2005年10月28日、横浜市戸塚区舞岡公園
またしても週末は天気が崩れると予想されている。晴天の日は今日一日だけのようだ。仕事も一段落ついたし、何処かへ行こうと思案したが、行きたい所もなくなった。前回行った時に撮れなかったキビタキの雄を撮りたかったが、今日は鎌倉のご婦人達の弘法山でのオフ会らしいから遠慮した。そこで毎度御馴染みの舞岡公園へ行った。別段、これといった撮りたいものはないものの、舞岡公園生物調査記録ボランティアの一員としての責務を果たそうと言う訳である。そんな思いが通じたのか風も無くとても暖かい一日で、見るもの撮るものが少なくなっているにもかかわらず、とっても楽しい一日となった。
今日は瓜久保に路上駐車をすると、前田の丘からクヌギ休憩所を通って、尾根道を舞岡駅方向に歩いて行った。たくさんあるヤツデのクリーム色の蕾が伸び始めていて、やっぱり秋が深まりつつあるなと感じた。前回来た時に生えていたコガネタケはどうなったかと楽しみに見に行くと、ほとんど変わりない姿であったのには驚いた。コガネタケはとても固いキノコだから、その生長もかなり遅いのだろうが、本当に図鑑にあるように傘が広がるのだろうかと疑問に思った。コガネタケは新治市民の森にも爆生していて、その生長を楽しみにしていた方がいたにもかかわらず、食べられるキノコだからと採取されてしまったらしい。首都圏平地のフィールドは、キノコ狩りをする程の広大さは無いのだから、なるべく採取せずにそのままにしておいて欲しいと思う。今日も前回来た時とほとんど同じカットとなるにもかかわらず、その美しさにシャッターをまた切ってしまった。散策路を更に進んで畑のある辺りまで来たら、雑木林の中にかなり大きい真ん丸の赤い実が見える。何だろうと思って近づいてみるとシロダモの実だ。シロダモはクスノキ科の樹木で、この科の樹木はみんな芳香がある事で知られている。シロダモはシロダモ属でクスノキ属のヤブニッケイとは属を違えているが、その葉はやはりニッケイに似ていて同じような芳香がある。子供の頃、ニッケイの根を採取して綺麗に洗って乾してから口に入れて噛んだものだが、このヤブニッケイ探しで良く間違えたのがシロダモである。しかし、その名のいわれなのだろうが葉の裏が白いからすぐ見分けがついた。同じような味がすると言っても、やはりヤブニッケイの方が味が強くて上品である。シロダモの実を撮り終えて辺りを見回すと、次郎柿も温州ミカンも、その色付きを黄色く増していた。
更に進むと富士山が遠望出来る広々と空けた場所に出るが、今日は湿度が高いためか丹沢のみ薄っすらと見えるだけだった。また、暗い森に入る手前の栗林では、今日は何故だかルリタテハが2頭も見られ、その内の1頭はかなり羽の鱗粉が落ちていて、近づいても逃げなかった。これから成虫で越冬する訳だが、果たして冬を乗り切れるのだろうかと心配になった。暗い森に入って少し進むとモウソウチクの竹林に出る。去年、この中でスッポンタケをかなり観察している。しかし、先日、弘法山で観察し写真を撮っているので、竹林の中に入って行く気が起こらなかった。そこでUターンして三枚畑の方へ引き返した。たくさん咲いていたコスモスは咲き終わり、メキシコヒマワリは依然としてオレンジ色の花をつけ、ヒメアカタテハやツマグロヒョウモンが吸蜜にやって来ていた。雑木林の裾に沿った小道には色付いたアオツヅラフジの実が垂れ下がって、そよ風に気持ち良さそうに揺れていた。
午後からは瓜久保の河童池周辺を散策した後に小谷戸の里へ向って、てくてくと散策を開始した。こんなに良い天気なのに顔見知った方に誰も会わない。鎌倉のご婦人連だけでなく、みんな弘法山へ行ったのだろうか。誰にも会わなくとも、風が無い暖かい日だから見るもの撮るものが飽きない程度に現れる。河童池横のキノコの穴場には相変わらずエノキタケ、サンコタケが見られ、これにイヌセンボンが加わった。蝶ではアカタテハ、ルリタテハが日向ぼっこに現われて、目線を上げて雑木林の方を見ると、キラキラと銀紙が舞うようにウラギンシジミが飛んでいた。田んぼに沿った小道や雑木林の縁では、各種のノギクが咲き乱れ、トリカブトの青紫が一際目立つ。ニシキギやマユミは勿論のこと、ノイバラの実も色付いて来て、今が秋たけなわの散策適期と感じ入った。もうすぐ11月、12月に入るまで野鳥観察及び写真撮影は芳しくないものの、また、ますます野の花や昆虫の姿も減じて行く筈だが、秋を味わう静かな散策は、ますます味わい深いものとなって行くに違いない。
<今日観察出来たもの>花/コウヤボウキ、トリカブト、イヌコウジュ、キキョウ、セイタカアワダチソウ、ワレモコウ、ツリガネニンジン、ホトトギス、シロヨメナ、カントウヨメナ、ノコンギク、コセンダングサ、コシロノセンダングサ、タイアザミ、ミゾソバ、アキノウナギヅカミ、チャ、サザンカ、コスモス等。蝶/アカタテハ、ルリタテハ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ等。昆虫/アキアカネ、マルカメムシ、チャバネアオカメムシ、エサキモンキツノカメムシ、キバラヘリカメムシ、アオバハゴロモ、ハネナガイナゴ、ツチイナゴ、ウマオイ(写真上右)、オオカマキリ(写真上左)等。キノコ/コガネタケ、サンコタケ、イヌセンボン、クロアシボソノボリリュウタケ、シロトマヤタケ、エノキタケ、ヒイロチャワンタケ、ツチナメコ(写真下右)等。鳥/トビ、カワセミ、アオジ等。その他/ジョロウグモ、ガマズミの実、ムラサキシキブの実、シロダモの実(写真中左)、ノイバラの実(写真中右)、アオツヅラフジの実(写真下左)、ニシキギの実、ヒヨドリジョウゴの実、マユミの実等。
2005年10月23日、横浜市戸塚区舞岡公園
今日は日曜日だが舞岡公園で生物調査記録ボランティアの会合があるので、前回訪れた時から3日しかたっていないものの出掛けた。写真は撮るのは止そうと思っていたのだが、せっかく来たのだからとカメラを持って行った。するとコガネタケ、サンコタケ、クロアシボソノボリリュウタケ、ホコリタケが生えていて、その他にも花や昆虫が撮影出来たので、やっぱり紹介することにした。今日は昨日の曇天とはうって変わっての雲一つ無い秋晴れで、小谷戸の里では昔懐かしい足踏み式の脱穀機が登場してリズミカルな響きを立て、隣接する畑ではサツマイモ掘りが行われていた。
舞岡公園に到着したのはなんと午前8時半、駐車スペースを確保するためだが、それでも犬の散歩に来た方々の車でかなりの車が止まっていた。生物調査記録ボランティアの会合は10時からだからと、カメラを取り出して少し散策をしてみた。畑の垣根として植栽されているサザンカが咲いている。まだ、「サザンカ、サザンカ咲いた道、焚き火だ焚き火だ落ち葉焚き」にはかなり時間があるものの、もうそんな季節となったのである。晴れていれば昼間は暖かいものの、早朝はかなり寒くなって、掛け布団を身体に巻きつけるようになった。また、日没も早く午後4時を過ぎるとかなり暗くなる。情報によれば寺家ふるさと村にルリビタキがやって来たと言うし、昨日も小野路町でルリビタキらしい囀りを聞いた。それでも首都圏平地では落葉が本格的に始まるのは後1カ月も先だから、撮るもの見るものが少なくなっても、花虫撮るからなかなか抜け出せない。
