2005年:つれづれ観察記
(4月)


4月30日、横浜市緑区三保市民の森

 今日で4月はお終いである。「本当に短ったなあ、観察出来なかったものや撮影出来なかったものがとても多いなあ」との残念な思いで一杯だが、数えてみると21日間も道端自然観察及び写真撮影に出かけたようである。それだけ見るもの撮るものがたくさんあったのだが、それでも残念な気持ちが残るのだから4月は素晴らしい月なのである。と言う事は仕事はたったの9日間しかしなかったようなのだからまことに驚きである。5月入ったらこんな馬鹿みたいにフィールドへ行くことを控えなければなるまい。今日は風はいくらか納まったものの、相変わらずの雲一つない晴天である。これからの季節、晴れていると曇っている日よりも倍疲れるし、陰影のハッキリした写真しか撮れない。それに女房がご旅行中で、頼んでおいた日焼け止めクリームがない。これ以上紫外線にお肌を晒して陽に焼けたくない。そんな訳で今日はほとんど陽が射さない三保市民の森の谷道へ行くことにした。距離にして500メートルほどしかない谷道を午前中に一往復、午後に一往復しただけの一日であった。と言う事は歩く早さはカタツムリ並みで、しかも見るもの撮るものがたくさんあったと言う証拠である。
 谷道に入るとまず見つけたのはアカネスミレとフデリンドウとヒトリシズカだ。ヒトリシズカを除けば日当たり大好きの植物で、多摩丘陵や舞岡公園等ではヒトリシズカも含めて咲き終わっている筈なのに、さすが日陰で気温が低いからなのだと納得する。キノコでも生えていないかと路傍に置かれた丸太を見ると、真っ赤なベニカミキリを見つけた。ベニカミキリはモウソウタケが幼虫の食料なのだがと付近を見回すと、切ったモウソウタケがたくさん積んであった。モウソウタケは動物の食害や病気等は一切ないように見えるが、ベニカミキリが一人気を吐いているのである。もっともベニカミキリのお気に入りは衰弱したものや枯れたものだから、やっぱりモウソウタケは天下無敵なのかもしれない。足を更に進めると伸び始めたヤマノイモの茎にキイロクビナガハムシが止っている。このキイロクビナガハムシの大好物はオニドコロ、ヤマノイモ、ウチワドコロなのだから、そこに止っていて当たり前という事になる。また、更に足を進めると今度はアカハネムシが葉の上に静止している。これで今日3種類目の赤い甲虫である。アカハネムシはその顔を見るとかなり獰猛に感じたので家へ帰って図鑑を開いてみたら、やはり肉食性の昆虫と書かれていた。
 谷道の植物としてはやたらにハナイカダが多い。図鑑には尾根などの痩せ地に多く見られるとあるが、なんとなく腑に落ちない。こんな日陰で湿潤の環境の方がお気に入りと思えるのだ。その真偽は別にして、やはり日陰で気温が低いから今が盛りと花をつけている。ご承知のようにハナイカダは葉の真ん中に緑色の小さな花をつけるという変わり者で、花が終われば当たり前だがそこに実が出来るのだからまことに面白い。図鑑によればその黒く熟した実は食べる事が出来、また、芽吹きの頃の若葉は天ぷらにすると美味しいと書いてある。まったくハナイカダは不思議一杯、魅力一杯のミズキ科の樹木である。この他、樹木の花としてはウワミズザクラが満開で、どうにかして撮影したいと思ったものの、手の届く所にはなかった。この他、早くもキリ、ミズキ、ミツバウツギ等が咲き出していて、もう春と言うより初夏といった具合であった。そんな訳で上記のような春の山野草が見られたものの、ホウチャクソウ、アマドコロと言ったユリ科の釣鐘状の花が美しく、谷道から離れる事が無かったから何とも言い難いが、雑木林にはここでもキンランが咲いている事だろう。午後からはせっかくここまで来たのだからと、横浜キノコの森にほんの少し寄ってみたが、ヤマグワの根元にキツネノワンやキツネノヤリタケが生え、早くもムジナタケが群生している位で寂しい限りであった。以上、今日は日陰者に徹した一日だったが、それでも見るもの撮るものが一杯だったのだから、いよいよ生き物達はその命をトツプギャにシフトした証と言えよう。それでもやって来る5月は、前述したように程々のフィールド行きにしようと固く決心した事は言うまでもない。

<今日観察出来たもの>花/アマドコロ(写真上左)、ホウチャクソウ、ホタルカズラ、フデリンドウ、アカネスミレ、タチツボスミレ、ツボスミレ、ビオラソロリア、イチリンソウ、ムラサキケマン、ジロボウエンゴサク、キランソウ、ミツバツチグリ、キリ、ミズキ、ナワシログミ、ミツバウツギ、ウワミズザクラ、ヒメコウゾ、ハナイカダ(写真上右)、コゴメウツギ等。蝶/カラスアゲハ、キアゲハ、アゲハ、コミスジ、キチョウ、ツマキチョウ、スジグロシロチョウ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、ミヤマセセリ等。昆虫/イカリモンガ(写真下右)、カワトンボ、シオヤトンボ、ホソアシナガバチ、センチコガネ、アオオサムシ、ベニカミキリ(写真下左)、アカハネムシ(写真中左)、キイロクビナガハムシ(写真中右)、ヒメクロオトシブミ、クサギカメムシ、ノコギリカメムシ、ホシハラビロヘリカメムシ、ムネアカオオアリ等。鳥/ツグミ、ウグイス等。キノコ/ムジナタケ、キツネノワン、キツネノヤリタケ等。


4月29日、神奈川県川崎市麻生区黒川

 いよいよゴールデンウィークに入った。毎日が連休のような生活をしていると、サラリーマン時代のようなやって来た喜びは左程ないものの、お客さんや仕事関係の電話がないだけでも自由一杯である。昨日、仕事を全て片付け、しかも連休費用に匹敵するお仕事も頂き、床屋さんへ行って髪を凄く短く刈ってもらった。そんな訳で財布は膨らんだものの、身や心はさっぱりして連休を迎えた訳であるが、前半は近場のフィールド巡りをしようと、今日は黒川へ行った。途中、車のラジオからは高速道路の大渋滞が告げられていた。昨日は歩くのもはばかれるような大風が吹いたが、その余波はまだかなり残っていて風がとても強い。いつもこの時期は風が強いのだが、鯉のぼりにとっては最高かもしれないが、植物の若葉には最悪ではなかろうかと心配する。今の時期に強風が吹かなければ、さぞかし痛みの少ない葉ばかりで、これから夏までの散策がより一層楽しくなると言うのにといった思いもあるからだ。そんな訳で今日は風にも微動だにしないキノコデーかなとも思ったので、雑木林に隣接する湿度の高い北斜面の美しい柿や栗の畑へ行ってみた。すると、今まで多摩丘陵ではあまりお目にかかった事のないキンポウゲ(ウマノアシガタ)が一面に咲いていた。それを見て「こんなにあったんだ」と嬉しくなったが、生憎の強風で花の揺れが止まるまで、本当に長い間待たされてしまった。キンポウゲはフクジュソウと同じ仲間だから花弁にテカリがあって、デジタルカメラで撮影するとそのテカリが白っぽくなってしまったのはまことに残念である。キノコでもと思ったのにキノコはまったく無く、キンポウゲに出会えたのはまことにラッキーであった。
 次に美しい雑木林に行くと、ジュウニヒトエが今が盛りと咲いていた。先日、小山田緑地の尾根道を歩いていた時、ジュウニヒトエがたくさんあったが、同一場所にジュウニヒトエのように花穂が垂直に伸びずに咲いている植物を見つけて、「これは一体なんだろう。キランソウとの交雑種かな?」とも思ったが、山口県小野田市の花なばさんのHPに同じものが紹介されていて、ニシキゴロモである事が分かった。ジュウニヒトエはその名は非常に美しいが、地面に張り付くように咲いていて葉に微毛があるから、雨で跳ね上った泥がこびりついている場合がとても多い。いくら美しい女性が美しい十二単を着ていても、着衣が泥だらけではちっとも美しくないように、ジュウニヒトエを美しく撮影するのは至難の事である。それでもジユウニヒトエはキノコと同じで花穂が軸太だから比較的簡単に撮影出来たが、今年初めてであるキンランを撮影するのには非常に梃子摺った。まあ、そんな訳でキンポウゲとキンランを撮影するだけで相当の時間を費やしてしまったが、まだ、昼食まで少し時間が残ったので、この時期の黒川で是非とも会っておかなければ片手落ちのリンゴとクマガイソウを見に行った。「リンゴの花ほころび川面に霞立ち、君無き里にも春は忍び寄りぬ」という歌詞の歌は有名だが、北国ではなくここ黒川では、春はぽっくりの音をけたたましく発ててやって来ていた。また、クマガイソウであるが、例年より花期が遅れているようで咲き始めたばかりであったが、その株の数は去年に比べてかなり減少していたのには驚いて心痛めた。
 午後からは花は充分にカメラの中に納めたので昆虫を撮ろうと頑張ったのだが、生憎の強風の後からか、あるいはまだ昆虫がたくさん現れていないのか、これといったものにはお目にかかれなかった。しかし、今が盛りのタンポポの花には、相変わらずヤブキリの幼虫は勿論だが、褐色のヤマトフキバッタの幼虫がたくさん見られた。はっきりと確かめた訳ではないが、ヤブキリの幼虫は花粉が大好きなようだけどヤマトフキバッタの幼虫はどうやら花弁を食するようである。また、キタテハが飛んで来てカナムグラの葉に産卵したので、マクロレンズで拡大して見ると、ルリタテハよりアカタテハの卵に似ていた。どうやら類縁関係が近いようである。これも超接写で写しとめようと思ったのだが、風が強くて諦めざるを得なかった。しかし、最後にウメの根元に生えているハルシメジを見つけ、こちらはキノコだからなんなく撮影しての早々の帰宅となった。

