横浜市戸塚区

舞岡公園散策手帳
(第3集)




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2005年6月23日、横浜市戸塚区舞岡公園

 ゼフィルスの観察に好適な舞岡公園ではあるが、そろそろその姿は見られなくなり、いよいよ夏の昆虫へバトンタッチの季節を迎えつつある。そんな訳で今日は左程の目的があった訳ではないが、7月、8月はとても暑い事もあって遠征も多くなり、この舞岡公園散策手帖も月2回位に減らそうと思っているが、今月は月4回のペースを完結させたいこともあって出かけてみた。そんな訳で今日は何でもござれであったが、先ず最初に発見したのは瓜久保の田んぼ脇で羽化しているオオシオカラトンボであった。到着したのが午前10時30分と遅かったのだが、朝の内は雨が降っていたので、トンボの羽化も遅れたようである。田んぼ脇と言っても水際から1メートル以上は離れた場所で、立掛けられた柱の50センチ程の高さであるから、ヤゴにとっては大旅行であったに違いない。後からやって来た新百合ヶ丘のほしみすぢさんの奥様が、「蝶もそうだけど、こんな小さな身体のヤゴからこんなに大きなトンボが出て来るなんて不思議ね」と言われていたが、写真を見れば分るようにその通りなのである。一まず90ミリマクロレンズで撮影したが、車に取って返してシグマの24ミリをカメラに装着して広角接写を試みた。いつか瓜久保のシンボル、いや舞岡公園のシンボルとも言える火の見櫓を入れた昆虫写真を撮ってみたいと思っていたからである。しかし、火の見櫓を入れると邪魔臭いものも入って、写真のように瓜久保の家のみ入れて撮ることとなった。去年はみんな元気だったからここで「弁当を食べる会」を何べんも開いたが、今年は身体が不調の方、介護にほとんど時間をとられている方もいて一度も開いていないが、命さえあればまた開けるので、その日が来るのをじっくりと楽しみに待とうではないかと思った。
 もうゼフィルスは見られないのではと思ったが、今日も瓜久保でオオミドリシジミ、ミドリシジミの雌が見られた。河童池の方へ足を進めると2匹のウサギが跳ねている。一匹は純白、もう一匹は黒いが首のあたりだけに白いスカーフを巻いている。ちゃわんむしさんの報告で知っていたが、飼いきれずに舞岡公園へ放したのだろう。本当に可愛そうなウサギである。小野路だったらオオタカにすぐに食べられてしまった事だろう。舞岡公園には幸いにもオオタカはいないようだが、時折、フクロウが飛んでくるらしいし、猫や犬だって来るのだからいつか食べられてしまう事になるのだろう。もし、この観察記を見てウサギを飼いたいという方があったら、是非、事務所に連絡して愛の手を差し伸べてやって欲しいものである。そんなウサギにしばし見とれたが、河童池横のキノコの穴場には舞岡公園では珍しい大型のツルタケダマシが生えていた。また、ヤマイモのムカゴのようなショウロもたくさんあった。
 瓜久保の散策が終了すると、今日の観察目的の筆頭としているスズメバチに擬態したトフカミキリを探しに行った。しかし、時々小雨降る天候のためか観察することが出来なかった。しかし、トラフカミキリはその擬態効果のためか、これから夏の終わりまで長い間見られるから、そのうち登場させる事が出来るだろう。小谷戸の里へ行くと早くもリョウブの花が咲きだしていて、様々な蝶が吸蜜に訪れている。リョウブはクリと同じように蝶の大好きな花なのだ。私たちは梅雨の花と行ったらアジサイやハナショウブを思い出すが、これらの花は蝶や昆虫達にはなんの魅力も無いらしい。そんな訳でしばしリョウブの花に集まる昆虫を観察していると、たくさんいるキマダラセセリに混じって、トラフシジミの夏型が2頭も吸蜜していた。トラフシジミは開発の進んだフィールドにもいるのだが、かと言って自然度の高いフィールドであってもその数がとても少ないという、とっても謎めいた不思議な蝶なのである。だからその撮影はとても難しく、今日もなんとか撮影したかったのだが、300ミリはあるレンズを持ってこないと大きくは写せない場所から離れないので、無念の涙を飲んだ。今日はこの他、久しぶりに出会った舞岡のファーブルさんこと野庭のTさんに、氏が見つけたアカボシゴマダラの幼虫を見せて貰った。親戚筋であるオオムラサキやゴマダラチョウと同じような格好をしたものだと思ったが、やっぱり良く似ているがその角はかなり細くて突起がたくさんあった。これと言った目的も無く、時折、小雨に見舞われたが、舞岡公園は梅雨明けまで曇り日であるならば、まだまだ見るもの一杯、楽しさ一杯の道端自然観察が続けられると確信した。

<今日観察出来たもの>花/アジサイ、シモツケ、ドクダミ、ヒルガオ、ツユクサ、カタバミ、イモカタバミ、ミヤコグサ、アカツメクサ(写真上左)、ムラサキシキブ等。蝶/モンキアゲハ、アオスジアゲハ、スジグロシロチョウ、テングチョウ、ルリタテハ(写真下右)、キタテハ、コミスジ、イチモンジチョウ、ヒカゲチョウ、サトキマダラヒカゲ、トラフシジミ、ミドリシジミ、オオミドリシジミ、アカシジミ、ウラゴマダラシジミ、ルリシジミ、ツバメシジミ(写真中右)、ヤマトシジミ、ベニシジミ、キマダラセセリ(写真下左)等。昆虫/トンボエダシャク、カノコガ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ショウジョウトンボ、ウスバキトンボ、ギンヤンマ、ルリハムシ、オジロアシナガゾウムシ、テントウムシ、チャバネアオカメムシ、ツチイナゴ、オオシオカラトンボの羽化(写真中左)等。鳥/カワセミ、ホトトギス、ウグイス、カルガモ等。キノコ/ツルタケダマシ、ドクベニタケ、アミスギタケ、アンズタケ、コキララタケ、イタチタケ、ヌナワタケ、アラゲキクラゲ、キクラゲ、ツノマタタケ(写真上右)、シロソウメンタケ、ショウロ等。その他/ヒメコウゾの実、ナシの実、カラタチの実等。