瓜久保の河童池に歩いて行くと、早くもサイクリストヒーローさんや工務店マスターさんがやって来ていた。工務店マスターさんとはゼフィルスが見られた頃以来だから、なんと4カ月ぶりである。仕事がとても忙しくて、なかなか撮影に出て来れないらしい。仕事が無いのに比べれば嬉しい悲鳴の筈だが、ほどほどの仕事量であって欲しいと思う事だろう。しかし、そんな贅沢は言ってられない。二人を置いて小谷戸の里へ向って歩いて行くと、皆掘りのあった「さくらなみ池」は、早くも水が満たされ、野鳥ファンの要望で、カワセミの止まり木が2本立てられていた。しかし、池にいた魚は全て上の宮田池に移された筈だから、しばらくの間はカワセミ君は止まらないのではなかろうか。それにノコギリで切った切り口の跡も生々しいから、情緒溢れる止まり木になるのにはしばらくの月日が必要だと感じた。また、へ泥で埋め立ててしまって池が狭くなってしまうのかなと思った部分は浅く水が張られて、アシやその他の水辺の植物の為のスペースとなるようだ。今までは岸辺に何も生えていない大きな水溜りのようであったから、多くの生物にとっては素晴らしい環境がまた一つ増えた事になろう。なんと生物に対する心優しい気配りではないか。こんな気配りがなされているからこそ、面積的には左程広くはないものの、各種の昆虫や鳥が見られるのだと納得する。緑さえ残ればそれで良いと考えているような安易な大規模公園が多いが、舞岡公園はそうではなかったのである。そんな訳で、益々、生物調査記録ボランティアの活動の意気も上がろうと言うものである。そんな訳で、これからの「さくらなみ池」周辺の生物の多様性に思いを馳せたが、肝心の昆虫はアオキの葉で日光浴するツチイナゴを撮ったのみとなった。しかし、アカタテハを久しぶりにタイアザミの花で観察して、とっても嬉しくなった。
和気藹々とした会合が終わり、午後からはこのHPの掲示板でも御馴染みのダイエットに成功した「ちゃわんむし」さんと散策を開始した。どんな小さなものでも見逃さない観察力の持ち主だから心強い。昆虫ではスイッチョン、スイッチョンと無くウマオイが2匹見られた。しかし、産卵管の長い雌だったから鳴き声はもうは聞こえないかもしれない。なぜか近縁のヤブキリが見られる時はほとんど見かけず、ヤフキリが姿を消すと観察出来るようになる。ことによったらヤブキリよりも一回り身体が小さいから、力持ちで獰猛なヤブキリがいる間は、草陰でひっそりと生活しているのかもしれない。また、尾根道では可愛らしい毬栗頭のホコリタケや初めての観察となったカレー粉で身を彩ったようなコガネタケにも遭遇した。それ以外はこれと言ったものは見られなかったが、小谷戸の里のスタッフが、キノコをほんの少し齧っただけなのに、「キノコ博士、これはなんですか?」と携帯電話で写したキノコを見せてくれた。それはなんと薄赤い独特な形をしたサンコタケであった。そこでそれ行けどんどんと河童池畔に急行し、そこでサンコタケは勿論のこと、クロアシボソノボリリュウタケをも観察した。以上、短時間ではあったが、とても楽しい散策となった。最後に、私はウィークエンド・ナチュラリスト、昆虫博士でも野の花博士でも、間違ってもキノコ博士ではない。ずばり適切な表現があるとしたら、カメラ片手の「つれづれ里山生き物遊び人」と言うことになるだろう。
<今日観察出来たもの>花/セイタカアワダチソウ、ホトトギス、シロヨメナ、カントウヨメナ、ノコンギク、コセンダングサ、コシロノセンダングサ(写真上右)、タイアザミ、ミゾソバ、ゲンノショウコ、ミズヒキ、サザンカ(写真上左)、コスモス等。蝶/アゲハ、アカタテハ、ルリタテハ、ヒメアカタテハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、ヒカゲチョウ、ウラギンシジミ、ムラサキツバメ、ムラサキシジミ、ウラナミシジミ、ルリシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/キボシカミキリ、ナナホシテントウ、クロウリハムシ、アカスジキンカメムシの幼虫、アキアカネ、アオバハゴロモ、コバネイナゴ、ツチイナゴ(写真中右)、セスジツユムシ、オオカマキリ等。キノコ/コガネタケ(写真中左)、ホコリタケ、サンコタケ、クロアシボソノボリリュウタケ、シロトマヤタケ、ヒイロチャワンタケ、サナギタケの仲間(写真下右)等。その他/ジョロウグモ、コガタコガネグモ(写真下左)、ナガコガネグモ、ニシキギの実、ヒヨドリジョウゴの実、マユミの実、
2005年10月20日、横浜市戸塚区舞岡公園
ここしばらく秋雨前線と台風の影響で天気が悪かった。しかし、今日は抜けるような青空で、いよいよ秋の長雨シーズンは終了となったようである。気温もだいぶ低くなって薮蚊も少なくなり、快適な散策シーズンとなったが、残念なことに野の花や昆虫たちの姿はだいぶ少なくなった。今日は風がかなりあるから、被写体不足に加えて、写真撮影には最悪であったが、終わってみれば特筆すべきものには出会えなかったものの、この舞岡公園散策手帖及び観察記を飾る写真が撮れてほっとした。長く続いたじめじめした陽気の後だから、人出も信じられないくらいに多かった。
今日もこのところ定番となっている虹の家周辺から散策を開始したが、風が強い為にキノコを撮るしかないなと尾根上の散策路へ急いだ。途中、日陰の道端へ寄ってみたが、昆虫の姿はまったく見られず、ただコウヤボウキが美しく咲いていたが、手の届く場所ではなかった。散策路に着いて期待したが、キノコはホコリタケがぽつりぽつりと単生するだけで、他にはシロトヤマタケと思われるキノコがたくさんあった位であった。そこでUターンして尾根道を歩いて行ったが、行けども行けどもこれと言ったものに出会えなかった。三枚畑周辺のコスモスは咲き終わり、セイタカアワダチソウが満開である。畑に突き刺した棒の先には相変わらずアキアカネやコノシメトンボがたくさん止まっている。道端を歩いて行くとツチイナゴが道路上に飛び出して来たが、アスファルトの上だから敬遠する。これは困った事になったと更に明治学院の方まで尾根道を歩いて行ったが、絵になる被写体は皆無であった。そこでまたUターンしてクヌギ休憩場から前田の丘を通り、瓜久保までやって来てしまった。時計を見るともう11時、一度もシャッターを切っていないのだから不思議である。そこでいつもなんらかの昆虫が休んでいるアジサイの葉の上を丹念に探すと、やっとエサキモンキツノカメムシを見つける事が出来た。これで以前にも紹介したものだがカメラの中に一枚写真を納める事が出来た。更にその横に植栽されているコムラサキの実を撮り、河童池の方へ歩いて行くとアオバハゴロモが細い枝に止まっていた。これで3枚の写真を手にした訳だが、みんな何処にでもたくさん見られる普通種ばかりである。そこで河童池横のキノコの穴場へ行くと、タマゴテングタケモドキ、ヒイロチャワンタケ、エノキタケ等に出会えた。今日は舞岡公園を愛する方々の観察会の日で、キノコを撮影しているとみんな揃ってやって来た。夢中になって写真を撮っていたのでタマゴテングタケモドキを蹴飛ばしてしまったが、その自然観察会のメンバーの一人が手にとって「傘の裏がほんのりと赤いわね」と眺めているので、図鑑にあるようにツルタケダマシではなくタマゴテングタケモドキである事を確信した。ひょんなことから勉強になるものである。