<今日観察出来たもの>花/クマガイソウ、キンラン(写真中左)、ジュウニエトエ(写真中右)、キランソウ、キンポウゲ(写真上右)、イチリンソウ、ニリンソウ、ムラサキケマン、マルバスミレ、タチツボスミレ、ツボスミレ、ビオラソロリア、ミツバツチグリ、ヘビイチゴ、レンゲソウ、ジシバリ、オニタビラコ、ハルジオン、カラスノエンドウ、カントウタンポポ、ムラサキサギゴケ、トキワハゼ、カキドオシ、ケキツネノボタン、タガラシ、ミツバアケビ、サルトリイバラ、コクサギ、ヒメコウゾ、ヤマツツジ、リンゴ(写真上左)等。蝶/クロアゲハ、カラスアゲハ、キアゲハ、ツマキチョウ、スジグロシロチョウ、キチョウ、コミスジ、キタテハ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、ミヤマセセリ。昆虫/ヒメクロオトシブミ、ヤマトフキバッタの幼虫(写真下右)、ヤブキリの幼虫、アカスジキンカメムシの幼虫、シマハナアブ等。キノコ/ハルシメジ(写真下左)、アミガサタケ等。


4月27日、神奈川県城山町穴川〜東京都町田市大地沢

 今日は待ちに待った宮が瀬にウスバシロチョウを訪ねる会である。しかし、目的地の水沢川の林道に到着したが、山はヤマザクラが咲いていて新緑がとても美しいが、確実に季節の進行が遅れているようで、ハルジオンが一輪だに咲いていない。そこで急きょ鳥屋に戻って散策するものの、ウスバシロチョウは飛んでいない。時計を見ると朝早く集合したからまだ午前10時である。そこでもっと串川沿いに下って城山町穴川まで行った。ここならかなり標高が低く、例年、連休の遠征初日に立ち寄ってウスバシロチョウを観察しているから、まず大丈夫と踏んだ訳である。しかし、風も非常に強いこともあってか、ウスバシロチョウは飛んでいなかった。この穴川はゲンジボタルの名所だが、沢沿いの小道にアジサイが植栽されていて、いつも連休の頃はダビドサナエやカワトンボが見られるのだが、両種とも観察できたものの羽化したばかりの個体であった。また、植栽されているアジサイの葉も例年に比べて伸展しておらず、山際の小道のイチリンソウやニリンソウの群落も今が盛期ととても瑞々しく美しかった。以上のような状況からして、時期が一週間ばかり早かったのではないかと感じられた。例年ならもうウスバシロチョウが飛んでいてもおかしくないのだが、今年の春の訪れはやっぱり1週間程遅かったのである。それでも今日参集された方々は愚痴一つ口に出さずに、様々な春の山野草を愛で、見られる蝶や昆虫達と戯れ遊んだ。
 午後からはヤマブキソウが咲いているだろう城山カタクリの里へ行こうかと思ったが、しっかりとした駐車場がありトイレもある町田市の最北端である大地沢へ行った。ここは江ノ島に流れ込んでいる境川の源流域で、多摩丘陵の一角とも高尾山の南の端とも言える低山地である。町田街道一つ隔てた法政大学周辺にはウスバシロチョウが生息しているのだから、ここにいない訳はないし、もしウスバシロチョウが見られなくと有名な野草の宝庫だからと思った訳である。帰宅して山と渓谷社刊「いるか丘陵の自然観察ガイド」を見ると、アズマイチゲ、ナガバノスミレサイシン、マルバスミレ、ヤマエンゴサク、イチリンソウ、ニリンソウ、チゴユリ、センボンヤリが見られると紹介されている。また、ツボスミレの完全白色花であるシラユキスミレもかなり見られるとあった。すなわちウスバシロチョウが見られなくとも、なんとか格好がつくと言う訳である。また、ここは各種のトンボの観察地としても著名だから、ダビドサナエやカワトンボ位は見られるだろうと思ったのである。
 結果としてはまたしてもウスバシロチョウに出会えなかったのだが、カミキリムシを採集しているグループのうちの一人が、2頭飛んでいるのを観察したと聞いて俄然色めき立ったものの、風が強い事と午後であったためか観察することは出来なかった。そんな訳で「ウスバシロチョウを見る会」が「ウスバシロチョウが見られない会」となったが、「春の最後を締めくくる山野草を見る会」とはなった。イチリンソウとニリンソウは群落を作って各所に咲いていて、それはそれは見事であった。また、多摩丘陵や舞岡公園ではお目にかかれないジロボウエンゴサクやヤマルリソウも咲いていた。以上、ここ大地沢は春のシーズンに3回はやって来ても充分に楽しめる自然観察のフィールドである事を実感した。すなわちナガバノスミレノサイシンやアズマイチゲの咲く早期、ニリンソウ、イチリンソウの咲く中期、そしてウスバシロチョウの飛ぶ後期と言う訳である。以上、今日は予想だにしない結果となったものの、動植物キノコなら何でも興味深々の方々に、「とっても楽しめますよ」と太鼓判を押してお勧め出来る一日となった事は言うまでもない。

<今日観察出来たもの>花/ヤマルリソウ(写真中左)、ネコノメソウ(写真上右)、イチリンソウ、ニリンソウ、センボンヤリ、ジロボウエンゴサク(写真中右)、ムラサキケマン、スミレ、マルバスミレ、タチツボスミレ、ビオラソロリア、フデリンドウ、チゴユリ(写真上左)、ホウチャクソウ、ハルジオン、ヘビイチゴ、レンゲソウ、カラスノエンドウ、ムラサキサギゴケ、カキドオシ、ケキツネノボタン、ミツバアケビ、ミツバツツジ等。蝶/キアゲハ、アゲハ、ツマキチョウ、モンキチョウ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、キチョウ、アカタテハ、ルリタテハ、キタテハ、テングチョウ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ツバメシジミ、トラフシジミ、コツバメ、ルリシジミ、ミヤマセセリ。昆虫/ダビドサナエ、カワトンボ、、シオヤトンボ、ヨツメトビゲラ(写真下右)、センチコガネ(写真下左)、ゴマフカミキリ等。キノコ/アミガサタケ等。


4月26日、横浜市戸塚区舞岡公園

 明日は同好者と一緒に宮が瀬にウスバシロチョウを見に行く事になっているので、今日はほんのちょっと舞岡公園の瓜久保の火の見櫓で、お弁当を食べる位の軽い気持ちで出かけた。しかし、前回に引き続いて舞岡公園は、面白昆虫ランドになっていて、しかもアミガサタケが爆生していたりして、正味5時間も散策する羽目となってしまった。最近、仲間の中に重症の鳥撮り病に罹ってしまった方がいるが、私は言わば道端自然観察病に罹りつつあるのかもしれない。中毒は喫煙だけでたくさんである。今後、もう少しフィールド参りは控えなければならないだろう。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/キリ、カラタチ、ヤマブキ、シロヤマブキ、アケビ、サルトリイバラ、アオキ、エビネ、オニタビラコ、ハルジオン、ヘビイチゴ、オオアマナ、ツボスミレ、ビオラソロリア、タチツボスミレ、ムラサキケマン、ケキツネノボタン、キランソウ、ホタルカズラ等。蝶/アゲハ、コミスジ、キチョウ、ツマキチョウ、ベニシジミ、ヤマトシジミ等。昆虫/オジロアシナガゾウムシ(写真上左)、マダラアシゾウムシ、ヒメクロオトシブミ、シモフリコメツキ、イタドリハムシ、オオアカマルノミハムシ、アトボシハムシ(写真上右)、ハンノキハムシ、ナナホシテントウ、ヤマトシリアゲ等。鳥/ヨシキリ、センダイムシクイ、ウグイス、カワセミ、カルガモ等。キノコ/アミガサタケ、ツチグリ、アラゲキクラゲ、アミスギタケ等。その他/アカメガシワの芽吹き、サワグルミの芽吹き、アンズの実等。