2005年6月17日、横浜市戸塚区舞岡公園

 そろそろ平地におけるゼフィルス観察の終期を迎えつつある。今日は無常なる2日間連続の雨の後、平地産ゼフィルス6種の最終ランナーであるミドリシジミを探しに舞岡公園へ行った。到着して河童池の方に上って行くと、サワグルミの生えている辺りの小道を隔てて反対側の路傍に、すぐに羽化したての新鮮なミドリシジミを発見した。生憎羽は開いていなかったが、今日は曇り日の午前中だからじっと静止ししていて、撮影はとても容易かった。もしも晴れていたら午前10時と言えども、ハンノキの梢高くに飛翔していて下草には降りていなかった事だろう。更に近づいて撮影しようと思ったら、三脚の脚が下草に引っかかり、ミドリシジミは離れたハンノキの葉に止ってしまった。これはしまったなと思ったが後の祭りである。それでも他にミドリシジミがいないかと河童池周辺を散策して発見出来ずに下りて来ると、火の見櫓の方から寒川山ちゃんではなく、茅ヶ崎の山ちゃんがにこにこしながらやって来た。「今日は何を見に来たんですか?」と聞くと、ミドリシジミを探しに来たのだと言う。そこで「ほらあそこに止っていますよ」と、三脚の足を伸ばして指し示すと、「キャー、本当だわ、神奈川県でミドリシジミが見られるなんて」と感激の声を上げる。見ると茅ヶ崎の山ちゃんのレンズは300ミリの望遠ズームレンズだから、充分にミドリシジミを大きく捉える事が出来る。さっそく撮影にかかったので、お邪魔しては何だと丘を越えて狐久保へ行って帰って来ると、「羽を閉じたり開いたりしましたよ」との事で、びっくりした。野鳥撮影用の機材で撮ってる方の液晶ディスプレイを見ると、緑色に光る羽を開いた美しいミドリシジミが写っていた。ミドリシジミはまだ同じ場所にじっと止っている。こんな時の為に野鳥撮影用の機材を持ってこなかったのが何故と悔やまれる。そうこうしているうちに、また別の葦の葉に止っているミドリシジミを発見したので、茅ヶ崎の山ちゃんに、「ここにもいるよ」と大声で叫んだ。そんな訳で、その後の瓜久保は茅ヶ崎の山ちゃんに任せて、谷戸奥まで一周して弁当を食べようと戻ってくると、まだ茅ヶ崎の山ちゃんは瓜久保にいた。「その後、何か見ましたか?」と聞くと、「オオミドリシジミとアカシジミを見ました。オオミドリシジミは私のズボンに止ったんですよ」と、とても嬉しそうである。その後、舞岡のファーブルさんこと野庭のTさん、舞岡コウチュウさんがやって来たので、まだいるかなと行ってみるとミドリシジミは同じ場所に静止していた。その後、ウラゴマダラシジミの雌がやって来て羽を開いたので、また大声で、茅ヶ崎の山ちゃん、野庭のTさん、舞岡コウチュウさんを呼び寄せた。その次にはなんとオオミドリシジミの♀がやって来て羽を開いたので、私は食事に熱中していたので、またまた茅ヶ崎の山ちゃん、野庭のTさん、舞岡コウチュウさんを呼び寄せた。こんな具合で今日の天候はゼフィルスを観察し撮影するのにぴったりの日和であった。しかし、午後になると曇り日とはいえ、午後4時になって2組のミドリシジミが卍飛行を開始するまで、ゼフィルスの姿は1頭だに観察出来なかった。話によると今年、ウラナミアカシジミを工務店マスターさんが観察しているというから、なんと舞岡公園には平地産ゼフィルス6種の全てが生息していることになる。これはとっても素晴らしい事で、数多くある有名な緑地や公園においても、一種は欠けるという事が多いから、この全て揃って見られると言うことは、舞岡公園の生物多様性の真価を高めていると言っても過言ではなかろう。いつまでもこの平地産ゼフィルス6種がすべて観察出来る事を願って止まない。もしこの観察記を読んで、是非、舞岡公園へ行ってみようと思われる方があったら、曇り日の午前中、しかも風が無い日にというキーワードをしっかりと胸に刻み込んで挑戦して欲しい。そうでなければ無念の一日となって、この私が嘘つきおやじとなってしまう事だろう。また、どうしても写真に撮りたいと言う方は、中望遠マクロレンズ以外に出来るだけ最短撮影距離の短い300ミリはあるレンズを持参すると、そのチャンスはぐっと広がる筈である。以上、今日はゼフィルス一色の観察記となってしまったが、これでお終いとさせて頂く事にした。

<今日観察出来たもの>花/アジサイ(写真上左)、シモツケ、ドクダミ、ヒルガオ、ツユクサ、カタバミ、イモカタバミ、アカツメクサ、ムラサキツユクサ、ムラサキシキブ、クマノミズキ等。蝶/モンキアゲハ、キアゲハ、アゲハ、キチョウ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、テングチョウ、ルリタテハ、ヒメアカタテハ(写真中右)、キタテハ、コミスジ、イチモンジチョウ、ヒカゲチョウ、サトキマダラヒカゲ、ヒメジャノメ、ミドリシジミ(写真中左)、オオミドリシジミ、アカシジミ、ウラゴマダラシジミ、ルリシジミ、ベニシジミ、ダイミョウセセリ等。昆虫/トンボエダシャク、カノコガ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ヤツメカミキリ(写真下左)、ヒメヒゲナガカミキリ、カツオゾウムシ(写真下右)、コフキゾウムシ、マダラアシゾウムシ、オジロアシナガゾウムシ、ヒメカメノコハムシ、テントウムシ、オオヒラタシデムシ、アカスジキンカメムシ、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、ヤマトシリアゲ等。鳥/カワセミ、ホトトギス、ウグイス等。キノコ/ニオイコベニタケ(写真上右)、アミスギタケ、アンズタケ、キツネタケ、ヒナノヒガサ、ヌナワタケ、イヌセンボンタケ、アラゲキクラゲ、キクラゲ等。その他/ヤマグワの実、ヒメコウゾの実、ナシの実、カラタチの実等。