まさか午前中に瓜久保まで来るとは思わなかったので、車はもちろんお弁当も虹の家に置いて来てしまった。そこで足早に虹の家に戻り食事をすると、車で火の見櫓前まで戻った。午後からは小谷戸の里に立ち寄りして、丘の上まで行ってみることにした。相変わらず風が強くてシャッターを切らぬままに小谷戸の里まで来てうろうろしていると、無粋にも携帯電話が鳴った。鎌倉のNちゃんからで、「車があるから来ていると思って電話した」との事であった。誰から見ても花虫とおるの車と分る変梃りんな車だから、お忍びは難しい。それにしても舞岡公園に来る度に鎌倉のNちゃんに良く出会う。ことによったら車に小型発信器が取り付けられていて、日頃の行動がチェックされていて、お仲間のパソコンや携帯電話に、「花虫とおるの車の現在地」なんて情報が流れているのかもしれない。まあ、それは冗談だが銀行の無人自動支払機の上に隠しカメラが取り付けられてあったと言うから、やろうと思えばそんな事は容易い事かもしれない。まあお金も無く人気も無いから私に限ってはそのような事はないだろう。話はとんでもなく横道に逸れてしまったが、最近、道端自然観察の達人になりつつある鎌倉のNちゃんに、「なにか探してよ」と叱咤激励した結果、その後、オオアオイトトンボ、ウスイロササキリ、カマツカの実、シロヨメナ、ノコンギク等を追加した。このシロヨメナとノコンギクは種名判別はとても難しく、今回撮影した左上の写真は、一応、花が白いが咲き始め花弁は紫色なのでノコンギクとしたが、典型的なノコンギクの姿では無い。シロヨメナとノコンギクの交雑種のようにも見える。いずれにしても秋はノギクの種名判別に苦しむ季節なのである。
<今日観察出来たもの>花/セイタカアワダチソウ、コウヤボウキ、ホトトギス、シロヨメナ、カントウヨメナ、ノコンギク?(写真上左)、コセンダングサ、コシロノセンダングサ、タイアザミ、ミゾソバ、アキノウナギヅカミ、アキノノゲシ、ゲンノショウコ、ミズヒキ、ワレモコウ、フジバカマ、シュウメイギク、コスモス等。蝶/ヒメアカタテハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、ヒカゲチョウ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ、チャバネセセリ(写真下右)等。昆虫/エサキモンキツノカメムシ、アカスジキンカメムシの幼虫、アキアカネ、コノシメトンボ、オオアオイトトンボ(写真下左)、アオバハゴロモ、コバネイナゴ、ツチイナゴ、ササキリ、ウスイロササキリ、セスジツユムシ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリ等。キノコ/ホコリタケ、タマゴテングタケモドキ、シロトマヤタケ、ヒイロチャワンタケ(写真中右)、キツネタケ、エノキタケ、ニガクリタケ、種名不明種(写真中左)等。その他/ジョロウグモ、ニシキギの実、ヒヨドリジョウゴの実、マユミの実、カマツカの実、コムラサキの実(写真上右)等。
2005年10月12日、横浜市戸塚区舞岡公園
ここしばらくぐずついた日が続いたから、今日の青空は眩しい程である。しかし、風がかなり強いから散策日和であっても、写真撮影日和とは言い難い。こんな日はさぞかし洗濯物も乾くだろうし、どこの家庭でも溜まった洗濯物で一杯だろう。そう思って主婦の方々はやって来ないだろうと思ったら、来るは来るはで、皆んな久しぶりの晴天が待ち遠しかったようである。そんな気持ちは蝶も同じだったようで、風が強くて余り撮影は出来なかったが、種数こそ減ったものの個体数はとても多かった。もちろん蝶ばかりでなくアキアカネが棒の先には全て止まっていると言った感じで、雨が降り続いたから様々なキノコもたくさん見られた。
今日も最近定番になった虹の家周辺から散策を開始した。しかし、前述したように風が強くて、コスモスもシュウメイギクも風になびいている。それならばと風が比較的避けられる日陰の道端へ行ったが、だいぶ気温が低くなって来たから、そんな場所に昆虫の姿など見られる筈もない。ただ、咲き残ったイヌショウマが咲いているだけであった。こうなったら風にもびくともしないキノコ、しかも雨が降り続いたからと期待して、尾根上の散策路を地下鉄舞岡駅に向って歩いてみようと足を早めた。散策路に入るやいなや多分ナラタケと思われるキノコが、コナラの切り株や地面に爆生していた。また、それに隣接して猛毒のニガクリタケもたくさんあった。これでは間違えてニガクリタケも収穫して中毒になる方もいるだろうなと納得した。更に散策路を歩いて行ったが見られるキノコも無く、今度は逆方向に尾根道を歩いて行った。すると真っ白いドクツルタケや湿った小枝からキララタケと思われる可愛らしいキノコが生えていた。
そんな訳で午前中はかなりの貧果で、ダイエットの為に昼飯はおにぎり2個を味わって食べると、瓜久保から散策を開始した。話は逸れるが、ダイエットという思いが頭の中にあると、もう一つもう一杯という欲望をぐっと飲み込めるので、また、整腸剤のビオフェルミンを必ず食後に飲んでいるので、異常な程のお腹の膨れはなくなった。同好の方も、お医者さんからダイエットしなさいと言われたらしいが、うまく減量出来ているだろうか等と考える余裕も生まれ始めている。さて、話を元に戻すと、まず瓜久保の家の周辺で、刈り取らずに残されているタイアザミを撮ったり、アジサイの葉の上に丁度良い高さに鎮座しているハエトリグモの仲間(ネコハエトリ?)を見つけて撮影した。最近、この種のハエトリグモを良く目にしていて、老眼の進んだ目に小さな甲虫かなと映ってだまされ続けている。マクロレンズで覗いて見ると、真ん丸としていて少し出目な真っ黒い目がとても可愛らしい。触肢を胸元に折り畳んでいて、それが顎鬚のように見えて、なんとなくサンタクロースの様である。こんな可愛い奴なら、もう少し大きかったらペットとして飼いたいなあ思わせるのに充分であった。きっと鎌倉の○ちゃん婦人もこのクモの顔は大好きに違いないとほくそ笑む。
河童池まで歩いて行くと、そこが日溜まり風止まりになっているのか、ウラギンシジミが雌雄共にたくさん日向ぼっこをしていた。それに加えて羽の表が紫色に光る蝶がいて、ムラサキシジミだろうと思ったのだが、地面に止まったので近づいて見るとなんとムラサキツバメであった。羽は閉じているけど撮るしかないなと近づいてピントを合わせていると、心優しいマザーメアリ様が現れたのか、なんと羽をゆっくりと開いてくれた。地面ではもう一歩だからと飛び立ったムラサキツバメを目で追ったが、残念ながら田んぼの方へ飛んで行ってしまった。ムラサキツバメの食樹はマテバシイと聞いているが、付近には植栽されていない。そこで不思議に思って図鑑を開いてみたが、その食樹はマテバシイとシリブカガシと書かれてある。そこでまたまたシリブカガシなるものを図鑑で調べてみると、関西より西に生える樹木とある。これまたくどくなるが、ムラサキツバメはムラサキシジミの食樹たるアラカシやアカガシを食べないとあるので益々分らなくなった。しかし、図鑑によると人為的にはアラカシでも飼育出来るとあるから、舞岡公園や多摩丘陵のムラサキツバメはアラカシを食べているのかもしれない。もっともアラカシやアカガシが絶対に生えない山地でもムラサキシジミを観察しているので、この両者ともにクヌギやコナラでも生育可能なのではなかろうか。今日の観察記は随分横道に逸れ、ムラサキツバメで始終してしまったが、風がかなり強いものの、まだまだ充分に楽しめた一日であった事を記して、パソコンの電源をOFFとしょう