4月25日、東京都北区飛鳥山公園

 今日は午前中に神田で仕事の用があったので、これからの連休の事を考えると、午後はじゅっくり骨休めをしなければならないと考えていた。しかし、明るいうちに帰宅するのも考えものなので、JR王子駅から至近の飛鳥山公園へ行った。ここは典型的な都市型公園だから左程のものは期待できないと思ったが、蝶ではアゲハ、クロアゲハ、ヤマトシジミが飛んでいた。また、山手線の線路際の斜面やちょっとした空き地で、様々な昆虫にも出会えた。まさに何でも屋だから、被写体にことかくことは無かった。詳細は「東京23区内道端自然観察館」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ツツジ(写真上左)、オトメツバキ、ヤエザクラ、ドウダンツツジ、ウツギ、アオキ、ヤマブキ、シャガ(写真上右)、ムラサキケマン、キュウリグサ、ビオラソロリア、セイヨウタンポポ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、カラスノエンドウ、ハルジオン、ナズナ等。蝶/アゲハ、クロアゲハ、ヤマトシジミ。昆虫/ヒメアカボシテントウ、ルリマルノミハムシ、アシブトハナアブ、ナミホシヒラタアブ、ホソヒラタアブ、ツマグロオオヨコバイ、ムネアカアワフキ、メスアカケバエ、マガリケムシヒキ等。鳥/シジュウカラ、ムクドリ、スズメ等。キノコ/カワラタケ。その他/モミジの芽吹き、アカメガシワの芽吹き等。


4月24日、東京都町田市小野路町

 ゆっくり寝てから出かけようと思っていたが、「そんなに寝ていたら、面白さ一杯の道端自然観察の時間が少なくなりますよ」と、お脳の細胞に近頃のその楽しさがインプットされてしまったようで、いつもより早く目覚めてしまった。これは決して歳をとったからではもちろんない。今日は風も無くとても穏やかな晴天で、またまた多くの知り合いに出会った。ニリンソウ、イチリンソウは今日が見頃で、まるで純白の絨毯を敷き詰めたように美しい。蝶では久しぶりにトラフシジミに出会い、昆虫では昨日と異なってキアシナガバチの巣作りに遭遇した。また、野菜の花ではピカイチのサヤエンドウが咲いていて、こちらはジュリー・アンドリュースのような可愛らしさであった。また、あまり出会いたくないシマヘビにも出会ったから、蛇君たちにも春がやって来たようだ。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/イチリンソウ、ニリンソウ、センボンヤリ、ムラサキケマン、スミレ、ヒカゲスミレ、マルバスミレ、タチツボスミレ、オトメスミレ、ビオラソロリア、キジムシロ、ミツバツチグリ、ヘビイチゴ、レンゲソウ、カラスノエンドウ、カントウタンポポ、ムラサキサギゴケ、トキワハゼ、カキドオシ、ケキツネノボタン、タガラシ、ヤマコウバシ、アオキ、アケビ、ミツバアケビ、サルトリイバラ、ミツバツツジ、サヤエンドウ(写真上左)、ブルーベリー等。蝶/アゲハ、ツマキチョウ、モンキチョウ、モンシロチョウ、キチョウ、アカタテハ、テングチョウ、ベニシジミ、ツバメシジミ、トラフシジミ、ルリシジミ、ミヤマセセリ。昆虫/キアシナガバチ(写真上左)、トゲアリ、ハンノキハムシ、クロボシツツハムシ、シオヤトンボ、ハンミョウ等。その他/タケノコ、オオチャワンタケ、シマヘビ等。


4月23日、東京都多摩市一本杉公園〜町田市小山田緑地

 いよいよゴールデンウィークが迫って来た。暦を見ると会社によっては29日より10連休となる所もあるに違いない。私のような自然観察及び写真撮影が趣味の者には、この時期何処へ行っても超面白博物館となるのだが、こんなに休みが続くといったいどのように過ごそうかと考えてしまう。何処へ行っても宿は満杯だろうし、やはり必ず泊まれる新潟県の六日町ユースホステルに行こうと考えているが、そんなに長く泊まっていたら洗濯物はたまりにたまってキノコが生えて来そうだし、身体もとても疲れてしまうだろう。それに今年から何故だか始めてしまった「小野路図師紀行」「舞岡公園散策手帖」「東京23区内道端自然観察」「ささぶねに揺られて」も定期的に更新して行きたいと思っているから、正味4日間位遠征しようと考えている。その前に多摩丘陵や舞岡公園で撮影しておかなければならないものがある。その筆頭がアミガサタケという訳で、今まで何処へ行ってもあぶれていたので、去年、森のきのこさんに教えてもらった一本杉公園へ行った。駐車場に車を停めると、去年見つけた場所に一目散で足を早めた。しかし、何処を探し回っても見つからない。これは困ったなあと思ったのだが、目が慣れて来たのか、やっと可愛らしいアミガサタケを発見した。すでに誰かが撮影したとみえて、周りは綺麗に片付けられていたので、撮影前の手間が省けた。
 これでこのところ喉に刺さっていた棘がとれたので、古民家の脇に植栽されているカリンの花を撮ることにした。このなんとも言えない薄紅色のカリンの花はとても好きだ。清楚で艶っぽく魅力溢れる色合いは他の花にはない。きっと、オードリー・ヘップバーンの若かりし頃の頬の色もこんなカリン色であったに違いない。カリンの花をずっと前に知っていたら、我が娘にきっと「花梨」と名付けた事だろう。今日は抜けるような紫外線一杯の晴天だから、このカリンを美しく撮影するには最悪である。そこで晴天なのに折り畳み傘を開いて、陰を作って慎重に撮影した。無事にカリンも撮影できたし一本杉公園へ来て良かったなと感じながら散策路を巡り歩いていると、アミガサタがたくさん生えている場所を発見した。やはり目的を達成すると余裕が生まれると言う訳である。今度はアミガサタケらしく楕円形のものがたくさんある。先端が尖がっていると、たとえベージュ色でもトガリアミガサタケみたいだから、アミガサタケは楕円形が相応しいのである。もちろん一本では寂しいので、2本寄り添うように生えているものを撮影した事は言うまでもない。
 午後からは遠征前に撮っておかなければならないものの一つであるカワトンボを探しに、小山田緑地アサザ池に行った。カワトンボは新治市民の森と黒川以外、近場では生息していないと思っていたが、美しが丘のKさんが見つけて教えてくれたのである。アサザ池に行く途中、これまた近場でも撮りたいなと思っていたスミレが、民家の塀の下にたくさん咲いていた。どうやらスミレの花期はツボスミレと一緒で一番遅いようである。アサザ池に到着すると、カワトンボがかなりたくさん飛んでいた。なんとか羽が褐色な雄を美しく撮りたいなと探し回ったのだが、背景が煩雑の場所にしか止らない。そこでコンクリート製の手すりの上に止る羽の色が透明の雄を撮影した。こんなコンクリート製の手すり等は日頃注意して歩かない訳だが、今日はカワトンボがたくさん止っていたので、一番背景の良い場所をと探していたら、なんとコアシナガバチの女王が一人で巣を造っているのを発見した。この時期のコアシナガバチは近づいても刺したりしないからマクロレンズでかなり接近し、それにしてもコアシナガバチの顔は味わい深い顔をしているなと微笑みながらシャッターを切った。これで今日の目的は完璧に終了となったが、まだ時間は早いもののこれからの連休の日々を考えて尾根伝いに駐車場まで戻る事にした。途中、雑木林の小道にはジュウニヒトエ、チゴユリが咲き、伐採された草地ではカラムシに産卵にやって来たアカタテハを観察した。この間、ルリタテハの卵を撮影しているので、同じタテハチョウの仲間だが種が異なれば卵の格好は違う筈だと超接写で写しとめたが、ルリタテハにやはり似ているもののやや丸っぽい緑色のものであった。以上、今日もとっても満足、充実、面白一杯の一日となった。これだから止められない止らない道端自然観察と言う訳である。

<今日観察出来たもの>花/カリン(写真上左)、ツツジ、ハナズオウ、ヤエザクラ、、ホタルカズラ、フデリンドウ、クサノオー、スミレ(写真下左)、アカネスミレ、タチツボスミレ、ビオラソロリア、ムラサキケマン、キランソウ、ジュウニヒトエ、チゴユリ、ミツバツチグリ等。蝶/キアゲハ、アゲハ、アカタテハ、キチョウ、ツマキチョウ、コツパメ、ルリシジミ、ミヤマセセリ等。昆虫/カワトンボ(写真中右)、コアシナガバチ(写真中左)等。鳥/ヒヨドリ、シロハラ、ツグミ、ガビチョウ等。キノコ/アミガサタケ(写真上右)等。その他/アカタテハの卵(写真下右)等。


