2005年:つれづれ観察記
(10月)


10月30日、東京都町田市小野路町・図師町

 暑くも無く寒くも無く、おまけに風も無く、そして薄曇で、絶好の散策日和、撮影日和となった。このためか写真撮影に多くの方が来られていたし、里山散策する方も、もちろん多かった。昆虫ははなから狙っていなかったが、こんな陽気だからルリタテハやツマグロヒョウモンが見られ、相変わらず棒の先にはアキアカネがたくさん止まっていた。野の花ではリュウノウギクやリンドウが咲き始めていて、以前から咲いているアキノキリンソウ、コウヤボウキ、ヤクシソウ等と、今年最後の花盛りを迎えていた。それに爆生とは言い難いが各種のキノコが見られ、特にナラタケが信じられない位にたくさん生えていた。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/リンドウ、リュウノウギク、コウヤボウキ、ヤクシソウ、シュウメイギク、ミゾソバ、イヌタデ、ノハラアザミ、セイタカアワダチソウ、シロヨメナ、ノコンギク、ヨメナ、シラヤマギク、アキノキリンソウ、ゲンノショウコ、シュウカイドウ、ダリア、サザンカ、チャ等。蝶/キチョウ、ルリタテハ、ツマグロヒョウモン、ベニシジミ、ヤマトシジミ等。昆虫/センチコガネ、クロウリハムシ、ハネナガイナゴ、オンブバッタ、ヒシバッタ、ハネナガヒシバッタ、アオクサカメムシ、アオクサカメムシの幼虫、等。キノコ/栽培のナメコ(写真上右)、ナラタケ(写真上左)、カニノツメ、アシボソノボリリュウタケ、キツネノタイマツ等。その他/アオツヅラフジの実、ナンテンの実、モッコクの実、ヒノキの実、アワブキの実、ヤブミョウガの実、クサギの実等。


10月28日、横浜市戸塚区舞岡公園

 またしても週末は天気が崩れると予想されている。晴天の日は今日一日だけのようだ。仕事も一段落ついたし、何処かへ行こうと思案したが、行きたい所もなくなった。前回行った時に撮れなかったキビタキの雄を撮りたかったが、今日は鎌倉のご婦人達の弘法山でのオフ会らしいから遠慮した。そこで毎度御馴染みの舞岡公園へ行った。別段、これといった撮りたいものはないものの、舞岡公園生物調査記録ボランティアの一員としての責務を果たそうと言う訳である。そんな思いが通じたのか風も無くとても暖かい一日で、見るもの撮るものが少なくなっているにもかかわらず、とっても楽しい一日となった。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/コウヤボウキ、トリカブト、イヌコウジュ、キキョウ、セイタカアワダチソウ、ワレモコウ、ツリガネニンジン、ホトトギス、シロヨメナ、カントウヨメナ、ノコンギク(写真上左)、コセンダングサ、コシロノセンダングサ、タイアザミ、ミゾソバ、アキノウナギヅカミ、チャ、サザンカ、コスモス等。蝶/アカタテハ、ルリタテハ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ等。昆虫/アキアカネ、マルカメムシ、チャバネアオカメムシ、エサキモンキツノカメムシ、キバラヘリカメムシ、アオバハゴロモ、ハネナガイナゴ、ツチイナゴ、ウマオイ、オオカマキリ等。キノコ/コガネタケ、サンコタケ、イヌセンボン(写真上右)、クロアシボソノボリリュウタケ、シロトマヤタケ、ヒイロチャワンタケ等。鳥/トビ、カワセミ、アオジ等。その他/ジョロウグモ、ガマズミの実、ムラサキシキブの実、シロダモの実、ノイバラの実、アオツヅラフジの実、ニシキギの実、ヒヨドリジョウゴの実、マユミの実等。


10月27日、神奈川県川崎市麻生区黒川

 今週初めの週間天気予報では、上々の散策日和がずっと続くとあったのに、またしても愚図ついた天気となった。「天高く馬肥ゆる秋」は首都圏では今年は縁がないのかもしれない。心変わりが激しい女性がたまにいるが、まったく今年の秋の天気はそれに類似している。サイモンとガーファンクルに「セシリア」という心変わりした女性に対する悩みの曲があるが、breaking my heartの日々ではなくて、もっと落ち着いた天候になって欲しいものである。昨日は一生懸命仕事をこなし、今日こそはと思ったのに朝から無常な冷たい雨が降っている。まったくbreaking my heartである。電車に乗ってカメラを直しにキャノンへ行こうか、レンズを直しにシグマに行こうかと悩んでいたが、昼近くになって空が明るくなって来た。これなら午後から散策出来るのではないかと、シグマに立ち寄ってから黒川へ行った。狛江にあった本社が黒川駅から至近の川崎市麻生区栗木のマイコンシティーに引っ越して来たのである。土曜日曜祝日は休みだが、平日なら修理の受付もすると言う。まったくこれはラッキーな事で、シグマの交換レンズを愛用する私にとっては、まことに朗報である。なにしろ黒川のフィールドへ行く道沿いにあるのだから。
 そんな訳で黒川のフィールドに着いたのは、1時半を過ぎていた。落日はとても早くなっているから、4時までの2時間半の散策だ。今日はまず最初に色づいて来たカキの実を撮ろうと、緩やかな南斜面にある果樹園へ行った。何処でも梨やリンゴの果樹園は厳重に柵が張り巡らされていて、ほんの少しのお邪魔も出来ないが、その点、柿の果樹園は栗園と同様に比較的大らかである。それだけカキの人気は低く、また、梨やリンゴに比べてあまり手間をかけずに収穫出来るからかもしれない。この黒川にやって来る途中、小田急線の柿生駅前を通って来たが、この辺りはまさに柿の一大産地だったのである。目指す果樹園には富有柿が栽培されていて、ちょっと失敬ともぎ取りたくなるように美味しそうに色付いていた。我が家にも無き父が接木をした富有柿が一本庭に植えてあるが、夏前にはたくさん実を付けていたから今年こそ食べられるぞと思っていたら、みんな落果してしまって寂しい限りである。接木名人だった父の最後の作品だから、まだ桃栗3年、柿8年になっていないのである。柿園に到着した頃には青空一杯の晴れとなって、日当たり良い場所だから、キタテハ、ヒメアカタテハ等が、セイタカアワダチソウに吸蜜に訪れていた。また、カナムグラの実にアオクサカメムシがたくさん吸汁しているのには驚いた。どういう訳か柿の老木にはキノコが生えている事が多いが、雨を吸ってスエヒロタケが元気一杯に傘を広げていた。
 前述したように今日の散策時間はとても少ないが、あっと言う間に、柿、スエヒロタケ、キタテハと3枚もゲットした。これは幸先が良いわいと、更に農道を詰め、左右に広がる雑木林に踏み込んでみたものの、これと言ったものには出会えなかった。そこでいつもの黒川の定番となっている、右の谷戸へ舞台を移した。今日はそろそろ咲き始めているキクの花も撮りたいと思っていた。いつも色鮮やかで形の良い小菊が右の谷戸入口に見られるのだが、ほんのちょっぴり咲き始めたばかりだったが、もう目聡くヤマトシジミが吸蜜に訪れていた。昨年、スッポンタケの生えていた真竹の竹薮を覗いたが、雨上りでじとじとぬかるんでいたので、中に入るのは止めにした。更に農道を詰めて行くと、とっても大きな茶褐色の犬を散歩させている方に出会った。犬種を聞くと「喧嘩犬、闘犬の土佐犬」だと言う。本当に大きく逞しい犬だ。こんな犬がもし野原でうろついていたら、後ずさりして逃げ戻った事だろう。大きな犬を飼う方は、しっかりと鎖に繋いでいて欲しいと思った。そんな闘犬を見送ると、竹薮からカラスウリ、アオツヅラフジ、ヒヨドリジョウゴ、ヘクソカズラの蔓が垂れ下がって実をつけている。これは頂きとカメラを向けたが、なにしろその数はやはり少なく、おまけに午後の日はきつい。最近、このHPの掲示板に度々ご投稿下さる小野田市の花なばさんが、盛んに蔓性植物の実の写真の傑作を連発しているが、負け惜しみではないが首都圏ではかなり難しい。なにしろ散歩する方が野趣に富んだこれらの実を、みんな持って行ってしまうからだ。この為、散策者の多い舞岡公園では、カラスウリやヒヨドリジョウゴの実は小谷戸の里の中でしか見ることが出来ない。それでも頑張ってカメラの中に保険として納めた事は言うまでもない。更に谷戸奥まで行ってみたが、カントウヨメナやノコンギクがたくさん咲いているだけで、昆虫としてはセスジツユムシの雌を観察したのみとなった。これからは北斜面の日陰の道は、沈黙の道となる。