2005年6月8日、横浜市戸塚区舞岡公園

 今週はどうしても片付けなくてはならない仕事もないし、今週末の金曜日から曇り時々雨の日が、まるでエンドレスのように続くらしい。オレンジ色の太陽マークが一週間も何処にも見えないのだから、いよいよ本格的な梅雨入りという事なのだろう。また、今日は待ちに待った一日中曇り日と予報されていたので、間隔的には短過ぎるが、ゼフィルスが落ち着いて葉上に止っている筈と思い出かけることにした。しかし、そんな思惑は見事に外れて、薄日射す気温の高い日となった。しかし、昨日に比べれば雲も多い筈、鎌倉のNちゃんは昨日そんな中で涎の出そうなウラゴマダラシジミが羽を開いて美しい青紫色の斑紋をみせる写真を撮ったのだから、今日もそのチャンスは充分にある筈である。今まで何べんともなく書いたが、蝶の写真に関しては長年のキャリアよりも運が左右するので、この道17年の私だが、そうやすやすとは行かないことは分っている。しかし、ウラゴマダラシジミが羽を開いている写真は一度しか撮影していないし、鎌倉のNちゃんの撮ったような完全に羽を水平に開いたものではない。そこで今日はイボタの木のある場所を中心にして散策しようと決めていた。
 いつものように瓜久保の河童池の方へ上がって行くと、アカスジキンカメムシが柵の支柱として土に挿されたモウソウチクの切り口に止っていた。こんな場面も余りないので撮影すると、サワグルミが植栽されている場所に行って、今日は何か面白い昆虫はいないかと目を光らせた。なにしろここはミツクリハバチの幼虫やリンゴコフキハムシ等の、あまり目にしない昆虫をみつけている場所であるからだ。立ち止まって目を皿のようにして探していると、小さなシジミチョウの仲間が飛んで来て地面に止った。どうせルリシジミだろうと近づいて見ると、なんと羽化したてのオオミドリシジミであった。生息するのは分っていたが舞岡公園で初めて観察するオオミドリシジミである。そこで絵になるならない手ぶれ等は気にせずに、オートフォーカスで証拠写真用に一枚シャッターを切った。お次は少しは絵になるようにと三脚にカメラをセットして近づき、邪魔臭い枯れた草があったので静に取除けば逃げやしないとたかおくくったが、やはり無理だったようで、目に青緑色に光る羽の煌きを見せながら谷戸を越えて彼方の雑木林に飛んで行ってしまった。飛んで行った先にはもう1頭、オオミドリシジミらしきものが飛んでいた。
 もちろんオオミドリシジミを観察したのだから瓜久保をくまなく探したが、その後発見することは出来ず中丸の丘へ登っていた。ここには大きなイボタがたくさん生えいる。舞岡公園には小谷戸の里周辺にも、ネムノキ休憩所周辺にもたくさんイボタが見られるが、一番の大木は中丸の丘にあるものである。最近、寄る年波には逆らわずに、舞岡公園へ来てもなるべく坂道を登らないことにしているが、今日は別である。それ程、ウラゴマダラシジミの羽を開いた時にだけ見られる青紫の斑紋は美しいのである。その期待はすぐに叶えられ、散策路の脇の葉上で羽を開いている個体を発見した。構図を決めて手ブレも防ぎ、しっかりとピントを合わせて撮ってやれと三脚にカメラをセットして慎重に近づいたのだが飛び立ってしまった。もしもそんな事を考えずに、オオミドリシジミの時と同じく証拠写真でも良いわいと手持ちで近づいたら撮れたかもしれないと思うととても残念である。「後悔先に立たずだが、転ぶも承知の三脚使用」と駄洒落を吐いたが、その後、ウラゴマダラシジミの止っている姿には2度と巡り合わなかった。
 その後、野の花も一服、しかも前回との間隔が余りにも短過ぎて撮影するものになかなか出くわさず、今日は何処も行かなかったことにして観察記は無しとも思ったが、モンシロチョウやアミスギタケ、畑の梨の実等なんでも御座れと撮影して苦境を乗り切った。その中での特筆事項としては、枯れかかったクワの木の横を通り過ぎた時に、ヨコズナサシガメがなにか獲物を見つけて吸血しているようなしぐさで止っていた。近づいて観察すると、なんと穴から這い出ようとしているキボシカミキリを狙っている事が分った。そこで昆虫好きの私でも好きになれないコンニャク虫であるヨコヅナサシガメを「お退き」と手荒に小枝で無慈悲に叩き飛び立たせて、人命救助ならぬ虫命救助を果たしてキボシカミキリを悪魔の手から救ってあげた。

<今日観察出来たもの>花/アジサイ、シモツケ、スイカズラ、ドクダミ、ヒルガオ、トキワハゼ、ミヤコグサ(写真上左)、カタバミ、イモカタバミ、アカツメクサ、シロツメクサ、ニワゼキショウ、タチアオイ、シラン、オオキンケイギク、ジャガイモ等。蝶/アゲハ、アオスジアゲハ、モンキチョウ、キチョウ、モンシロチョウ(写真中右)、スジグロシロチョウ、テングチョウ、アカボシゴマダラ、ヒメアカタテハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、コミスジ、イチモンジチョウ、サトキマダラヒカゲ、ヒメジャノメ、オオミドリシジミ、ミズイロオナガシジミ、ウラゴマダラシジミ、ルリシジミ、ベニシジミ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ、アゲハの終齢幼虫、ヒメアカタテハの卵等。昆虫/トンボエダシャク、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、穴から顔を出したキボシカミキリ(写真中左)、カツオゾウムシ、コフキゾウムシ、マダラアシゾウムシ、シロコブゾウムシ、オジロアシナガゾウムシ、オオアカマルノミハムシ、ジンガサハムシ、テントウムシ、オオヒラタシデムシ、アカスジキンカメムシ、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、マルカメムシ、ハサミツノカメムシ、ヨコヅナサシガメ、ヤマトシリアゲ等。キノコ/ササクレヒトヨタケ(写真下左)、アミスギタケ(写真下右)等。その他/ヤマグワの実、モミジイチゴの実、ウグイスカグラの実、ナシの実(写真上右)、カラタチの実、ハナイカダの