<今日観察出来たもの>花/イヌショウマ、キクイモ、ヒガンバナ、ホトトギス、イナカギク、カントウヨメナ、ノコンギク、コセンダングサ(写真上右)、タイアザミ(写真上左)、ミゾソバ、アキノウナギヅカミ、アキノノゲシ、ツリガネニンジン、ゲンノショウコ、ミズヒキ、ワレモコウ、ツユクサ、ヒヨドリバナ、カンナ、シュウメイギク、コスモス等。蝶/キチョウ(写真下右)、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、ヒカゲチョウ、ムラサキツバメ(写真下左)、ウラナミシジミ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/ヤマトシリアゲ、クロウリハムシ、エサキモンキツノカメムシ、ホオズキカメムシ、アキアカネ、アオバハゴロモ、ツチイナゴ、ツチイナゴの幼虫、クルマバッタモドキ、イボバッタ等。キノコ/ニガクリタケ(写真中左)、キララタケ、ニオイコベニタケ?、ハタケシメジ、キツネタケ、ナラタケ(写真中右)、ドクツルタケ等。その他/ハエトリグモの仲間(ネコハエトリ?)、ナガコガネグモ、ジョロウグモ、ニシキギの実、ヒヨドリジョウゴの実、ゴンズイの実、カマツカの実、ヨウシュヤマゴボウの実等。
2005年10月3日、横浜市戸塚区舞岡公園
明日と明後日は雨が予想されている。このところフィールドは乾燥しきっているから、恵みの雨となる事だろう。また、我が週末未亡人が、昔学校で専攻した絵を描く趣味を再開した。今週は、舞岡公園へお友達と行く事になったらしい。そこで、鉢合わせもなんだから、お先に失礼とばかりに疲れた身体を引きずって行った。昨日の真夏日における小野路町、図師町の上り下りの多い散策は、さすがに疲労困憊を来したようである。今日は公園内には見るもの撮るものが少なそうなので、舞岡ふるさと村の虹の家周辺を散策した後、三枚畑へ登り、午後から公園内を散策する事にした。舞岡ふるさと村も素晴らしいフィールドなのだ。虹の家に着くと、昨日とは打って変わっての曇り空で気温が低い、しかし、風がかなり強いので溜息が出た。虹の家にはピンクのシュウメイギクが咲き出して、とても風情がある。今年も台風がやって来て、かなりの風が吹いたからシュウメイギクも真っ直ぐには伸びていないのだ。付近の草原に行くとキクイモが鮮やかに咲いている。一回草刈がなされたようで、花期が遅れたのだろう。畑には紫色の葉を持つシソの花が咲いている。シソはその葉も実も大変お世話になっているので、どんな花なのだろうとマクロレンズで覗くと、ビンク色のとても可愛らしい花である事が分った。これを品種改良して大きな花が咲くようにしたら素晴らしい事になるだろう。花を愛でるだけでなく、葉も実も食用となるのだから。
虹の家周辺はまだまだたくさんの撮る物に溢れていたが、風が強いので前回行った日陰の道に足を早めた。するとヤマホトトギスのみならずイヌショウマも咲いていて嬉しくなった。坂道を登りきって三枚畑の花園に行くと、小柄なご婦人が三脚を立ててコスモスの花を狙っている。ここは秘密の場所だと思っていたのに誰だろうと近づくと、舞岡のKさんであった。とても写真が好きで、もちろん自然も大好き、おまけに本人は謙遜するのだが、素晴らしい写真を撮る方なのだ。「あれー、この場所知っていたんですか?」と聞くと、「舞岡在住ですから」との答えが返って来た。ここは丘の上だから風が更に強いのではと思ったが、舞岡のKさんがやって来たのを歓迎してか、風はかなり弱くなっていた。しかし、曇り日である事もあってか、来ている蝶はツマグロヒョウモンの雄とヒメアカタテハのみであった。ツマグロヒョウモンの雌がメキシコヒマワリに吸蜜している所を撮りたかったのだが、どっこいツマグロヒョウモンの雄でももちろん絵になる。目が覚めるような鮮やかな花には、むしろ雌より地味な雄の方が似合っているのかもしれない。その後、舞岡のKさんとほんの少しご一緒に散策して別れたが、年末の写真展にはどのような傑作を出展なされるのだろうかと実に楽しみである。記録的図鑑的写真を撮っている方を除いて、カメラを持って道端自然散策をなさる方だったら、少なくと一年に半切まで伸びる、また、伸ばしたい写真を2枚は撮りたいものである。そうすれば10年後の写真集自費出版も夢ではない。早く舞岡のKさんの写真集を手にしたいものである。
午後からは公園内にフィールドを移して散策を開始した。いつもなら様々な昆虫や蝶が見られる瓜久保も寂しい限りである。アジサイの葉の上には必ず数種類の昆虫がいるのだが、今日はセスジツユムシだけであった。河童池に上って行くと、舞岡のファーブルさんのタイヤが異常に細いサイクリング車が止まっていた。最近、寺家ふるさと村に毎日のように出没するファーブルさんより少し若いOさんが、電動アシスト付自転車にしたら、上り坂もほほいのほいで本当に楽だと聞いている。舞岡のファーブルさんも電動アシスト付自転車にしたら良いのになあと思ったが、カラフルなサイクリング車が若さの象徴なのだろう。瓜久保でうろうろしていたら、サイクリストヒーローさんと鎌倉のNちゃんがやって来た。どうしてこの私の来園が分ったのだろう。類は友を呼ぶとは本当の事らしい。「オオウラギンスジヒョウモンが来てますよ」とサイクリストヒーローさんが言うので、皆で見に行こうと言う事になった。オオウラギンスジヒョウモンは多摩丘陵では生息している可能性はあるものの、舞岡公園では秋だけの遠来のお客様であると考えられる。サイクリストヒーローさんに案内してもらうと、タイアザミの花に夢中になって吸蜜していた。また、小谷戸の里の入口に植栽されているカワラナデシコの花に、クロウリハムシがその花弁を食べていた。いつも案山子が水田に立つ頃から、舞岡公園の昆虫達は種類数もその数を減じて、11月23日の勤労感謝の日に舞岡公園の一年で最大のイベントが催されるが、この日を境にして昆虫たちは冬眠に入る。今日は10月3日、少なくなったとは言え、まだしばらくの舞岡公園花巡り虫巡りは、止められない止まらないと、しばらく続く事だろう。
<今日観察出来たもの>花/キンモクセイ(写真中左)、シソ(写真中右)、カンナ、キクイモ(写真上右)、イヌショウマ、ヒガンバナ、ヤマホトトギス、ホトトギス、ヤマハッカ、イナカギク、カントウヨメナ、ノコンギク、コセンダングサ、タイアザミ、ミゾソバ、アキノウナギヅカミ、アキノノゲシ、ツリガネニンジン、カナムグラ、ゲンノショウコ、ヒヨドリジョウゴ、キンミズヒキ、ミズヒキ、ワレモコウ、ツユクサ、ヒヨドリバナ、シュウメイギク(写真上左)、コスモス、メキシコヒマワリ等。蝶/アカボシゴマダラ、コミスジ、ヒメアカタテハ、キタテハ、オオウラギンスジヒョウモン、ツマグロヒョウモン、ヒカゲチョウ、ウラナミシジミ、ウラギンシジミ、ベニシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/ヤマトシリアゲ、クロウリハムシ(写真下左)、ウリハムシ、ジンガサハムシ、ナナホシテントウ、エサキモンキツノカメムシ、クサギカメムシ、ホシハラビロヘリカメムシ、キバラヘリカメムシ、アキアカネ、コノシメトンボ、アオバハゴロモ、クダマキモドキ、セスジツユムシ(写真下右)、ツチイナゴ、ツチイナゴの幼虫等。鳥/モズ、アオゲラ等。その他/ナガコガネグモ、ジョロウグモ、ヒヨドリジョウゴの実、ヨウシュヤマゴボウの実等。
2005年9月28日、横浜市戸塚区舞岡公園
今日は午後から小谷戸の里で「生物調査・記録ボランティア」の会議があるので、散策並びに写真撮影は午前中のみという事になった。そこでいつもより1時間も早く起床して出発した。昆虫もだいぶ少なくなり、キノコも生えていそうもないので、合計8枚の写真を撮ることはかなり難しいだろうと考えた訳である。今日も昨日と同じような曇り空で、気温は昨日よりかなり下がったようだ。しかし、風は逆に少し強くなったから、蚊取り線香無しに散策出来て有り難いものの、撮影にはかなり苦労した。今日は最近比較的色々なものが見られる三枚畑を中心に、舞岡公園外のその近辺をも徹底的に歩き回ろうと車を後にした。