<今日観察出来たもの>花/アキノキリンソウ、オヤマボクチ、セイタカアワダチソウ、コセンダングサ、ノハラアザミ、ヤクシソウ、カントウヨメナ(写真中左)、ノコンギク、シラヤマギク、ゲンノショウコ、ミズヒキ、コスモス、キバナコスモス、キク等。蝶/モンシロチョウ、キチョウ、キタテハ(写真下左)、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/アキアカネ、ナツアカネ、セスジツユムシ、ナナホシテントウ、アオクサカメムシ、オオカマキリ等。キノコ/スエヒロタケ(写真上右)、ノウタケ等。その他/ウドの実、カラスウリの実(写真中右)、カキの実(写真上左)、スズメウリの実、アオツヅラフジの実、ヘクソカズラの実等。


10月25日、神奈川県秦野市弘法山・権現山

 もうすぐシーズンに入る野鳥撮影の練習の為に、また、キビタキやアオバトが来ていると聞いていたので、前々から行こう行こうと思っていた。しかし、雨が続いたので、延びに延びて今日となってしまった。もちろん野鳥だけで良い写真を6枚揃えるなんて至難の業だし、それに午前組で権現山の観察窓は一杯と思ったので、午前中はいつものスタイルで散策を開始した。まずこの時期、イシミカワの実を撮らなければと駐車場を下り、右に曲がったミカン畑へ行った。春に花を摘んでいたヤエザクラの木は完全に葉を落としている。それにもかかわらず、下草として黄色いクサノオーがまだ咲いているのには驚いた。また、ここまで来るとノコンギクが路傍に一杯である。目指すイシミカワは程良く色づいていて、写真のように白、紫、青の入り混じった実を撮影した。イシミカワは河川敷に行けばごく普通に見られると聞いているが、多摩丘陵や舞岡公園ではなかな見られないのだ。お次にカラスウリの実、ミカンの実とも思ったが、どちらも色付くこの次にまでお預けとなった。そこでUターンして神社の脇から雑木林に登って行った。途中、早くもビワの花が咲き始めているのにも驚いた。
 雑木林の中は期待したリンドウはやっと蕾が色づいて来た程度でがっかりしたが、小道の縁にはアキノキリンソウ、ノコンギク、シロヨメナ、シラヤマギク等がたくさん見られた。尾根に出るといつもの様にアジサイ等の葉上を丹念に見ながら昆虫を探したが、まったく見られないのだから困った事になった。しかし、弘法山に近づくと、太い白い柄に独特の青黒い傘のスッポンタケが輝くように一本生えていた。スッポンタケは竹林に生えると聞いているが、たまには雑木林の縁にも生えるようである。スッポンタケはヒラタケやエノキタケを除けば、一年の一番最後を彩るキノコなのだから、やはり季節は確実に進んでいるのである。だから、もうそろそろ野の花も昆虫もキノコもエンディングを迎えるが、どっこいわくわくする野鳥の季節がやって来るのだから寂しがってなどはいられない。時計を見ると正午が近かったが、ここまで数枚の写真をカメラに納めただけで、もし野鳥がゼロという事もありえるから、山頂を越えて散策路を歩いて行った。するとコウヤボウキやオケラがたくさん咲いていて、夢中になって撮りまくった事は言うまでもない。
 午後からはもちろん権現山の野鳥観察施設へ行った。180ミリマクロ用に購入した中型のカーボン三脚でも野鳥撮影は可能と思い、去年まで使っていたアルミの重い三脚のかわりに、ひょいと小脇に抱えて登って行った。やっぱりとても軽くて歩調は軽快だったが、実際使ってみて、ISO感度をかなり上げたにもかかわらずブレ写真が多かった。楽して野鳥の写真など撮れる訳は無かったのである。午前組は帰って空いているかなと思ったが、まだまだかなりの方がいて、良い場所の観察窓は空いていなかった。その方々の中に、なんとこのHPの掲示板でも御馴染みの女流野鳥写真の名手である「ぶんちゃん」の師匠を発見してびっくりした。「今日はお邪魔弟子さんは来ないんですか?」と聞くと、「振られちゃった。仕事優先みたいだね」との事であった。聞くところによると既に師匠を越える腕前になったらしくて、「たまにはお忍びで来ないと、みんなぶんちゃんに傑作を持って行かれてしまうからね」と笑って言う。師匠も良い弟子に恵まれて幸せそうだ。私なんぞ随分いろいろと様々な方々に教えて来たというのに、威厳の無い顔も手伝って、また一家言を持つ方が多くて、馬耳東風と素通りとなる場合が多かった。自分の思うような写真が撮れたら、どんなに楽しく素晴らしいのにと思うのだが、それが通じないのである。写真上達の秘訣は生まれつきのものでは無く、上手くなりたいという熱意と懇切丁寧な師匠と決まっているのだ。しばらく「ぶんちゃん」の師匠と話をしていると、キビタキを午前中にたっぷりとカメラの中に納めたらしく、かなりの方が帰って行った。ここの勝負は午前中と午後3時と頑張ったが、キビタキの雌は来たものの、とうとう雄は現れてはくれなかった。それでも、キビタキの雌、ヤマガラ、エゾビタキ、シシュウカラ、メジロ、ヒヨドリ、エナガが現われてくれ、期待した午後3時頃は、もうシャッターの切りっぱなしといった感じで、様々な鳥たちが入れ替わり立ち代わり現われた。特に久しぶりのメジロはキョロキョロと辺りを見回すので、本当にシャッターを切るタイミングに苦労したが、そこは何枚撮ってもただのデジタル、私にしては稀なる連写となった。以上、久しぶりの野鳥撮影は、「面白い難しい」で幕を閉じたが、「これからだよね!花虫さん!」、と言うことになった事は言うまでも無い。

<今日観察出来たもの>花/リンドウ、オケラ、コウヤボウキ、イヌタデ、ノハラアザミ、セイタカアワダチソウ、シロヨメナ、ノコンギク、ヨメナ、シラヤマギク、アキノキリンソウ、ゲンノショウコ、ミズヒキ、マルバルコウソウ(写真下左)、ヤマハッカ、クサノオー、チャ等。蝶/アサギマダラ、アカタテハ(写真下右)、ツマグロヒョウモン、モンシロチョウ、ムラサキシジミ、ヤマトシジミ等。昆虫/センチコガネ、クロシタアオイラガの幼虫等。鳥/ヤマガラ、キビタキ、エゾビタキ(写真中左)、コサメビタキ、シシュウカラ、メジロ(写真中右)、ヒヨドリ、エナガ。キノコ/スッポンタケ(写真上左)。その他/アオツヅラフジの実、イシミカワの実(写真上右)、カラスウリの実。


