5月29日、東京都町田市都立小山田緑地〜野津田公園
今日は何処へ行こうかと考えあぐんだが、このところしばらく行っていない小山田緑地と野津田公園へ行ってみようと気軽な気持ちで出かけた。最近、まとまった雨が降らないからキノコの顔を見ていないし、小山田緑地の池に隣接するクヌギ林なら何かしら生えているだろうと思ったのである。しかし、調整池は底まで干上がっていて、これではキノコが生えている訳はないわなと納得した。しかし、そんな思いが天に通じたのだろうか、尾根にあるアカマツの衰弱した幹にヒトクチタケがたくさん生えていた。ヒトクチタケはサルノコシカケ科のキノコであるが、可愛らしい格好から見つけると写欲をそそられる。また、去年、ゴイシシジミを観察しているのでこれもまた期待したのだが、今まで歩いた事の無い小道に足を踏み入れたら、ゴイシシジミは見られなかったもののコミスジが2頭テリトリーを張っていた。そればかりでなく今日の小山田緑地での最大の収穫はホウノキの花である。もうかなり前からホウノキは咲いていたので、まさかまだ咲いているとは思わなかったが、管理事務所前のオウノキがかなり花をつけていた。里山を語るにあたって葉のとても広いホウノキを触れずして通り過ぎる事は出来ないし、またその花を撮らなければ本当に片手落ちなのだ。しかし、ホウノキの花は手の届くような場所には咲いておらず、おまけに空を向いて花開くからなかなか撮影できなかったのである。しかし、今日は90oマクロレンズでもかなり大きく撮影できる所に咲いていたのだから嬉しくなった。もっとも、野鳥撮影用機材を持参していれば、もっと美しく情緒溢れた写真を手にする事も出来たのは事実である。ホウノキを撮影したからオオムラサキの生息する雑木林の方へ行ってみたが、まだ樹液は一滴も滲み出てなく、今年は撮影出来るだろうかと心配になった。小山田緑地の方々は本当に草刈が好きで困ってしまうが、芝地にはミヤコグサとニワゼキショウが一面に咲いていた。ニワゼキショウには紅色のものと白色のものとがあるが、今日は今年まだ撮影していなかった白色のものを切り取った。雑木林の梢からはうるさいくらいにガビチョウが囀り、やっぱりこの籠抜けの中国産の鳥は日本の情緒にそぐわないわなと思った。なぜならホトトギスの「東京特許許可局」という風情ある囀りもかき消されてしまうのである。
午後からはこれまた久しぶりの野津田公園へ行った。車を停めて雑木林の様々な樹木を植栽している場所を通ると、日当たりが良いのかイボタの花が満開で、蝶ではアオスジアゲハ、イチモンジチョウ、ヒメキマダラセセリが吸蜜に訪れていた。イボタはウラゴマダラシジミやイボタガの幼虫の食樹だが、その花も昆虫たちの大のお気に入りなのである。秋にナンバンギセルがたくさん咲くカヤ原に面した雑木林は、クヌギやコナラの萌芽天然更新が実施されていて、切り株がたくさんあるのは勿論だが、細いコナラやクヌギの木がすくすくと伸びている。こんな場所は切り株からも若木からも樹液が出るから昆虫たちの溜まり場になるし、ぽかっと空いた草原も昆虫たちのお気に入りの場所なのだ。そう思って中に入ってみると、1頭だが今年初めてのアカシジミを観察した。また、羽化したばかりの新鮮なテングチョウもいて、どちらもびしっとカメラの中に納めたかったのだが、そう上手くは行かないところが蝶の撮影である。しかし、林縁に積まれた伐採された丸太には、金緑色に輝くミドリカミキリやエグリトラカミキリがたくさんいた。このような場所は夏本番ともなればタマムシやルリボシカミキリがやって来る筈であるから、これからは見逃せないポイントとなる。更に雑木林を一周して植栽されたユスラウメの実やザクロの花を撮ろうと行ってみると、なんと美しいオオアオゾウムシを発見して驚いた。かつては多摩丘陵にも普通に見られたのだが、もう高原へ行かなければお目にかかれないゾウムシと思っていたのだ。「まだいたんだ」と思わず声を上げそうになったが慎重に撮影した。雑木林の中の小道を通って駐車場まで戻ろうと歩みを進めると、今度は緑色のヒカゲチョウの蛹が目に留まった。このあいだ小野路町で褐色のクロヒカゲの蛹を発見しているが、それに続いてのヒカゲチョウの蛹の発見とはまことラッキーとばかりに嬉しくなった。最後にもう一度、アカシジミが見られた萌芽天然更新が実施されている雑木林を覗いたが、オオイシアブの髭のおっさんが切り株に鎮座して獲物を狙っているだけであった。カヤ原の広々とした空き地ではギンヤンマが餌をとり始めていたので、もう帰宅の時間と踵を返した。途中、親子がクワの実をもいでいたので行ってみると、その実は図鑑通りにヤマグワと異なって、実から長い髭が生えていなかった。以上、今日は期待せずに出かけて大収穫となった訳で、久しぶりにたくさんの写真を貼り付ける事にした。
<今日観察出来たもの>花/ヒメハギ、ニワゼキショウ、ミヤコグサ、ドクダミ、タツナミソウ、オカタツナミ、ハルジオン、キツネアザミ、ノアザミ、ジシバリ、ニガナ、シロツメクサ、アカツメクサ、ムラサキサギゴケ、フタリシズカ、ホウノキ、ハコネウツギ、イボタ、ウツギ、コゴメウツギ、エゴノキ等。蝶/アオスジアゲハ、アカシジミ、テングチョウ、キチョウ、ツマグロヒョウモン、イチモンジチョウ、コミスジ、コジャノメ、クロヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ、ダイミョウセセリ、イチモンジセセリ、コチャバネセセリ、ヒメキマダラセセリ等。昆虫/クヌギカメムシ、オオクモヘリカメムシ、ギンヤンマ、クロスジギンヤンマ、ヤマサナエ、シオカラトンボ、オオアオゾウムシ、ミドリカミキリ、エグリトラカミキリ、ジョウカイボン、ヒゲナガハナノミ、アカガネサルハムシ、オオイシアブ、ヒカゲチョウの蛹等。鳥/ホトトギス、ガビチョウ、キセキレイ、カルガモ等。その他/モミジイチゴの実、ウグイスカグラの実、ヘビイチゴの実、ユスラウメの実、ヒトクチタケ等。
<写真>ヒトクチタケ、ホウノキ、ユスラウメ、ミヤコグサ、ノアザミ、ニワゼキショウ、コミスジ、イチモンジチョウ、ヒメキマダラセセリ、ヒカゲチョウの蛹、ミドリカミキリ、オオアオゾウムシ。
5月28日、横浜市戸塚区舞岡公園
昨日のこのHPの掲示板に舞岡公園で撮影したアカシジミとアカボシゴマダラの投稿があった。今日は一日中曇りという事で蝶を撮影するには最適だと出かけたが、なんとなく身体がだるく蝶を追いかける元気が出なかった。もっとも、土曜日だから人出も多く、また、舞岡のファーブルさんが言っていたように、去年何べんとも無く上陸した台風の影響もあってか、見られる蝶の絶対数が減じているようにも思えた。しかし、キタテハの第1化も発生して、いよいよ蝶の種数がもっとも多く見られる6月はもう間近だといった感じがした。また、蝶以外では各種カメムシデー、各種テントウムシデーであったのは、一昨日行った和田堀公園と同じであった。詳細は
「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。
<今日観察出来たもの>花/ハコネウツギ、ウツギ、ノイバラ、スイカズラ