まず最初に、もしやとの期待を込めて河童池畔のキノコの穴場を覗いてみたが、嘘のように何も生えていなかった。誰かが種を撒いたのではないかと噂される紅色のゲンノショウコは、曇り空でもとても鮮やかに咲き乱れていた。これまたもしやとの期待を込めて、河童池から前田の丘に通ずる小道にある樹液の出ているクヌギを見て回ったが、あんなに賑やかだったサトキマダラヒカゲやヒカゲチョウは1頭もいずに、恐ろしいコガタススメバのみが我が物顔にたくさん吸汁していた。今日の舞岡公園はこの他にもキイロスズメバチもたくさん見られ、スズメバチの仲間の生命力には本当に脱帽する。前田の丘に至って、クズが繁茂している草原に足を踏み入れると、ヒメアカタテハが飛び立った。しかし、かなり飛び古していて粘ってまで写真を撮る気にはなれなかった。ヒメアカタテハはまだもう一化ある筈だから、これからも美しい姿を見せてくれるだろう。クヌギ休憩所に着くと、ニシシギの葉も一部紅葉し始めたものもあり、相変わらずキバラヘリカメムシの幼虫がたくさん見られた。また、苔が生えている場所には、本当に可愛らしいニオイコベニタケ(?)が生えていた。
三枚畑に出る手前にキツリフネが僅かに見られるが、花期はもう終わり頃のようで、写欲を誘う花は見られなかった。それよりもイノコズチ等の他の植物の勢力が活発で、このままここに置いておいたら、いつの日にか絶えてしまうのではないかと心配になった。前回来た時にコスモスやアメリカヒマワリでモンキアゲハやツマグロヒョウモンを撮影した畑に夢よもう一度と行って見たが、丘の上だけあって尚更風が強く、僅かにツマグロヒョウモンとヒメアカタテハが各1頭吸蜜しているのみであった。それならばと日陰になる雑木林の下草を丹念に見回ったが、相変わらずエサキモンキツノカメムシが多いのみであったが、何でも撮影しなければとホシハラビロヘリカメムシやツマグロオオヨコバイを撮影し、ホソアシナガバチが休んでいたのでこれはラッキーとほくそえんだ。
今日は本当に撮るものが少ない。それならば虹の家に通ずる道を少し歩いてみようと足を早めた。すると舞岡公園近辺では初めてのヤマホトトギスを発見して嬉しくなった。また、細い谷になっている山裾だから風もほとんどなく、ヨウシュヤマゴボウの実やアオクサカメムシやクダマキモドキ等を撮影した。虹の家に近づくと民家や畑が現れるが、コスモスやオオケタデが美しく咲いていた。時間が限られているので道路に出ると右に曲がり、しばらくして右手の陽のあたる山道を登って三枚畑に戻った。途中、畑に植えられている柿の実は早くも色をつけ、ブドウ畑には収穫されずに残っているブドウが美味しそうに垂れ下がっていた。また、山道に面したクズの葉の上にはツチイナゴの幼虫が鎮座していて、ポーズをとって出迎えてくれた。
午後からは前述した小谷戸の里での「生物調査・記録ボランティア」の会議に出席した。戸塚区以外のアカボシゴマダラ隊の面々も顔を出していた。驚くことにたった1ヵ月の間に、写真添付の観察カードが山のように増えていた。舞岡公園を愛する方々、生物が大好きな方々が一杯で、その熱意も並々なならぬものである事の証明だろう。会議が終わると軽く散策を再開した。外へ出るとひんやりとしていて長袖シャツ一枚では寒いほどの気温となっていた。時間が時間だし曇り日で寒い事もあってか見られる昆虫は少なかったが、ヒヨドリバナにアサギマダラが吸蜜に訪れていた。野鳥観察のベテランも同行していたので、その鳴き声で素早くアオゲラとモズを見つけ出してくれた。「キーキーキー」とけたたましいが良く響くさえずりで、モズが樹木の天辺で高鳴きを繰り返す。いよいよ舞岡公園も本格的な秋を迎えようとしていた。
<今日観察出来たもの>花/ヒガンバナ、ノダケ、キツリフネ、ヤマホトトギス、ホトトギス、ヤマハッカ、イナカギク、カントウヨメナ、コセンダングサ、アメリカセンダングサ(写真上左)、ツルボ、タイアザミ、ミゾソバ、フジカンゾウ、ヌスビトハギ、アキノノゲシ、ツリガネニンジン、タカサブロウ、カナムグラ、トキワハゼ、ゲンノショウコ、ヒヨドリジョウゴ、ヤブマメ、キンミズヒキ、ミズヒキ、ワレモコウ、ツユクサ、ヒヨドリバナ、コスモス、メキシコヒマワリ等。蝶/モンキアゲハ、ナガサキアゲハ、クロアゲハ、アサギマダラ、ヒメアカタテハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、ヒカゲチョウ、ウラナミシジミ、ツバメシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ(写真上右)等。昆虫/ヤマトシリアゲ、オジロアシナガゾウムシ、キボシカミキリ、テントウムシ、エサキモンキツノカメムシ、クサギカメムシ、アオクサカメムシ、ホシハラビロヘリカメムシ、キバラヘリカメムシの幼虫、アキアカネ、アオバハゴロモ、クダマキモドキ、セスジツユムシ、ハネナガイナゴ、ツチイナゴ、ツチイナゴの幼虫(写真下左)、クルマバッタモドキ(写真下右)、イボバッタ、ホソアシナガバチ、キイロスズメバチ等。キノコ/ニオイコベニタケ?(写真中右)、ツルタケ等。鳥/モズ、アオゲラ等。その他/シマヘビ、ナガコガネグモ、ジョロウグモ、ヒヨドリジョウゴの実、ヨウシュヤマゴボウの実(写真中左)等。
2005年9月21日、横浜市戸塚区舞岡公園
今日はこのHPの開設3周年記念日である。そこで何処へ行こうかと考えたが、開設当初からこのHPを毎日のように見てくれている方々がやって来る舞岡公園へ行った。と言う事は舞岡公園へ行き出して何年位になるのだろう。そこでフィールド日記を紐解いてみると、1999年頃からのようで、7年前くらいからお世話になっているようだ。10年一昔という位で、7年では少し足りないが、もうかなりの古株になっている事は確かなようだ。また、髪の毛の白髪の数も増え、お腹の厚みに比例して体力は衰え、視力も近視がかなり進んだようである。しかし、写真の腕はデジタル一眼レフの出現もあって、少しは向上しているように思われる。
今日は曇り日で到着した時はほとんど風が無く、絶好の散策日和、撮影日和となった。あたかも天気の神様が開設3周年記念日を祝福しているかのようである。そこで今日もまた三枚畑の方へ足を早めた。途中、クヌギ休憩所のニシキギにキバラヘリカメムシがたくさんいて嬉しくなった。一昨年は大発生だったが、去年はほとんど見られなかったのだが、今年は通常発生となって喜ばしい限りだ。昆虫は時として大発生を繰り返す。このメカニズムを探る事が農学部に於ける応用昆虫学の中心的な課題だ。ことに作物につく昆虫は、大発生しては害虫となって収量に大幅に影響する。また、たいして発生もしていないのに農薬散布では、人体はもちろんのこと地球環境にも悪いと言う訳である。そこで害虫とは呼べない程度の発生数を長年にわったて維持する事が、究極なる害虫対策となる。