10月23日、横浜市戸塚区舞岡公園

 今日は日曜日だが舞岡公園で生物記録ボランティアの会合があるので、前回訪れた時から3日しかたっていないものの出掛けた。写真は撮るのは止そうと思っていたのだが、せっかく来たのだからとカメラを持って行った。するとコガネタケ、サンコタケ、クロアシボソノボリリュウタケ、ホコリタケが生えていて、その他にも花や昆虫が撮影出来たので、やっぱり紹介することにした。今日は昨日の曇天とはうって変わっての雲一つ無い秋晴れで、小谷戸の里では昔懐かしい足踏み式の脱穀機が登場してリズミカルな響きを立て、隣接する畑ではサツマイモ掘りが行われていた。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/セイタカアワダチソウ、ホトトギス、シロヨメナ、カントウヨメナ、ノコンギク、コセンダングサ、コシロノセンダングサ、タイアザミ、ミゾソバ、ゲンノショウコ、ミズヒキ、サザンカ、コスモス等。蝶/アゲハ、アカタテハ、ルリタテハ、ヒメアカタテハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、ヒカゲチョウ、ウラギンシジミ、ムラサキツバメ、ムラサキシジミ、ウラナミシジミ、ルリシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/キボシカミキリ、ナナホシテントウ、クロウリハムシ、アカスジキンカメムシの幼虫、アキアカネ、アオバハゴロモ、コバネイナゴ、ツチイナゴ、セスジツユムシ、オオカマキリ等。キノコ/コガネタケ、ホコリタケ、サンコタケ(写真上右)、クロアシボソノボリリュウタケ、シロトマヤタケ、ヒイロチャワンタケ、サナギタケの仲間等。その他/ジョロウグモ(写真上左)、コガタコガネグモ、ナガコガネグモ、ニシキギの実、ヒヨドリジョウゴの実、マユミの実、


10月22日、東京都町田市小野路町・図師町

 秋は真っ青な青空も良いが、どんよりとした曇り空もまた格別だ。今日の小野路町・図師町は、またしても「静かな静かな小野路図師」と口ずさみたくなるような静かな一日であった。もちろん土曜日だから人出も多かったが、広大なフィールドだから、そんなものは簡単に飲み込まれてしまう。最近、撮るもの見るものに関しては貧果が続いているものの、この静さと広大さだけは何処のフィールドであっても敵うまい。心の洗濯、何かを求めて気ままに耳を澄ませて散策するのには、本当に得難いフィールドである。じっくりと自然とお友達になろうと思ったら、やはりかけがえの無いフィールドだと確信した。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/コウヤボウキ、ミゾソバ、イヌタデ、ノハラアザミ、セイタカアワダチソウ、シロヨメナ、ノコンギク、ヨメナ、シラヤマギク、アキノキリンソウ、カシワバハグマ、キバナアキギリ、ツユクサ、ゲンノショウコ、ミズヒキ、シュウカイドウ、ダリア、サザンカ、チャ等。蝶/モンシロチョウ、ベニシジミ、ヤマトシジミ等。昆虫/ウリハムシ、ハネナガイナゴ、マダラスズ、オンブバッタ、ヒシバッタ、アオクサカメムシ、クサギカメムシ、ホソヘリカメムシ、ツヤマルシラホシカメムシ、アカスジキンカメムシの幼虫、アオバハゴロモ等。キノコ/カラカサタケ、ホコリタケ、ヒイロタケ(写真上左)、コテングタケモドキ、ドクツルタケ等。その他/アオツヅラフジの実、コバノガマズミの実(写真上右)、モッコクの実、ヒノキの実、アワブキの実、ヤブミョウガの実、ゴンズイの実、クサギの実等。


10月21日、横浜市青葉区寺家ふるさと村〜横浜キノコの森

 昨日は風が強い為に誇れる程の成果ではなかったので、今日はじっくりと腰を据えて散策しようと、まずは寺家ふるさと村へ行った。しかし、昨日より風は和らいだものの、かなりの風が残っている。しかも相変わらず空は真っ青のピーカンである。天気図は見ていないものの、先日の台風がオホーツク海で低気圧に変わって、西高東低の冬型となったのだろう。そんな訳でかなり涼しく、蚊取り線香はもういらないかなと思ったが、キノコの宝庫であると同時に薮蚊の宝庫でもあるから、念のために火はつけないが腰にぶら下げて出発した。週の前半にかなり雨が降ったし、新治市民の森ではキノコがたくさん生えていたという情報があったから、期待してまずは鴨志田公園へ行ったが、これと言って撮りたくなるようなものは出ていなかった。それでは尾根道へ行ってみようと足を早めたのだが、途中、やはり昆虫が気になって雑木林の日陰に立ち寄ってみた。しかし、やはり昨日と同様にこれと言ったものは見られなかった。ただ、満開のタイアザミにホシホウジャクと目が覚めるように鮮やかなナミホシヒラタアブが吸蜜にやって来ていた。ただ撮るだけなら何とかなるが、背景がすっきりとして美しく撮ろうとするとかなり難しい被写体だ。それでもかなり粘って、下記に貼り付けたような写真を手に入れた。尾根道に踏み込んでかなり熱心にキノコを探したものの、とっても大きなコテングタケモドキとカラカサタケが生えていた位であった。カラカサタケは今年初めての遭遇なので、なんとか絵にしたいと思ったのだが、生えてる場所が悪くて、人工物が入って今一のものとなってしまった。
 午後からは新治市民の森へ行こうかなとも思ったが、どうもこのところ相性がすこぶる悪いので、横浜キノコの森へ行った。散策を開始すると、まずは前回来た時と同様にオオアオイトトンボがおで迎えしてくれた。今日はなんだかとてもおとなしくて、近づいても逃げようともしない。きっと気温が低くなったので、止まっている日溜まりの場所がお気に入りのようである。また、今日は晴天なので太陽に暖まったアスファルトの上が気持ちよいのか、かなりの数のトノサマバッタが身体を休めていた。私たち人間だって、秋はのんびりと日向ぼっこをしたくなるのだから、変温動物なら尚更である。今日はシマヘビが日向ぼっこをしている有り難くない場面にも出くわしたが、これから昆虫達に出会いたかったら、暖かい日溜まりが一番と感じ入った。雑木林の中に入って行くが、これといったものに出くわさない。しからば隣接する団地の庭へ行こうと、またしても蚊取り線香をぶら下げた長靴姿で徘徊した。今日は園芸品種のキクの花がとても美しかったので、素直に切り取ろうと三脚を立てて風の止むのを待っていると、ヒメヒラタアブがやって来て、ちょうど止まって欲しい花に舞い降り吸蜜を開始した。これは本当にラッキーな事で、何枚もシャッターを切った事は言うまでも無い。
 そんな訳で一枚だけだがかなり満足出来る写真が撮れたので、再び雑木林の中に入って行った。途中、これがシロヨメナですよと言わんばかりのものがあったので慎重に撮影した。昨晩、ノコンギクとシロヨメナの見分け方で、このHPの掲示板は、秋の収穫祭のような賑やかさだったから、これがシロヨメナですよと言わんばかりのものを撮って、掲示板に貼り付けようと思ったのである。シロヨメナはヨメナとは属を異にするノコンギク等と同じシオン属である。だから、なんでヨメナとつくのだろう、シロノコンギクとかヨメナとつかない名が紛らわしくなくて良いなあと思っていた。じっくり撮影しながら観察すると、どうやらその葉がノコンギクより薄手で、なんとなくヨメナの葉に似ていて白い花だから、シロヨメナと名付けられたのではなかろうかと感じた。シロヨメナを撮影していると、眼前やや上にゴンズイの実が撮って下さいとばかりに笑っている。赤い果被がぱかっと割れて黒い種子が現れている。本によると赤と黒との対比でより目立ち、小鳥達を呼んでいると書かれているが、小鳥達が食べに来た痕跡らしきものは見当たらない。以上、やっぱり新治市民の森ではなくて、ここへ来て良かったなあと思ったが、いざキノコの発生の本命場所に行ったが、僅かにダイダイガサ、マンネンタケ、ツチヒラタケが生えているだけであった。時間を見るとまだ散策時間は残っていたが、秋の陽はつるべ落とし、そんなに頑張っても仕方あるまい。明日明後日は土曜、日曜日だと、早上がりの楽チン散策で一日は終了した。