(写真上左)、ヒルガオ、イモカタバミ、ユキノシタ、セリバヒエンソウ、オカタツナミ、アカバナユウゲショウ、ナガミヒナゲシ、ケキツネノボタン、ニワゼキショウ、ハルジオン、シラン、オオキンケイギク、ネギボウズ、ジャガイモ、サヤエンドウ等。蝶/モンキアゲハ、アオスジアゲハ、アゲハ、アカボシゴマダラ、ゴマダラチョウ、キタテハ、コミスジ、イチモンジチョウ、ツマグロヒョウモン、サトキマダラヒカゲ、コジャノメ、ヒメウラナミジャノメ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ、イチモンジセセリ等。昆虫/シオカラトンボ、ユウマダラエダシャク、ホソオビヒゲナガガ、コクワガタ、シラハタリンゴカミキリ、ベニカミキリ、ヤハズカミキリ、オジロアシナガゾウムシ、ハスジカツオゾウムシ、コフキゾウムシ、マダラアシゾウムシ、ヒメシロコブゾウムシ、アカガネサルハムシ、オオアカマルノミハムシ、キイロクビナガハムシ、アトボシハムシ、ヒメカメノコハムシ、ジンガサハムシ、ナナホシテントウ、テントウムシ、オオヒラタシデムシ、ジョウカイボン、セボシジョウカイ、アカスジキンカメムシ、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、マルカメムシ、クヌギカメムシ、ハサミツノカメムシ、ヤマトシリアゲ、ミツボシハマダラミバエ、オオイシアブ、ホソアシナガバチ、ミツクリハバチの幼虫等。その他/ヤマグワの実
(写真上右)、モミジイチゴの実、ウグイスカグラの実等。
5月26日、東京都杉並区都立和田掘公園
今日は前々から杉並区の公園へ行こうと考えていた。そこでネットで調べてみると、善福寺公園、善福寺川緑地、和田掘公園と善福寺川の上流から続いている。これをすべてつないで散策すれば良いのだが、かなりの距離がありそうだ。そこで大宮八幡宮に隣接する和田掘公園が、一番樹木が生い茂っていそうという事で行ってみることにした。京王井の頭線の永福町からバスということで交通の便はあまり良くないものの、閑静な住宅街の中にあった。まずは鬱蒼とした大宮八幡宮周辺を歩いてみたが、キノコの季節には一度は訪れて見たいと思わせる雰囲気があった。昆虫ではアカスジキンカメムシやクヌギカメムシを発見した。詳細は
「東京23区内道端自然観察館」をご覧下さい。
<今日観察出来たもの>花/ハコネウツギ
(写真上左)、スイカズラ、ユリノキ、クルメツツジ、カルミヤ、コゴメウツギ、ウツギ、シャリンバイ、トベラ、バラ、エゴノキ、コウホネ、キショウブ、セリバヒエンソウ、アカバナユウゲショウ、アメリカフウロ、ハルジオン、シロツメクサ、オニタビラコ等。蝶/アゲハ、ゴマダラチョウ、サトキマダラヒカゲ、コジャノメ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ。昆虫/ウンモンスズメ、ユウマダラエダシャク、アカスジキンカメムシ、ホシハラビロヘリカメムシ、ホウズキカメムシ、クヌギカメムシ、オオシオカラトンボ、テントウムシ、ナナホシテントウ、ムーアシロホシテントウ、トホシテントウ、コフキゾウムシ、ヒメマルカツオブシムシ、クマバチ
(写真上右)、ホソヒラタアブ等。鳥/カワセミ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ムクドリ、スズメ等。
5月24日、東京都町田市小野路町
今日は一日中、「東京特許許可局」とホトトスギスの囀りがこだましていた。もちろんウツギも咲き始めていたから、小野路町にも夏は来ぬと言う訳である。とは言うものの、まだ一ヶ月におよぶ梅雨のシーズンには入っていないから、夏を思い起こす生き物としては、ギンヤンマとシオカラトンボが飛び始めていた位で、まだまだ初夏の延長であった。今日の特筆事項は、やはりアカスジキンカメムシがやっと成虫になった事だろう。もちろんまだ終齢幼虫もたくさん見られたから、後一週間もすれば、金緑色のピッカピカの個体が至る所で見られることだろう。まとまった雨が降らないからキノコは皆無だが、昆虫暦や植物暦は順調にめくられているようである。詳細は
「小野路図師紀行」をご覧下さい。
<今日観察出来たもの>花/ドクダミ、ササバギンラン、オカタツナミ、ハルジオン、キツネアザミ、アメリカフウロ、アカバナユウゲショウ、イモカタバミ、ノアザミ、ジシバリ、ニガナ、シロツメクサ、アカツメクサ、カラスノエンドウ、トキワハゼ、フタリシズカ、ウツギ、コゴメウツギ、エゴノキ、コンフリー、ジャガイモ、シュンギク、キウイ、シラン等。蝶/クロアゲハ、モンキチョウ、モンシロチョウ、キチョウ、イチモンジチョウ、コジャノメ、クロヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ、ダイミョウセセリ、ヤマトシジミ、ベニシジミ等。昆虫/アカスジキンカメムシ、クヌギカメムシ、オオクモヘリカメムシ、ヤマサナエ、シオヤトンボ、シオカラトンボ、ギンヤンマ、シモフリコメツキ、マダラアシゾウムシ、コフキゾウムシ、ウスモンオトシブミ、ヒメクロオトシブミ、ジョウカイボン、ヒメジョウカイ、ヒゲナガハナノミ、ヨツキボシカミキリ、ツマグロハナカミキリ、ベニカミキリ、キクスイカミキリ、ジンガサハムシ、アカガネサルハムシ、クロウリハムシ、ウリハムシ、アトボシハムシ、ムーアシロホシテントウ、ナナホシテントウ、ホソヒラタアブ、クロヒカゲの蛹等。鳥/ホトトギス、ガビチョウ、キジ、カルガモ等。その他/ササグモ
(写真上左)、チュウガタコガネグモ
(写真上右)、カジイチゴの実、モミジイチゴの実、クサイチゴの実、ヘビイチゴの実等。
5月22日、横浜市戸塚区舞岡公園
今日は舞岡公園小谷戸の里にて「まい作品展」が開かれる。舞岡公園で出会う多くの方々が自信作を出展するというので、これは見に行かなければと疲れ気味の身体に鞭打って出かけてみた。それにアカボシゴマダラの春型も発生しているとの事だし、ゴイシジミや少し早いかもしれないがウラゴマダラシジミも見られるかもしれないと期待したのだ。しかし、気温は高めの曇り日ということで絶好な日和だと思ったのだが、風がとても強くなってじっくりとした観察及び撮影が出来なかった事はまことに残念である。しかし、多数のアカボシゴマダラと素晴らしい皆様の作品を見て、とても満足した一日であった事は言うまでもない。詳細は
「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。
<今日観察出来たもの>花/キリ、タニウツギ、ハコネウツギ、ウツギ、ノイバラ、スイカズラ、アヤメ、キショウブ、イモカタバミ
(写真上左)、ユキノシタ、セリバヒエンソウ、オカタツナミ、ナガミヒナゲシ、ジシバリ、ケキツネノボタン、ニワゼキショウ、ハルジオン、シラン、ハマナス、ネギボウズ、ジャガイモ、サヤエンドウ等。蝶/モンキアゲハ、カラスアゲハ、アカボシゴマダラ、イチモンジチョウ、ツマグロヒョウモン、サトキマダラヒカゲ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ等。昆虫/ユウマダラエダシャク、ホソオビヒゲナガガ、アカガネサルハムシ、シロコブゾウムシ、フキヒョウタンゾウムシ、ヒメシロコブゾウムシ、オオアカマルノミハムシ、アトボシハムシ、ジンガサハムシ、ナナホシテントウ、ジョウカイボン、アカスジキンカメムシ、エサキモンキツノカメムシ、クサギカメムシ、マルカメムシ、ヤマトシリアゲ、ミツクリハバチの幼虫等。その他/アマガエル
(写真上右)、ウグイス、ヤマグワの実、モミジイチゴの実、ウグイスカグラの実等。
5月21日、横浜市緑区長津田町〜三保市民の森
