東京23区内道端自然観察館
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東京23区内は誰もが認める都市化が最も進んだ地域である。しかし、かなりの生き物が頑張って生活していることも確かである。
そんな特異な地域で生き物達を見つけて、美しい写真が撮れたらどんなに素敵な事だろう。横浜に住んでる人間がわざわざ出掛
けて行くのもおかしいが、前からとても興味があったことなのでスローペースでやり始めてみる事にしました。


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2005年6月29日、東京都板橋区都立赤塚公園〜区立赤塚植物園











板橋区立赤塚植物園入口/赤塚公園沖山地区入口/道路案内板/ガクジサイ











クチナシ/シモツケ/ワルナスビ/ヤブカンゾウ











ハキダメギク/ヤブガラシ/ヒメコウゾの実/サルナシの実











キノコ(種名不明)/キノコ(種名不明)/ノシメトンボアキアカネ











ルリタテハ/ホタルガ/カノコガ/ハエ(種名不明)











チャバネアオカメムシ/エサキモンキツノカメムシ/ウズラカメムシ/セマダラコガネ











コフキゾウムシ/クロウリハムシ/サンゴジュハムシ/オカダンゴムシ

 今日は午前中は雨、午後は曇りということで、ここしばらく続いた真夏日はお陰様で一旦中断した。東京23区内道端自然観察も、大所は後僅かを残すのみとなった。7月、8月は遠征やら夏休みやらで、今までのような月2回のペースでは行けない事だろうし、真夏の東京23区内は、見るもの撮るものも少なくなってしまう。そこで今日は板橋区の都立赤塚公園へ行った。北側の斜面緑地沿いに細長く続く公園で、全てを歩く事は出来なかった。所々、斜面緑地を登って行く散策路があって登ってみたものの、今日はかなりのキノコが生えていたが、たたずむと薮蚊の猛攻にあって耐えきれずに降りて来た。公園の左端は赤塚溜池公園と名称が変わり、その名の通り溜池があり梅林もあって、多くの方々が釣りをしていた。その隣には小さいながらもトンボ池もあった。ここには立派な板橋区立美術館もあって、正面入口の石畳みでルリタテハがテリトリーを張っていた。また、近くに有名な区立赤塚植物園があったので、これは立ち寄らなくてはと行ってみた。こじんまりとしているが手入れが行き届き、少数だが数多くの植物が植栽されているのには驚いた。しかも、アキアカネ、ノシメトンボがたくさんいて、ヤブカンゾウ、ノカンゾウの蕾に止っていた。それはまるで高原のニッコウキスゲの蕾に止っているかのようで、かなり情緒溢れる思いに浸る事が出来た。。今日は午前中は雨で仕事をし、午後のなんと1時からの短時間の散策となったが、季節が良くじっくり歩けばかなり期待できる公園である事が分った。また、区立赤塚植物園だけでも、本当にたくさんの見るもの撮るものが一杯であった。「板橋区なんて」と初め考えていたが、行ってびっくり見てびっくりの半日となった事は言うまでもない。

<今日観察出来たもの>花/アジサイ、ガクアジサイ、キンシバイ、クチナシ、シモツケ、キキョウ、ワルナスビ、ヒメジオン、ヤブカンゾウ、ヤブカラシ、ハキダメギク、ハンゲショウ、ドクダミ、ムラサキカタバミ、ツユクサ、ネジバナ等。蝶/アゲハ、アオスジアゲハ、モンシロチョウ、サトキマダラヒカゲ、ルリタテハ、ルリシジミ、ヤマトシジミ。昆虫/カノコガ、ホタルガ、ノシメトンボ、アキアカネ、オオシオカラトンボ、アオメアブ、シオヤアブ、マガリケムシヒキ、コフキゾウムシ、セボシジョウカイ、サンゴジュハムシ、テントウムシ、クロウリハムシ、セマダラコガネ、ホソヒラタアブ、ヒメヒラタアブ、チャバネアオカメムシ、エサキモンキツノカメムシ、ウズラカメムシ等。その他/ミズキの実、ヒメコウゾの実、サルナシの実、アラゲキクラゲ、ヒトヨタケの仲間、テングタケの仲間、ツノマタタケ、オカダンゴムシ等。


2005年6月21日、東京都世田谷区都立砧公園











都立砧公園入口/ゼラニュウム/ドクダミ/ミズキの実











サトキマダヒカゲ/ヒカゲチョウ/シオヤアブ/マガリケムシヒキ











シロコブゾウムシ/セボシジョウカイ/テントウムシ/キッコウアワタケ?