<今日観察出来たもの>花/ノダケ、コセンダングサ、コシロノセンダングサ、セイタカアワダチソウ、ミゾソバ、タイアザミ、ゲンノショウコ、ツリガネニンジン、ワレモコウ、アキノノゲシ、ユウガギク、カントウヨメナ、シロヨメナ(写真上左)、ダイコンソウ、ミズヒキ、ホトトギス等。蝶/キタテハ、ツマグロヒョウモン、モンシロチョウ、キチョウ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/ホシホウジャク(写真下左)、オオアオイトトンボ、アキアカネ、マルカメムシ、クサギカメムシ、ハネナガイナゴ、トノサマバッタ、ヤマトフキバッタ、ナミホシヒラタアブ(写真下右)、ホソヒラタアブ等。キノコ/カラカサタケ、タマゴテングタケモドキ(写真中左)、ダイダイガサ、マンネンタケ、ツチヒラタケ、ノボリリュウタケ、ホコリタケ、エリマキツチグリ、種名不明(写真中右)等。その他/ゴンズイの実(写真上右)、ピラカンサの実、シマヘビ等。


10月20日、横浜市戸塚区舞岡公園

 ここしばらく秋雨前線と台風の影響で天気が悪かった。しかし、今日は抜けるような青空で、いよいよ秋の長雨シーズンは終了となったようである。気温もだいぶ低くなって薮蚊も少なくなり、快適な散策シーズンとなったが、残念なことに野の花や昆虫たちの姿はだいぶ少なくなった。今日は風がかなりあるから、被写体不足に加えて、写真撮影には最悪であったが、終わってみれば特筆すべきものには出会えなかったものの、この観察記及び舞岡公園散策手帖を飾る写真が撮れてほっとした。長く続いたじめじめした陽気の後だから、人出も信じられないくらいに多かった。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/セイタカアワダチソウ、コウヤボウキ、ホトトギス、シロヨメナ、カントウヨメナ、ノコンギク、コセンダングサ、コシロノセンダングサ、タイアザミ、ミゾソバ、アキノウナギヅカミ、アキノノゲシ、ゲンノショウコ、ミズヒキ、ワレモコウ、フジバカマ、シュウメイギク、コスモス等。蝶/ヒメアカタテハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、ヒカゲチョウ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ、チャバネセセリ等。昆虫/エサキモンキツノカメムシ、アカスジキンカメムシの幼虫、アキアカネ、コノシメトンボ、オオアオイトトンボ、アオバハゴロモ(写真上左)、コバネイナゴ、ツチイナゴ、ササキリ、ウスイロササキリ、セスジツユムシ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリ等。キノコ/ホコリタケ、タマゴテングタケモドキ、シロトマヤタケ、ヒイロチャワンタケ、キツネタケ、エノキタケ、ニガクリタケ、種名不明種等。その他/ジョロウグモ、ニシキギの実、ヒヨドリジョウゴの実、マユミの実、カマツカの実(写真上右)、コムラサキの実等。


10月16日、東京都町田市野津田公園〜小山田緑地

 朝いつもの時間に起きると今日は雨、昼頃から曇りになると予報されていたので、寝床が冷めない内に暖かい布団にUターンした。ぐっすり眠って再度目覚めたのは午前9時であった。それから身なりを整え、サンドイッチをぱくついて、歯磨き洗面トイレを済ませて出発したから、野津田公園の駐車場には午前11時に着いた。しかし、途中から再び雨が降って来て、雨が止むのを待っていたから、なんと11時半からの遅い散策開始となってしまった。駐車場の周りに植栽されているニシキギの実は色付いて、水滴が垂れている。雨上りという風情にはぴったりである。今年の野津田公園のニシキギにつくキバラヘリカメムシは大発生で、雨だったのにもかかわらず、その実に口吻を刺して食事をしているものがたくさん見られた。バッタやキリギリスの仲間がたくさん見られる草原へ行ったが、これと言った昆虫は見られず、湿生植物園の縁を回って公園の東半分を回ったが、シャッターを切ったのは最初のニシキギの実のみとなった。途中、アブラチャンの実がとても大きくなっていたのだが、高い場所にあったので断念せざるをえなかった。アブラチャンの花は撮影してあるが、なんたってその名の謂れは、この実の中の種子を絞って灯に使う油を採ったことから来ているので、花だけでは片手落ちと思っているのである。
 午後からは舞台を西半分に移して散策を開始した。まず目に入ったのはコブシの赤い実である。もうこの観察記他で紹介しているが、なんでも撮っておかなければと思ったし、雨に洗われた真っ赤な実がとても美しかったのである。三脚を立てて風を待っていたが、ふと地面に目をやるとツチグリが生えていた。また、そん事を知らずに踏み潰していたのにも気がついた。そこでコブシの実を撮ると、その実がたくさん落ちている場所に生えている、形の良いツチグリを撮影した。次に昨日はダリアを撮ったので、今日はバラ広場へ行ってバラを撮ろうと行ってみた。昨日書いたと思うが、バラも一年に二回、春と秋が見頃となる。バラの手入れをしているボランティアの方に聞くと、見頃はこれからという事であった。このバラ園に来たのにはもう一つ狙いがある。それはキツネノタイマツと言う赤い変梃りんなキノコが生えているかもしれないと思ったからだ。これに似たキツネノエフデは寺家ふるさと村等にも生えるが、キツネノタイマツはここだけでしか観察していない。どうもバラの花のつきを良くする為に、たっぷりと腐葉土を与えているからのようである。バラ園でキノコ撮影なんて場違いだが、ハタケチャダイゴケというキノコもたくさんあった。私が余りにも熱心にバラの根元でうずくまっているので、ボランティアのご婦人が不審に思ってやって来た。「バラじゃなくてすいませんね、これを撮っているんですよ」と指差すと、「トカゲの卵から出たものね」と突拍子も無い事を言う。どうやらお孫さんが、このキツネノタイマツの卵をトカゲの卵と思って呼んでいるらしい。こんな訳で、短時間でかなりの手ごたえのある写真が撮れた。
 そこで気分良く小山田緑地へ向った。野津田公園でカラカサタケを一本見ていたので、小山田緑地の石畳みの道を念入りに探しながら歩き、その後一周したが、これといったものは見られず、僅かにエリマキツチグリを撮ったのみであった。後なんとか2枚、出来れば野の花と昆虫をと、小山田緑地の正門を出て付近を散策しながら駐車場に向った。こんな時はなかなか良い被写体に巡り会わないのが常で、これは困ったなと思いながらも駐車場付近までやって来てしまった。しかし、セイタカアワダチソウやクズが繁茂している場所で、まだ生きていたベッコウハゴロモとヤマトシジミを撮る事が出来てほっとした。セイタカアワダチソウには小さなヒメヒラタアブが吸蜜していたので、このHPの掲示板に度々ご投稿下さる花なばさんのように撮ろうと頑張った。だが、これがこれが小さいから近づくと飛び立つし、なかなか手強い昆虫だと実感した。同時に、本当に花なばさんは上手に撮るものだと感心した。今度、その秘策を聞いてみなければならなくなった。そんな訳でヒメヒラタアブをどうしても撮ってやろうと頑張り、やっと落ち着いたので近寄ってピントを合わせると、なんと開いていた羽をぴたりと閉じてしまった。これでは羽に邪魔されて種名判別にかかせない美しい横縞が見えないと、結局、ヒメヒラタアブの撮影は断念する事となった。最後に駐車場前の休耕田でツリフネソウを撮影し、車の座席に座った瞬間、地震が襲って来た。その揺れはかなり大きく、すぐにラジオをつけると茨城県や埼玉県では震度4との事で、まあ、この位なら大丈夫だろうと胸を下ろした。