今の季節、関東地方の平地のフィールドでの状況は一服感が強いと何処かで書いたと思うが、ただ大物がいないだけで撮るもの見るものは相変わらずたくさんある。ほとんどの月がそうなのだが、カメラ雑誌の発売される20日頃から、給料日までの間はいつもフィールドはぱっとしない。まあ、お金もない事だし、カメラ雑誌でも購入して写真の勉強でもしなさいということなのかもしれない。いわゆる季節の端境期に当たっている訳なのである。しかし、関東地方の平地に比べて季節の訪れの遅い信州や東北などでは、今が絶好調のフィールドも多い筈である。今日はそんな訳とピーナッツの食べ過ぎによる胃の不具合も完璧には治っていないので、最近ご無沙汰している長津田町へ行ってみることにした。
今日一番の特筆事項はゴマダラチョウであろう。昨日のこのHPの掲示板に、寒川山ちゃんが飼育していたゴマダラチョウが羽化したとの報告があったが、長津田の雑木林でも新鮮な個体が力強く飛翔していた。ゴマダラチョウは国蝶オオムラサキの弟分にあたるが、年に2回発生する。蝶の研究家の牧林功氏が書
かれているように、年に2回以上発生する蝶は環境破壊にとても強い。そんな事もあってか、とっくにオオムラサキが絶滅してしまったフィールドでも、ゴマダラチョウはしぶとく生き残っているのである。また、ゴマダラチョウの春型は夏型に比べると大きさが一回り大きく白い紋も面積が多くて、夏型に比べるととても美しい。しかし、春型が発生するこの時期はクヌギやコナラの樹液の出も悪くて吸汁する姿も見られないし、また、発生するとすぐに産卵して命を閉じるのではないかと思われる程に、見られる期間もごく短い。このため春型のゴマダラチョウをカメラに納めるのは至難の事となっている。しかし、緑濃くなった雑木林の梢を滑空する姿を見るだけで幸福な気分になれるのだから得難い存在である。
ゴマダラチョウ以外ではこれといった大物の姿はなかったが、花では早くもナワシロイチゴが咲いているのには驚いた。このところ南関東はほとんど雨が降らずに乾いているが、そんな中でもナワシロイチゴは季節を忘れていなかったのである。私のイメージでは葉や茎に微毛や棘のあるナワシロイチゴは、梅雨の霧雨が宿した水滴がたくさんついてこそナワシロイチゴなのである。また、この季節、どこを見回してもアイリスの仲間で一杯なのだが、その中でもアヤメが一番
風情ある存在だ。アヤメは湿地とのイメージがつきものだが、池や沼に生えているのは外来種のキショウブか植栽されいているカキツバタで、アヤメは農家の庭先や畑の片隅の比較的乾いた場所に多く見られる。これらはみな植栽されたものだろうが、山地や高原に行くとススキの原に生えている。このアヤメはことによったら多摩丘陵等に、もともと自生していたものなのかもしれないと図鑑を開いて見たが、その真偽は書かれてはいない。その昔はキキョウも自生していたと言われるから、アヤメも身近な存在として自生していたのではないかと勝手に想像する。そんな想像を裏打ちするかのように、手入れの良い雑木林の中にアヤメが咲いていた。植栽されたものが逸出したものなのだろうが、こんな事は初めてなので木漏れ日の玉ボケを入れて慎重に撮影した。
雑木林の縁の小道を歩いて行くと、モミジイチゴの実が黄色く熟し始めている。この甘酸っぱい実が大好きなのだが、生憎、ピーナッツ食べ過ぎ後遺症が残っているから、一番大きくて美味しそうなものを一粒だけ試食した。「美味しいな、もっと食べたいな」と、たわわに実るモミジイチゴの実を見て悪魔のささやきが聞こえたが、この声にOKを出してピーナッツを食べ過ぎたから今があると、その思いをぐっと飲み込んだ。雑木林に入って行くと、出が悪いが樹液が滲み出ているコナラがあった。残念ながらゴマダラチョウはいなかったが、クロヒカゲ、ヒカゲチョウ、サトキマダラヒカゲが吸汁していた。また、付近を見回すとコジャノメが交尾してヒノキの幹に止っている。これはラッキー、頂きとばかりに雌雄の複眼にぴったりとピントが来るようにアングルを考えて撮影した。ペンタックスistDsはファインダーがとても見やすいから、こんな時には大助かりである。それでもかなり長時間ああでもないこうでもないとやっていたが、交尾中の個体は微動だにしないから本当に楽である。この他、マルムネジョウカイ等を撮影してから三保市民の森の谷道に寄ってみたが、ブドウハマキチョッキリ、ウスモンオトシブミ等を撮影して、明日は舞岡公園でお仲間が出展する「まい作品展」を見に行かなければならないからと早々と帰宅した。
<今日観察出来たもの>花/ナワシロイチゴ
(写真上右)、イモカタバミ、カタバミ、コバンソウ、ハルジオン、アメリカフウロ、アカバナユウゲショウ、ジシバリ、ニガナ、カラスノエンドウ、トキワハゼ、フタリシズカ、ウツギ、コゴメウツギ、ハコネウツギ、スイカズラ、アヤメ
(写真上左)等。蝶/アゲハ、クロアゲハ、ゴマダラチョウ、コミスジ、コジャノメ
(写真下左)、ヒカゲチョウ、クロヒカゲ、サトキマダラヒカゲ、ダイミョウセセリ、イチモンジセセリ、コチャバネセセリ等。昆虫/ブドウハマキチョッキリ、ウスモンオトシブミ、アカハネムシ、キイロテントウ、マルムネジョウカイ
(写真下右)、セボシジョウカイ、コフキゾウムシ、クロボシツツハムシ、オオスズメバチ、マガリケムシヒキ、ホシハラビロヘリカメムシ、クサギカメムシ、ヤマトクロスジヘビトンボ、ヤマサナエ、カワトンボ等。その他/モミジイチゴの実
(写真中左)、クロマツの雌花
(写真中右)、ウグイスカグラの実等。
5月19日、横浜市都筑区茅ヶ崎公園〜大原みねみち公園
昨晩はとんでもなく強い南風が吹いた。低気圧が日本海側を通ったためである。今日も午前中は風が残り気温もぐんぐん上がった。まるでセミが鳴き始めてもおかしくないような陽気である。そんな訳で風がいくらか納まった午後に、ほんの少しのつもりで港北ニュータウンの公園へ出かけてみた。しかし、暑くてしかも陽射しが強く、結局、曇り始めて気温が幾分低くなった夕方まで散策することになってしまった。まあ、もうすぐ梅雨だからこんな陽気はそう続くまいが、暑い日は早朝とか夕方がベストタイムであると感じ入った。木の花ではエゴノキが満開で、昆虫ではクヌギカメムシがたくさん見られた。詳細は
「ささぶねに揺られて」をご覧下さい。
<今日観察出来たもの>花/エゴノキ、ヤマボウシ、ノイバラ、ベニバナウツギ、ハコネウツギ、タニウツギ、ウツギ、ユリノキ、シャリンバイ(写真上左)、ニワゼキショウ、シロツメクサ、アカツメクサ、コバンソウ等。蝶/アオスジアゲハ、クロアゲハ、コミスジ。昆虫/ヒメクロオトシブミ、コフキゾウムシ、マダラアシゾウムシ、センチコガネ、サビキコリ、マガリケムシヒキ(写真上右)、オオスズメバチ、クロオオアリ、クヌギカメムシ、ホシハラビロヘリカメムシ、オオクモヘリカメムシ等。鳥/ムクドリ、ヒヨドリ、シジュウカラ、カワセミ、カルガモ等。その他/クサイチゴの実、ヘビイチゴの実等。
5月17日、東京都町田市小野路町・図師町
連休前後のギンラン、キンランの花盛りは過ぎて、これから訪れる梅雨に向かって、野の花は沈黙状態である。また、春一番に出現した越冬あけの各種タテハチョウやモンシロチョウ、ベニシジミ、ルリシジミ等の蝶も、今は幼虫の状態で盛んに食草を食べている。また、雨が降らないから何処を見回してもキノコはない。しかし、そんな状態でも各種ハムシやオトシブミ達は元気で、葉の上を丁寧に見て行けば発見出来るに違いない。野鳥の姿は新緑に隠れて確認できないものの、カッコウやツツドリが独特の囀りを響かせている。何も無いようだけど実は盛りだくさんのこの季節に、耳を澄ませて里山を歩くのも格別ではなかろうか。詳細は