2005年6月5日、横浜市戸塚区舞岡公園

 今日は本年度「道端自然観察大賞」を受賞するかもしれないアカスジキンカメムシの黒化型と、ゼフィルスを求めて疲れた身体に鞭打って舞岡公園へ行った。結果としては黒化型は発見出来ず、また、曇り日の筈だったが陽が射して来て気温も上がり、また、あまりにも到着したのが遅過ぎたためか、アカシジミを2頭、ミズイロオナガシジミを1頭、ウラゴマダラシジミに至っては多数観察したにもかかわらず、カメラの中に納める事が出来なかった。気温が高く陽が射す日の午後に、ゼフィルスを撮影する事は至難の業なのである。それでも羽化したてのアカスジキンカメムシや産卵中のチャバネアオカメムシに出会って、また、久しぶりにキノコらしい美しいベニヒダタケを撮影出来たのだから、もちろん中位の喜びとはなった。
 舞岡公園に毎日のように通う自然大好き人間のアイドルになっていたアカスジキンカメムシの黒化型だが、日限山住人さんが県の博物館に問い合わせて、とても貴重なものである事が分った。と言う事は、標本にすればかなりの値段になるかもしれない。そんな事を考えると是非1匹探し出して標本商に売却すれば、前々から欲しかったシグマ150ミリマクロの購入資金になるかもしれない等と浅ましい考えを持って、絶対探してやるとの気持ちで舞岡駅から目をぎらぎらさせて探索を開始した。まあ、以上はもちろん冗談だが、「正直コウベに神宿る」という事らしいから、鎌倉のNちゃんをはじめ、かなりの方々がその御姿を観察しているので、私のような正直者はいないのだから、必ず発見出来ると考えたのも無理はない。しかし、結果は前述したように空振りであった訳で、昆虫との出会い、また、それを美しくカメラの中に納めるのは、やっぱり運もあるんだと認識するに至った訳である。
 今日は雨がかなり降った後だから尾根道の散策路に入り、キノコ目で歩いて行ったが、やはり昨日と同様で地面から大型のキノコが生えるためには、まだまだ雨がかなり必要であるらしい。しからば野の花はどうかと言うと、これまた端境期に入っていて、これと言ったものは見当たらない。もちろん野鳥の姿も色濃くなった葉陰に隠れて観察出来ないから、蝶大好き人間、昆虫大好き人間でないと、ただ単なるハイキングとなってしまう事だろう。それでも尾根道の散策路から瓜久保までは、これといったものには出会えず、ジンガサハムシが相変わらずヒルガオに見られ、シロコブゾウムシやコフキゾウムシがクズの葉で食事している位であった。不思議な事にヤツデの葉にたくさん見られたヒメシロコブゾウムシは、一頭だに見ることが出来なかった。ことによったら、もう彼らは早くから出現していたから、恋をし産卵して、次世代に夢を託して天国へ旅立ったのかもしれない。そこで図鑑を開いてみると、成虫は4月〜7月に見られ蛹で越冬するとあるから、この推理もあながち間違ってはいないようである。そこでシロコブゾウムシについても調べてみると、同じような生態であるのだが、成虫の出現期はヒメシロコブゾウムシよりやや遅れ、秋まで見られるようである。
 以上、今日の午前中は散策開始が11時という事もあるが、一回もシャッターを切らないという惨憺たる結果で、午後に託して瓜久保で弁当を食べた。「どうしてもこのHPの観察記用に、まあまあの8枚の写真を撮りたい」と言うと、同行者に「撮れただけ載せればいいじゃない」と笑われるが、今までこの思いを外したことがないのだから我ながら大したものであると思っているのだ。しかし、今日は前述したように、アカシジミを2頭、ミズイロオナガシジミを1頭、ウラゴマダラシジミに至っては多数観察したにもかかわらず、カメラの中に納める事が出来ずに万事休すかとも思われたが、そこは何でも屋の本領を発揮して、なんとかこの目標をクリアーする事が出来た。しかし、舞岡駅に到着したのはなんと午後5時を回っていた。もちろん、地下鉄の中では下車駅まで眠りっぱなしであった事は言うまでもない。

<今日観察出来たもの>花/アジサイ、シモツケ、ハコネウツギ、ウツギ、スイカズラ、ドクダミ、ヒルガオ、カタバミ、イモカタバミ、ユキノシタ、セリバヒエンソウ、オカタツナミ、アカツメクサ、シロツメクサ、アカバナユウゲショウ、ナガミヒナゲシ、ケキツネノボタン、ニワゼキショウ、タチアオイ、シラン、オオキンケイギク、ネギボウズ、ジャガイモ等。蝶/クロアゲハ、アオスジアゲハ、モンキチョウ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、テングチョウ(写真中左)、アカボシゴマダラ、キタテハ、コミスジ、イチモンジチョウ、サトキマダラヒカゲ、ヒメジャノメ、ヒメウラナミジャノメ、アカシジミ、ミズイロオナガシジミ、ウラゴマダラシジミ、ルリシジミ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ、キアゲハの終齢幼虫等。昆虫/カノコガ、オオシオカラトンボ、ヒメクロオトシブミ、ハスジカツオゾウムシ(写真中右)、トホシオサゾウムシ、コフキゾウムシ、マダラアシゾウムシ、シロコブゾウムシ、オオアカマルノミハムシ、アトボシハムシ、ジンガサハムシ、テントウムシ、オオヒラタシデムシ、ヤツメカミキリ、ジョウカイボン、セボシジョウカイ、羽化したてのアカスジキンカメムシ(写真下左)、チャバネアオカメムシの産卵(写真下右)、クサギカメムシ、マルカメムシ、クヌギカメムシ、ハサミツノカメムシ、アカサシガメ、ヤマトシリアゲ、ミサキオナガミバエ、ミツクリハバチの幼虫等。キノコ/ベニヒダタケ(写真上右)、ササクレヒトヨタケ、アミスギタケ、キクラゲ、アラゲキクラゲ等。その他/ヤマグワの実、モミジイチゴの実、ウグイスカグラの実、ミカンの実、キブシの実(写真上左)等。