丘の上の畑に着くと、日曜菜園を営む場所でコスモス、メキシコヒマワリがたくさん咲いている。どちらもとっても好きな園芸品種の花である。最近、相互リンクしたご婦人がコスモスを美しく撮影していたので、負けずにと頑張ってみたが、今一絵になるように咲いていなく、また腕が悪いのか、「これこそコスモス」と感じさせる写真は撮れなかった。やはり風になびくように撮ってこそ、コスモスと思っているのだ。それならメキシコヒマワリを美しく撮ろうとカメラを向けたが、こちらも絵になるようには咲いていなかった。しかし、ツマグロヒョウモンの雄が無心になって吸蜜していたので、これはラッキーと撮影していたら、なんとモンキアゲハまでやって来た。以前に小谷戸の里にて吸水するものは撮っていたが、やはり蝶は花との組み合わせがより美しい。これからしばらくこの花園は目の離せない場所となって、ヒメアカタテハ、イチモンジセセリ等も、これらの花々と組み合わせれば素晴らしい写真が得られることだろう。こんな狭い場所でも半日を費やしても悔いはないと思った。
夢中になって写真を写していると、無粋にも携帯電話がなった。いったい誰だろうと思っていたら鎌倉のNちゃんだ。何しろ滅多に走っていない超不人気車であるライトグリーンのスバルサンバーディアスクラッシックが止っていれば、花虫とおるが来ているという事が分ってしまう。待つこと数分、カップラーメンの出来上がりと同じ位の時間で、鎌倉のNちゃんがやって来た。このHPの開設当初からアクセスしてくれている貴重な方である。なにしろ短気で子供っぽく我侭な性格だから、仲良くなった方々とすぐに喧嘩別れしてしまう事が多い。こんなに長くお友達でいられると言う事は、鎌倉のNちゃんは相当に人間が出来ている方なのだろう。即座に「今日で開設3周年、いろいろ有難う御座いました」と御礼を述べ、メキシコヒマワリに戯れる蝶を指し示した事は言うまでも無い。
午後からはサイクリストヒーローさんや甘味厳禁ヤマイモおじさんも交えて散策した。まず最初にサイクリストヒーローさんが大きな黄色いキノコを見つけたと言うので行ってみると、なんとキタマゴタケで、二つ並んで形良く生えていた。また、幼菌も一つあったから、明後日位まで楽しませてくれる事だろう。その他、これと言ったものは無かったが、小谷戸の里へ行ってK女史にキタマゴタケの発生を報告した。舞岡公園生物記録ボランティアの観察カード入れの箱を見ると、とんでもなく多くの記録が寄せられていた。このHPの掲示板に度々ご投稿下さる「ちゃわんむし」さんのカードは、パソコンで綺麗に処理され写真入りでとても素晴らしいものであった。やはり彼はアカボシゴマダラ隊の昆虫部長である。その後、ハナサナギタケを見つけておいたので、皆で前田の丘へ戻った。するとなんとエゴノキの実にアカスジキンカメムシの幼虫が食事をしていたり、オオアオイトトンボがイネ科の葉に止っていたりした。今日の舞岡公園は午後からやや風が強くなったものの、このHPの開設3周年を祝ってくれたが如くに、楽しさ一杯の面白道端自然観察公園であった。
<今日観察出来たもの>花/ヒガンバナ、ツルボ、タイアザミ、ボントクタデ、ミゾソバ、アキノウナギヅカミ、フジカンゾウ、ヌスビトハギ、アキノノゲシ、ツリガネニンジン、タカサブロウ、カナムグラ(写真上右)、ヘクソカズラ、トキワハゼ、ゲンノショウコ、ヒヨドリジョウゴ、ツルマメ、クズ、センニンソウ、クコ、キンミズヒキ、ミズヒキ、ワレモコウ、アゼムシロ、ツユクサ、コスモス(写真上左)、フヨウ、ムクゲ等。蝶/モンキアゲハ(写真中左)、アカボシゴマダラ、ツマグロヒョウモン(写真中右)、ヒカゲチョウ、ヒメジャノメ、ヒメウラナミジャノメ、ウラギンシジミ、ウラナミシジミ、ツバメシジミ、ヤマトシジミ、チャバネセセリ、イチモンジセセリ等。昆虫/ヤマトシリアゲ、テントウムシ、オオヒラタシデムシ、エサキモンキツノカメムシ、クサギカメムシの幼虫、アカスジキンカメムシの幼虫、チャバネアオカメムシの幼虫、キバラヘリカメムシ、アキアカネ、コノシメトンボ、オオアオイトトンボ、ツクツクボウシ、アブラゼミ、アオバハゴロモ、クルマバッタモドキ等。キノコ/キタマゴタケ、ニオイコベニタケ、ハナサナギタケ、ツエタケ等。その他/ヒヨドリジョウゴの実(写真下左)、トキリマメの実(写真下右)、ナガコガネグモ、ジョロウグモ等。
2005年9月14日、横浜市戸塚区舞岡公園
今日は抜けるような青空で、しかも風がとても強い。まことに泣けるような一日であった。もっとも草刈等の里山管理に精を出す小谷戸の里の方々には恵みの風で、昨日に比べると疲れがかなり少ないと言う。散策するこの私もいつもより足取りは軽いが、心の中は被写体が少なく、見つけたとほっとしても風が強くて被写体が揺れるという、まこと家に帰りたくなるようなブルーデーであった。週始めの天気予報によると、今日明後日は曇りとあり、顔をにんまりとさせていたと言うのに、今朝の天気予報を見ると、ずっと太陽のマークが並んでいる。思わず「こんなに晴天が続くの」と溜息が出た。例年なら秋淋と呼ばれる秋の長雨の季節に入っている筈だが、いったいどうした事なのだろう。この間の台風が、今頃降る筈の雨をすべて集めて一辺に大雨として降らせてしまったから、もうお終いのようである。こんな残暑の厳しい日が続くと、道端自然観察及び写真撮影はとっても楽しいなんて言えなくなる。しかし、そんな泣きごとも言ってはいられない。今年一杯は、「つれづれ観察記」も「小野路図師紀行」も、この「舞岡公園散策手帖」も「ささぶねに揺られても」も、「東京23区内道端自然観察館」も、すべてこなそうと思っているのだ。
今日も前回と同じでピーカンの日だから、三枚畑の日陰の道へと思ったが、その前に瓜久保の建物周りを丹念に見て回った。こんな風の強い日には、建物や樹木の幹にいるものが撮影しやすいのは言うまでもない。そんな思惑は見事に当たって、壁に着くアゲハの蛹をみつけた。「これはラッキー」と三脚を立てていざ撮影しようと思ったら、なんとなく変だ。近寄って確認したら、寄生蜂の抜け出た小さな穴が開いていた。これでは駄目だなと指で摘んでみると、ぐちゃぐちゃに壊れてしまった。それでも近くにコガタコガネグモが巣の真ん中にいたので撮影して溜飲を降ろした。コガタコガネグモはずっと前に撮影し紹介しているが、今日はそんな事を言っていたら一回もシャッターを切れないだろう。瓜久保を奥に更に詰めると、アカスジキンカメムシの幼虫が各種の木の幹に止っていた。どうやらこの風では小枝の先は居心地が悪いようだ。こんな日は、もちろんキノコだと河童池畔の木陰へ行ったが、台風がもたらした雨もここ数日の晴天続きですっかり蒸発し、きのこの姿も一緒に消えて無くなったようだ。しかし、別の場所にイヌセンボンタケが群生していたので、なんとかあぶれずに済んだ。
三枚畑の日陰の道へ登って行くと、当然の事だが丘の上だから風は強い。途中、キツリフネが見事に咲いていたが、大波にもまれる小船のようだ。日陰の道はそれでも雑木林の裾だから、いくらか風が弱い。さっそくアキノノゲシを見つけたが、無風状態ならカップ麺の出来上がりより早く撮れるのだが、気の遠くなる程待たされた。前回、来た時はほとんどが幼虫だったエサキモンキツノカメムシは、今日は逆に、ほとんどが成虫となっていた。カメムシの仲間の成長速度はかなり速いようである。その他にもなにかいないかと探したのだが何もいない。こうなったらキノコだと尾根沿いを歩いてみたが、写欲を誘うものには出会えなかった。「今日は本当に駄目みたい」と、再び瓜久保に下りて来て、アジサイの葉にいたヤマトフキバッタを撮ったところで午前の部は終了した。なんとか使えそうな写真は、僅かの4枚だけだった。