「小野路図師紀行」をご覧下さい。
<今日観察出来たもの>花/キンラン、ギンラン、ササバギンラン、タツナミソウ、コバンソウ、ハルジオン、キツネアザミ、アメリカフウロ、アカバナユウゲショウ、イモカタバミ、ノアザミ、ミヤコグサ、ジシバリ、ニガナ、レンゲソウ、シロツメクサ、カラスノエンドウ、ムラサキサギゴケ、トキワハゼ、フタリシズカ、コケリンドウ、ウツギ、コゴメウツギ、ヤマツツジ、キリ、コンフリー、ジャガイモ、シュンギク(写真上左)等。蝶/アゲハ、カラスアゲハ、クロアゲハ、ツマグロヒョウモン、イチモンジチョウ、コジャノメ、クロヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ、イチモンジセセリ、コチャバネセセリ、ムラサキシジミ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、ベニシジミ等。昆虫/ヤマサナエ、シオヤトンボ、シモフリコメツキ、、マダラアシゾウムシ、ジョウカイボン、ヒゲナガハナノミ、ヨツキボシカミキリ、ツマグロハナカミキリ、アカガネサルハムシ(写真上右)、フタホシオオノミハムシ、クロウリハムシ、クロボシツツハムシ、ウスモンオトシブミ、オオスズメバチ、ホソヒラタアブ等。鳥/ツツドリ、カッコウ、ガビチョウ、キジ等。その他/アオダイショウ、アマガエル、アカガエル、カメ等。
5月15日、横浜市戸塚区舞岡公園
朝起きて雨戸を開けると、空は今にも雨が降りそうにどんよりと曇っている。これでは車で行くしかないかなとも思ったが、天気予報では一日中曇りとあるので電車で出かけてみた。今日は尾根道を通らずに虹の家経由で散策を開始したが、もう田植えが始まっていた。小川の畔の植え込みには、シランとちょっと場違いなハマナスが見事に咲いている。虹の家周辺を散策すると、早くもイチモンジセセリが見られた。ここから三角畑の方に上がって行ったが、こんな天気のせいかジンガサハムシは一匹も見られなかった。今日、一番多く見られたのは真っ白なリンゴコフキハムシであった。詳細は
「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。
<今日観察出来たもの>花/キリ、ヤマツツジ、タニウツギ、ハコネウツギ、ウツギ、コゴメウツギ、ノイバラ、カマツカ、アヤメ、キショウブ、セリバヒエンソウ、タツナミソウ、ナガミヒナゲシ、ハタザオ、ジシバリ、ハルジオン、ホタルカズラ、ギンラン、シラン(写真上右)、ハマナス、ネギボウズ、ジャガイモ、サヤエンドウ等。蝶/アオスジアゲハ、キアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ、コミスジ、ツマグロヒョウモン、ヒメウラナミジャノメ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ、イチモンジセセリ等。昆虫/オオトモエ、ユウマダラエダシャク、ホソオビヒゲナガガ、アオオサムシ、オジロアシナガゾウムシ、ヒメシロコブゾウムシ、トホシオサゾウムシ、スグリゾウムシ、ヒメクロオトシブミ、エゴツルクビオトシブミ、オオアカマルノミハムシ、アトボシハムシ、クロボシツツハムシ、リンゴコフキハムシ、ヒメカメノコハムシ、ナナホシテントウ、ツマグロハナカミキリ、ジョウカイボン、セボシジョウカイ、クロジョウカイ、ハサミツノカメムシ、エサキモンキツノカメムシ、クサギカメムシ、マルカメムシ(写真上右)、ヤマトシリアゲ等。鳥/ウグイス、カワセミ、カルガモ、スズメ等。
5月14日、横浜市緑区新治市民の森〜三保市民の森〜横浜キノコの森
このところ曇り日が続き気温がとても低い。今日は昨日よりもやや高いものの同じような天候である。梅雨に入ればこのような日も多く、梅雨寒と言う風情ある言葉を頂いているが、まだ梅雨に入っていないのだからなんと呼んだら良いのだろう。今までとても暑い日が続いていたから、このまま夏になっては大変と思っていたので、ちょうど良いのかもしれない。しかし、曇り日で気温が低いと気分も滅入って来る。おまけにピーナッツの食べ過ぎによる胃炎を起こしているから尚更である。やはり寄る年波には抗せず、遠征から帰った後は、ピーナッツを食べずに家でおとなしくしていれば良かったのだ。更に一度遠征してしまうと遠征癖がついて、今週末も何処か他県へ行きたいなと考えていたが、この天気では何処へ行っても仕方がないと中止した。そこで久しぶりに横浜市緑区のフィールド各所へ行ってみた。
先ず最初に新治市民の森に行くことにした。いつものよう路上駐車をして、さあこれから散策開始、その前に一服と煙草を燻らせながら路傍のツユクサの葉を見ると、なんとエゴシギゾウムシがいるではないか。写真を見て頂ければ分かるように、黒褐色の肌に白いタンクトップを着ている美麗な
ゾウムシである。おそらく叩き網という昆虫採集の仕方でエゴノキの小枝をたたいて廻れば容易く観察出来るのだろうが、ただひたすらルッキングだけではなかなかお目にかかれないゾウムシで、今回が2回目の遭遇と言う訳なのだ。シギとつくように野鳥のシギのように口吻がとても長い事でも知られている。また、エゴシギゾウムシはエゴノキの実にその細くて長い口吻で穴を空けて産卵する。しかし、待てよ、まだエゴノキの花が咲き始めたばかりで、実が出来るのは半月程先の筈である。だから少し出現が早いのではと不思議に思った。もっとも観察した訳ではないからなんとも言えないが、エゴノキの実が完全に熟して固くなる前の方が、口吻で穴を空けるのは容易い筈である。そう推理して図鑑を開いてみると、エゴシギゾウムシはエゴノキの花の蜜も大好物と書いてある。すなわち蜜を吸って体力を高めるとともに、雌では卵の成熟を待って産卵するようなのだ。と言う事は今日の出会いは、あったり前田のランチクラッカーであった訳である。
今日はそんな訳で散策開始前にとんでもないプレゼントを頂いたので、口笛吹き吹き谷戸奥まで行った。途中、民家の庭にアヤメ、アイリス、キショ
ウブが咲いてとても美しい。しかし、見られる野の花も昆虫達も少なく、野の花では僅かにタツナミソウが咲いているだけで、外来種のアメリカフウロ、アカバナユウゲショウ、ナガミヒナゲシが至る所に咲いているだけだ。以前は、昆虫ではヤマサナエやカワトンボがたくさん見られたのだが、どういう訳が今年は個体数が格段と少ない。木の花ではコゴメウツギとカマツカが最盛期であった。せっかく谷戸奥まで来たのだからなにか撮影するものはないかなとウロウロすると、サルトリイバラにルリタテハの幼虫がたくさんいた。もう終齢になってまるまる太っているものまでいる。ようし、ルリタテハの幼虫の顔を撮ってやれと近づくと、こちらに顔を向けて葉を食べていたというのに、接近を感知して丸まってしまった。こうなったらただのタワシ野郎だから撮る気もしない。そこでコゴメウツギを撮影すると、早々引き返して三保市民の森の谷戸道へ行った。谷戸道へ入ると即座にウグイスカグラの赤い実が歓迎してくれた。これから熟するモミジイチゴの実に比べればお世辞にも美味しいとは言えないが、真っ赤な実はとても可愛らしい。更に歩みを進めると触覚が白くてとても長いホソオビヒゲナガガ(?)がたくさん飛んでいる。少し広くなった草地にはハルジオンが咲いていて、ヒメウラナミジャノメ、ダイミョウセセリ、コチャバネセセリ、ヤマトシジミが吸蜜していた。もちろん少し暗くなった所では、コジャノメ、クロヒカゲと言った黒装束の面々がたくさん飛び回っている。緑一杯の雑木林の梢では、この時期、まさに新緑の精とも言えるコミスジが軽やかに滑空しているが、なかなか撮影できる場所には降りて来ない。以上、エゴシギゾウムシという散策開始前にとんでもないプレゼントを頂いたものの、それ以降ぱっとしたものにお目にかかれった。そこで、こんなカラカラの天気が続いているからキノコは生えて無いだろうと思ったが、第2キノコの森を覗いてみた。するとムジナタケだけが、足の踏み場もない程に爆生していて、一家全員集合の記念写真を撮ってあげた。
