ、ヒヨドリジョウゴ等の実も見られたが、出色はイヌザンショウの実であろう。カラスザンショウの実に似ているが、やや種子が大きいようだ。大木のカラスザンショウより大きい種子をつけるなんて、なかなイヌザンショウも負けず嫌いである。
 午後からは、このところ定番となっているデジスコ撮影の練習に薬師池公園へ行った。だいぶ手馴れて来たから、年明けからは免許皆伝となる事だろう。それにしてもデジスコは軽い。駐車場から野鳥観察のポイントまでかなりあるが、以前だったらかなりの苦行となっ筈たが、口笛を吹きたくなる快適さだ。35ミリ一眼レフに500ミリまである廉価版のズームレンズをつけて、今よりも重たい三脚で歩き回ると、帰宅後に身体中の筋肉がこわばって、それが数日続くと体調が悪くなったものだが、デジスコならそんな事もないようである。今日の狙いはジョウビタキの雄であったが、なかなか気をもませて現れてくれない。しからば何枚かの写真確保とばかりにカイツブリやホシハジロを撮り、古民家の裏へ行ったが、シジュウカラが多いものの何も撮影出来なかった。カワセミが良く止まる茶店前のポイントのモミジの紅葉はすっかり終わって、枯葉色に変色したものが残っているだけだから、カワセミを撮る気も起きない。「あーあ、今日の野鳥はカモちゃんだけか」と嘆きつつも、去年、人馴れしたジョウビタキの雄が居た場所に3度目に行ってみると、なんと3度目の正直で現れてくれた。去年、あんなに人馴れしてたくさんの餌を人間から貰って、果たして故郷に帰れるのかしらと心配したが、故郷へ帰って、また忘れずに薬師池公園へ戻って来たようである。もっとも同じ個体とは確定できないが、なんとなくそのような気がするのである。ジョウ君は、はじめ恥ずかしそうにサツキの植え込みの中に隠れていたが、じっと待っていると、石で出来た杭の上に止まってくれた。しかし、デジスコではあまりにも近過ぎて、顔だけの写真となってしまう。そこで後ずさりをしてもう一回狙いを定めると、ちょうど良い大きさとなった。いつ見ても色合いの美しい小鳥である。色々と目線を変えるジョウ君を思う存分撮らせて貰い、木の枝に止まってよと願ったものの、池の向こうに飛んで行ってしまった。以上、今日の最大の目的であるジョウビタキの雄をしっかりとカメラの中に収めると、口笛を吹きながら駐車場へ戻った。

<昨日今日観察出来たもの>花/ノゲシ、ホトケノザ、サザンカ等。昆虫/クロスジフユエダシャク等。野鳥/ジョウビタキ(写真上左)、ヤマガラ、カワセミ、ハクセキレイ、シジュウカラ、スズメ、ヒヨドリ、キジバト、カイツブリ、カルガモ、ホシハジロ(写真上右)、キンクロハジロ等。その他/カシグルミの冬芽葉痕(写真下右)、キウイの冬芽葉痕(写真下左)、ナンテンの実、ノイバラの実、ガマズミの実、ニシキギの実、マユミの実、アオツヅラフジの実、ウツギの実、マサキの実(写真中左)、マンリョウの実、イヌザンショウの実(写真中右)、ヒヨドリジョウゴの実、スイカズラの実、ムラサキシキブの実、ヤマコウバシの実等。


12月13日、横浜市戸塚区舞岡公園

 今日は午前中は風がほとんど無い暖かい小春日和、午後になるとにわかに空は雲って、なんと一時雪が降った。少量だが初雪という事になるのだろう。そして夕方には、お月様が真ん丸く青空に浮かんでいた。とっても変わりやすい天気であった訳で、帰宅して今日の天気を調べてみると、“日本海側は北海道から西日本まで雪、室戸岬、千葉、勝浦で初雪が降った。明日も、日本海側は雪が続き、山沿いを中心に大雪に注意が必要。季節風が強く、太平洋側は晴れるが雲が広がりやすい。東海地方など平野部でも雪のちらつく所があり、全国的に厳しい寒さが続く”とあり納得した。舞岡公園にも、厳しい冬がやって来たのだ。 詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<昨日今日観察出来たもの>花/コセンダングサ、ノゲシ、オニノゲシ、ヤツデ、チャ、サザンカ、ヒイラギ等。蝶/ベニシジミ、ゴマダラチョウの幼虫、アゲハの蛹等。昆虫/クロスジフユエダシャク、アキアカネ、オオクモヘリカメムシ等。野鳥/ジョウビタキ、ルリビタキ、カワセミ、ハクセキレイ、キセキレイ、シジュウカラ、メジロ、ツグミ(写真上右)、スズメ、ハシブトガラス、コガモ、アオサギ(写真上左)、コゲラ、ハイタカ、キジバト等。キノコ/エノキタケ、スギタケ等。その他/ジョロウグモ、アジサイの冬芽葉痕、イロハモミジの紅葉、ナンテンの実、ノイバラの実、ガマズミの実、ニシキギの実、マユミの実、アオツヅラフジの実、ウツギの実、センリョウの実、マンリョウの実、ヤブコウジの実、トキリマメの実等。