2005年5月28日、横浜市戸塚区舞岡公園

 昨日のこのHPの掲示板に舞岡公園で撮影したアカシジミとアカボシゴマダラのご投稿があった。また、多摩丘陵ではゴイシシジミが発生しているようなので、今日は一日中曇りという事だから蝶も落ち着いている筈と、蝶を撮影するには絶好の日和とばかりに期待して出かけた。しかし、なんとなく身体がだるくて蝶を追いかける元気が出なかった。これは体調ばかりではなく、ことによったら歳のせいではないのかと感じ入った。もっとも、土曜日だから人出も多くて蝶が姿を見せないのか、あるいは舞岡のファーブルさんこと野庭のTさんが言っていたように、去年何べんとも無く上陸した台風の影響もあってか、見られる蝶の絶対数が例年より減じているのかもしれない。しかし、キタテハの第1化も発生して、いよいよ蝶の種数がもっとも多く見られる6月はもう間近だといった感じがした。また、蝶以外では各種カメムシデー、各種テントウムシデーであったのは、一昨日行った和田堀公園と同じであった。
 今日も土曜日だから電車で行った。なんと5月の舞岡公園行きは全て電車ということになった。愛車「小野路号」は軽ワンボックスカーで、舞岡公園に路上駐車をする場合でも迷惑がかからないということも考えて選んだのだが、最近、山口県や北海道にお友達が出来つつあるので、念願の全国放浪の旅も現実味を帯びて来た。こうなると舞岡公園には電車で行けば良いのだから、普通車に変えようかな等と思いながら電車に揺られていたら舞岡駅に到着した。今日は前述の目的だから尾根道を選んだ。尾根道に入るまでの田畑のフェンスにはヒルガオが絡んで美しく咲き、路傍にはではナワシロイチゴやドクダミが咲き出していた。また、カラムシがびっしりと生えていたので、ラミーカミキリはいないかと探してみたがいなかったが、アカタテハの幼虫の巣はかなり見られた。お隣の鎌倉市でラミーカミキリが見られたとの報告があったから、これからも要注意の場所である。薄暗い尾根道に差し掛かったが、キノコの姿はまるっきり見られない。時折、開けた場所に出てアズマネザサが生い茂っているがゴイシシジミも見られない。こんな場所に多いはずなのだがどうした事なのだろう。ゴイシシジミは笹類につくタケノアブラムシ等を幼虫が食べて生長するという独特の生態の持ち主だから、笹類があれば何処にでも見られる訳ではないのである。やがて尾根道は冬ならば富士山の見える眺望の良い場所に出た。ここの手前にある栗林はアカシジミとオオミドリシジミの穴場であるが、まだクリの花の蕾は固い。ただサトキマダラヒカゲが元気良く樹間を飛び回っていた。雑木林の縁にはスイカズラが咲いて、真っ白に咲いているガマズミの花には、真っ赤なベニカミキリがやって来ていた。この純白と紅色の対比はまことに鮮やかでとても美しかった。
 どうも今日の成果も芳しくないなと瓜久保に降りて行くと、鎌倉のNちゃんのバイクが置いてあった。このところ連日のフィールド巡りが続いているようだ。コニカミノルタのデジ一を購入してから面白いように写真撮影の腕が上がり、撮影するのがとっても面白いようである。このHPにご投稿下さる山口県の女性も群馬県の女性も北海道の女性もみんな同じ血液型だから、ひょっとして鎌倉のNちゃんも同じ血液型なのでは等とくだらないことを考えながら河童池へ登って行くと、そのご本人に出くわした。そこで「血液型は何型?」と聞いてみたら、どうやら前述の3女性とは異なるようだ。最近、個人情報保護法が施行されたから具体的な血液型は記せないが、昆虫好きの女性はみんな同じ血液型かと思ったのだが、そう簡単には割り切れないようである。そこで鎌倉のNちゃんと同行して小谷戸の里の方へ歩いて行くと、今度はめきめきと昆虫熟年の道を歩み始めた日限山住人さんが、満開のノイバラの前で盛んにファインダーを覗いていた。なにを狙っているのだろうかと行ってみると、最近、首都圏平地ではほとんど巡り合えなくなっているリンゴカミキリの仲間のニセリンゴカミキリであった。しかし、本当に舞岡公園という所は不思議な公園である。行く度に必ず何か新しい昆虫が一種類は追加される。それだけ日本に生息する昆虫の種類数が多いとも言えるのだが、こんな事は他のフィールドではあまりない。そこで鎌倉のNちゃんと日限山住人さんに、「昆虫の世界は底無しだから、嵌り込まない方が良いですよ」と言ったのだが、馬耳東風、様々な型(紅型、2紋型、4紋型、斑紋型)全てが揃ったテントウムシがノイバラの葉にいて、お二人とももう夢中でシャッターを切り始めた。まあ「花虫さんのせいよ」なんて大人の二人だから言う事は無いだろうからと、微笑んで見守った。

<今日観察出来たもの>花/ナワシロイチゴ(写真上右)、ハコネウツギ、ウツギ、ノイバラ、スイカズラ、ドクダミ、ヒルガオ、イモカタバミ、ユキノシタ、セリバヒエンソウ、オカタツナミ(写真上左)、アカバナユウゲショウ、ナガミヒナゲシ、ケキツネノボタン、ニワゼキショウ、ハルジオン、シラン、オオキンケイギク、ネギボウズ、ジャガイモ、サヤエンドウ等。蝶/モンキアゲハ、アオスジアゲハ、アゲハ、アカボシゴマダラ、ゴマダラチョウ、キタテハ、コミスジ、イチモンジチョウ、ツマグロヒョウモン、サトキマダラヒカゲ、コジャノメ、ヒメウラナミジャノメ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ、イチモンジセセリ等。昆虫/シオカラトンボ、ユウマダラエダシャク、ホソオビヒゲナガガ、コクワガタ、シラハタリンゴカミキリ(写真中左)、ベニカミキリ、ヤハズカミキリ、オジロアシナガゾウムシ、ハスジカツオゾウムシ、コフキゾウムシ、マダラアシゾウムシ、ヒメシロコブゾウムシ、アカガネサルハムシ、オオアカマルノミハムシ、キイロクビナガハムシ(写真中右)、アトボシハムシ、ヒメカメノコハムシ(写真下右)、ジンガサハムシ、ナナホシテントウ、テントウムシ、オオヒラタシデムシ、ジョウカイボン、セボシジョウカイ、アカスジキンカメムシ、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、マルカメムシ、クヌギカメムシ、ハサミツノカメムシ、ヤマトシリアゲ、ミツボシハマダラミバエ(写真下左)、オオイシアブ、ホソアシナガバチ、ミツクリハバチの幼虫等。その他/ヤマグワの実、モミジイチゴの実、ウグイスカグラの実等。