<今日観察出来たもの>花/タツナミソウ、ジシバリ、カキドオシ、フタリシズカ、タツナミソウ、アメリカフウロ(写真上右)、アカバナユウゲショウ、ナガミヒナゲシ、ミズキ、カマツカ、ミツバウツギ、コゴメウツギ(写真上左)、ホウノキ、ガマズミ、アヤメ、キショウブ、シラン等。蝶/クロアゲハ、コミスジ、コジャノメ、クロヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ、ダイミョウセセリ、コチャバネセセリ、ヤマトシジミ等。昆虫/ホソオビヒゲナガガ?(写真下左)、ヤマサナエ、カワトンボ、エゴシギゾウムシ(写真下右)、オジロアシナガゾウムシ、コフキゾウムシ、ジョウカイボン、マルムネジョウカイ、ヤハズカミキリ、ベニカミキリ、クロボシツツハムシ、アカガネサルハムシ、オオイシアブ等。その他/ルリタテハの幼虫、ウグイスカグラの実(写真中右)、ムジナタケ(写真中左)等。
5月12日、東京都荒川区荒川自然公園
今日は東京都に唯一残る都電に乗って、荒川二丁目駅で降りて荒川自然公園へ行った。発車する時にチンチンと鳴らすから、まさにチンチン電車である。早稲田と三ノ輪橋の間を走っているのだが、乗っているだけで花散策が出来る素晴らしい路線である。今日は色とりどりのバラが線路の両脇に咲いていて実に見事であった。アジサイの季節もお勧めで、途中、飛鳥山や古河庭園、そして今日訪れた荒川自然公園等を巡れば、都内でも情緒ある花散歩が楽しめる事請け合いである。是非とも昔懐かしいチンチン電車に乗って、一日たっぷりと楽しんで欲しいものである。詳細は
「東京23区内道端自然観察館」をご覧下さい。
<今日観察出来たもの>花/クルメツツジ、オオムラサキツツジ、カルミヤ、ヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)、サンザシ、ウツギ、シャリンバイ、トベラ、バラ、エゴノキ(写真上左)、エニシダ、ピラカンサ、ハマナス、シラン、スイレン、アヤメ、キショウブ、カキツバタ、シャガ、キュウリグサ、セイヨウタンポポ、ホトケノザ、カラスノエンドウ、ハルジオン、ジシバリ、シロツメクサ、コツブツメクサ、オニタビラコ、ニワゼキショウ、トキワハゼ等。蝶/アゲハ、ヤマトシジミ。昆虫/スグリゾウムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ナミホシヒラタアブ、ホソヒラタアブ等。鳥/ハシブトガラス、ムクドリ、スズメ等。キノコ/カワラタケ、キツネタケ?(写真上右)等。
5月10日、東京都町田市小野路町・図師町
連休の遠征があったりして、だいぶ間隔があいた小野路町・図師町行きである。しかも、久しぶりに平日という事で、心を清め耳を澄ませ目を潤わせて散策しようと、ゆったりとした気分で散策を開始した。もうキンラン、ギンランは咲き終わっているかなとも思ったが、雑木林の各所に咲き残っていた。まったく久しぶりに花の谷戸である五反田谷戸へ行ってみると、もうノアザミ、ミヤコグサ、タツナミソウが咲き出しているのには驚いた。また大好きなヒメハギも咲き残っていて、誰もいない静かな谷戸で、そよ風のように花散歩を楽しんだ。いよいよこれからは五反田谷戸から目が離せなくなった。詳細は
「小野路図師紀行」をご覧下さい。
<今日観察出来たもの>花/キンラン(写真上左)、ギンラン、ササバギンラン、エビネ(農家の敷地で)、タツナミソウ(写真上右)、ヒメハギ、ノアザミ、ミヤコグサ、ジシバリ、ニガナ、オニタビラコ、レンゲソウ、シロツメクサ、カラスノエンドウ、カントウタンポポ、ムラサキサギゴケ、トキワハゼ、カキドオシ、ケキツネノボタン、フタリシズカ、ミズキ、ヤマツツジ、キリ、ホウノキ、ニセアカシア、コバノガマズミ等。蝶/アオスジアゲハ、カラスアゲハ、クロアゲハ、ジャコウアゲハ、キアゲハ、ツマグロヒョウモン、コミスジ、コジャノメ、クロヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ、ダイミョウセセリ、コチャバネセセリ、ヤマトシジミ、ベニシジミ等。昆虫/ヤマサナエ、シオヤトンボ、シモフリコメツキ、、マダラアシゾウムシ、ジョウカイボン、ベニカミキリ、ヒゲナガハナノミ、モモブトカミキリモドキ、ヨツキボシカミキリ、クロボシツツハムシ、ホソアシナガバチ、ホソヒラタアブ等。その他/ヤマカガシ、ガビチョウ、ヒメカバイロタケ、ジャコウアゲハの卵等。
5月8日、横浜市戸塚区舞岡公園
遠征疲れは取れてないが、今日あたりに舞岡公園へ行っておかないと、「舞岡公園散策手帖」が間遠うになると、日曜日だから駐車スペースが確保出来ないのではと思って、電車に乗って出かけてみた。花のみとか鳥のみとかキノコのみとかの方々には、つまらない一日になったかもしれないが、昆虫にも興味がある方々だったら、目が輝いてとても楽しい一日となった筈である。何しろコンタクトレンズハムシと名付けたジンガサハムシが、ピカピカにその上翅を光らせてヒルガオでたくさん観察する事が出来たからだ。もちろんそればかりでなく、モンキアゲハ、カラスアゲハと言った大物の蝶も飛んでいたし、相変わらず各種のハムシやヒメクロオトシブミやヒメシロコブゾウムシ等が観察出来た。詳細は
「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。
<今日観察出来たもの>花/キリ、ヤマツツジ、タニウツギ、カマツカ、ミヤマキケマン、ハタザオ、ジシバリ、オニタビラコ、ハルジオン、オオアマナ、ムラサキケマン、ケキツネノボタン、ホタルカズラ、ギンラン、ホウチャクソウ、ジャガイモ(写真上左)、サヤエンドウ等。蝶/モンキアゲハ、カラスアゲハ、コミスジ、コジャノメ、サトキマダラヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ、ルリシジミ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ等。昆虫/マドガ、シオヤトンボ、ヒメシロコブゾウムシ、マダラアシゾウムシ、ヒメクロオトシブミ、オオアカマルノミハムシ、アトボシハムシ、クロボシツツハムシ(写真上右)、コアオハナムグリ、ナナホシテントウ、ヤマトシリアゲ、ジンガサハムシ等。鳥/ウグイス、カルガモ等。
5月6日、埼玉県大里郡寄居町花園橋〜比企郡小川町角山上〜官ノ倉山山麓