最近、暇しているからますます体重が増えて、衣装ダンスに眠れるズボンや上着がどっさりと吊るされている。12日の衆議院議員選挙では、あっと驚く自民党の大躍進となって、暮らし向きの良くなる政策を期待している。小選挙区制は失政すれば、白が黒に一挙に塗り変わる選挙制度だから、自民党も「驕る平家はひさしからずや」とならないように、庶民の暮らし向きにも目を向ける事だろう。とは言っても、「太ったらサイズアップのものを買えば良かんべ」では、眠れるズボンや上着が地球環境を悪化させる。そんな訳で、「喰わなきゃ痩せるべ」と、おにぎり2個の昼食を済ませると、後4枚後4枚後4枚と胸の中で呪文を唱えながら谷戸奥へ向った。しかし、水車小屋でかつて紹介した事のあるヒカゲチョウを撮っただけで、小谷戸の里ではアジサイに葉に擬態したクダマキモドキを発見して興奮したが、なんと片方の触覚が無かった。こうなったら何でも確保とツクツクボウシとコムラサキの実を撮って万が一に備えた。その後、丘の上まで行って戻って来たが、クヌギの幹に静止していたトビナナフシを撮っただけであった。これで一応、計8枚は確保して瓜久保に戻って来ると、カップ麺の出来上がり時間の間に、コミスジ、紅色のケンノショウコを撮影し、蚊取り線香の火は消えた。今日は風が強かったから6時間持たなかったのだ。
<今日観察出来たもの>花/ヒガンバナ、フジカンゾウ、ヌスビトハギ、アキノノゲシ(写真上右)、ツリガネニンジン、タカサブロウ、ハキダメギク、トキワハゼ、ゲンノショウコ(写真上左)、ツルマメ、クズ、センニンソウ、クコ、キンミズヒキ、ミズヒキ、ワレモコウ、アゼムシロ、ツユクサ等。蝶/アオスジアゲハ、ナガサキアゲハ、カラスアゲハ、クロアゲハ、モンキアゲハ、アカボシゴマダラ、ルリタテハ、ツマグロヒョウモン、コミスジ(写真中右)、サトキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ヒメジャノメ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ等。昆虫/トビナナフシ(写真下左)、ヤマトシリアゲ、テントウムシ、エサキモンキツノカメムシ、クサギカメムシ、オニヤンマ、オオシオカラトンボ、シオカラトンボ、ショウジョウトンボ、ウスバキトンボ、オオアオイトトンボ、ツクツクボウシ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、アオバハゴロモ、クダマキモドキ、ミヤマフキバツタ(写真下右)等。キノコ/イヌセンボンタケ(写真中左)、タマゴテングタケモドキ、ツルタケ、カワリハツ等。その他/ナガコガネグモ、コガタコガネグモ、アズチグモ、ジョロウグモ、オオトリノフンダマシ等。
2005年9月8日、横浜市戸塚区舞岡公園
各地に大きな爪痕を残して台風14号はオホーツク海に抜けた。このため今日は抜けるような青空が広がる台風一過の一日となった。こんなピーカンで気温が高い日は、良い写真も撮れないし身体もばててしまうが、3日間も悪天候で家に閉じ込められていたのだから我慢出来ずに舞岡公園へ行った。出会うものは手当たり次第なんでも撮らないと、この舞岡公園散策手帖や観察記を飾る計8枚の写真を確保出来ないぞと、今日も前回と同じ三枚畑の日陰の道へ足を早めた。途中、クヌギの樹液酒場に羽化したばかりのアカボシゴマダラが2頭も吸汁していた。今日は焦点距離の短いマクロレンズをつけていたので小さくしか撮れないが、内蔵ストロボをポップアップして撮影した。車に置いて来た180ミリのマクロレンズと外付けのストロボを取って来ようかなとも思ったが、山のように集合しているサトキマダラヒカゲがアカボシゴマダラを押しのけて吸汁を始めたので止めにした。まったくサトキマダラヒカゲは遠慮もなにも無いと言った感じで、我先にと割り込んで口吻を伸ばすのだから困ったものだ。多分、群集心理なるものも働いているのだろう。今度の日曜日の衆議院議員選挙の投票日には、この群集心理とは無縁の個々の冷静なる清き一票を投じたいものである。
丘の上の日陰の道へ行くと、まだ、降った雨が乾かずにタケニグサ等の大きな葉は濡れているが、ほとんどの葉は乾き始めていた。この為、かなり湿度は高かったが、陽が射さないから我慢出来る。この日陰の小道は僅か50メートル程しか無いのだが、こんなピーカンの日には誠に有り難い観察場所及び写真撮影場所である。地方へ行けば、こんな雑木林の裾の日陰の道が延々と続く所があるだろう。そう思うと寂しくなるが、行ったり来たりを何回も繰り返していると、たった50メートルでも様々なものが見られ、時間もたっぷりと過ぎて行く。恐らく何回も往復していると、次第に目が慣れて来て見落としたものを発見すると同時に、葉裏や草叢に隠れていた昆虫達が葉の表に出て来るのかもしれない。今日は特にエサキモンキツノカメムシの幼虫がたくさん見られた。成虫は背に白いハートマークをつけていて著名だが、幼虫は見ようによっては「おかめ」を連想させる斑紋が散らばっていて微笑が浮かんで来る。今日は前述したように何でも撮らなければと思っていたので、成虫も幼虫もカメラの中に納めた。こんなピーカンの日は曇り日に比べ木陰はとても暗くなるようで、かなりの低速シャッター速度となり、おまけにまだ台風による風も少し残っていたから撮影にはかなり梃子摺った。
こんな日はやはりキノコかな。今日は持参していないが雨傘で太陽光線を遮れば日陰になるし、風が少しあってもキノコは揺れないから撮影がとても楽なのである。そこで尾根道をかなり歩いてみたが、ミドリニガイグチやウコンハツが見られたものの、写欲を誘う場所には生えていなかった。そこで瓜久保のキノコの穴場に行ってみようと、雑木林の中を下って行った。すると途中、テングタケダマシが仲良く3本並んでいたので撮影したが、薮蚊に3箇所も刺されてしまった。瓜久保に降りてキノコの穴場に行ってみたが、コウジタケやツルタケはあったものの、雨で跳ね上げられた土が付いていて撮る気にはなれなかった。
瓜久保でうろうろしていると、サイクリストヒーローさん、舞岡のファーブルさん、新百合丘のほしみすぢさんがやって来た。みんなずっと家に閉じ込められていたから我慢出来ずやって来たようで、同好者の心理は同じものだと納得する。時計を見ると早や正午、涼しいニガキの下のベンチに座って弁当をばくついていると、田んぼの向こうのクサギの花にモンキアゲハ等の各種のアゲハチョウの仲間が吸蜜に現れた。しばらく見ていると、なんとなくおかしいモンキアゲハを見つけた。ナガサキアゲハの雄が盛んにプロポーズしながら後を追っているのである。一緒に弁当をぱくついているほしみすぢさんに、「あれはことによったらナガサキアゲハのペアかもしれませんよ」と、遠くから見るとモンキアゲハに見えるのだが、ナガサキアゲハの雄が他種にプロポーズする訳はないと思われたからだ。すると、ほしみすじさんは即座にカメラを持って確認に行ってくれた。聞くとやっぱりナガサキアゲハのペアだと言う。こうなったら蝶好きのほしみすぢさんは、もちろんしぶとくナガサキアゲハを狙い始めたが、私は弁当をぱくつく事に熱中した。やがてナガサキアゲハの雌が葉の上に羽を開いて静止し、ほしみすぢさんはしきりにシャッターを切っている。帰って来たほしみすぢさんの液晶ディスプレイには、私がまだ撮影した事の無いナガサキアゲハがちゃんと美しく捕らえられていた。お墓参りの時も、ゴミ出しの時もカメラを持って行くという方々を知っているが、食事中と喫煙中はシャッターに指をかけない私には出来ない事だ。しかし、ネイチャーフォットーは、いつチャンスがやって来るかが分らない事は確かな事なのだ。