<今日観察出来たもの>花/ツリフネソウ(写真上左)、ツリガネニンジン、ワレモコウ、ミゾソバ、ノハラアザミ、セイタカアワダチソウ、シロヨメナ、ヨメナ、アキノノゲシ、ツユクサ、ミズヒキ、バラ、チャ、ソバ等。蝶/ヤマトシジミ、ツバメシジミ等。昆虫/コアオハナムグリ、アキアカネ、ハネナガイナゴ、オンブバッタ、ベッコウハゴロモ(写真上右)、アミガサハゴロモ、ヒメヒラタアブ等。キノコ/カラカサタケ、タマゴテングタケモドキ、ハリガネオチバタケ、ハナオチバタケ、ノウタケ、ホコリタケ、キツネノタイマツ(写真下左)、ツチグリ(写真下右)、エリマキツチグリ等。その他/ヤマカガシ、モッコクの実、ニシキギの実(写真中左)、コブシの実(写真中右)、ゴンズイの実、クサギの実、アブラチャンの実等。


10月15日、東京都町田市小野路町・図師町

 昨日の天気予報の大外れには驚いたが、そんな予報官泣かせの天候という事で、毎週、日曜日に行っていた小野路町・図師町へ1日前倒しにして行った。明日雨が降らないなんて保障など、有りそうも無いと思った訳である。今日はほんの少しぱらっと雨が一時降ったものの、お昼頃から青空一杯の暖かい日となり、ルリタテハ、アカタテハ、キタテハ等の蝶をはじめ、多くの昆虫が元気にお出ましになった。また、アキノキリンソウ、ヤクシソウ等も咲き乱れ、散策に大勢の方がやって来ていた。キノコはほとんど見られなかったものの、これからしばらく快適な里山散策が楽しめそうである。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ノハラアザミ、タイアザミ、セイタカアワダチソウ、シロヨメナ、ノコンギク、ヨメナ、アキノキリンソウ、アキノノゲシ、カシワバハグマ、ツユクサ、ヤブツルアズキ、ゲンノショウコ、ミズヒキ、シュウカイドウ、ダリア(写真上左)、サザンカ、チャ等。蝶/ルリタテハ、アカタテハ、キタテハ、メスグロヒョウモン、ツマグロヒョウモン、キチョウ、クロヒカゲ、ヒカゲチョウ、テングチョウ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/クロウリハムシ、ヒメアカネ、アキアカネ、マユタテアカネ(写真上右)、ハネナガイナゴ、エンマコオロギ、オンブバッタ、ヒシバッタ、アカスジキンカメムシの幼虫、アミガサハゴロモ等。キノコ/イヌセンボン、ミドリスギタケ等。その他/シマヘビ、モッコクの実、ヒノキの実、アワブキの実、ヤブミョウガの実、クサギの実等。


10月14日、横浜市青葉区寺家ふるさと村〜横浜キノコの森

 今日ほど見事に天気予報が外れた事は最近無いだろう。昨晩、NHKの天気予報で自信満々に東京地方は朝から雨と予報されていたのに、朝起きて雨戸を開けると雲一つ無い秋晴れで、眩しいほどの太陽の光が満ちていた。家の家内なんて、明日は雨だからと、楽しみにしていた前々から予定の絵を描きに行くのは中止と、お友達に昨晩早々と電話していたが、まったくこんなに見事に天気予報が外れると、抗議の電話くらいNHKや気象庁にしたくなるに違いない。いわゆる経済効果だって雨と晴れでは雲泥の差があるのだから、一言ぐらい「大外れですいません」との誤りがあっても良いだろう。しかし、所詮、お役所仕事だから無しのつぶてに違いない。こうなったらNHKの受信料を大幅にまけて貰いたいものである。まあ、秋雨前線の動き一つで変わってしまうのだから仕方が無いが、これ程まで科学技術が進んでいるのだから何とかして欲しいものである。明日も明後日も曇り時々雨と予想されているが、これじゃ朝起きてから、いやフィールドに着いてから、いやいやフィールドに待機して判断せねばならないだろう。そんな訳で遠出は出来そうにない。
 今日はこのところ雨が降り続いたので、キノコの宝庫である寺家ふるさと村へ行った。確かに一週間前に比べれば様々なキノコが生えていたが、爆生しているという感じには程遠く、また、絵になりにくい地味なシメジの仲間が多かった。ただ種名を覚える為に写真を撮る事はいくらでも出来たが、絵になる場所に絵になるように生えていないから、お手上げである。しからば、花よ虫よと探し回っても、その種数も個体数もだいぶ少なくなっていた。もちろん以前にも紹介したもの、例えばアキアカネ、ハネナガイナゴ、ツマグロヒョウモン、イチモンジセセリ等は相変わらずたくさん見られたが、まだこの「つれづれ観察記」に登場していない昆虫となるとほとんどいない。昆虫における寺家ふるさと村の今日の特筆事項としては、オニヤンマがまだ悠然と飛んでた事位であろう。
 そんな訳で寺家ふるさと村は午前中で切り止めて、午後からは横浜キノコの森へ行った。キノコは左程期待出来ないが、周辺の散策で寺家ふるさと村より成果が上がると思ったからだ。散策を開始するとコシロノセンダングサがまず目に入って来た。図鑑を開いてみると白色の舌状花を持つコセンダングサの変種をそう呼ぶと書かれている。だからそれ程珍しいものでは無い筈たが、何処のフィールドにでも見られる訳でなく、こんなにたくさん群生しているのはここだけである。コセンダングサに比べると茎は細く背丈も短くて弱々しい感じを受ける。いづれにしても写真を撮る者としては、コシロノセンダングサの方が華やかである事は言うまでも無い。第1キノコの森の中へ入ろうかなと思ったが、この森で一番薮蚊が多い所だから、道路から覗き込んで見る事だけにしたが、シロニセトマヤタケらしき小型の白いキノコが見られる位だった。しかし、路傍にオオアオイトトンボが餌を捕る為に極細い棒の先に止まって待ち伏せをしていた。夏の間は、避暑の為だろうか雑木林の中にいてお目にかかる事も少ないが、秋になると路傍に出て来て晩秋まで見られる比較的大きなイトトンボである。しばらく歩いて雑木林の中に入って行くと、キノコはほとんど無かったもののカシワバハグマが咲いていた。
 一旦雑木林を出ると、ピーカンで今日も貧果が予想されたので、前回と同様に団地の裏庭を探索した。シュウメイギクは今が盛りで、植栽された紅色のゲンノショウコやホトトギスを撮影した。こんな古くからある団地の片隅には必ず植栽されているピラカンサの実が真っ赤に色付いて垂れ下がり、とっても見事な景観を呈していた。まだ、餌がたくさんあるから小鳥たちはピラカンサの実には目もくれないようである。これで何とか様々な写真を確保したので、再び雑木林の中に入って一周した。キノコでは可愛らしい毬栗頭のホコリタケがたくさん生えていて嬉しくなった。やっぱりこの子に会わないと寂しいのである。この他、ツチヒラタケ、ムジナタケ、フクロツチガキ等が見られたが写欲が湧かず、雑木林の中にぽっかり空いた草原へ行くと、ツルウメモドキの実が弾けていた。以上、今日は褒められる出来ではなかったが、久しぶりに華やいだ花や実で飾る事が出来て、今日は家に一日中蟄居の筈が、天気予報が大外れで儲けものの一日となった。