2005年5月22日、横浜市戸塚区舞岡公園

 今日は舞岡公園小谷戸の里にて「まい作品展」が開かれる。舞岡公園で出会う多くの方々が自信作を出展するというので、これは見に行かなければと疲れ気味の身体に鞭打って出かけてみた。それにアカボシゴマダラの春型も発生しているとの事だし、ゴイシジミや少し早いかもしれないがウラゴマダラシジミも見られるかもしれないと期待したのだ。しかし、気温は高めの曇り日ということで絶好な日和だと思ったのだが、風がとても強くなってじっくりとした観察及び撮影が出来なかった事はまことに残念であった。
 今日も前回同様のルートで散策を開始した。こんなに長く雨が降らない日が続いているから、キノコが見られる筈は無いと思ったのである。虹の家の裏側にスグリゾウムシがよく見られたから、もうたくさんお出ましになっても良さそうだと考えたのだが見当たらない。しかし、民家のフキの葉にフキヒョウタンゾウムシがいた。ご飯を食べてる最中に雄と愛を語り合うなんてとんでもないながら族がいるものだと思ったが、微笑んで撮影した事は言うまでもない。三角畑に通ずる道に入ると道路際にユキノシタが咲いていた。この独特な格好の花は小さいがとても洒落ていて大好きな花だから三脚を立てて撮影していると、熟年のグループがやって来て、「なんの花ですか」と尋ねられた。「ユキノシタですよ、子供の頃、やけどをすると火にあぶって張ってもらったでしょう」と答えると、そんな経験はないと言う。どう見ても私より歳が上なのにおかしいなあとも思ったが、きっと都会育ちの方々なのだろう。ユキノシタは火傷やかぶれ、葉の汁はひきつけや百日咳に効く腕白小僧のための有り難い薬草なのである。この花を見るといつも心優しかった亡き祖母を思い出すから、おばあちゃん秘伝の妙薬なのかもしれない。
 三角畑に着いてゴイシシジミをはじめたくさんの昆虫が見られる尾根道に入ってみたが、風が強いこともあってかこれといったものには出会えなかったが、枯れ草の細い茎にシロコブゾウムシがぶら下っていたので、これは頂きと三脚をセットしていたら、気づかれたらしくポトリと地面に落ちてしまった。天敵に対してポトリと落ちる事と死んだまねしか出来ない、ガンジーさんのような無抵抗主義者のシロコブゾウムシらしいわいと笑ってしまった。瓜久保に降りて行くと舞岡のファーブルさんこと野庭のTさんが、ニガキ下のベンチに座っている。「お久しぶり、ここがこのところの指定席なんでね」と笑いながら言う。蝶愛好家なら誰でも一度は出会いたいアカボシゴマダラを待ち構える特等席ということなのだ。そんな訳でベンチに座らせてもらって一緒に待っていると、ほどなく色が秋型より白い春型が飛んで来た。一頭軽やかに飛んで梢に消え去ると、また一頭現れると言った感じで飽きる事がない。「春型は秋型と異なってなかなか静止しないから撮影出来ますか」と聞くと、にやにやしながらデジカメの液晶ディスプレイで、今日撮ったものを見せてくれた。「なかなか止らないけど中には葉に静止するものもいるからね。他の蝶と同じで執念と運だよ」と言う。私も長い間蝶の撮影を続けているが、始めたばかりの方が珍しいものや撮影の難しいものを撮る場合が多いのも蝶ならではの魅力である。信じられないかもしれないが、絵になる場所に羽化したばかりの新鮮な個体が羽を開いて止っている場合もままあるのである。だから始めたばかりの方が、プロも含めた誰にも負けないものをカメラの中に納める事も可能なのだ。しばらくTさんとアカボシゴマダラを眺めていたが、後ろ髪を引かれる思いで今日の目的である「まい作品展」を見に小谷戸の里へ向かった。
 小谷戸の里の「まい作品展」は大盛況で、写真はもちろんのこと水彩画や、確かバードカービングと言うのだろうと思うが木の野鳥の置物まで展示してある。出展されている方々で面識のある方は、下倉田のKさん、事務所のMさん、日限山住人さん、舞岡コウチュウさん、舞岡の静愁さん、工務店マスターさん、大学野球アオゲラさん、日限山の機長さん、下永谷のAさんと実に多い。出展されている方々もお見えになっていて、みんなわいわいがやがやとても楽しそうである。みんな力作揃いだがことに事務所のMさんが、芸術作品のような宮田池の早朝の風景写真を展示していたのには驚いた。事務所の方が「今年、じっくりと見られたイカルが一点も出されていないね」と言われていたが、みんな誰か出すだろうと気遣って出展を控えてしまったようである。「花虫さんも秋にどうですか」と誘われたが、風景は勿論のこと、鳥あり虫ありキノコあり花ありで、無かったものは冬芽だけであったが、これは鎌倉のご婦人の十八番だからなあと腕を組んでしまった。いずれにしても、鎌倉のNちゃんや舞岡のKさんや新百合ヶ丘のほしみすぢさん等も参加するというなら考えてみようと思った。今日は風がとても強くてじっくりとした観察及び撮影は出来なかったが、多数のアカボシゴマダラと素晴らしい皆様の作品を拝見出来て、とても満足し充実した一日であった事は言うまでもない。

<今日観察出来たもの>花/キリ、タニウツギ、ハコネウツギ、ウツギ、ノイバラ、スイカズラ(写真上右)、アヤメ、キショウブ、イモカタバミ、ユキノシタ(写真上左)、セリバヒエンソウ、オカタツナミ、ナガミヒナゲシ、ジシバリ、ケキツネノボタン、ニワゼキショウ、ハルジオン、シラン、ハマナス、ネギボウズ、ジャガイモ、サヤエンドウ等。蝶/モンキアゲハ、カラスアゲハ、アカボシゴマダラ、イチモンジチョウ、ツマグロヒョウモン、サトキマダラヒカゲ(写真中右)、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ等。昆虫/ユウマダラエダシャク、ホソオビヒゲナガガ、アカガネサルハムシ(写真下右)、シロコブゾウムシ、フキヒョウタンゾウムシ、ヒメシロコブゾウムシ、オオアカマルノミハムシ、アトボシハムシ、ジンガサハムシ、ナナホシテントウ、ジョウカイボン、アカスジキンカメムシ(写真下左)、エサキモンキツノカメムシ、クサギカメムシ、マルカメムシ、ヤマトシリアゲ、ミツクリハバチの幼虫等。その他/アマガエル、ウグイス、ヤマグワの実(写真中左)、モミジイチゴの実、ウグイスカグラの実等。