<今日観察出来たもの>花/タカサブロウ、トキワハゼ、ヌスビトハギ、ゲンノショウコ、ツルマメ、センニンソウ、クコ、キンミズヒキ、ミズヒキ、ワレモコウ、ガガイモ、アゼムシロ、ツユクサ(写真上左)、クサギ等。蝶/ナガサキアゲハ、カラスアゲハ、クロアゲハ、モンキアゲハ、アカボシゴマダラ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、コミスジ、サトキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ヒメウラナミジャノメ、ヒメジャノメ、ウラギンシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ、ダイミョウセセリ等。昆虫/ユウマダラエダシャク、ヤマトシリアゲ(写真下左)、オジロアシナガゾウムシ、キボシカミキリ(写真下右)、シロテンハナムグリ、アオオサムシ、ヤマイモハムシ、オオニジュウヤホシテントウ、テントウムシ、チャバネアオカメムシ、エサキモンキツノカメムシ(写真中左)、エサキモンキツノカメムシの4齢幼虫(写真中右)、キバラヘリカメムシの5齢幼虫、アカサシガメ、オニヤンマ、オオシオカラトンボ、シオカラトンボ、ウスバキトンボ、ツクツクボウシ、アブラゼミ、ベッコウハゴロモ、アオバハゴロモ、ショウリョウバッタ、ヒシバッタ、ミヤマフキバツタ、ツチイナゴの幼虫等。キノコ/ミドリニガイグチ、テングタケダマシ(写真上右)、ウコンハツ、コウジタケ、ツエタケ、イヌセンボンタケ等。その他/タイワンリス、ナガコガネグモ、ジョロウグモ、オオトリノフンダマシの卵のう等。
2005年9月1日、横浜市戸塚区舞岡公園
いよいよ今日から待ちに待った9月である。そう喜んで起床してみたものの、空は澄み太陽はさんさんと輝いてとても暑い。暦の上では涼しい秋の筈だがと首をひねったが、「舞岡公園生物記録ボランティア」の初仕事も待っているからと、こんな日なのもかかわらず舞岡公園へ行った。なるべく木陰になる所を選んで散策したが、風がほとんどないから、立ち止まって撮影に熱中していると汗が噴出して来た。それでも昆虫達も真夏が過ぎ去った事を知っているかのように、各種の葉の上に鎮座していた。首都圏の秋はとっても長く、ほぼ12月の始めまで続くのだから、まあ、あせらずじっくりとやって行こうやと、休み休みの散策となった。今日はまず最初に、前田の丘からクヌギ休憩所を通って三枚畑の方へ行った。前田の丘の草原は各種バッタやキリギリスの天国で、ヒメアカタテハを筆頭とする草原好きの蝶がかなり見られるのである。しかし、早朝や曇天なら別だが陽が高く上っているから、期待したものはいるにはいるがみんな元気一杯であった。バッタの仲間では成虫で冬を越すツチイナゴの幼虫が各所に見られ、その可愛らしい顔はいつ見ても微笑ましい。時折、ヒメアカタテハが飛んで来るからこの草原も秋色一色な筈なのに、とっても暑い。クヌギ休憩所に一箇所キノコが良く生える所があるが、今日はツルタケが一本すっと伸びて生えていた。
再び咲き出したキツリフネを観賞して、丘の上の畑に向かうと、畑の縁に植えられているニラの花が満開で、ツマグロヒョウモン、ヒメアカタテハ、モンシロチョウ、イチモンジセセリが吸蜜していた。この時期、各種の蝶を観察したかったらニラの花が最高と何処かで書いたと思うが、まさにそのような様相を呈していた。その傍らにミカンやキンカンが植栽されている畑があるが、早くもまるまると実が大きくなっているのが印象的であった。しかし、これは堪らんという暑さの為に木陰に逃れた。すると葉の上に今年初めての出会いとなるヨツスジトラカミキリやヤマトシリアゲ、カノコガ、キボシカミキリ、エサキモンキツノカメムシ等が見られた。これらの昆虫をしっかりカメラの中に納めると瓜久保に下って行った。途中、樹液の滴るクヌギを何本も見て回ったがサトキマダラヒカゲが群れていて、お目当てのアカボシゴマダラやゴマダラチョウは見られなかった。今年はゴマダラチョウが少ないと言うが、生態的に同じようなアカボシゴマダラの勢力に押されて、その個体数を減じているのかもしれない。美しいアカボシゴマダラの定着は大歓迎であったが、その為にゴマダラチョウが絶滅しまったら、まったく何をか言わんという事になる。
午後からはやはり「舞岡公園生物記録ボランティア」の初仕事にやって来た、ほしみすぢさんや鎌倉Nちゃん、途中から甘味厳禁ヤマイモおじさんも加わって散策した。前回来た時にモンキアゲハを筆頭に多数のアゲハ類が吸蜜にやって来ていたクサギの花には、今日は破損したカラスアゲハの雌が訪れる位であったが、バランス良く咲いている花を慎重に切り取った。代表的な里山の夏の木の花であるクサギをなんとか美しく撮りたいといつも思っていたのだが、これがなかなか手強い花で、ただ撮るのなら簡単だが、例え図鑑的写真であっても美しく撮ろうとするとなかなか難しい花なのである。クサギの花を撮影しているとウラギンシジミが路傍にたくさん飛んでいる。どうやらウラギンシジミの発生盛期のようで、地面に吸水しているもの、路上にグロッキーとなったミミズにオオヒラタシデムシと一緒に吸汁しているもの等様々であった。ウラギンシジミはムラサキシジミと同様にチョウなのに花に来ているのをほとんど見ない。しかし、越冬前後は花の蜜も必要なようで、ムラサキシジミはセイタカアワダチソウに、ウラギンシジミはレンギョウに来ているのを目撃している。しかし、こんなに早く発生してしまっては越冬時期までまだかなり時間があるから、図鑑には年2化とあるが、もう1回発生するのだろう。その後、これと言ったものは観察出来なかったし、みんな暑さの為にバテバテとなりながらも、各種セミやヒカゲチョウで日中シンクロのお勉強をして盛り上がった。いずれにしても9月入ったとはいえ、しばらくの間は曇り日を選んでの舞岡公園行きをお勧めしたい。
<今日観察出来たもの>花/キツリフネ、クコ(写真上右)、ナンバンギセル、キンミズヒキ、ミズヒキ、ツリガネニンジン、ワレモコウ、ヤマイモ、オニドコロ、ガガイモ、キツネノカミソリ、アゼムシロ、ヒルガオ、ツユクサ、アカツメクサ、ハス、クサギ(写真上左)、ムクゲ等。蝶/アオスジアゲハ、カラスアゲハ、モンキアゲハ、アカボシゴマダラ、キタテハ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、イチモンジチョウ、コミスジ、サトキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ(写真中右)、ヒメウラナミジャノメ、ウラギンシジミ(写真中左)、ムラサキシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ、キマダラセセリ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ等。昆虫/ホタルガ、ヤマトシリアゲ、シロコブゾウムシ(写真下左)、オジロアシナガゾウムシ、キボシカミキリ、トラフカミキリ、ヨツスジトラカミキリ(写真下右)、クワカミキリ、クロカナブン、マメコガネ、チャバネアオカメムシ、エサキモンキツノカメムシ、ハサミツノカメムシ、オオトビサシガメ、オニヤンマ、オオシオカラトンボ、シオカラトンボ、コシアキトンボ、ショウジョウトンボ、ウスバキトンボ、アジアイトトンボ、ツクツクボウシ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ベッコウハゴロモ、アオバハゴロモ、ヤブキリ、ミヤマフキバツタ、ツチイナゴの幼虫等。その他/ナガコガネグモ、ジョロウグモ、オオトリノフンダマシの卵のう、ツルタケ等。