<今日観察出来たもの>花/カシワバハグマ、コシロノセンダングサ、セイタカアワダチソウ、ミゾソバ、ノハラアザミ、タイアザミ、ゲンノショウコ、ツリガネニンジン、ワレモコウ、アキノノゲシ、ユウガギク、カントウヨメナ、ダイコンソウ、ミズヒキ、キンミズヒキ、ホトトギス(写真上左)等。蝶/アカタテハ、ツマグロヒョウモン、モンシロチョウ、キチョウ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/オジロアシナガゾウムシ、クロウリハムシ、オオアオイトトンボ(写真上右)、アキアカネ、マユタテアカネ、オニヤンマ、マルカメムシ、クサギカメムシ、ハネナガイナゴ、トノサマバッタ、アオマツムシ等。キノコ/テングタケ、タマゴテングタケモドキ(写真下左)、ナラタケ、ハタケシメジ、ウラベニホテイシメジ、ベニヒガサ、コキララタケ、ムジナタケ、ツチヒラタケ、ノボリリュウタケ、ホコリタケ(写真下右)、エリマキツチグリ、フクロツチガキ、キツネノエフデ等。その他/ツルウメモドキの実(写真中右)、ピラカンサの実(写真中左)、シマヘビ等。


10月12日、横浜市戸塚区舞岡公園

 ここしばらくぐずついた日が続いたから、今日の青空は眩しい程である。しかし、風がかなり強いから散策日和であっても写真撮影日和とは言えない。こんな日はさぞかし洗濯物も乾くだろうし、どこの家庭も洗濯物で一杯だろう。そう思って主婦の方はやって来ないだろうと思ったら、来るは来るはで、皆んな久しぶりの晴天が待ち遠しかったようである。そんな気持ちは蝶も同じだったようで、風が強くて余り撮影出来なかったが、数こそ減ったものの個体数はとても多かった。もちろん蝶ばかりでなくアキアカネが棒の先には全て止まっていると言った感じで、雨が降り続いたからキノコもたくさん見られた。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/イヌショウマ、キクイモ、ヒガンバナ、ホトトギス、シロヨメナ、カントウヨメナ、ノコンギク、コセンダングサ、タイアザミ、ミゾソバ、アキノウナギヅカミ、アキノノゲシ、ツリガネニンジン、ゲンノショウコ、ミズヒキ、ワレモコウ、ツユクサ、ヒヨドリバナ、カンナ、シュウメイギク、コスモス等。蝶/キチョウ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、ヒカゲチョウ、ムラサキツバメ、ウラナミシジミ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/ヤマトシリアゲ、クロウリハムシ、エサキモンキツノカメムシ、ホオズキカメムシ、アキアカネ、アオバハゴロモ、ツチイナゴ、ツチイナゴの幼虫、クルマバッタモドキ、イボバッタ等。キノコ/キララタケ(写真上左)、ドクツルタケ、ニオイコベニタケ?、ハタケシメジ、キツネタケ、ナラタケ、ニガクリタケ等。その他/ハエトリグモの仲間、ナガコガネグモ、ジョロウグモ、ニシキギの実(写真上右)、ヒヨドリジョウゴの実、ゴンズイの実、カマツカの実、ヨウシュヤマゴボウの実等。


10月10日、東京都町田市小野路町

 3連休のうち今日が一番の雨降りの日となった。晴れの特異日と言われる日だがどうした事だろう。もしや雨が降っていないのではと、いつもの時間に起きて玄関のドアを開けて外を見ると、予報どおりの無常の雨が降っている。机に座ってパソコンの電源を入れ、今日の町田市の天気予報を見ると、正午前後に曇りのマークが一つついているではないか。今日は別段何もする事がないし、今日、小野路町へ行っておければ、フィールド行きのローテーション的にも非常に楽になると出かけてみた。しかし、到着すれども雨だったが、幸いにも午後1時から3時の2時間だけ雨が止んだ。そんな訳で今日の観察記は、短時間でのものとなった。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ノハラアザミ、タイアザミ、シロヨメナ、ツユクサ、ヤブツルアズキ、ヤブマメ、ゲンノショウコ、ミズヒキ、シュウカイドウ等。蝶/モンシロチョウ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ウラナミシジミ(写真上右)、イチモンジセセリ等。昆虫/ナナホシテントウ、アキアカネ、マユタテアカネ、コバネイナゴ、ハネナガイナゴ、オカメコオロギ(写真上左)、オンブバッタ、ツクツクボウシ、アミガサハゴロモ等。その他/エノキの葉、ヒノキの実、アワブキの実、ヤブミョウガの実、クサギの実等。


10月8日、神奈川県川崎市麻生区黒川〜小山田緑地

 待ちに待った3連休であるが、明日から本州南岸沿いに前線が停滞するために、どうも、関東地方は南部を中心に、雨の降りやすい天気となる模様だ。これでは10日の体育の日も秋晴れは望めそうもない。幼稚園や学校の運動会も、この3連休に行われるところが多いから、なんとかもって欲しいものである。今日もフィールドへ行く途中、運動会が催されている光景が窓外に見受けられた。このためか、いつもに比べてとても車の量が多かった。
 黒川のフィールドへ到着すると、昨晩雨が降ったので日陰の下草はびっしょりと濡れていた。観察出来る昆虫の種数も個体数も減っているから、これでは更に昆虫の姿はなかなか見つかりそうもない。いよいよ「花虫とおる」を返上して、「花鳥とおる」に変身しなければならなくなりそうである。しかし、フィールドに見られるものなら何でも来いだから、6枚くらいの写真は何とか撮れるだろうと散策を開始した。相変わらずフェンスに絡まったセンニンソウの種子が髭を生やして面白く、アマチャヅルの濃い緑の実に水滴が垂れ下がっていてとても美しい。しばらく撮るものも無く歩みを進めたが、畑にナスの花が撮りやすい場所に咲いていた。「秋茄子は嫁に喰わすな」と言う位だから、まだまだこれから収穫が続くのだろう。しかし、そんな言葉は前世紀の残滓で、「秋茄子を食してにっこりお嫁さん」等に変えなければならんと一人ごちる。いつも必ず何かしらのキノコが生えている雑木林に登って行くと、今日はコナラの幹からナラタケが生えていた。このナラタケはうどんに入れるととても美味しい出汁が出るらしく、秋のキノコ狩りにはなくてはならぬ存在らしい。続いて谷戸を挟んで反対側の雑木林にオケラやオヤマボクチが咲いていないかなと見に行くと、今年もたくさん咲いていてほっと胸を撫で下ろした。ことにオヤマボクチは多摩丘陵では他所で観察した事が無く、とっても貴重なのではないかと思っているのだ。
 それ程期待しなかったがかなりの成果かが上がった右手の谷戸の散策を切り上げて、今度は左手の谷戸の散策に行った。今日は黒川の田んぼでは各所で稲刈りが行われている。前回来た時に咲いていたイボクサ、コナギ、オモダカの姿が見られない。まるで稲刈りと同時に刈り取られてしまったかのようである。たくさん花が植栽されている畑には、相変わらずキバナコスモスが咲いていて、ツマグロヒョウモンの雌が吸蜜に訪れていた。雑木林の際の小道を歩いて行くと、クモの巣に色付いた柿の葉が引っかかっていて、とても風情がある。もう何年も前だが、クモの巣に引っかかった葉をコレクションした事があった。その当時はフィルムを使っていたのだが、とても風情が溢れ美しいので何本も消費した。これから益々そんな光景に出くわす事が多いだろうから、昆虫が少なくなる事だし、この「つれづれ観察記」に度々登場させようかなと思い立った。いつものように左手の谷戸のどん詰まりまで行ったが、これと行ったものには出会えなかったが、咲き始めたセイタカアワダチソウにツマグロヒョウモンの雄が、コセンダングサにキチョウ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウがやって来ていた。この時期、キチョウは本当にコセンダングサの花が好きである。また、秋型の美しい姿に生まれ変わったキタテハがクズ葉上で休んでいた。以前、羽の切れ込みが鋭くなったこの秋型を、シータテハと間違えた方がいらっしゃったが、それも当然と言える程の色濃く切れ込みが鋭い美麗な姿である。
 午後からは小山田緑地へ行って見た。散策を開始するとすぐにセンチコガネが飛んで来て地面に降りた。前回の中野区立哲学堂公園でオオセンチコガネっぽいものを観察して以来、センチコガネの分類で頭がセンチになっていたので、またしても慎重に角度を変えて何枚も撮影した。しかし、自宅に帰ってパソコンで拡大して見ると、小山田緑地のものは確かにセンチコガネで、どうやら哲学堂公園のものもセンチコガネではないかとの思いに捕らわれ始めた。オオセンチコガネは奈良公園の鹿の糞に集まるので有名で、緑色や藍色や赤銅色に光り輝く美麗種として有名だが、首都圏平地では今だかつてそんな美麗なものを見た事が無い。図鑑には全国的に産するとあるので首都圏にいてもおかしくないのだが、本当にオオセンチコガネは首都圏にいるのだろうか。いずれにしても今回の一件で見分け方を熟知したので、今後の大いなる課題となった。小山田緑地内は期待した程の事はなく、昆虫も野の花もキノコも見るべきものは少なかった。しかし、民家周辺の小道に寄り道しながら駐車場に戻って来る途中、野生化したソバの花が咲き乱れ、ウドの黒々とした実に出会ったりして、かなり楽しんで一日は終了した。