4月21日、神奈川県秦野市弘法山

 昨日は一日中雨が降った。お陰様でたまっていた仕事をすべて片付ける事が出来た。こんな事を天気の神様にお願いしても無理だろうが、平日は雨(仕事)と晴れ(観察)とが1日おきに交互に来てくれて、しかも、土曜日曜が晴れとなってくれたら本当に有り難い。今日は晴れだから自然観察の日となったが、いったい何処へ行こうかと思案を巡らした。昨日のこのHPの掲示板に、舞岡公園の方々や相模原のぶんちゃんから野鳥の写真が貼り付けられたので、なんとかして野鳥を撮りたいと思った。余談だがこのHPへのアクセス数は雨の日が圧倒的に多くて、しかも休日だとダントツに数が伸びる。みんな家にいてやる事がないから、花虫君のHPでも開いてみようかと言った按配なのだろう。今までの一日の最高アクセス数(168)はなんと去年の7月7日で、この日は平日だったのだから今もってとっても不思議である。話はだいぶ横道に逸れてしまったが、そんな訳で野鳥が必ず撮れる場所、しかもアミガサタケはサクラだからと午前中はサクラの名所でもある弘法山を散策し、午後からはその隣の権現山の野鳥観察施設へ行こうという事になった。しかし、その両方とも今回はあぶれとなってしまって残念だったが、そこはなんでも屋の花虫とおるだから、午前中の短時間の間に数多くのシャッターを切った。
 いつものよう綿羊の丘の駐車場に車を停めて辺りを見回すと、間近に見える大山の山頂までもが新緑に包まれてとっても美しい。「本当に久しぶりの弘法山だな、やっぱりここはとても良いフィールドだ」等と一人ごちる。最近、歳をとったためか、あるいは身体が不調であったためか、近場でも充分楽しめるからか、はたまたギフチョウを追い掛け回していたためか、本当に弘法山は久しぶりだなと言う実感が込み上げて来た。まずはいつものように駐車場から少し下って右手に折れて散策を開始する。ギンナンを取るためにイチョウがたくさん植栽されているが、イチョウもようやく芽吹きが始まっていて、小さな葉がとても可愛らしい。動物やキノコの赤ちゃんはみんな可愛いが、葉っぱの赤ちゃんもとても可愛く、イチョウはことに可愛い。今日はたくさん植栽されているヤエザクラの畑で農家の方々が総出で花を収穫している。どうしてこんなにヤエザクラが植えてあるのだろう、お花見のためかなと思っていたが、その謎は今日解けて、花を塩漬けにして出荷するのだそうである。そう言えば山口県小野田市の花なばさんの去年のHPに、そんな事が書かれていたのを思い出す。塩漬けした桜の花と言ったら、お目出度い時に桜湯として飲んだことがあるが、最近では炊き込みご飯等にも使われ、一年中スーパーで売られているらしい。しかし、ギンナンと言いサクラの花と言い、弘法山の農家の方々はちょっと変わった物を栽培していて驚いた。この他、路傍には多摩丘陵や舞岡公園では少ないケシ科の真っ黄色のクサノオーの花が、眩しい程に咲いていた。
 神社の脇から雑木林の小道を登って行くと青紫のホタルカズラやフデリンドウは今が盛りだ。タチツボスミレ、ニオイタチツボスミレもたくさんあるが、そろそろ終期を迎えているようで寂しいが、初夏の花であるイチヤクソウが葉を一杯に広げ出していた。なにかキノコは生えていないかと探してみると、昨日が雨だったために、スエヒロタケ、キクラゲ、タマキクラゲが美味しそうに膨らんでいた。尾根に上がって広い散策路に出て、たくさん植栽されているソメイヨシノの根元を探したのだけれどアミガサタケは見つからなかった。今年はなんだか私の行く所はすべてアミガサタケが不作のようである。しかし、ニワハンミョウがたくさんいて、慎重に近づいて撮影した。午後からはいつものように権現山の野鳥観察施設に出向いたが、風が非常に強くなり前述したように期待はずれであったが、野鳥撮影は久しぶりだからなんとか常連さんでも良いからと粘ったものの、やって来る常連さんの種数も数もとても少なく、とうとうお見せ出来る程の写真は撮影出来なかった。しかし、弘法山の素晴らしさを再認識する事が出来たから、今度はキビタキが来る頃やゼフィルスが飛ぶ頃に度々やって来ようと、早や上がりのやや不燃焼の帰宅となった。

<今日観察出来たもの>花/ヤエザクラ、ミツバアケビ、サルトリイバラ、ホタルカズラ(写真中左)、フデリンドウ(写真下右)、クサノオー(写真中右)、ニオイタチツボスミレ、タチツボスミレ、ムラサキケマン、キランソウ等。蝶/キアゲハ、アゲハ、クロアゲハ、ルリタテハ、ヒオドシチョウ、キタテハ、キチョウ、ツマキチョウ、ルリシジミ、ミヤマセセリ等。昆虫/イタドリハムシ、ニワハンミョウ(写真下左)、ナナホシテントウ等。鳥/ヒヨドリ、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、ビンズイ等。キノコ/キクラゲ、タマキクラゲ、スエヒロタケ(写真上右)等。その他/イチョウの芽吹き(写真上左)等。


4月19日、横浜市戸塚区舞岡公園

 いゃー今日の舞岡公園はとっても面白かった。花や芽吹きも素晴らしいのだが、そんなもの一切目に入らない位に様々な昆虫がお出ましになって、面白昆虫ランドが突如出現したようであった。イタドリハムシはスイバに鎮座してポーズをとり、この時期の舞岡公園の名物たるヒメシロコブゾウムシもたくさんいた。もちろん、可憐なツマキチョウもだいぶ増えて飛んでいるし、新鮮なベニシジミは路傍のいたる所にみられた。それにもまして横浜市では珍稀種たるホソミオツネントンボが発見されて、みんなでわいわい探し回った。本当に還暦を迎えたら定期券を購入して、毎日でも行きたいなと思わせる程の賑やかさであった。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/オオシマザクラ、シダレザクラ、ヤエザクラ、カラタチ、ナシ、ヤマブキ、シロヤマブキ、モクレン、ボケ、アケビ、ミツバアケビ、サルトリイバラ、アオキ、フデリンドウ、ヒトリシズカ、オオアマナ、マルバスミレ、ツボスミレ(写真上左)、ビオラソロリア、タチツボスミレ、ムラサキケマン、ケキツネノボタン、キランソウ等。蝶/キアゲハ、アゲハ、クロアゲハ、ルリタテハ、キタテハ、モンシロチョウ、キチョウ、ツマキチョウ、ベニシジミ、ルリシジミ等。昆虫/ホソミオツネントンボ、シオヤトンボ、ヒメシロコブゾウムシ、ヒメクロオトシブミ、シモフリコメツキ、イタドリハムシ(写真上右)、オオアカマルノミハムシ、コガタルリハムシ、ハンノキハムシ、アカガネサルハムシ、ヤツボシツツハムシ、ナナホシテントウ等。鳥/ノビタキ、ウグイス、ツグミ、ムクドリ等。その他/ウメの実等。


4月17日、東京都町田市図師町・小野路町

 今日は風も無くとても穏やかな晴天で、多くの知り合いに出会ったばかりでなく、散策に訪れた方々も多かった。ニリンソウは咲きそろいイチリンソウも咲き初め、ヒカゲスミレやマルバスミレも純白の花をつけて、スミレの季節も第2のピークを迎えていた。田んぼにはムラサキサギゴケやレンゲソウが色鮮やかで、芝地にはコケリンドウ、フデリンドウも見られた。越冬していた蝶は勿論のこと、羽化したばかりのツマキチョウ、コツバメ、ミヤマセセリも見られ、ハンミョウや各種カエルもたくさんいて、あまり出会いたくないアオダイショウがヤマザクラの古木の横枝で日向ぼっこをしていた。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/イチリンソウ、ニリンソウ、フデリンドウ、コケリンドウ、ムラサキケマン、ヒカゲスミレ、マルバスミレ、コスミレ、アカネスミレ、タチツボスミレ、ニオイタチツボスミレ、オトメスミレ、ビオラソロリア、キジムシロ、ミツバツチグリ、ヘビイチゴ、レンゲソウ、カントウタンポポ、ムラサキサギゴケ(写真上左)、トキワハゼ、ケキツネノボタン、タガラシ、オオアラセイトウ、ヤマザクラ、アオキ、ミツバアケビ、クサボケ、キブシ、サルトリイバラ、ミツバツツジ、ハナズオウ、モクレン、ハナモモ、チョウセンレンギョウ、ツバキ等。蝶/キアゲハ、ツマキチョウ、モンキチョウ、モンシロチョウ、キチョウ、ヒオドシチョウ、ルリタテハ、テングチョウ、ベニシジミ、ツバメシジミ、コツバメ、ミヤマセセリ。昆虫/シオヤトンボ、ハンミョウ等。その他/アマガエル(写真上右)、ヤマアカガエル(?)、アオダイショウ等。