今日は例年通り、大渋滞を避けての一日遅れの帰宅となった。とっても大きな六日町温泉国際ユースホステルとはいえども、いつもなら連休最後の日の夜は一人ぼっちとなる事が多かったが、昨晩は私を含めて3人の宿泊客となった。今日休めば土曜、日曜と続けて休めるのだから、いつもとは異なるようなのである。もちろん帰宅の日は例年通り花園インターで降りて、埼玉県大里郡寄居町花園橋下の荒川河川敷と比企郡小川町角山上の谷戸や雑木林を散策した。天気予報によると午前中は曇りで、昼頃から雨が降るということになっていた。なんとか午前中だけでも天気がもって欲しいものだと、荒川の土手上に車を停めた。いつもならニセアカシアが満開なのだが、ちらりほらりと咲いているだけである。また、小麦、大麦も青々とした穂を出してはいるものの、例年に比べてまだ背が低いように感ずる。やはりここでも春の進行は1週間ばかり遅れているようなのだ。車から離れて歩き始めると、ノイバラの葉にヒメウラナミジャノメが止っている。こんなどんよりとした気温が低い日でもかなり活発に活動する例外的な蝶である。土手の傍らには大好きなヘラオオバコの花が、すっと花茎を伸ばして風に揺れてたくさん咲いている。今日はこんな
天気だから青空からのヒバリの陽気な囀りのシャワーは無いものの、河川敷のアシ原からはオオヨシキリの声がたくさん聞こえて来る。いつもこの荒川の河川敷に立ち寄る目的は、まずはギンイチモンジセセリ、続いてコニワハンミョウに会うためである。その両種とも河川敷が大好きな昆虫と言う訳なのだ。更に運が良いとミヤマチャバネセセリがいることもあり、多摩丘陵ではお目にかかっていないフタモンアシナガバチが、小さな巣を作り始めている筈である。しかし、生憎の天候のためか、フタモンアシナガバチに出会ったのみの寂しい結果となった。
そこで雨が降ってくるかもしれないからと早々に引き上げて、比企郡小川町角山上の谷戸と雑木林へ急いだ。ここには大きな溜池があって、毎年、オツネントンボに出会う事が出来るのだが、今日は一生懸命探して見たものの見つける事が出来ずに、水面を泳ぐアメンボウを撮影した。溜池の周りを散策するとヤマツヅジが実に見事に咲いている。そればかりでなくツクバネウツギ、オトコヨウゾメ、コバノガマズミ等の白い木の花がたくさん咲いているのだ。谷の向こうの山肌には、キリ、ヤマフジが薄紫でとても綺麗だ。もちろん多摩丘陵にもヤマツツジは見られるのだが、こ
の比企丘陵に比べれば数がとても少ない。一見した限りでは多摩丘陵と左程違わない低い丘陵が連なっているわけなのだが、やや内陸で乾燥しているのかアカマツもたくさん生え、初夏になるとハルゼミがうるさい程鳴いている。確かに昨日行った長岡市の丘陵地帯の素晴らしさは格別だが、この比企丘陵も捨てがたい魅力を持っている。傍らが雑木林の谷戸田に沿った農道を歩いているだけで、様々な昆虫や花々に出会えるなんて、こんな楽ちんな散策もとても良い。今日も蝶では、ヒメウラナミジャノメ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、ツバメシジミがスイバやハルジオンで休んでいたし、ジョウカイボンやヤマトシリアゲもたくさん見られた。傍らの雑木林の縁に目をやればヒメクロオトシブミがコナラの若葉を巻き、オトコヨウゾメやヤマツヅジやツクバネウツギが入れ替わり立ち代わりその花の美しさを競っていた。また、小さな谷戸に通ずる細い道に踏み込めば、足の踏み場も無いほどに真黄色のウマノアシガタの群落がお出迎えになり、田んぼには目が覚めるようにレンゲソウが咲いていると言った具合なのである。
心配していた雨も降らずに、午前中は目的のものには出会えなかったものの楽しい散策が出来てほっとし、コンビニで弁当を購入して食べ終わっても、まだ雨が降って来ない。そこでこんな日は駄目だろうと知りながら、ウスバシロチョウとアオバセセリに会いに官ノ倉山山麓へ行ってみた。官ノ倉山といっても正式な登山口ではなく重要文化財の吉田家住宅がある谷である。私と同姓だがまるっきり類縁関係はないものの、何となく気になって2年程前に行ってみたのだが、その途中で何と信じられないかもしれないが、最近めっきり少なくなっているアオバセセリが車の中に飛び込んで来たのだ。また、このあたり一帯はウスバシロチョウが何処でも豊産している。午前中に行った比企郡小川町角山上にはウスバシロチョウは見られないが、官ノ倉山と言えば奥秩父の前衛の山だから、蝶相もやや山地性となって来る訳なのである。このあたりの低山帯もとても優れた明るい環境で、谷川にはゲンジボタルも見られ、杉や檜も植林されているから広葉樹の新緑との対比がとても美しい。そんな山里をしばし散策してみたものの目的のウスバシロチョウとアオバセセリはこんな天気だからもちろん現れず、天気予報通りに雨が落ち来た。本年の連休の遠征は19年振りの大雪のために、全てが二重丸とはならなかったものの、赤城山でヒメギフチョウにたくさん出会い、雪国植物園で憧れのシラネアオイが見られ、最終日もどうにかこうにか午後2時まで散策出来たのだから、言うこと無しの遠征であった。帰宅したら写真の整理が山とあるが、心地よくパソコンを開いての作業となるだろう。
<今日観察出来たもの>花/ニセアカシア、ヤマフジ、ヤマツツジ(写真上左)、キリ、ミズキ、ツクバネウツギ(写真上右)、オトコヨウゾメ、オオムラサキツツジ、ノアザミ、クサノオー、ヘラオオバコ、ウマノアシガタ、スズメノテッポウ、レンゲソウ、アメリカフウロウ、キツネアザミ、ハルジオン、スイバ等。蝶/ヒメウラナミジャノメ(写真中左)、ツバメシジミ、ヤマトシジミ、ベニシジミ等。虫/ヒメクロオトシブミ、ジョウカイボン(写真中右)、ナナホシテントウ、モンカゲロウ(写真下左)、アメンボウ(写真下右)、クロナガアリ等。鳥/オオヨシキリ、ツグミ等。
5月5日、新潟県長岡市雪国植物園
昨日の失敗に懲りて、今日は雪が無くて様々な花が必ず見られる長岡市の雪国植物園へ行った。昨年も訪れてその素晴らしさに目を見張った場所である。入場料はなんとたったの大人300円で、昨年と同じ長岡美人のご婦人が出迎えてくれた。「今日はシラネアオイが見頃ですよ」と早速歓迎のお言葉を頂いた。シラネアオイと言ったら高い山に登らなければ見られない美しい花だが、なんとそこ彼処に美しいブルーの大輪を咲かせているのである。開園当初にたくさん植栽したと言うが、元々、長岡市の山野に見られた植物だと言う。昨年来た時は散っていたが、今年は長岡市も大雪で開花が遅れ、憧れのシラネアオイがちょうど見頃なのだと言う。昨日は大雪を呪ったが、大雪のお陰でシラネアオイが見られたのだから、むしろ感謝せねばならないのかもしれない。まったくもう何年も連休に新潟に来ているが、一度として同じような状況であったためしはない。気温プラス積雪量が春の訪れを左右する訳で、関東地方と同じように考える事は出来ないという訳である。
憧れのシラネアオイをカメラの中に大切に撮り込んで辺りを見回すと、薄紫のイカリソウ、真っ白なトキワイカリソウ、白からピンクを経て朱色まで様々な色合いを持つオオイワカガミが至る所に咲いている。これを見ただけで今日は雪国植物園へ来て大成功だなと思った。おまけに天候は花曇で風も弱いのだから嬉しくなる。ここ雪国植物園にもギフチョウはたくさん生息している。散策路を歩いて見ればこんなにあるのと驚く程、コシノカンアオイやカタクリが群生している。そんな訳でことによったらカタクリに吸密するギフチョウをとの昨日の欲望がこみ上げて来た。そこでまずカタクリの大群落のある場所に行って見たが、何と緑色の独特の格好をした実ばかりであった。魚野川の下流に向かって堀之内町までは残雪が一杯、小千谷市でカタクリが満開、長岡市に至っては一輪だに咲き残っていないのである。新潟県の地形の複雑さは勿論だが、とんでもない広さを実感した。
