2005年:つれづれ観察記
(6月)


6月29日、東京都板橋区都立赤塚公園〜区立赤塚植物園

 今日は午前中は雨、午後は曇りということで、ここしばらく続いた真夏日は一旦中断した。東京23区内道端自然観察も、大所は後僅かを残すのみとなった。7月、8月は遠征やら夏休みやらで、今までのような月2回のペースでは行けない事だろうし、真夏の東京23区内は、見るもの撮るものも少なくなってしまう。そこで今日は板橋区の都立赤塚公園へ行った。北側の斜面緑地沿いに細長く続く公園で、全てを歩く事は出来なかった。また、近くに有名な区立赤塚植物園があったので、これは立ち寄らなくてはと行ってみた。こじんまりしているが手入れが行き届き、少数だが数多くの植物が植栽されていて驚いた。詳細は「東京23区内道端自然観察館」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/アジサイ、ガクアジサイ、キンシバイ、クチナシ、シモツケ、キキョウ(写真上右)、ワルナスビ、ヒメジオン、ヤブカンゾウ、ヤブカラシ、ハキダメギク、ハンゲショウ(写真上左)、ドクダミ、ムラサキカタバミ、ツユクサ、ネジバナ等。蝶/アゲハ、アオスジアゲハ、モンシロチョウ、サトキマダラヒカゲ、ルリタテハ、ルリシジミ、ヤマトシジミ。昆虫/カノコガ、ホタルガ、ノシメトンボ、アキアカネ、オオシオカラトンボ、アオメアブ、シオヤアブ、マガリケムシヒキ、コフキゾウムシ、セボシジョウカイ、サンゴジュハムシ、テントウムシ、クロウリハムシ、セマダラコガネ、ホソヒラタアブ、ヒメヒラタアブ、チャバネアオカメムシ、エサキモンキツノカメムシ、ウズラカメムシ等。その他/ミズキの実、ヒメコウゾの実、サルナシの実、アラゲキクラゲ、ヒトヨタケの仲間、テングタケの仲間、ツノマタタケ、オカダンゴムシ等。


6月27日、山梨県北杜市白州町中山峠

 今日も山梨県の甲府盆地では34度の最高気温が予想されていて、標高の高い清里を後にして白州町中山峠へ下って行くのはまこと躊躇されたが、様々な昆虫に出会えるだろうとの思いに抗する事など出来っこない。今年は多摩丘陵における平地産ゼフィルスの発生は極度に少なかったが、中山峠へ行けばまだ見られるかもしれないとの期待もあったのだ。なぜなら例年、多摩丘陵のゼフィルスが終わった頃に、盛期を迎えるからだ。しかし、多摩丘陵では10日程発生が遅れたが、中山峠は平年並みだったようで、期待は見事に裏切られてしまった。国道20号線から中山峠へ通ずる林道への道に入ると、今日はまず山麓の水田と雑木林が接する小道を歩いてみることにした。車を停めて散策を開始すると、早くもハラビロトンボが出迎えてくれた。山梨県では山の田んぼへ行くと普通に見られるトンボである。その名のとおり腹部が左右に広がっていて、なんとなくユーモラスなトンボである。平地にごく普通に見られるオオシオカラトンボを小さくして、寸詰まりにしたと思えば間違いない。山裾の小道にはいたる所にホタルブクロが咲き、オカトラノオも咲き始めていた。去年はここでキンイロジョウカイという紫に光る大型のジョウカイボンを観察しているので期待していたのだが、残念ながら見ることが出来なかったが、ジャコウアゲハの雌に擬態したアゲハモドキが葉上に静止していた。
 そんな訳でいつも期待を裏切らないクヌギ林に車を移動して、付近を一周り回る事にした。ここのクヌギ林は夏になると樹液がたっぷりと滲み出て、甲虫ではカブトムシは言うまでもなく、ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタが見られ、蝶ではオオムラサキ、スミナガシがやって来る。しかし、まだ6月の下旬、クヌギの樹液の出はほんの僅かで、カナブンが一匹吸汁しているのみであった。クヌギやコナラの幹に独特のシロスジカミキリの新しい産卵痕が見られたので、いないかなと探してみたが見つからなかった。シロスジカミキリはどちらかというと夜行性なので、梢で眠りこけているのだろう。ただ、毎度御馴染みの大型で緑色に光るツノアオカメムシがオニグルミの幹に這い、ノアザミにはオオチャバネセセリが吸蜜していた。そんな訳でクヌギ林の中は期待した程ではなく、中山峠へ通ずる林道を歩いて行くと、ノリウツギの花が満開で、フタコブルリハナカミキリがやって来ていた。また、キンモンガという美しい蛾もたくさん飛んでいた。そこからいつものように右手に曲がってリンゴ畑に出て、雑木林の縁の小道に歩みを進めた。ここにはニガイチゴがたくさんあって、いつも赤く輝く実を撮影するのだ。更に進むと右手に大きな桑の木がまとまって生えている。誰も取らないから、これが桑の実ですよと言いたい位に大きな黒い実がたわわになっていた。もしやトラフカミキリがいるのではと見て回ったが、決して美しいとは言い難い巨大なクスサンの幼虫、白髪太郎が這っていた。これ程巨大だと小鳥達も気味悪がって、食べたりしないだろうと思われる。
 今日はフタコブルリハナカミキリ以外にこれといったものがいないなとぼやきながら、一回りして林道に出て、もしやオオツノトンボがいるのではないかと反対側の小道に入っていった。以前、、そこでオオツノトンボに出会っているのだ。入口にはハンノキ林があってミドリシジミが発生するのだが、下草にはそれらしき姿は見られない。更に進むと以前は耕作していたが今は放棄されいて、ススキとヒメジオンが咲く広大な草原が現れる。こんな場所がオオツノトンボやキバネツノトンボの生息場所なのだ。一昨年、キバネツノトンボに会いたくて明野村に行って思う存分撮影しているので、キバネツノトンボより稀少種と言われているオオツノトンボが狙いであったのだが、なんとここで初めてのキバネツノトンボが禾本科植物の茎に止っているのを発見した。発生期は一月も前の筈なのにと不思議に思ったが、幾分黄色の鮮やかさを失っていたが、久しぶりの再会に笑みがこぼれた。また、小さなオニグルミの幼木の葉上に、美麗なオオアオゾウムシが佃煮にする程群がっていたのには驚いた。
 午後からは別荘地として開発されている林道の中程まで行って散策した。別荘が立ち並んで自然度は減じてしまったが、野猿の群れに会う事もなくなったから、それはそれで好都合な事でもある。また、昨日行った海ノ口自然郷に比べると標高がだいぶ低いので、日頃から手入れを欠かさない限り、すぐに様々な植物や樹木が繁茂してしまうようである。そこで適度な道を選んで散策すれば、様々な昆虫に出会えるという訳なのだ。今日初めてのミズイロオナガシジミやオオミドリシジミも、そんな別荘地の中の小道でやっと観察する事が出来た。以上、ゼフィルスや各種オトシブミやハムシ等の発生期とオオムラサキの発生期の狭間で、満足とは言い難いがそれなりに楽しめた。時間が少々あるのでもう一踏ん張りとも思ったが、蒸し風呂のような天候の中を歩いてへとへとに疲れ、早く長靴を脱ぎ半袖半ズボンになって車のクーラーにあたりたくなっし、人込みが恋しくもなって来たので、予定を幾分早めて帰宅の途に着いた。