12月11日、神奈川県川崎市麻生区早野町〜寺家ふるさと村

 今日も昨日早く寝たために快い目覚めとなったが、相変わらず治療中の歯が痛い。洗面台の鏡に向かって、最近は皺と白髪が増えて余り見たくない自分の顔を眺めて見ると、なんとなく可笑しい。歯の痛い方の頬が、元NHKのアナウンサーの宮田輝のようではないか。このHPをご覧下さる方々は、皆、東京オリンピックをご存知の世代だろうから、即座に宮田輝の顔が浮かぶ事だろう。しかし、歳若い方もいるかも知れないので、頬が膨らんで垂れ下がりそうになっている顔という訳なのである。おまけに外へ出て空を見上げると曇っていてとても寒い。今日は道端自然観察は取り止めにしようかなとも思ったが、歯医者さんからもらった鎮痛剤を飲むと、30分後には歯の痛みが和らいだ。そこで、またしてもしぶしぶ寺家ふるさと村の隣にある早野町へ行った。ここなら午前中は一般撮影、午後はデジスコ撮影の練習にもってこいと言う訳である。今年からは防寒作業着を着用するのは止めようと、一般的なとても上等な値段の張る防寒衣を購入したのだが、どうも着心地が今一である。やはり俗にカストロ防寒衣と呼ばれているものは、両胸と裾にカバー付きの大きなポケットが二つあり、もこもこの偽毛皮が襟につき、おまけに袖口内部に風が入らないようにすぼまった内袖があるから最高なのだ。しかし、色がブルーでは余りにも作業員風になってしまうのでためらっていたら、なんと黒い色のものをコーナンで見つけた。黒はスズメバチ対策として着用してはいけない色だが、もうスズメバチは冬眠したからその心配も無い。おまけに値段が1580円には飛びついた。恐らくクリーニング代より安い事だろう。そんな防寒衣を購入したから、今日の寒さなんてへいちゃらな訳である。皆様にも冬の道端自然観察には最高だから、是非、コーナンへ行って購入して貰いたい。特にご婦人が着用したら、とっても粋だと思われる。
 天気予報でもそうだったし多摩丘陵方面を見ると空は明るかったから、次第に晴れるだろうと思ったが、現地に到着したらますます雲は厚くなった。こんな日は寒さで激減した昆虫の姿等は、まるっきり見られないだろうし、撮るものに苦労するだろうなと、先ずはモンシロチョウの蛹を見つけに行った。ここは市民菜園が多いから、農薬散布も少なく、毎年数多くのモンシロチョウの蛹を発見する事が出来る。しかし、今日ももちろんモンシロチョウの蛹はいとも簡単に見つけ出したが、ニンジンやパセリを食するキアゲハの蛹は見つからなかった。今日はこんな天気だし、病気療養中の花虫さんは、まさか道端自然観察に等へ行きっこ無いと思われているだろうから、何にも撮れなくっても良いやと、ハンノキがたくさん見られる雑木林に囲まれた谷の小道に足を進めた。ミドリシジミの卵をハンノキで、ウラゴマダラシジミの卵をイボタでと探してみたが見つからない。二つある溜池にも野鳥の姿はまるで見られず、本当に今日はお手上げだなと思った瞬間、形良くぶら下がるノササゲの実が目に入って来た。花の時期には簡単に探し出せるのだが、その実は意外と目に入らない。そんなノササゲが芸術的な格好で垂れ下がっているのだから喜色満面となった。風の揺れが止まるのを待ちながら周辺を見渡すと、髭親父のセンニンソウの実、マユミの実、ヤブランの実も目に入った。更に斜面の奥には、カラスウリ、スズメウリ、ヒヨドリジョウゴの実まであるではないか。これはこれはと一気に写真の枚数が稼げてしまった。
 そんな訳で午後からは余裕綽々でデジスコ撮影の練習に入ったのだが、肝心の野鳥の姿はまるで無い。寒いからみんな藪の中で眠っているのかもしれない。しかし、1羽のハクセキレイが舗装道路で餌を探していていたので近づいた。ハクセキレイは交通量の多い道路や駐車場等にも姿を見せて、比較的人慣れしているから有難い。それでも近づくと飛び立って、なんと墓石の上に止まった。昨日はカワセミが観音様の頭に止まるし、今日は墓石の上と、なんとなく風情に欠ける所ばかりに止まるわいとぼやきながら、墓石の上とは悟られないように、○○家の文字が入らないように気遣って撮影した。その後、付近を散策したが野鳥の姿は無く、ヒラタケはどうなっただろうと隣接する寺家ふるさと村へ移動した。ヒラタケは前回来た時より成長しているものも見られたが、まだ、幼菌のままのものも数多く残っていた。本当に首都圏は雨が降らない。成長したくとも成長出来ずにいるのだから、その内に雪が降ったら、雪景色の中のヒラタケでも撮ろうと楽しみにして、今日の散策は早々の店じまいとなった。