園内の職員の方に聞くと、「2週間前はたくさん飛んでいましたよ」とか、「一日で30頭位見られたかな、でもカタクリが咲き終わるとぴたりと見られなくなるんだ」との事であった。そんな訳で帰り際に長岡駅からのバスの時刻表を頂き、花の咲き具合を毎日のように更新しているHPのアドレスを教えてもらった。上越新幹線を使えば日帰りも可能で、年中無休、そして食堂も完備しているのだから、小さなカメラザック一つでひょいと上野駅から新幹線に乗れば、憧れのカタクリに吸密するギフチョウに出会えるのである。そんな訳で来年の4月中旬に一泊泊まりでやって来ようと夢を膨らませた。無いものねだりのギフチョウは諦め、様々な花をカメラの中に納めようと一周した。何処でもオオイワカガミが咲いていて、雑木林の林床は本当に賑やかである。関東地方の平野部の丘陵地帯しか目にした事のない方には信じられない光景であろう。新潟県の春の山野草の代表はオオミスミソウやカタクリかもしれないが、どっこいオオイワカガミも忘れないでねと言いたいが、こんなにたくさんあったら希少価値も無いのだろう。
一旦、食事をとりに別の散策路まわりで管理事務所に戻って来る途中、関東地方のヤマルリソウよりほんの少し可愛らしいエチゴルリソウがたくさん咲いていた。また、植栽されたものだがオキナグサもちょうど見頃であった。それになんとオオミスミソウの咲き残りが数輪だが見られ、飛び上がって喜びたくなったのは言うまでもない。食事をとって感じの良い自然観察指導員の長岡美人に、「本当に素晴らしい所ですね」と感謝の言葉を述べたら、「サンカヨウを見ました。今日の主役はシラネアオイだけど、私にはサンカヨウだわ」とおっしゃる。サンカヨウ?なんだその花わ!と思ったが、場所を教えてもらって行ってみると、なるほど透き通るような純白の花弁を持った花が寄り集まって咲いていた。そこから少し離れた所に、是非一度出会ってみたかったハルリンドウが美しく咲いていた。これでフデリンドウ、コケリンドウについでハルリンドウにもお目にかかれた訳である。以上、簡単に書き連ねてしまったが、言葉で言い表せない程に素晴らしく美しい山野草の花園なのである。それなのに入園料はたったの300円、頼めばボランティアの方々が花散歩に連れて行ってくれるのである。今までこの「つれづれ観察記」では、かなりオーバーな表現もたまにはあったような気がするが、今日の雪国植物園に限っては、そのような事は一切無い。今日からでも一日百円の積み立てを始めて、是非、来春は雪国植物園へ行って欲しいものである。
<今日観察出来たもの>花/オオミスミソウ、ハルリンドウ、ミズバショウ、キクザキイチゲ、オオバキスミレ、オオタチツボスミレ、ツボスミレ、ナガハシスミレ、マキノスミレ、エンレイソウ、イカリソウ、トキワイカリソウ、ニリンソウ、シラネアオイ、サンカヨウ、ニシキゴロモ、エンコウソウ、エチゴルリソウ、エチゴキジムシロ、オオイワカガミ、ヒトリシズカ、ヒロハテンナンショウ、ウマノアシガタ、シャガ、チゴユリ、オオナルコユリ、クマガイソウ、エビネ、ハルユキノシタ、サワオグルマ、デワタツナミソウ、アズマシロカネソウ、オキナグサ、ユキツバキ、ユキグニミツバツツジ等。蝶/キアゲハ、ギフチョウ、ミヤマセセリ。昆虫/シオヤトンボ、カワトンボ等。
<写真>シラネアオイ、サンカヨウ、エンコウソウ、マキノスミレ、ナガハシスミレ、オキナグサ、オオイワカガミ、エチゴルリソウ、オオミスミソウ、ハルリンドウ、トキワイカリソウ、イカリソウ。
5月4日、新潟県小千谷市山本山高原
昨日まだ明るいうちに六日町温泉国際ユースホステルに無事到着したが、ユース周辺にはまだ雪がかなりたくさん残っているのには驚いた。これではいつも行っている五日町や小出町や堀之内町の山裾は残雪で一杯だろう。積もった雪が溶けて初めてカタクリや各種スミレ等の山野草の芽が出て花咲くのだから、当初の予定を変更せねばならない。ユースの方に聞くと何と19年ぶりの大雪であると言う。昨日、赤城山でヒメギフチョウを撮影したので、今日はカタクリに吸密するギフチョウをととんでもない欲望を持ったのが運の尽き、あっちへ行っては眉をしかめ、こっちへ行っては眉をしかめるの連続であった。花虫さんだけにそんなに良い思いを連続してあげませんよと言う事なのだろう。まず最初に越路町の桝形山自然公園へ行って見た。ここまで平野に降りて来れば残雪はなかろうと思ったのだが、逆に降り過ぎてしまって樹木の芽吹きがだいぶ進んでいた。これではカタクリは咲き終わっていると、今度は毎年行く小出町、堀之内町へ戻ったが、こちらの方は六日町より雪が残っていて、日陰になる田んぼまで真っ白である。毎年訪れてキクザキイチゲ、イカリソウ、ミヤマカタバミ等を撮影する小出町の杉林は、なんとまだ20p以上の残雪
が残っている。昨年、ミズバショウやイワナシや様々なスミレを撮影した堀之内町の林道も物凄い残雪の量である。
これは本当に困ったと考え込んでしまったが、堀之内町と越路町の中間の所へ行けばちょうど良い加減だろうと、かつてギフチョウが多産した小千谷市の山本山高原に行くことにした。しかし、山本山の山頂へ通ずる林道は入り口で進入禁止となっている。残雪の量が多いからかなと思ったが、地元の方によると去年の中越大震災で道路が陥没したり路肩が崩れたりして危険であるためだと言う。この辺りは地震の時は道路が寸断されて4日間も閉じ込められたと言うことであった。そう言えば関越自動車道も路面がかなり悪かったし、ガイドレールやセンターラインが曲がっていたり、各所に土嚢が積み上げられて土砂崩れの応急処置がなされていた。そこで車を林道入口に停めて登って行くと、やっとカタクリの群落に出会うことが出来た。ギフチョウが飛んでいないかなと辺りを見回したが、そんなにうまく行くわけはない。カタクリが咲いているとは言っても各所に残雪が残っているのだから、羽化したくとも羽化できないギフチョウがたくさんいる筈である。以前にもそんな年があったが、こん
な年はどのような具合にギフチョウが羽化して来るのだろう。雪が溶けた場所から順次だらだらと発生するのであろう。しかし、そんな事をしていたら交尾の相手が見つからずに、翌年は発生数が激減してしまうのではないかと心配である。
カタクリをカメラに無事納めて更に登って行くと、キクザキイチゲ、オオバキスミレ、スミレサイシン、エンレイソウ、イカリソウ、イワナシ、オオイワカガミ等が次々に現れた。また、雪国ならではのユキツバキも満開である。しかし、足場が悪い所にあったり絵にならなかったりして撮影出来ずに肩を落とす。それでも新潟まで来てこれ等の花に出会えなかったらと考えると、見られただけでもとても有難い事であると思い直した。林道は地元の方が言われたように、各所に亀裂が入り路肩は崩れていて、去年の中越大震災の被害をまざまざと目前にした。所々にある山間部の田んぼの地震による被害も甚大で、これを今まで通りの田んぼに戻すのには並大抵の事では無いと思われた。もう止めた、違う仕事につきたいと思う方も多いのではなかろうか。今は生活に必要な道路や建物等は復旧して何事も無かったようにも感じられるが、後回しになっている林道や山間部の田んぼ等が完全に元通りになるのには、少なくとも10年はかかるだろうと思われた。林道を更に登り詰めると広々とした平らな場所に出たが、ここは一面の銀世界であった。ただ南に面した路傍の斜面は雪が溶けていて、やっとフキノトウやツクシが生え出していた。やはり新潟は雪国だったのである。