4月16日、横浜市都筑区茅ヶ崎公園〜大原みねみち公園

 今日の午前中は茅ヶ崎公園自然生態園に於いてのボランティアの日である。外来植物の除去という事でセイタカアワダチソウを抜き取った。その作業が終わると春のテンプラ大会という事で、ハリギリ、ウコギ、ミツバウツギ、サンショウ、タンポポの花、カラスノエンドウ、イヌガラシ、セリ、ミツバ、ヨモギ、ドクダミ、スミレの花等を食べた。一番美味しかったのはタンポポの花、次いでイヌガラシであった。もちろん定番のセリは言うまでもなく美味しかった。そんな訳で今日の散策は午後からの正味3時間となった。詳細は「ささぶねに揺られて」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ミツバツツジ(写真上左)、ヤマブキ(写真上右)、シロヤマブキ、ツバキ、ヤエザクラ、ハナモモ、クサボケ、クサイチゴ、カジイチゴ、アセビ、カントウタンポポ、タネツケバナ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、ニリンソウ、ツボスミレ、アカネスミレ、マルバスミレ、タチツボスミレ、シャガ、タガラシ、ケキツネノボタン、カラスノエンドウ、ハナニラ等。蝶/モンシロチョウ。昆虫/ヒメクロオトシブミ、ヤブキリの幼虫。鳥/カワセミ、カルガモ等。その他/アカメガシワの芽吹き、エゴノキの芽吹き、ガマズミの芽吹き、クヌギの芽吹き、コナラの芽吹き、モミジの芽吹き等。


4月15日、神奈川県津久井郡藤野町石砂山

 今日は4月9日に次いでの二回目となる石砂山にギフチョウを見に行った。ゴールデンウィークに新潟へ行くつもりだから、またギフチョウに会えるかもしれないが、一応、本年の見納めとなるかもしれない。サクラの花の命の短さは有名だが、ギフチョウもサクラの花が開花して散るまでのほんの僅かな期間の命である。その姿は来年の春まで見られないのだから、お別れに行った様なものなのかもしれない。蝶の愛好家にギフチョウが断然人気なのは、その美しさもさることながら、この春だけの短く儚い命にも起因しているのに違いない。そんな事もあってか、ギフチョウは「春の女神」とも愛称されるが、まさにぴったりと言う感をいつも感じさせられる。こんな素晴らしいギフチョウが関東地方で唯一生息する石砂山で、しかもたくさん見られるのだから、地元の方々の保護活動に深々と感謝しなければならない。今回は、前回、ギフチョウをカメラの中に無事納めているし、今日はどうしてもギフチョウに会いたいと願っている舞岡の同好者を案内してだから、心はいたって気楽だが、ただただ山慣れない方々が、心臓破りの階段で、「もうこれ以上は疲れたし怖くって登れない」等と言い出さない事をひたすら願っていた。しかし、無事に皆、山頂に立て、しかも前回と同じようにギフチョウが乱舞していて、とりあえずそれぞれがカメラの中にその姿を納める事が出来てなによりであった。
 登山口である藤野町篠原の山里に車を停めて歩き出すと、皆一様に「空気が違うわ、太陽の光が強いわ」と口に出したが、たしかに東京都心は言うまでも無く、舞岡公園や多摩丘陵に比べても澄んだ大気に覆われている。時折囀るウグイスの声も、清らかにこだまするように響き渡って来るように聞こえる。東京ではソメイヨシノはすでに散ったが、ここでは満開で青空にくっきり浮かんで、それはそれは美しい。東北の岩木山山麓の桜が濃紺の青空に写し出された写真は有名だが、それが納得出来るようなハイコントラストの情景である。空き地に一面に咲いているセイヨウタンポポだって目に染みるような黄色で、空気ばかりで無く降る雨も夜露も当然の事として澄んでいる事が分かる。こんな平和な山里に住んでいたら病気などには罹らずに、きっと長生き出来る事であろう。前回来た時には気づかなかったが、今回は目聡い鎌倉のNちゃんがいるので、車を停めた道路の脇にスミレを発見し、登山口入口から少し上った所でナガバノスミレサイシンも見つける事が出来た。
 山頂までは2回目だから心臓破りの階段も、こんなに短かったかなと楽々ほいほいだったが、初めての方は、「もう動けない、下で待っているわ」との悲鳴こそ上げなかったものの、かなり苦しそうである。「山頂までは一本道だから、皆それぞれのペースでゆっくり登って来てね、それが一番安全で疲れないからね」と、顔は柔和だが心はとても冷たい花虫とおるはそう言い捨てると、すたこらさっさと山頂を目指した。山頂に到着して水を飲み煙草をゆっくり吸っても、なかなかお仲間はやって来ない。携帯電話をかけることはなかったが、かなり遅れてお仲間は到着した。「ほらギフチョウがそこに止っているよ、早く撮らなきゃ」と指指して撮影を勧めても、「足ががくがくしてカメラを持てない」と言うていたらくだったが、一頭、また一頭とギフチョウが増え出すと、登りの疲れは一挙に吹き飛んだらしく、皆真剣にカメラでギフチョウを追い出した。以上、まだこの続きは延々と書き記したいが、実際の石砂山でのギフチョウとの戯れは筆舌に尽し難い。そこで最後に鎌倉のNちゃんの名言、「ギフチョウを見ながらお弁当を食べられるなんて夢みたい」と言う感激の声を紹介して、今日のつれづれ観察記はこれで終了としよう。

<今日観察出来たもの>花/スミレ、エイザンスミレ、マルバスミレ(写真下左)、アカネスミレ、タチツボスミレ、ノジスミレ、オトメスミレ、ナガバノスミレサイシン、ヒトリシズカ、アマナ、マムシグサ、シュンラン、カントウカンアオイ、ダンコウバイの雌花(写真上左)、アブラチャン、クロモジ、ミツバツツジ、ウグイスカグラ、チョウセンレンギョウ、スモモ、ツバキ等。蝶/ギフチョウ(写真中)、アゲハ、ヒオドシチョウ、ルリタテハ、テングチョウ、ミヤマセセリ、コツバメ、ルリシジミ、スギタニルリシジミ。鳥/ガビチョウ、ウグイス等。その他/ヤブレガサ(写真下右)、コナラの芽吹き(写真上右)等。


4月13日、東京都港区有栖川宮記念公園

 今日は夕方に仕事で銀座に行かなければならないので、広尾で途中下車して有栖川宮記念公園へ行った。しかし、天気予報通りに午前中は小雨で、都立中央図書館で食事をした後、やっと雨が止んだ。しかし、午後3時になるとまた雨が降り出した。と言う訳で正味3時間に満たない散策となった。おまけにこんな天気だから昆虫というとハエだけで、花や植物だけの撮影となって寂しい限りである。しかし、タチツボスミレ、ビオラソロリア、ツボスミレが見られて、都会の中の公園と言えども貴重な経験をさせてもらった。詳細は「東京23区内道端自然観察館」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ツツジ(写真上左)、カイドウ(写真上右)、オトメツバキ、ヤブツバキ、ヤエザクラ、ドウダンツツジ、アオキ、ヤマブキ、ヤマブキ(八重)、クサイチゴ、シャガ、ムラサキケマン、タチツボスミレ、ビオラソロリア、ツボスミレ等。鳥/シロハラ、シジュウカラ、アヒル、アオクビアヒル等。キノコ/カワラタケ、アラゲキクラゲ、コフキサルノコシカケ等。その他/ケヤキの芽吹き、トチノキの芽吹き、クサギの芽吹き、ヤツデの実、ヒイラギナンテンの実等。


4月12日、横浜市戸塚区舞岡公園

 仕事が忙しくなった事や天候不順のために、舞岡公園へしばらく行けなかったが、この時期、舞岡公園は一年の内で最も美しい装いの一つを見せてくれる。なにしろヤマザクラ、オオシマザクラ、ソメイヨシノ他の各種のサクラの大木が咲き競うからである。瓜久保の火の見櫓から見る雑木林は、微妙に色の異なったサクラが層を成すように咲いていて、その趣は一幅の日本画を見ているようだ。サクラは近くで見るよりも遠くに咲いているものを愛でる方が好きなのである。この他、カラタチ、ナシ、ヤマブキ、モクレン等、様々な花木が咲いているから、尚素晴らしいと言う訳である。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ヤマザクラ、オオシマザクラ、ソメイヨシノ、シダレザクラ、ヤエザクラ、カラタチ、ナシ(写真上左)、ヤマブキ、シロヤマブキ、モクレン、ボケ、ミツマタ、キブシ、ツバキ、ヒイラギナンテン、サルトリイバラ、アオキ、ニワトコ、ウグイスカグラ、クサボケ、フデリンドウ、ニオイタチツボスミレ、ビオラソロリア、タチツボスミレ、ヒメウズ、ムラサキケマン、ケキツネノボタン、キランソウ等。鳥/ウグイス、アオジ、モズ、ツグミ、ムクドリ、カルガモ等。キノコ/キクラゲ、アラゲキクラゲ、ツチグリ、トガリアミガサタケ等。その他/キリの芽吹き(写真上右)等。