<今日観察出来たもの>花/ベニバナボロギク、ノゲシ、カンツバキ、ヒイラギ等。蝶/モンシロチョウの蛹(写真下右)等。昆虫/クロスジフユエダシャク、ウスタビガの空繭等。キノコ/ヒラタケ(写真上左)、ヒイロタケ等。鳥/ハクセキレイ(写真下左)等。その他/ネムノキの冬芽葉痕(写真上右)、ノササゲの実(写真中左)、クサギの実、ヤブムラサキの実、ムラサキシキブの実、マユミの実、ナンテンの実、センニンソウの実(写真中右)、スズメウリの実、カラスウリの実、ヤブランの実、ヒヨドリジョウゴの実等。


12月10日、東京都町田市小野路町

 昨日家に帰って来ると、なんとかこのHPの更新は出来たものの、治療中の歯が痛く意識も朦朧として来たので布団の中へ直行した。だから、今日は何処へも行けないのではと思ったものの、信じられない位に長時間眠ったので、寝飽きてしまった。そこで小野路町へ行ってみた。到着して草原や畑に真っ白に霜が降りているのには驚いた。谷戸田の僅かに残っている水も凍っている。しかし、歩き始めるととても穏やかで暖かい日となった。午前中は牧場方面を一般撮影機材で散策したが、午後からはデジスコの練習に励んだ。お蔭様でカワセミも現れてくれ、思う存分撮影する事が出来た。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/コセンダングサ、ハルジオン、ヒメジオン、ホトケノザ、ノゲシ、セイタカアワダチソウ、ニホンスイセン、チャ、サザンカ、ボケ等。蝶/キタテハ(写真上左)、モンシロチョウ、ベニシジミ等。昆虫/オンブバッタ、クロスジフユエダシャク、チョウセンカマキリの卵のう(写真上右)等。キノコ/栽培ナメコ等。鳥/カワセミ等。その他/オニグルミの冬芽葉痕、トキリマメの実、ゴンズイの実、ノイバラの実、ニシキギの実、マユミの実、ナンテンの実、カラスウリの実等。