 平地産ゼフィルスばかりを追いかけていたので、東京23区内の公園巡りが遅れに遅れて今日となってしまった。そこで世田谷区の公園へ行こうと、いろいろ地図で探してみたが、環境が良く面積も大きい区としては手頃な公園がない。面積的には砧公園が一番なのだが、環状8号線から覗いた雰囲気では、植樹は多いものの平坦で芝生の多い自然観察には不向きな公園に思えた。しかし、面積が広いんだから探せば何かしらあるだろうと出かけてみたが、ここはやはり家族連れでピクニックを楽しむ公園である事が分った。おまけに梅雨のシーズンだというのに陽が射し、風も強かったことも手伝って、残念ながら何でも屋でもお手上げとなった。それでも今日観察して嬉しくなったものがある。シロコブゾウムシとテングチョウだ。前述したように公園に到着して、これは駄目だなと思ったのだが、ニセアカシアの幹になにやら這っている昆虫がいる。近寄ってみるとなんとシロコブゾウムシではないか。思わず笑みがこぼれたのは言うまでもない。シロコブゾウムシはハギやクズ等のマメ科植物が大好きだから、同じマメ科のニセアカシアにいてもおかしくない訳だが、それにしても高木にいるとは新発見であった。また、帰り際に路傍にタテハチョウ科らしき蝶が舞っていた。こんな自然度の低い公園ではキタテハだろうなと思ったが、なにやら小型で茶褐色である。これまた近寄ってみたら、なんとテングチョウであった。テングチョウは20年位前から勢力を拡大している蝶であるが、まさか砧公園のしかも環状8号線に近い場所にいたのには驚いた。私が子供の頃は高尾山等の低山地に行かなければ観察出来なかった蝶なのだから、この勢力拡大は嬉しいような、あるいは何らかの地球環境の悪化なのかと危惧もされる。以上、今日の砧公園はさんざんな目にあった訳であるが、都内では珍しい広々とした公園であるのは事実で、植栽された樹木も大きく育って木陰を作り、おまけにウッドチップが敷き詰められているから、雨が降り続ければキノコに関しては期待できるかもしれない。また、スミレの仲間の葉が各所に見られたので、春ならば園芸品種の花も含めてそれなりには楽しめそうであった。

<今日観察出来たもの>花/アジサイ、ガクアジサイ、ヤマボウシ、キンシバイ、ビョウヤナギ、アメリカデイゴ、バラ、ドクダミ、ムラサキカタバミ、カタバミ、トキワハゼ、ツユクサ、ネジバナ、シロツメクサ、オニタビラコ、ゼラニュウム等。蝶/アゲハ、クロアゲハ、アオスジアゲハ、モンシロチョウ、キチョウ、テングチョウ、サトキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、ルリシジミ。昆虫/シオヤアブ、マガリケムシヒキ、シロコブゾウムシ、セボシジョウカイ、サンゴジュハムシ、テントウムシ、ホソヒラタアブ、コガタスズメバチ等。その他/ミズキの実、トチノキの実、アワタケ、ニオイコベニタケ等。


2005年5月26日、東京都杉並区都立和田掘公園











和田堀公園/ハコネウツギ/セリバヒエンソウ/ヘビイチゴ











イチモンジセセリ/アカスジキンカメムシ/クヌギカメムシ/ホシハラビロヘリカメムシ











クマバチ/ナナホシテントウ/テントウムシ/ムーアシロホシテントウ











テントウムシの仲間の卵/小型テントウムシの仲間の蛹/小型テントウムシの仲間の羽化/ワカバグモ

 今日は前々から杉並区の公園へ行こうと考えていた。そこでネットで調べてみると、善福寺公園、善福寺川緑地、和田掘公園と善福寺川の上流から続いている。これをすべてつないで散策すれば良いのだが、かなりの距離がありそうだ。そこで大宮八幡宮に隣接する和田掘公園が、一番樹木が生い茂っていそうという事で行ってみることにした。京王井の頭線の永福町からバスということで交通の便はあまり良くないものの、閑静な住宅街の中にあった。まずは鬱蒼とした大宮八幡宮周辺を歩いてみたが、キノコの季節には一度は訪れて見たいと思わせる雰囲気があった。昆虫では日陰になった林縁とも呼んで良さそうな小道脇に、アカスジキンカメムシやクヌギカメムシを発見した。東京都23区内を散策する事にして半年経つが、稀少種や多摩丘陵に自生あるいは生息しないものに出会うことはないものの、ここにもあったのここにもいたのと思わせる植物や生き物に出会って認識を新たにする場合が多くてとても楽しい。次にカワセミがいる公園として野鳥観察案内書にも載っている和田掘池に行ったが、ここが杉並区と疑いたくなる程の自然度豊かな所であった。もちろんカワセミ狙いの方がカメラを構えていて、石神井公園と同じで池の中に生簀が設えてあった。この池にいるクチボソが中に入っているとのことだ。写真撮影をしている方に聞くとカワセミは2羽いるという。しばらくカワセミが止る風情ある池に差した木の枝の方を見詰めていると、なんと新鮮なゴマダラチョウが気持ち良さそうに飛んで来た。ここにもゴマダラチョウがいるんだと、その生命力に接して嬉しくなった。もちろん池の中には入れないからその周辺の散策という事になったが、各種のテントウムシの羽化の季節のようで、羽化したてのものをたくさん観察した。今日は天気もピーカンであったし、また、季節の端境期であったために貧果ではあったが、時期を選べば下草こそかなり綺麗に刈ってある事は否めないものの、善福寺公園からここまで素晴らしい散策地である事が分った。