<今日観察出来たもの>花/カタクリ(写真中左)、キクザキイチゲ(写真下右)、オオバキスミレ、スミレサイシン(写真中右)、ナガハシスミレ、エンレイソウ、イカリソウ、イワナシ、オオイワカガミ、フキノトウ(写真下左)、ツクシ(写真上右)、タムシバ、ダンコウバイ、クロモジ、ユキツバキ等。蝶/ルリシジミ。鳥/ヒバリ、コチドリ等。その他/オニグルミの芽吹き(写真上左)等。
5月3日、群馬県勢多郡赤城村深山モロコシ山
昨日、午後3時まで自宅にいたのだが仕事の用は何もないようなので連休の遠征に向け出発した。環状8号線が渋滞するかと思ったが、意外にスイスイ走って拍子抜けしてしまった。関越自動車道もすいていて、これなら六日町温泉国際ユースホステルまで今晩中には着けるかなと思ったが、今回の遠征の初日は関東地方で唯一のヒメギフチョウの産地である赤城山に寄ることになっていたので、途中のパーキングエリアで昼寝をしたりして、今晩やもうえなく車の中でビバークする赤城高原サービスエリアに夜の8時に到着した。ここまで標高が上がるとやはり気温は低く、車の中での宿泊は相当の厚着をしないと風邪を引いてしまうかなと思い、防寒具を着込んで布団の中に潜り込んだ。今日のサービスエリアは物凄く混んでいて騒々しくて眠れないかなと思ったが、朝の7時30分まで熟睡してしまった。日頃のハードな道端自然観察の疲れが溜まっていたようである。そんな訳で体調は絶好調で、モロコシ山山麓にある赤城キャンプ場へ向かった。モロコシ山とは変な名前というか覚えやすい名前というか、いずれにしても地図には載っていないが、赤城キャンプ場へ行けば登山道が分かる筈である。
今年は藤野町の石砂山で思う存分ギフチョウを見たので、今度はヒメギフチョウを観察に行こうと思い立ったのだ。ヒメギフチョウは八ヶ岳の茅野側の沢に入り込めば何処でもたくさん観察出来る事は知っていたが、この連休に泊まれる宿も無いであろう。しかし、日本でも最大級規模の六日町温泉国際ユースホステルなら、オフスキーシーズンと言う事もあって絶対に泊まれるのである。そんな訳で関越自動車沿いでヒメギフチョウが観察出来る所は赤城山しか無いと立ち寄る事にしたのだ。もう何年も前に行った時は生憎の天気で見られなかったが、地元の方々の熱心なヒメギフチョウ保護の活動が続けられているので、個体数も増えてかなり期待出来るのでないかと思ったのである。キャンプ場の駐車場は満車状態だったが、そんな私の期待に応えるかのように一箇所空いていてほっとした。駐車している車のナンバーを見ると群馬ナンバーが殆どであった。
駐車場を後にして目指すモロコシ山を望むと、ちょうど石砂山位の高さである。ことによったら石砂山のような心臓破りの登りがあるのかなと気になったが、登
山道はかなり整備されていて危険は無さそうである。しばらく登って行くとヒメギフアチョウの食草であるウスバサイシンがたくさん見られた。どれもこれも若葉でとても美味しそうに見える。また、その花だがカンアオイの仲間に比べて丸っこくて地面より上に咲いているからとっても美しい。この花を見られただけでも来た甲斐があったと三脚を立てて慎重に撮影した。こんなにウスバサイシンがあるのなら、ヒメギフチョウは必ず見られる筈だと足を早めると、雑木林の中に日当たりの良い平坦な登山道が現れた。ここにはきっとお出ましになるぞと期待したら、案の定2頭もお出ましになった。なんだか一月前に石砂山で見た光景と感激が舞い戻って来たようである。芽吹き始めた雑木林、ダンコウバイ、アブラチャン、クロモジの花、登山道脇には様々なスミレも咲いている。
頂上の方から下って来る二人組みのご婦人がいたので、「頂上は後どのくらいですか? ヒメギフチョウはいましたか?」と聞くと、頂上までもう少しで、ヒメギフチョウがたくさん見られましたよと言う事で嬉しくなった。どうやら石砂山より楽々頂上に行けそうである。石砂山でもそうだが頂上に一番ヒメギフチョウが集まっているのではないかと思って足を早めたが、頂上直下の斜面にもかなり多くのヒメギフチョウが飛んでいた。頂上に着くとヒメギフチョウ保護に活動している方々がみえていたので、「お蔭様でヒメギフチョウに会えました」と感謝の言葉を述べた事は言うまでも無い。もし、地元の方々の汗水たらした保護活動が無かったら、ヒメギフチョウは絶滅していたに相違ない。と言う事は関東地方からヒメギフチョウが絶滅した事ともなるのだ。一月前に行った関東地方唯一のギフチョウの生息地である石砂山、そして関東地方唯一のヒメギフチョウの生息地であるモロコシ山、ともに地元の方々の保護活動があってこそ絶滅から逃れたと言う訳である。
今年はそんなギフチョウ、ヒメギフチョウを続けて見られて、この世の中で私はなんと幸せ者なのかとつくづくと思った。保護活動をなさっている方々がおっしゃるには、「今年は発生数が多くて、例年なら5頭前後しか見られないんですよ」との事であったから、ますますその感を強くした。「100年先、いや1000年先もヒメギフチョウが見られたら良いですね」と、保護活動の方々にそう述べた事は言うまでも無い。「これからはもっと下のキャンプ場あたりまでヒメギフチョウが見られるようにしたい」と言われていたので、命ある限りヒメギフチョウに会いに来られると思うと益々嬉しくなった。まさに地元の地道な保護活動に、感謝、感謝のとても楽しい充実した一日となった。
<今日観察出来たもの>花/タチツボスミレ、ニオイタチツボスミレ、アカネスミレ、シコクスミレ(写真下左)、ヒゴスミレ(写真下右)、ヒトリシズカ、ウスバサイシン(写真上)、オオヤマザクラ等。蝶/ヒメギフチョウ(写真中)、キアゲハ、コツバメ、ミヤマセセリ等。
5月1日、東京都町田市小野路町
いよいよ風薫る5月に入った。今日は花曇りの天候で撮影には最適だが、相変わらず鯉のぼりのために風が強い。今日はキンラン、ギンラン、エビネ、クマガイソウと野生のラン尽しで頑張ってみようと思ったのだが、相当風に悩まされてしまった。もっとも風にもびくともしないハルシメジやタマノカンアオイの花も撮影した。昆虫では、ヒメウラナミジャノメ、コミスジ、ダイミョウセセリ、ヤマサナエ等、入れ替わり立ち代わり現れて、5月入ったら4月の馬鹿騒ぎのようなフィールド行きは控えるつもりでいたが、こんなに見るもの撮るものがあるのだから堪らない。どうしてこんなに道端自然観察及び写真撮影が楽しいのか説明できないものの、まあ、生まれ持った性格なのだろうと諦める事にした。詳細は
「小野路図師紀行」をご覧下さい。
<今日観察出来たもの>花/キンラン、ギンラン(写真上右)、エビネ(農家の庭にて)、クマガイソウ(農家の庭にて)、タマノカンアオイ(写真上左)、ウラシマソウ、フデリンドウ、イチリンソウ、ニリンソウ、ムラサキケマン、スミレ、ビオラソロリア、ミツバツチグリ、ヘビイチゴ、レンゲソウ、カラスノエンドウ、カントウタンポポ、ムラサキサギゴケ、トキワハゼ、カキドオシ、ケキツネノボタン、タガラシ、ミズキ、ヤマツツジ、ハナミズキ、サヤエンドウ、ダイコン、ネギ坊主、ブルーベリー等。蝶/キアゲハ、ヒメウラナミジャノメ、コミスジ、ダイミョウセセリ、ベニシジミ等。昆虫/ヤマサナエ、シオヤトンボ、シモフリコメツキ、ヒメクロオトシブミ等。キノコ/ハルシメジ、キツネノワン、キツネノヤリタケ等。