12月8日、横浜市港北区横浜冬芽ランド〜都筑区鴨池公園

 とても寒くなった。天気予報で、北海道の旭川では−15度と予想されていた。学生時代に松本市で−18度の気温を体験しているが、寒いなんて表現が甘ちょろい「縛れる」という地元の表現があたっている尋常では無い寒さだった。首都圏も一昨日、昨日と二日連続でとても寒く、道端自然観察へ行く気が起きなかった。見るもの撮るものがあれば、そんな寒さなんてへっちゃらなんだけど、そうではないから我輩は猫となって、暖かい部屋から出たくなくなる。なにかと忙しい12月に入って、歯医者へ通う事となってしまった。人間、何処が痛くても憂鬱だが、それも手伝ってか元気が出ない。歯医者の可愛らしい歯科助手さんが、「花虫さんは一年でいつが好きですか?」と、私の趣味を知っていて尋ねて来た。「若葉の5月、梅雨の6月かな」と答えると、「5月は分かるけど、じとじとする梅雨の頃が良いなんて分からないわ」と言う。そこで「6月は蝶も昆虫も一杯だし、キノコもたくさん生えるんだ。それに薮蚊も少ないしね」と説明した。いずれにしても12月が一番嫌な月だと言う事になって、歯が痛いのに朗らかに笑った。急に寒くなって身体がその寒さに慣れてないし、4時を過ぎれば陽が落ちて寒くなる。しかも、お客さんからの仕事も無い月だし、年賀状だのという厄介な事柄が続く。一つ歳をとっても早く新年がやって来ないかなと願うばかりだ。
 以上、やたらと愚痴ばかり連ねて来たが、今日は風もほとんど無く穏やかな小春日和である。12月に入ってから、この観察記も本来の1月に15回のペースへとダウンしたが、今日あたり行っておかないとますます遠のいてしまうので、今日は自宅から至近距離の横浜冬芽ランドへ行った。横浜冬芽ランド等という場所や施設は何処にも無く、横浜キノコの森と同じく私が勝手につけた名前である。まずはそう断っておかないと大変な事になる。以前、「横浜キノコの森へ行きたいと思って地図やネットで調べたけど、何処にも出ていないので教えて下さい」とのメールがご婦人から来た事があった。もちろん、「御免なさい、自分が勝手につけた名前です」と平謝りした事は言うまでも無い。もっとも横浜市が、「横浜キノコの森」「横浜冬芽ランド」とか言う名の緑地を作ってくれたら最高だとの願いも、少しはこもっている。例えば「横浜冬芽ランド」なら、そこへ行ったら代表的な冬芽と葉痕を、ほとんど観察し撮影出来るように樹木が植栽された緑地である。オニグルミ、チャンチン、ムクロジ、センダンはかかせない樹木で、私が今日行った「横浜冬芽ランド」には、それらが全て見られるのである。だからこそ私は勝手に「横浜冬芽ランド」と名づけたと言う訳である。
 実際に地図上では、横浜市港北区新羽町の鶴見川にかかる亀の子橋周辺の耕作地や雑木林や河川敷ということになる。町田市にその源流を発する鶴見川は、この亀の子橋あたりで堅い岩盤にぶつかって、その流れは急に早くなる。この為、瀬が続いて、私がご幼少の頃は、亡き父と投網による魚捕りを楽しんだ場所である。信じられないかも知れないが、30センチを越すアユがたくさん網に入ったのだ。この他、横浜ではヤマベと呼んでいるオイカワ、ハヤと呼んでいるウグイもたくさん見られた。また、今は横浜スタジアムがそびえているが、かつてはコミミズク、タゲリ等の野鳥の好観察地として著名だった水田地帯の小川に小鮒がたくさんいて、四手網で捕まえたものである。また、モクゾウガニと呼ばれる大きな蟹も川岸にいた。そんな懐かしい場所だから「ウサギ追いし彼の山、小鮒釣りし彼の川」とでも歌わなくてはならないのだが、右上奥歯の鈍痛からか歌う気にもなれなかった。
 午後からは購入したデジスコセットの練習の為に、茅ヶ崎公園〜鴨池公園まで散策した。目的の第1は大原みねみち公園で見られるカワセミだったが、今日は観察出来なかった。このところ、薬師池公園、舞岡公園、四季の森公園と連続して見られない日が続いているが、いったいカワセミ君は何処で何をしているのかと不思議に思った。また、その他の鳥もほとんど見られず、池にいるカルガモやマガモがデジスコ練習のターゲットとなったが、相手が大きいから逆に大きく入りすぎて後ずさりする事となった。さすがデジスコの1140ミリ〜3420ミリは、とてつもない超望遠である。また、一眼レフと異なって、例えゆっくりと泳いでいるカモであっても、デジスコでは撮影が難しいと実感した。デジスコに慣れればなんとかなるのだろうが、基本的には散策しながら止まっている野鳥を撮るのに適していると実感した。もう少し冬鳥が増えたら小野路町・図師町のフィールドを一周出来るぞ、平塚市土屋の金目川の土手から野鳥が撮れるぞ、武蔵丘陵森林公園のミヤマホウジロ君、妙福時のヒレンジャク君、待っててねと確信した訳である。

<今日観察出来たもの>花/ノゲシ、コセンダングサ、タイアザミ、キク、カンツバキ(写真上右)、ツワブキ(写真上左)等。蝶/モンシロチョウ、ヒメアカタテハ、ウラナミシジミ、ヤマトシジミ等。昆虫/テントウムシ、ハラビロカマキリ等。野鳥/マガモ(写真下左)、カルガモ、ヒヨドリ、オナガ、メジロ、シジュウカラ、スズメ、ハクセキレイ等。その他/チャンチンの葉痕(写真下右)、カキの葉痕、トチノキの葉痕、オニグルミの葉痕、ムクロジの葉痕、イロハモミジの紅葉、ナンテンの実、ノイバラの実、センダンの実(写真中右)、エビヅルの実(写真中左)、ヘクソカズラの実、イヌビワの実等。