4月10日、東京都町田市小野路町

 昨日の石砂山の遠征で、だいぶ身体が疲れていたものの、来週は月曜日〜水曜日まで雨という予報なので、一週間に一度は行くつもりでいる小野路町へ行った。途中、野津田公園のソメイヨシノがあまりにも綺麗なので、寄り道して撮影した。なんとか青空に抜いたものを撮影しようと思ったのだが、風がかなり強くて小枝の揺れが止まらず、幹に咲いているものを撮影した。小野路町ではニリンソウが咲き出していて、あまりにも早い開花にびっくりした。今年は春も初夏もいっぺんにやって来たような天候だなと苦笑する。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ニリンソウ(写真上右)、ムラサキケマン、アオイスミレ、コスミレ、ノジスミレ、アカネスミレ、タチツボスミレ、キジムシロ、カントウタンポポ、ムラサキサギゴケ、ケキツネノボタン、タガラシ、オオアラセイトウ、コマツナのハナ、ツクシ、クロモジ、アブラチャン、アオキ、ミツバアケビ、コブシ、モクレン、クサボケ、キブシ、ハナモモ、ボケ、チョウセンレンギョウ、レンギョウ、ソメイヨシノ(写真上左)、スモモ、ツバキ等。蝶/アゲハ、キアゲハ、ツマキチョウ、モンキチョウ、モンシロチョウ、キチョウ、ルリタテハ、アカタテハ、キタテハ、テングチョウ、ベニシジミ、ミヤマセセリ。昆虫/コガタルリハムシ、オオニジュウヤホシテントウ、ナナホシテントウ、シオヤトンボ等。鳥/ガビチョウ、ウグイス等。キノコ/キツネノワン、トガリアミガサタケ等。その他/カツラの芽吹き、ミズキの芽吹き、コナラの芽吹き等。


4月9日、神奈川県津久井郡藤野町石砂山

 東京、横浜の咲き渋っていたソメイヨシノも昨日で満開となった。来週の月曜日から水曜日までの3日間は雨が予想されているので、本当に「ぱっと咲いてぱっと散るサクラ」という言葉通りとなるであろう。今日は何処へ行こうかと考えていたのだが、サクラが満開で晴れなら舞岡公園や多摩丘陵等の近場に行ったら気分が落ち着かないだろうと、ギフチョウは飛んでいないかもしれないが、なんと朝の5時に起床して、津久井郡藤野町の石砂山へ行って見ることにした。途中、このHPの掲示板に度々ご投稿下さる寒川山ちゃんを小田急線愛甲石田駅で拾ったが、石砂山の登山口には午前9時前には着いてしまった。今日はきっと早起きは三文の得があるぞよと、心ははやギフチョウへと、満開のダンコウバイやアブラチャンに見送られて足取り軽く登山道に足を踏み入れた。しかし、登れども登れどもギフチョウは現れない。テングチョウが一頭お出ましになっただけで、心臓破りの階段に着いてしまった。去年はここで大汗をかいて、帰宅して風邪にかかった事が苦々しく思い出される。しかし、去年と異なって幾分気温は低く、それでも大汗をかかないようにゆっくりゆっくり登って行った。頂上に到着すると熟年の感じの良いご婦人がたった一人で木のベンチに座っている。「ギフチョウは現れましたか」と聞くと、「3日前に来た時はこの時間にたくさん飛んでいたんですが、今日はまだ一頭も現れません」と言う。なんでもご主人がとても蝶が好きで、去年も3日前も良い写真が撮れなかったから今日もまた藤沢からやって来たのだと言う。「今日は3日前に比べると気温が低いからお出ましが遅れているんですよ」と、兎に角発生している事は確かなのだから、後は気温の上昇を待つのみと心臓破りの階段で乱れた呼吸をベンチにへたり込んで整えた言う訳である。
 すると呼吸が整い疲れがとれた頃あいにギフチョウがお出ましになった。ゆっくり登って来た寒川山ちゃんも到着し、あちこち偵察に行っていたご婦人の御亭主も山頂に戻って来た。するとギフチョウは一頭、また一頭と数が増えて、山頂は常に4、5頭の個体が乱舞する状況となった。まずは地面止って日光浴をしているものをばっちりと撮影しようと3人は頑張ったが、気の良い個体がいて容易くクリアーする事が出来た。次はクマザサの葉に止るものを狙ったが、これまたクリアー出来て、みんなの顔に余裕が生まれた。すると去年も山頂で出会った世田谷の若者がやって来た。もうすでにギフチョウをカメラの中に納めた余裕から、若者の撮影優先でみな席を譲った。すると去年は良い写真が撮れなかったという若者も、地面とクマザサは軽くクリアーする事が出来た。「こうなればお次はスミレに吸蜜に来るギフチョウかな。ここのスミレに来たらとても絵になるね」と、私はスミレの周りを自然さを失わない程度に清掃した。すると早速、熟年のご亭主が三脚を立てて望遠レンズで訪花するのを待った。すると20分も待たない内に、指でばっちりマークをつくってとても満足したような笑顔となった。そこで私も若者も寒川山ちゃんも同じ場所で、スミレにやって来るギフチョウを狙った。するとやがてやって来て、ほんの瞬時だが吸蜜する。こんな時は野鳥撮影で鍛えた瞬時にピントを合わせシャッターを切るという訓練がものをいって、これまた10分位で思うような写真を撮影するに至った。時計を見るとまだ11時をほんの僅かに過ぎているばかりだが、とても早く朝飯を食べたためにかなり空腹感を催す。そこで菓子パンをかじっていると、今度はヒオドシチョウが山頂を記した木の杭の上に止った。みんなそれぞれ思う存分撮影した後、シグマ24ミリを装着して広角接写を試ませて貰った。レンズの先端から20センチ程近づいて、上の写真のように木立を入れて撮影した。登山にやって来た男女数人の方々に、液晶デイスプレイで見せてあげると、「とっても良い雰囲気が出ていますね」と言われて嬉しくなった。石砂山山頂のギフチョウは相変わらず数頭乱舞しているが、しだいに落ち着きがなくなり、人間の数も増えてきて、しかもいつものパターンだと午後1時を回るとその数が急激に減ってしまうので、なんと正午にならないうちにゆっくりと下山した。ギフチョウを思う存分撮ったから山麓で、ヒトリシズカ、アマナ、エイザンスミレ、ダンコウバイ、アブラチャン等を撮って、これまた早々の帰宅となった事は言うまでもない。

<今日観察出来たもの>花/エイザンスミレ(写真下左)、マルバスミレ、アカネスミレ、タチツボスミレ、ヒトリシズカ(写真中右)、アマナ(写真下右)、マムシグサ、シュンラン、ダンコウバイ(写真上左)、アブラチャン、クロモジ、ミツバツツジ、ウグイスカグラ、チョウセンレンギョウ、スモモ、ツバキ等。蝶/ギフチョウ(写真中左)、キアゲハ、ヒオドシチョウ(写真上右)、ルリタテハ、キタテハ、テングチョウ、ミヤマセセリ、ルリシジミ、スギタニルリシジミ。鳥/ガビチョウ、ツグミ、ジョウビタキ、メジロ、ウグイス等。