2005年5月15日、横浜市戸塚区舞岡公園

 朝起きて雨戸を開けると、空は今にも雨が降りそうにどんよりと曇っている。これでは車で行くしかないかなとも思ったが、天気予報では一日中曇りとあるので電車で出かけてみた。ピーナツの食べ過ぎによる胃炎は、キャベジンコーワのお陰で少しづつ快方に向かっている。デジスコに興味を持って初めて知ったのだが、このキャベンジンコーワを販売している興和株式会社は、プロミナーという名で世界に著名なスポッティングスコープを製造しているのである。製薬会社が光学機器を手がけているとは、まったく想像だにしなかったのも無理は無かろう。話はだいぶ横道に逸れてしまったが、今日は尾根道を通らずに虹の家経由で散策を開始したが、もう田植えが始まっていた。小川の畔の植え込みには、シランとちょっと場違いなハマナスが見事に咲いている。虹の家周辺を散策すると、早くもイチモンジセセリが見られた。ここから三角畑の方に上がって行ったが、日陰なのにウツギとノイバラが咲いている。「うの花の匂う垣根に、ホトトギス早やも来鳴きて、しのび音漏らす夏は来ぬ」という季節になった筈だが、今日も相変わらずとても肌寒い。こんな天気のせいか、前回たくさん見られたジンガサハムシは一匹も見られなかった。
 そんな訳で、今日はなんとなくこれと言ったものが撮影出来ないのではとの不安がよぎったので、ずっ前から咲いていたセリバヒエンソウと、最も普通に見られるマルカメムシを撮影した。セリバヒエンソウは葉の形がセリの葉に似ていて、花の形がツバメが飛んでいる姿に似ていることから名付けられた。、明治時代に中国から渡来した帰化植物で、私の持っている図鑑には載っていない。このセリバヒエンソウはどういう訳か舞岡公園の三角畑にとても多い。ネットで調べていたら「飛燕」という名の旧日本陸軍の戦闘機に、その名があったと記されていたが、そう言えば子供の頃にプラモデルを作った覚えがある。また、マルカメムシだが、今の時期には伸び始めたクズの芽に気持ち悪いほど群がって吸汁している。クズはマルカメムシばかりかホシハラビロヘリカメムシ、シロコブゾウムシ、コフキゾウムシ、そしてウラギンシジミの幼虫も大好きである。私にはとても苦手な食べ物だが、人間様も葛餅で大変お世話になっている植物だ。とは言うものの、マルカメムシをただ生態的図鑑的に撮っても面白くないので、そのとっても可愛い顔を超接写にてカメラに納めた。
 これと言った成果もなく瓜久保に降りて行くと、下倉田のKさんに出会った。本来なら野鳥が大好きなKさんも野鳥が余り見られなくなって、最近、昆虫にも興味を持ち始めたようである。そんなKさんのお陰で、オオトモエという大型の蛾を見ることが出来たし、真っ白いハムシであるリンゴコフキハムシも観察する事が出来た。リンゴと名がつくのにどうやらミズキの葉が大好きなようである。そこで不思議に思って図鑑を開いてみると、クリ、クヌギ、ケヤキ、オニグルミ、エゴノキ、ウメ、トサミズキ等の葉を食べるとあって、ミズキの名前は出ていない。もっとも近くにサワグルミがあったから、こちらの方を食していたのかもしれない。それにしてもなんでこんなに目立つ真っ白な色をしているのかと不思議に思ったが、図鑑にはその事については何も書かれていないが、卵に糞をなすりつけるという興味深い記述がなされていた。
 その後、Kさんと一緒に谷戸奥まで連れ立って散策したが、これと言ったものは観察できなかった。しかし、このHPの掲示板に度々ご投稿下さり、まるで明治維新のような急速な勢いで昆虫博士になりつつある日限山住人さんの農作業を観察するつもりでいたのだ。今日は苗とりと田植えとの事で、どちらも腰がとても痛くなる作業である。しかし、田植えをしている方々の中には日限山住人さんは見当たらず、舞岡公園きっての名物男のMさんが相変わらず頑張っていた。Mさんから来週の日曜日(22日)に小谷戸の里の古民家の庭で「まい作品展」を開くから必ず見に来てねとのお誘いを受けた。写真あり、スケッチあり、日本画あり、タペストリーありのなんでもありの作品展だ。下倉田のKさんもMさんも出展するというから、ことによったら日限山住人さん、舞岡コウチュウさん、舞岡の静愁さん、舞岡のKさん、鎌倉のNちゃん、舞岡のファーブルさんこと野庭のTさん、工務店マスターさん、大学野球アオゲラさん、日限山の機長さん等の作品も展示されるかもしれない。そんな訳で早くも来週の日曜日の散策予定は舞岡公園へという事になってしまった。

<今日観察出来たもの>花/キリ、ヤマツツジ、タニウツギ、ハコネウツギ、ウツギ(写真上左)、コゴメウツギ、ノイバラ(写真上右)、カマツカ、アヤメ、キショウブ、セリバヒエンソウ(写真中左)、タツナミソウ、ナガミヒナゲシ、ハタザオ、ジシバリ、ハルジオン、ホタルカズラ、ギンラン、シラン、ハマナス、ネギボウズ、ジャガイモ、サヤエンドウ等。蝶/アオスジアゲハ、キアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ、コミスジ、ツマグロヒョウモン、ヒメウラナミジャノメ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ、イチモンジセセリ等。昆虫/オオトモエ、ユウマダラエダシャク、ホソオビヒゲナガガ、アオオサムシ、オジロアシナガゾウムシ、ヒメシロコブゾウムシ、トホシオサゾウムシ(写真下左)、スグリゾウムシ、ヒメクロオトシブミ、エゴツルクビオトシブミ、オオアカマルノミハムシ、アトボシハムシ、クロボシツツハムシ、リンゴコフキハムシ(写真下右)、ヒメカメノコハムシ、ナナホシテントウ、ツマグロハナカミキリ、ジョウカイボン、セボシジョウカイ、クロジョウカイ、ハサミツノカメムシ(写真中右)、エサキモンキツノカメムシ、クサギカメムシ、マルカメムシ、ヤマトシリアゲ等。鳥/ウグイス、カワセミ、カルガモ、スズメ等。