<今日観察出来たもの>花/アキノキリンソウ、オヤマボクチ(写真下右)、オケラ、セイタカアワダチソウ、コセンダングサ、ツリガネニンジン、ヤブマメ、ノハラアザミ、ヤクシソウ、ヨメナ、ノコンギク、シラヤマギク、ウド、ゲンノショウコ、ミズヒキ、アキカラマツ、キンエノコロ、ナス(写真上左)、ソバ(写真中右)、コスモス、キバナコスモス、ヒメヒマワリ、ハナトラノオ、クジャクアスター等。蝶/モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、キチョウ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、ヒメウラナミジャノメ、ウラナミシジミ、イチモンジセセリ、チャバネセセリ等。昆虫/オオスカシバ、ヒメクロホシジャク、アキアカネ、ナツアカネ、ハネナガイナゴ、センチコガネ、ナナホシテントウ等。キノコ/ナラタケ(写真下左)、ニガクリタケ等。その他/ウドの実(写真中左)、カラスウリの実、カキの葉(写真上右)等。


10月6日、東京都中野区哲学堂公園

 葛西臨海公園を除いて、まだ行っていない東京23区内の公園は、規模の小さい公園ばかりが多くなった。葛西臨海公園は野鳥を撮りに行くので12月と決めていて、今日は中野区立哲学堂公園へ行った。貧果が予想されたのだが、秋は思索の季節でもあり、散策にはちょうど良いと考えたのだ。しかし、雨上がりの為か、やたらと薮蚊が多くて、思索等に耽っていられなく、やもうえず何でもかんでも撮ることにした。小規模の公園だが、その気になれば撮るものはやはり存在する。ことに真っ赤に色付いたイイギリの実とセンチコガネが撮影出来て、とても嬉しかった。詳細は「東京23区内道端自然観察館」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/イヌホウズキ、ジシバリ、ツユクサ、トキワハゼ、キンモクセイ、フヨウ等。蝶/モンシロチョウ、ヒメジャノメ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/アキアカネ、ツクツクボウシ、センチコガネ(写真上右)、ウリハムシ、チャバネアオカメムシ、ブチヒゲヘリカメムシの幼虫、クサギカメムシの幼虫、ツマグロオオヨコバイ(写真上左)、アシブトハナアブ等。その他/エゴノキの実、ウメモドキの実、シラカシの実、イイギリの実、サルスベリの実、シャリンバイの実等。


10月4日、横浜市都筑区茅ヶ崎公園〜大原みねみち公園〜葛が谷公園

 今年の季節の進み具合は少し遅れているのだろうか!春から野の花はもちろん、蝶の発生も1週間位は遅れている。天気図を見ると秋雨前線が日本の南岸沿いを東に延びている。このため太平洋側は明日から各地で雨になるようだ。遅れながらも、いわゆる秋霖に入ったようだ。このため晴天の特異日と言われる10月10日の体育の日も、曇りと予想されている。今からウン十年前の10月10日、東京オリンピックが抜けるような青空の下で開催されたのである。今日散策に行った港北ニュータウンは、その頃、横浜のチベットと呼ばれていたのだが、今は横浜一の近代的な住宅街へと変貌している。それでもしぶとく生物達の命脈が残存しているのだから感動する。詳細は「ささぶねに揺られて」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ホトトギス、キクイモ、アメリカセンダングサ、ヤマハギ、ヤブカラシ、アカツメクサ、イヌホウズキ、キツネノマゴ、ワルナスビ、ツユクサ、キンモクセイ等。蝶/スジグロシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、ルリタテハ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/アオドウガネ、ツクツクボウシ、アキアカネ、コノシメトンボ(写真上右)、アミガサハゴロモ、アオバハゴロモ、シロオビアワフキ、エサキモンキツノカメムシ、クサギカメムシ、アカスジキンカメムシの幼虫、ツチイナゴ、アオマツムシ等。キノコ/ウラムラサキシメジ、種名不明1種等。その他/ジョロウグモ(写真上左)、アカガシの実、コブシの実、ツクバネガシの実、シジュウカラ等。


10月3日、横浜市戸塚区舞岡公園

 明日と明後日は雨が予想されている。このところフィールドは乾燥しきっているから、恵みの雨となる事だろう。また、我が週末未亡人が、昔とった杵ずかの絵を描く趣味を再開した。今週は、舞岡公園へお友達と行く事になったらしい。そこで、鉢合わせもなんだから、お先に失礼とばかりに疲れた身体を引きずって行った。昨日の真夏日の散策は、さすがに疲労困憊を来たしたようだ。今日は公園内には見るもの撮るものが少なそうなので、舞岡ふるさと村の虹の家周辺を散策した後、三枚畑へ登り、午後から公園内を散策する事にした。舞岡ふるさと村も素晴らしいフィールドなのだ。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/キンモクセイ、シソ、カンナ、イヌショウマ、キクイモ、ヒガンバナ、ヤマホトトギス、ホトトギス、ヤマハッカ、シロヨメナ、カントウヨメナ、ノコンギク、コセンダングサ、タイアザミ、ミゾソバ、アキノウナギヅカミ、アキノノゲシ、ツリガネニンジン、カナムグラ、ゲンノショウコ、ヒヨドリジョウゴ、キンミズヒキ、ミズヒキ、ワレモコウ、ツユクサ、ヒヨドリバナ、シュウメイギク、コスモス、メキシコヒマワリ等。蝶/アカボシゴマダラ、コミスジ、ヒメアカタテハ、キタテハ、オオウラギンスジヒョウモン、ツマグロヒョウモン(写真上右)、ヒカゲチョウ、ウラナミシジミ、ウラギンシジミ、ベニシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/ヤマトシリアゲ、クロウリハムシ、ウリハムシ、ジンガサハムシ、ナナホシテントウ、エサキモンキツノカメムシ、クサギカメムシ、ホシハラビロヘリカメムシ、キバラヘリカメムシ、アキアカネ(写真上左)、コノシメトンボ、アオバハゴロモ、クダマキモドキ、セスジツユムシ、ツチイナゴ、ツチイナゴの幼虫等。鳥/モズ、アオゲラ等。その他/ナガコガネグモ、ジョロウグモ、ヒヨドリジョウゴの実、ヨウシュヤマゴボウの実等。