4月7日、東京都町田市小山田緑地〜小野路町

 毎年、そのシーズンになると出合っておきたいものはたくさんあるが、今日、小山田緑地へ観察に行ったコツバメもその中の一つである。名前のごとく身体はかなり小さいのだが、ツバメとつくようにその飛翔能力は抜群で、飛び立ったら目で追うのが大変である。生憎、今日の天気予報は午前中は曇とあり、かなり気温が高いもののコツバメのお出ましはあるかなと心配された。駐車場に車を停めて歩き出すと、はやくもテングチョウがお出ましになった。やはり曇り日とは言え気温が高いので期待出来そうだと胸を撫で下ろす。日陰になったやや湿り気のある雑木林の縁にはナガバノスミレサイシンが気品ある花を咲かせている。また、奥の池の畔ではアオイスミレも発見する。小山田緑地は小野路町のお隣だから、同じようなスミレが自生しているものと思っていたが、案の定、同じような環境に同じようなスミレが生えていた。いつもミヤマセセリがたくさん飛んでいるクヌギ林に行くが、ミヤマセセリのお出ましはない。辺りを見回してみると特別赤味の強いスミレが咲いている。近寄って見るとアカネスミレである。アカネとは漢字に直すと茜で、茜空の茜だから赤っぽいのは当然と言う事になる。そんなアカネスミレを愛でていたら、その可愛らしい花に小さな羽化したばかりのヤブキリ?の幼虫を発見した。花粉を食べに来ているのだ。疑問符を打ったのはヤブキリに良く似ているウマオイもこんな形の幼虫ではなかろうかと考えている訳で、しかし、花の上の幼虫の生長を追っているとヤブキリになるものがほとんどだから、ヤブキリの幼虫と断言しても良いのかもしれない。
 ヤブキリの幼虫は、もっぱらタンポポの花の上で観察することが多いが、ラッパスイセン等の園芸植物の花の上で観察することも多い。しかし、野生のスミレの花に訪れているのは初めてだから慎重に撮影した。ヤブキリの幼虫はじっとしていて撮影そのものは簡単なのだが、長い糸のような触覚を様々な方向に向けるので、写真のように二本揃った時とかYの字状に開いた時が撮影のチャンスで、すごく格好良く撮れるのである。ヤブキリの幼虫の撮影に熱中していると、今日の参加者の「ほしみすぢさん」と「鎌倉のNちゃん」がやって来た。まだ空は曇っていたので多摩丘陵のスミレのお勉強とばかりに入口まで戻って、ナガバノスミレサイシン、アオイスミレ、アカネスミレ、ノジスミレ、タチツボスミレと訪ね歩いた。鎌倉のNちゃんは、最近、女花虫とおると化して来て、しかもデジタル一眼レフカメラに100ミリマクロレンズを購入したから、動植物及びキノコは何でも来いと言う事になっているのである。また、鎌倉のNちゃんによれば「鎌倉の山にはスミレが少ない」という事なので、なんでもござれのスミレの多さに嬉しさ一杯楽しさ一杯と言う訳でもあった。そんな道草をしていたら空は抜けるような青空となって、コツバメがたくさん現れて飛んだり跳ねたりしていたが、撮影には格好のアズマネザサの葉が気に入った個体がいて、みんな思う存分コツバメを撮ることが出来た。また、ミヤマセセリの多いクヌギ林も朝の内とは打って変わって、ミヤマセセリが多数飛び出して来た。中にはタチツボスミレに吸蜜するもの、いくらか湿った地面に止って羽を開くものと、これまた撮り放題となった。以上、朝のうちは天気が心配されたが、午前中の小山田緑地における散策は、参加者全員を充分に満足させる結果となったので、午後からは私の定番コースとなっている小野路町の雑木林に行った。ここでも数多くの春の生き物達に出合って楽しい午後の散策となった事は言うまでもない。

<今日観察出来たもの>花/アオイスミレ、ナガバノスミレサイシン、コスミレ(写真上左)、ノジスミレ、アカネスミレ、タチツボスミレ、ニオイタチツボスミレ(写真上右)、シュンラン、キジムシロ、ミツバツチグリ、カントウタンポポ、レンゲソウ、ムラサキサギゴケ、タガラシ、オオアラセイトウ、アブラチャン、コブシ、モクレン、クサボケ、ハナモモ、チョウセンレンギョウ、レンギョウ、スモモ、アンズ、ツバキ、ウグイスカグラ等。蝶/アゲハチョウ、コツバメ(写真下右)、ミヤマセセリ、スジグロシロチョウ、ベニシジミ、ルリシジミ、ルリタテハ、キタテハ、アカタテハ、テングチョウ。昆虫/シオヤトンボ、ヤブキリの幼虫(写真下左)、コガタルリハムシ、アシブトハナアブ等。鳥/ガビチョウ、ウグイス等。キノコ/ヒイロタケ、トガリアミガサタケ等。


4月5日、横浜市緑区新治市民の森〜横浜キノコの森

 冬の間は晴れてくれ晴れてくれと願ったものだが、4月に入って各種の花が咲き始めると、どんよりと雲ってくれとは願わぬものの、雲一つ無いピーカンではなく薄曇であって欲しいと思うものだ。しかし、今日は抜けるような青空、気温もだいぶ上昇するのだと言う。これでは羽化したばかりのミヤマセセリやコツバメは、楽しくって楽しくって落ち着き無く飛んだり跳ねたりしている事だろうと、顔をしかめつつも新治市民の森へ出かけた。いつものように谷戸に向かって左手の小さな谷戸や丘の上の畑や雑木林から散策を開始した。かつてシイタケ栽培のホダ木用に美しいクヌギ林があったが、そこは綺麗に伐採され、かわってハナモモやスモモやアンズが植栽されている。これらはみんなバラ科サクラ属の樹木で、近縁の筈であるがその花はそれぞれ趣が異なっている。ことにスモモはそんなに花をたくさんつけて大丈夫なの、と心配するがごとくに枝一杯に純白の花をつけている。今年は春の訪れが遅れたためか、サクラこそほんの少し花開いたばかりだが、北国の春のようにバラ科サクラ属の面々が時を同じゅうして咲いているのだから素晴らしい。しかも、ユキヤナギ、コブシ、ハクモクレンは満開でチョウセンレンギョウも咲き出しているのだから、春の花木が一斉に咲き誇っているが如くである。
 丘の上の畑へ登って行くと、大好きなネギボウズがだいぶ大きく膨らんで、薄皮が弾けて咲き出すのももうすぐかなと感じられた。丘の上の畑が雑木林と接する辺りは栗林だが、栗の幹にラグビーボールのような格好のハラビロカマキリの卵のうが、鳥になんらつつかれずに残っているものを見つけて嬉しくなった。すべて食べられてしまったら成虫が撮影出来なくなって大変だが、自然は上手く出来ていて、鳥に見つからなかった卵のうも数多くあるのだろう。しかし、卵から孵っても、まだまだ天敵は数多いのだから成虫にまで生き延びるのは大変な事である。丘を下って小さな墓地の周りに植栽されているシキミを見に行くと、まだかなりたくさん花をつけていた。いつもこの辺りにヒトリシズカが咲くのだがと探してみたが、その芽生えすら発見出来ずに隣の丘の登り口にある雑木林に行ってみると、ミヤマセセリが出迎えてくれた。こんなに天気が良く気温が高いと羽を開いて日光浴等してくれない筈だが、羽化したばかりなのか瞬時だが近づいてシャッターを切ることが出来た。それならお次はコツバメと足早に谷戸奥に向かったら、かなりたくさんの個体がアズマネザサやノイバラの葉に止っていたが、こちらの方はとても陽気で落ち着きが無く、しかも足場が悪いのでかなり頑張ったのだが撮影出来なかった。
 午後からはいつものように横浜キノコの森へ行った。この時期、いくら素晴らしいキノコ観察地と言えども、固いサルノコシカケ科の仲間位しか生えていないだろうと思ったものの、もし何か生えていたら楽しくなるな等の期待もあったのである。しかし、やはり結果は予想した通りであった。ただ、だいぶ生長してひからび食べても不味そうなエノキタケとマンネンタケを見つけた。この時期にエノキタケを撮影し紹介するのもなんとなく心苦しいが、横浜キノコの森でキノコ無しも耐えられないから、伸び始めたばかりのものを探して撮影した。どうやらこのぶんでは他に何も期待出来そうもないなと思われたが、独特な丸い葉のカツラの芽吹きを撮ろうと絵になるものはないかと探していたら、ツマグロオオヨコバイが止っていたので慎重にシャッターを切った。いつもなら普通種であるツマグロオオヨコバイなど見向きもしない筈だが、この時期は大切なお客様のように大歓迎なのである。また、雑木林の縁の良く日が当たる場所でツチイナゴが越冬から目覚めて出迎えてくれた。以上、今日は左程褒められた結果とはならなかったものの、出かければ何かが語りかけてくれ、シャッターを切らせてくれる近場の道端自然観察のお手本のような一日となった訳である。

<今日観察出来たもの>花/レンギョウ、トサミズキ、ユキヤナギ、コブシ、ハクモクレン、ハナモモ、スモモ(写真上右)、アンズ、キブシ、ツバキ、ニワトコ、モミジイチゴ、ウグイスカグラ、シュンラン、タチツボスミレ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、トウダイグサ、ナズナ、タネツケバナ、ハコベ、オオイヌノフグリ、オオアラセイトウ、シバザクラ、ハナニラ、ラッパスイセン、ツクシ等。蝶/コツバメ、ミヤマセセリ(写真中左)、モンシロチョウ、キチョウ、ベニシジミ、ルリタテハ。昆虫/ツチイナゴ(写真下左)、ツマグロオオヨコバイ(写真中右)、アシブトハナアブ、ビロードツリアブ等。キノコ/マンネンタケ、エノキタケ(写真下右)、ヒイロタケ、スエヒロタケ等。その他/ゴンズイの芽吹き(写真上左)、カツラの芽吹き等。