2005年5月8日、横浜市戸塚区舞岡公園

 遠征疲れはすっかり取れてないが、今日あたりに舞岡公園へ行っておかないと、「舞岡公園散策手帖」が間遠うになると、日曜日だから駐車スペースが確保出来ないのではと思って、電車に乗って出かけてみた。花のみとか鳥のみとかキノコのみとかの方々には、つまらない一日になったかもしれないが、昆虫にも興味がある方々だったら、目が輝いてとても楽しい一日となった筈である。今日は電車だから尾根沿いの散策路を通って、谷戸奥まで歩いてみることにした。舞岡公園は、実は瓜久保に行くまでの間がとても面白いフィールドなのだ。小川沿いに虹の家経由で途中から三角畑に上がるというコースも面白いし、今日のように尾根沿いに瓜久保まで行ってもとても楽しいのだ。
 最近、雨も少なくキノコをしばらく見ていなしい撮影していないので、尾根沿いの日陰の道をと思ったのだが、キノコのキの字も見当たらない。しかし、暗がりの雑木林を抜けて明るい散策路に入ると、俄然様々な昆虫がお出ましになってとっても楽しくなった。まず今日一番の昆虫はヒルガオの葉が大好きなジンガサハムシである。最近、ご投稿が無くて寂しいが去年の今ごろ一人静女史がスケルトンハムシと呼んだり、写真撮影が大好きで舞岡公園にも度々やって来るAさんがコンタクトレンズハムシと呼んだりして、人気者の黄金色に輝く美しいハムシだ。また、その格好が陣笠や甲羅を被った亀さんのようにも見えるので、この仲間は○○ジンガサハムシ、○○カメノコハムシと名付けられている。今日は三角畑を過ぎて少し右手に坂を下り畑沿いに歩いて、雑木林にまた入る右手の路傍のヒルガオに、一目で4匹位も観察出来たのだから素晴らしい。
 こんなにたくさんいるのだから、今日は様々な角度からジンガサハムシを撮影してやれと頑張った。ジンガサハムシはこんなにチビ助で鎧を着用しているのに、近づくと人の接近を察知してすぐに飛び立ってしまうのだ。今日は曇り日だったからまだましだが、晴れているととても撮影しにくい昆虫なのである。先ずは定石通りに写真のように図鑑風に撮った。次にはとても可愛らしいお惚け顔を真正面から撮影した。最後に裏側から撮ってみようと細い茎に隠れているものを狙ってみた。ともに甲羅から触覚を出していないと、本家本元の亀さんと同じくつまらないのである。そんな訳でジンガサハムシと一時間も楽しく過ごす事が出来たのだから幸せ者である。たしかに連休の遠征は今まで見た事もないものを見られて楽しかったが、カメラと言う表現機材を手にしていれば、また、花のみとか鳥のみとかキノコのみとかの一本屋ではなくて、昆虫も含めた何でも屋になりさえすれば、何処のフィールドのどんな小場所だってとんでもなく楽しくなるのである。更に、マニアとか分類屋さんとかの専門家は稀少種でなければ面白くないようだが、カメラ片手のウィークエンド・ナチュラリストには、平々凡々なる種類だって一向にお構いなしなのである。まったくこんなお金もかからずに健康にも良い趣味なんて他にあるのだろうか。
 ジンガサハムシを撮影すると今が盛りのハルジオンにやって来たダイミョウセセリ、コチャバネセセリ、コアオハナムグリ等を撮りながら小谷戸の里まで行った。先日、舞岡公園のK女史に「図師小野路歴史環境保全地域はとんでもなく自然豊かで、地元の農家の方々が昔ながらの里山管理に精を出しているから、机上の論理よりきっと役に立ちますよ」と話したら、スタッフ全員で見に行こうと言う事になったらしく、4日に小野路のT理事長に隅々まで案内して貰った筈だから、どんな具合だったか興味津々と言う訳なのである。生憎、事務所にはK女史は不在で、ハルジオンに吸蜜するコチャバネセセリを撮影していたら、一生懸命に草刈をしているご婦人が傍らにいた。遠征から帰って来ると副業の不動産管理の仕事で、昨日は私も草むしりをして、草むしりってとても腰が疲れるんだよねと思いながらそのご婦人を良くみると、なんと探していたK女史であった。「どうでした4日わ?」と聞くと、「三つの谷戸を案内してもらって、とても良かったですよ」との事であった。さてこの話の続きを要約すると、里山管理と言うのは生き物の多様性維持という基本的な考え方は同じでも、そのフィールドの特性や目的等を充分咀嚼して、恐る恐る手探りで進めて行くしか無いという訳なのである。何処の里山も同一なる管理手法ではなく、舞岡公園には舞岡公園なりの、図師小野路歴史環境保全地域には図師小野路歴史環境保全地域なりの里山管理の方法があると言う事なのだ。観察記としてはずいぶん横道に逸れてしまったが、木の花としてはミズキはもちろんのこと、カマツカや植栽されたタニウツギがとても綺麗であったとお伝えして、今日の散策手帖はこれで閉じる事にしよう。

<今日観察出来たもの>花/キリ、ヤマツツジ、タニウツギ(写真上右)、カマツカ(写真上左)、ミヤマキケマン、ハタザオ、ジシバリ、オニタビラコ、ハルジオン、オオアマナ、ムラサキケマン、ケキツネノボタン、ホタルカズラ、ギンラン、ホウチャクソウ、ジャガイモ、サヤエンドウ等。蝶/モンキアゲハ、カラスアゲハ、コミスジ、コジャノメ、サトキマダラヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ、ルリシジミ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、コチャバネセセリ(写真中左)、ダイミョウセセリ等。昆虫/マドガ(写真下左)、シオヤトンボ、ヒメシロコブゾウムシ、マダラアシゾウムシ、ヒメクロオトシブミ、オオアカマルノミハムシ、アトボシハムシ、クロボシツツハムシ、コアオハナムグリ(写真中右)、ナナホシテントウ、ヤマトシリアゲ、ジンガサハムシ(写真下右)等。鳥/ウグイス、カルガモ等。