<今日観察出来たもの>花/ハコネウツギ、スイカズラ、ユリノキ、クルメツツジ、カルミヤ、コゴメウツギ、ウツギ、シャリンバイ、トベラ、バラ、エゴノキ、コウホネ、キショウブ、セリバヒエンソウ、アカバナユウゲショウ、アメリカフウロ、ハルジオン、シロツメクサ、オニタビラコ等。蝶/アゲハ、ゴマダラチョウ、サトキマダラヒカゲ、コジャノメ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ。昆虫/ウンモンスズメ、ユウマダラエダシャク、アカスジキンカメムシ、ホシハラビロヘリカメムシ、ホウズキカメムシ、クヌギカメムシ、オオシオカラトンボ、テントウムシ、ナナホシテントウ、ムーアシロホシテントウ、トホシテントウ、コフキゾウムシ、ヒメマルカツオブシムシ、クマバチ、ホソヒラタアブ等。鳥/カワセミ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ムクドリ、スズメ等。


2005年5月12日、東京都荒川区荒川自然公園











荒川自然公園入口/都営荒川線の電車/荒川二丁目駅/園内の道標











ヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)/サンザシ/エゴノキ/カルミヤ











バラ/シャリンバイ/ウツギ/ハマナス











種名不明/トベラ/ピラカンサ/エニシダ











シラン/ジシバリ/コツブツメクサ/ニワゼキショウ











シロツメクサ/トキワハゼ/カラタチの実/ヘビイチゴの実











タンポポの綿毛/キツネタケ?/ホソヒラタアブ/ナミホシヒラタアブ











ヒメマルカツオブシムシ/ゾウムシの仲間/スグリゾウムシ/アブラムシの仲間

 今日は東京都に唯一残る都電に乗って、荒川二丁目駅で降りて荒川自然公園へ行った。発車する時にチンチンと鳴らすから、まさにチンチン電車である。早稲田と三ノ輪橋の間を走っているのだが、乗っているだけで花散策が出来る素晴らしい路線である。今日は色とりどりのバラが線路の両脇に咲いていて実に見事であった。アジサイの季節もお勧めで、途中、飛鳥山や古川庭園、そして今日訪れた荒川自然公園等を巡れば、都内でも情緒ある花散歩が楽しめる事請け合いである。是非とも昔懐かしいチンチン電車に乗って、一日たっぷりと楽しんで欲しい。さて今日行った荒川自然公園だが、人工的に造られたものとはとても思えない程緑一杯で、チャンチン、アキニレ、クマシデ、ウツギ、イボタ、ハンノキ、コクサギ、カマツカ等、野山で観察出来るほとんどの樹木が植栽されていて、冬芽観察もとても楽しそうである。また、散歩していた人の話では、一年中花が絶える事がなく、何かしらが咲いているとの事であった。今日見られた花の中では、樹木ではヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)が筆頭で、ドイツ文学に良く登場したサンザシの花にも初めて出会った。また、暖かいのかエゴノキも見頃で、園芸品種だがカルミヤがとて美しかった。草本植物としてはシランが見頃で、池にはスイレン、アヤメ、キショウブ、カキツバタが咲いていた。このように花はたくさんカメラの中に納めたので昆虫を探したが、今日は曇り日で気温が低く、蝶では僅かにアゲハ、ヤマトシジミを各々一頭ずつ観察したのみであった。甲虫ではスグリゾウムシがいたのには驚いた。また、東京の公園の常連たるナミホシヒラタアブ、ホソヒラタアブがたくさんいた。見られる昆虫は少なそうだが、なんと園内にカブトムシを中心とした昆虫観察園と、あの国蝶オオムラサキが見られるオオムラサキ観察園があるのには驚いた。季節になったら是非一度訪ねて欲しい。

<今日観察出来たもの>花/クルメツツジ、オオムラサキツツジ、カルミヤ、ヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)、サンザシ、ウツギ、シャリンバイ、トベラ、ハマナス、バラ、エゴノキ、エニシダ、ピラカンサ、シラン、スイレン、アヤメ、キショウブ、カキツバタ、シャガ、キュウリグサ、セイヨウタンポポ、ホトケノザ、カラスノエンドウ、ハルジオン、ジシバリ、シロツメクサ、コツブツメクサ、オニタビラコ、ニワゼキショウ、トキワハゼ等。蝶/アゲハ、ヤマトシジミ。昆虫/スグリゾウムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ナミホシヒラタアブ、ホソヒラタアブ等。鳥/ハシブトガラス、ムクドリ、スズメ等。キノコ/カワラタケ、キツネタケ(?)等。


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