12月4日、横浜市戸塚区舞岡公園

 天気予報によると、今日は久しぶりの曇天である。朝起きて空を見上げと、やっぱり雲が空を覆っているし気温も低い。風邪でも引いたら元も子もないから行くのは止めようとも思ったが、せっかく早く起きたのだから行ってみるかと出かけた。まだ、12月に入ったばかりだから、防寒をしっかりすれば何とかなる。これが厳寒期なら、恐らく止めにしただろう。これからしばらくは、晴天で風のない日がベスト散策日和となる事は言うまでもない。舞岡公園に到着してみると人の出はやはり少ない。しかも、なんと午前11時半に雨が降って来た。夜中から雨の筈だったのにと恨んだが、仕方あるまい。そんな訳で今日の散策は、正味2時間のものとなった。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ホトトギス、コセンダングサ、ハキダメギク、タイアザミ、キク、ヤツデ、チャ、サザンカ、ヒイラギ等。蝶/ゴマダラチョウの幼虫、アゲハの蛹等。昆虫/ミカドトックリバチの空巣等。野鳥/キセキレイ、アオサギ、コサギ等。キノコ/エノキタケ、ヒイロチャワンタケ等。その他/ジョロウグモ、サワグルミの葉痕、カキの葉痕(写真上右)、トチノキの葉痕、イロハモミジの紅葉、ナンテンの実、ノイバラの実、ニシキギの実、マユミの実(写真上左)、アオツヅラフジの実、ウツギの実、センリョウの実、マンリョウの実等。


12月3日、東京都町田市小野路町

 今朝起きてみると、ほんの少しだが霰が積もっている。道路を見ると濡れているし、空を見上げると黒い雲がかなり残っている。ここしばらく続いた穏やかな小春日和は断ち切られて、いよいよ木枯らし吹く寒い季節となったようである。しかし、多摩丘陵方面の空は青空だし、天気予報でも町田市は晴れというので出かけてみた。雑木林はかなり落葉し、クロスジフユエダシャクがあちこちで弱々しく舞っていた。もうこんな季節になったんだと感慨を新たにした。今年は仕事が暇で、道端自然観察に信じられない位に出かけて、いつまでも散策日和が続くものと錯覚していたが、やはり冬は忘れずにやって来たようである。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/リンドウ、リュウノウギク、コセンダングサ、ハルジオン、ヒメジオン、ホトケノザ、セイタカアワダチソウ、チャ、サザンカ等。蝶/ベニシジミ、ヤマトシジミ等。昆虫/クロスズメバチ(写真上左)、クロスジフユエダシャク等。キノコ/ウチワタケ等。鳥/カワセミ等。その他/イロハモミジの紅葉、ツルウメモドキの実(写真上右)、ゴンズイの実、ノイバラの実、ニシキギの実、マユミの実、ヤブムラサキの実、ムラサキシキブの実、カラスウリの実、ナンテンの実、ヒノキの実、ヤブミョウガの実等。