4月3日、神奈川県川崎市麻生区黒川〜野津田公園

 今日の天気予報は笑ってしまうほどの大外れで、一日中雲一つ無い晴天で、気温はぐんぐん上がった。事前の予報では曇時々雨だったのだから、朝遅くまで寝ていた。そんな訳で起きてみてびっくりし、こんな日に家の中に閉じこもっていたら病気になるから、しぶしぶ黒川へ行って見ることにした。車を停めた農道の傍らの田んぼを見ると野の花が百花繚乱で、春の明るい日差しに輝いて眩しい程である。ことにタネツケバナの純白の花が優勢で、春の七草であるコオニタビラコ(ホトケノザ)が極小のジヒバリのような黄色い花をつけている。こうなれば見分けがつくのだが、七草粥の頃には見分ける事が出来ないから困った事だ。もちろんゴギョウ(ハハコグサ)、ナズナ、セリもあるが、ナズナやコオニタビラコは花が咲いては葉や茎が硬くなって美味しくないであろう。今日の目的は田んぼではなく美しい雑木林でだから、コオニタビラコを撮影すると歩調を早めた。前回来た時は山掃除されて一面褐色だった美しい雑木林だが、今日は所々に各種のスミレやキジムシロが咲いている。一番多く咲いているのはアカネスミレで、これにタチツボスミレとニオイタチツボスミレがそれに続く。多分、山掃除が毎年なされているからか、あるいは芽生えてすぐだからか、各種のスミレの株は小さくてとても可愛らしい。各種のスミレ類を撮影していると、今年最初の出会いであるミヤマセセリが飛んで来た。しかし、足場が悪いから追いかけ回す事が憚れ、撮影はもっと平らな場所でと諦める。
 美しい雑木林での撮影が一段落つくと谷戸奥まで行って、尾根に登って一回りして来ようと思いたった。谷戸奥はコツバメが多く見られる場所だし、尾根周辺にはミヤマセセリが飛んでいる筈だと思った訳である。上天気の農道を歩いて行くと、今日はウォーキングに来た方々とたくさんすれ違った。私と同じでこんな日に家に閉じこもっていたら、それこそもったいないと言う事の様である。雑木林と農道の間の斜面にはカントウタンポポ、タチツボスミレ、キジムシロが多く見られるが、アカネスミレやノジスミレも時折咲いている。農道を歩いていると向こうから白い小さな蝶が斜面の下部沿いにひらひら飛んでやって来る。どうやら飛び方からしてツマキチョウのようである。身体の傍らを通り過ぎた時に、鮮やかな羽の上端のオレンジ色が目に入り、しかとツマキチョウと確認した。また、谷戸奥では小さな羽の表が暗青色のシジミチョウが傍らを素早く通り過ぎた。これは間違いなくコツバメであろう。これで今日の黒川で、春にしか現れないスプリング・エフェメラルたるギフチョウを除いた里山の蝶全種に出遭った事になる。これだから家になどに閉じこもっていられないと言う訳なのだ。
 午後からは何処へ行こうかと考えたが、こんな上天気の日曜日だから小山田緑地の駐車場は満杯だろうし、人が多くてコツバメもミヤマセセリも落ち着かない事だろうと、野津田公園に行くことにした。黒川ではとうとうミヤマセセリ、コツバメ、ツマキチョウを撮りそこなったが、カントウタンポポに吸蜜するキチョウを撮影した。今日のような気温の高い晴天の日は、蝶達は、それこそ飛んだり跳ねたりしているから撮影がすこぶる難しいのである。それにそのうち何処かで思う存分撮影できるからと余裕綽々という訳なのだ。午後からの野津田公園での散策は、お腹が満杯、気温がすこぶる高い、連続の3日目の疲労という事で、足取りがとても重くなった。そんな訳で、見事な満開のアンズを見上げながら、草叢にへたりこんでいたら、なんと羽化したばかりのアゲハがアンズの花に吸蜜にやって来た。また、傍らに咲いているユスラウメの花には、これまたミヤマセセリもやって来るというおまけ付である。あまりにも作品を狙ってしまったのでミヤマセセリは撮影出来なかったが、アゲハはなんとかものに出来た。まだまだかなり時間があったがアブラチャンを撮影すると、車に戻ってたっぷり昼寝をして、明日からは夢にまで出てくるデジスコセットの資金作りに、大いに仕事に励もうと、安全運転で帰宅の途についた。

<今日観察出来たもの>花/ニオイタチツボスミレ、ノジスミレ、アカネスミレ(写真下右)、タチツボスミレ、キジムシロ(写真下左)、カントウタンポポ、ムラサキサギゴケ、スズメノテッポウ、コオニタビラコ、オオアラセイトウ、ナノハナ、ナズナ、タネツケバナ(写真上右)、オオイヌノフグリ、ホトケノザ、ハコベ、フキノトウ、ツクシ、アブラチャン、クロモジ、コブシ、ハクモクレン、クサボケ、キブシ、ハナモモ、チョウセンレンギョウ、トサミズキ(写真上左)、ヒュウガミズキ、ユスラウメ、アンズ、ツバキ、ウグイスカグラ、ラッパスイセン、ハナニラ、スノーフレーク等。蝶/アゲハ(写真中左)、ミヤマセセリ、コツバメ、ツマキチョウ、キチョウ(写真中右)、モンキチョウ、モンシロチョウ。昆虫/コガタルリハムシ、ビロードツリアブ等。鳥/ツグミ、コゲラ、ウグイス等。


4月2日、東京都町田市小野路町

 今日は一日中曇り空であったために昆虫の出は悪かったものの、こんな日こそ花の撮影には最適と歩き回ったら、ハクモクレン、ハナモモ、ボケ等の園芸品種の花はもちろんのこと、スミレの第1陣であるアオイスミレ、ナガバノスミレサイシンが見られ、それに加えてタチツボスミレ、コスミレ、ノジスミレ、アカネスミレが加わって、小野路町のフィールドはスミレの園とと化していた。それに加えて雑木林にはシュンランやクサボケが咲いて、クロモジも開花し始めていたのだから、昨日に続いて「小野路の春、万歳!」であった。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/アオイスミレ、ナガバノスミレサイシン、コスミレ、ノジスミレ(写真上右)、アカネスミレ、タチツボスミレ、シュンラン、キジムシロ、カントウタンポポ、レンゲソウ、ムラサキサギゴケ、スズメノテッポウ、タガラシ、オオアラセイトウ、ナノハナ、ナズナ、タネツケバナ、オオイヌノフグリ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、ハコベ、フキノトウ、ツクシ、クロモジ(写真上左)、コブシ、ハクモクレン、クサボケ、キブシ、ハナモモ、ボケ、チョウセンレンギョウ、ヒュウガミズキ、スモモ、アンズ、アセビ、サンシュユ、ツバキ、ジンチョウゲ、ウグイスカグラ等。蝶/モンキチョウ、モンシロチョウ、ベニシジミ。昆虫/コガタルリハムシ、ニホンミツバチ等。鳥/ツグミ、コゲラ、ウグイス等。キノコ/ヒイロタケ、トガリアミガサタケ等。


4月1日、横浜市戸塚区舞岡公園

 ソメイヨシノやオオシマザクラはまだ開花していないものの、ヤマザクラはすでに咲き出し、至る所に植栽されている純白のコブシやハクモクレンが満開で眩しい程である。野鳥ではウグイスがあちこちで相変わらず美しい囀りを奏で、何処を見回してもスモモやミツマタ等の木の花、タチツボスミレやヒメウズ等の野の花、ベニシジミやキタテハ等の蝶、イタドリハムシやビロードツリアブの昆虫で一杯であった。それにプラスしてトガリアミガサタケが雑木林の中に生えていたのには驚いた。そんな訳で今年に入って最も充実した道端自然観察の一日となった。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/コブシ、ハクモクレン、ミツマタ、ヤマザクラ、スモモ、アンズ、キブシ、ツバキ、マンサク、サンシュユ、ヒイラギナンテン、ニワトコ、ウグイスカグラ、クサボケ(写真上左)、バッコヤナギ、ニオイタチツボスミレ、ノジスミレ、タチツボスミレ、ヒメウズ(写真上右)、ムラサキケマン、キランソウ、ヘビイチゴ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、トウダイグサ、ナズナ、タネツケバナ、ハコベ、オオイヌノフグリ、ツクシ等。蝶/モンシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、ルリシジミ、ベニシジミ、キタテハ。昆虫/イタドリハムシ、ルリノミハムシ、アシブトハナアブ、ビロードツリアブ等。鳥/ウグイス、シジュウカラ、アオジ、モズ、ツグミ、ムクドリ、カルガモ、カワセミ等。キノコ/トガリアミガサタケ等。



2005年3月へ戻る