10月2日、東京都町田市小野路町・図師町

 今日も気持ちの良い秋晴れ、風もほとんど無く散策日和だなと思ったのも束の間、気温はぐんぐん上がって湿度も高い。まるで真夏に戻ったようだ。帰宅してヤフーの天気情報を開いてみると、“2日の日本列島は、関東から九州地方の広い範囲で午前中から気温が上昇、各地で最高気温が30度以上の真夏日となり、全国の91観測地点で10月の最高気温記録を更新した。東京・大手町でも10月としては7年ぶりに30度を超える31.7度を記録した”(毎日新聞)と書かれてある。道理で暑かった筈である。久しぶりに真珠のような汗をかいて、ガソリン代がかかろうともクーラーを入れての帰宅となった。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ヒガンバナ、キバナアキギリ、カシワバハグマ、ノハラアザミ、シロヨメナ、ヨメナ、ヤブツルアズキ、ナンテンハギ、ヤブマメ、ゲンノショウコ、ミズヒキ、シュウカイドウ等。蝶/キアゲハ、ルリタテハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、メスグロヒョウモン、クロヒカゲ、ヒメジャノメ、ウラギンシジミ等。昆虫/アオオサムシ、ナナホシテントウ、クロウリハムシ、ギンヤンマ、オニヤンマ、アキアカネ、ナツアカネ、マユタテアカネ、ウスバキトンボ、ハネナガイナゴ(写真上右)、オンブバッタ、コカマキリ、ツクツクボウシ、ベッコウハゴロモ、アオバハゴロモ等。キノコ/クヌギタケの仲間(写真上左)、ヒメカバイロタケ等。その他/ヒノキの実、アワブキの実、ヤブミョウガの実、クサギの実等。


10月1日、横浜市緑区三保市民の森〜横浜キノコの森

 いよいよ一年の内でも最も清々しい10月に入った。この「つれづれ観察記」も、書いてる本人も見る方々も飽きて来た様だから、後3ヵ月で終了である。1ヶ月にフィールド行きを約15回と計算すると、後45回となる。そんな訳で、のんびりと、しかし、充実して散策を繰り広げようと考えていた矢先、やや風が強くて写真撮影には難儀した。こんな時はキノコでも生えていれば、ほほいのほいなのだが、多摩丘陵は発生の端境期に入った。まずは久しぶりに三保市民の森の谷道へ行った。途中、市民の森入口の畑の柵に鮮やかだが可愛らしいマルバルコウソウがたくさん咲いていた。野の花の中ではとっても好きなものだが、なかなか絵になるように撮るのが難しい。谷道に入ると、まず最初にホトトギスが出迎えてくれた。本当に可愛らしい株で、全て咲いても2輪しかならない。これは頻繁に草刈が行われている証拠で、また草刈がなされなかったら他の植物に負けてしまう事だろう。その次には、先だって行った寺家ふるさと村にも生えていたイヌショウマが、白い線香花火のような花をたくさんつけてとても美しい。どうしてどうして三保市民の森も野の花の観察にも好適な場所だと分った。こんな野の花はたくさんあるのに、昆虫といったら姿も形も無い。僅かにアキアカネ、マユタテアカネ、ベッコウハゴロモを観察しただけであった。
 そんな訳で谷道を往復したが、これといった成果はなく、日陰沿いの道を新治方面に向って歩き出した。道沿いの栗林で農家のご婦人が栗拾いをしている。「ここの栗の木は、20年前と左程変わらずに大木ですね」と言うと、「私が嫁に来た時からあったから、もう35年は経っているかな」との事である。こんなに長い間、変わらずに栗林が残っている場所もそう無いであろう。栗林の横の畑には一面にピンクのイヌサフランが咲いている。このご婦人が大切に育てているということである。イヌサフランはサフランとつくがユリ科の植物で、花期から言っても、また葉が枯れて無くなっている事からも、ヒガンバナ科ではないものの、その生態はヒガンバナに似ている。ちなみに春に咲くサフランはアヤメ科である。また、イヌサフランの咲く畑の縁には真っ白なタマスダレが列をつくって咲いている。タマスダレは正真正銘のヒガンバナ科である。それではいったいヒガンバナ科の花とはどんなものがあるのかと、園芸植物図鑑で調べて見ると、スノードロップ、アマリリス、スイセン、ナツズイセン等が載っていた。みんな美しい花々である。更に先へ歩けどもこれと言ったものには出会えず、途中、キタテハが日向ぼっこをしていたり、棒の先にアキアカネが止っているだけであった。今日は本当にピーカンと風の為に貧果である。そこでここには紹介しなかったが、もしものためにジョロウグモやヨメナを撮った。
 午後からは何処へ行っても同じだろうし、横浜キノコの森もキノコ無しの森だろうと分っていたが、久しぶりだからと行ってみた。途中、住宅街の花園で、ザクロの実が美味しそうに垂れ下がっていたので、車を停めて撮影した。登山などで疲れた時に、その実を数粒口の中に放り込むと、あーら不思議、疲れが即座にグッドバイするので有名である。そうは分っていても買って来てまで食べたいとは思わないけれど、その果実は毎年是非撮りたくなる存在なのである。その格好といい、その微妙な色合いといい、風情を一杯に感ずるのだろう。キノコの森に足を踏み入れると、無粋にも携帯電話がなった。「何処です、今日わ?」と、お仲間からの電話だ。「ピーカンで風が強いからまだ僅か3枚、後3枚撮らなければ」と言うと、「このところ昆虫も少なくなったし、キノコも生えていないものね」と同情してくれた。本当にここまで、ジョロウグモ、ヨメナ、ザクロの実が何とか使えそうな写真なのである。そこでキノコ無しの森の小道でノダケを撮って、隣接する団地へ行った。古くからのものだから様々なものが周辺に植栽されていて、建物の北側は日陰になり風もさいぎられるから最高だ。そこで長靴を履いた胡散臭いおじさんが徘徊して、シュウメイギクとホオズキの実を撮った。まだもっと徘徊すれば各種の写真は撮れただろうが、この観察記に園芸品種のものばかりでは忍びないと、再びキノコの森へ入って、一番の本命場所へ行った。しかし、予期した通りひなびたムジナタケやマンネンタケやコテングタケモドキが見られた位であった。しかし、目が森の中の薄暗闇に慣れたのか、しばらくしてマヤランを発見した。広尾のNさんの掲示板で、マヤランは秋にも咲くと写真が投稿されていたが、本当だったのである。マヤランについて少し調べてみようと思ったが、手持ちの植物図鑑には載っていない。確か葉緑素を持たない腐生植物であった筈である。マヤランを撮って、これで何とか格好がついたわいとほくそえんで車に戻る途中、自生しているツリバナの実を発見して嬉しくなった。

<今日観察出来たもの>花/イヌショウマ、ノダケ(写真中右)、マルバルコウソウ、ホトトギス、マヤラン(写真中左)、ナンテンハギ、ヒガンバナ、ヤマハッカ、シラヤマギク、カントウヨメナ、コセンダングサ、コシロノセンダングサ、ツルボ、ノハラアザミ、ゲンノショウコ、ヒヨドリジョウゴ、ヤブマメ、キンミズヒキ、ミズヒキ、ツユクサ、タマスダレ、イヌサフラン、シュウメイギク(写真上左)、メキシコヒマワリ、シュウカイドウ等。蝶/キタテハ、ツマグロヒョウモン、ウラギンシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/ヤマトシリアゲ、クロヒメツノカメムシ(写真下右)、クサギカメムシ、アキアカネ、ノシメトンボ、マユタテアカネ、ベッコウハゴロモ、アオバハゴロモ、セスジツユムシ、クルマバッタモドキ、キイロスズメバチ等。キノコ/ムジナタケ、コテングタケモドキ、マンネンタケ等。その他/ヤマカガシ、コガタコガネグモ、ジョロウグモ、ヒヨドリジョウゴの実、ツリバナの実、ザクロの実(写真下左)、ホオズキの実(写真上右)等。



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