12月1日、横浜市青葉区寺家ふるさと村〜町田ボタン園

 いよいよ12月に入った。気圧配置も冬型がすっかり定着したようで、気温は低く風も北風だ。もうこうなったら見るもの撮るものも限られて来る。なんと言っても冬のスターは冬鳥なのだが、その飛来はかなり遅れている。そんな中にあって、この観察記を彩る写真を揃える事は至難の業だ。しかし、昆虫だけ、キノコだけ、野の花だけ等の「だけ」の方は大変だろうが、何でも屋になりさえすれば何とかなる。今日は先週末、寺家ふるさと村の主とも言える駒沢のNさんが見つけたヒラタケを見て来ようと、久しぶりに寺家ふるさと村へ行った。寺家ふるさと村は様々なキノコが見られるフィールドなのだが、先週末、Nさんが必死になって探してみたが、ヒラタケ、エノキタケ、アシナガタケ、ニガクリタケだけであったと言う。その中でも一本のヤマグワの倒木に、幼菌だけれどヒラタケがたくさん生えていましたよとの情報を流してくれたから、是非、行ってみようと考えていた訳である。ヒラタケは成長すると傘の色が淡くなり、色濃い傘の幼菌を撮りたいと思っていたのだ。教えてもらった場所に行くと、すでに5日間は経っているというのに左程成長が見られない。雨も降らないし寒いから、その成長はほんの少しづつと言う訳である。
 念願のヒラタケを撮ったのは良かったものの、陽があまり射さず湿気がある場所であったから、身体はすっかり冷えてしまった。そこで日当たりの良い小道に戻ってみると、クヌギの大木にキノカワガを狙っているヨコヅナサシガメの幼虫を見つけた。まずキノカワガだが、樹木の肌色に擬態していて小鳥等の天敵から身を守っている。そんな蛾だから写真に撮っても、何処にいるのか分からない写真となってしまう。また、ヨコヅナサシガメの幼虫だが、こちらは集団で樹木の窪み等で越冬する。身体は赤い部分もあるのだが脂のようなてかてか光る黒色の、なんとなく敬遠したい昆虫である。そんなキノカワガとヨコヅナサシガメの幼虫だが、まさかキノカワガを捕らえにスローモーに近づいているのには驚いた。もうすっかり冬眠と思っていたが、冬の間でも暖かければ餌を求めていくらか活動するようである。また、落ち葉が一杯の地面に、日向ぼっこのムラサキツバメの雄をはじめて観察した。雌は上翅の表面にきらきら光る青紫色の部分を持つが、雄は黒と言っても良いくらいの暗い紫色一色で、それほど光輝く訳ではない。近縁のムラサキシジミは雌雄ともに、きらきら光る青紫色の部分を持っているから、ムラサキツバメもそうに違いないと思っていたが、なんと雄はとても地味な色彩であったのだ。今日は午後からは薬師池公園で野鳥の撮影だからと、他に何かないかと探してみたが、干からび始めたシオデの実をみつけたのみで終わった。
 午後からは薬師池公園へ行った。園内を歩いていると、薬師池公園の野鳥撮影の主である方に出会った。「朝7時からこれまで頑張ったが、まるっきり駄目だよ」との事であった。前回来た時と同じカワセミのポイントへ行ってみたが、木枯らしによる落ち葉が水面にたくさん浮き、しかも北風だからポイントに吹き寄せられている。これではカワセミも、さぞかし猟がしにくいだろうと感じられた。更に前回来た時にあった格好の良い枯れ枝は、みすぼらしい枝に変わっていた。カワセミがだめならと裏手の古民家の庭へ行ってみたが、こちらも何も来そうもない。そんな訳でいくら頑張ってみても撮影出来る野鳥は、カルガモとキジバト位に感じられた。そこで薬師池公園での野鳥撮影は諦めて駐車場に戻ると、一般撮影機材にかえてボタン園へ行った。ボタン園およびその周辺なら、寺家ふるさと村で撮影したものに数枚プラスする事は可能であろうと思ったのだ。こんな寒い日でも、まだ12月に入ったばかりであると、風が遮られる雑木林に隣接する陽だまりに行ってみると、アキアカネが樹木の幹に止まり、なんとヒメアカタテハが地面で日光浴をしていた。これはいただきと慎重に近づいて撮影した。また、寒ボタンも咲いていて、背景が今一だがボタン園に来たのだからと撮影した。更に園内奥に向かうとツワブキが見事に咲き、ハウチワカエデが美しく色づいていた。もちろん、その紅葉をカメラの中に収めたいと頑張ってみたのだが、葉の重なり具合や、また痛んでいる葉もあって、その実を紅葉をバックにして写した。そんな訳で薬師池公園では今日のHPの更新は無しと一時顔が真っ青になり、しかし、12月の初日だから何とかUPしたいなあとも思った訳だが、その思いは、いとも簡単にボタン園にて叶えられ、予想だにしない枚数の写真がカメラの中に収められた。こうして12月のスタートは順調に幕が開いた。

<今日観察出来たもの>花/カンボタン(写真上左)、イソギク(写真上右)、ボケ、サザンカ、ツワブキ等。蝶/キチョウ、ヒメアカタテハ(写真下右)、ツマグロヒョウモン、ウラギンシジミ、ムラサキツバメ、ヤマトシジミ等。昆虫/キノカワガ、クロスジフユエダシャク、アキアカネ、ヒメアカネ、ハナアブ、ヨコヅナサシガメの幼虫等。キノコ/ヒラタケ(写真中左)等。その他/ハウチワカエデの実(写真下左)、ガマズミの実、ナンテンの実、シオデの実(写真中右)、サネカズラの実、センリョウの実、マンリョウの実、サンシュユの実等。



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