<今日観察出来たもの>花/オカトラノオ(写真上右)、ビロードモウズイカ、ドクダミ、ホタルブクロ、ノリウツギ等。蝶/スジボソヤマキチョウ、キチョウ、メスグロヒョウモン、ミスジチョウ、クジャクチョウ、オオミドリシジミ、ミズイロオナガシジミ、オオチャバネセセリ等。昆虫/キンモンガ(写真下左)、アゲハモドキ、フタゴブルリハナカミキリ(写真下右)、オオアオゾウムシ、ドロハマキチョッキリ、アカガネサルハムシ、ヤマイモハムシ、カワトンボ、ハラビロトンボ(写真中右)、キバネツノトンボ(写真中左)、ヤマトクロスジヘビトンボ、ツノアオカメムシ、ブチヒゲカメムシ、オオヘリカメムシ、クスサンの幼虫等。その他/ニガイチゴの実(写真上左)、クワの実、キツネ、キジ、ホトトギス等。


6月26日、長野県南佐久郡南牧村八ヶ岳高原





















































 昨夕清里に到着した時もそうだったが、今朝も高原にしては気温と湿度がかなり高い。体調回復を願ってやって来たのだから涼しくなくては困ってしまうのだが、こんなに暑いの?と拍子抜けしてしまった。今日は今まで通った事の無いルートで、八ヶ岳高原まで行ってみようと清里ユースホステルを後にした。今から35年も前の大昔は、千曲川に沿った佐久甲州街道から八ヶ岳山麓の林道へ入れば、何処でも様々な昆虫がたくさん出迎えてくれた。現在は絶滅危惧種となっているヒョウモンモドキなんて、飽きれる程たくさん見られたのである。今日は地図を開いてゴルフ場にも別荘地にも隣接していない林道を選んで、夢よもう一度と思って、海尻から高石川に沿った林道に足を踏み入れて見ることにした。なにしろ近くにゴルフ場も別荘地もない林道を探すのがとても難しい程、八ヶ岳山麓は開発されているのである。また、高原野菜を大型トラクターで栽培しているから、昔と異なって畑もかなりの標高まで見られ、更に戦後のカラマツの造林によって、生き物の多様性を育む広葉樹の森も激減しているのだ。それでもかなりの期待をもって林道へ入ってみたが、今まで雨があまり降らなかった事や今日の晴天の為に、期待はすぐに裏切られた。それでも時期を選べば、かなりの手ごたえがあるのではないかとも感じたられた。林道に入ってすぐの草原には、ウスバシロチョウやヒメシジミが見られ、更に登って行くとアサギマダラが緩やかに飛び林内にはウラジャノメも見られた。甲虫ではイタドリの葉に、金緑色にピカピカ光るドロハマキチョッキリやウスアカオトシブミが普通に見られた。しかし、午前10時を回るとますます気温が上昇し、湿度も高いから額に汗が噴き出して来た。ここでこんなに暑いということは、舞岡公園や多摩丘陵は炎熱地獄であるに違いない。今日は日曜日だからお友達もこれらのフィールドへきっと出かけているだろうから、熱中症に罹らなければ良いと思った。
 こんな訳で午後からは八ヶ岳高原、正確には海ノ口自然郷の一番標高のある美鈴池まで行くことにした。ここまで登ればかなり涼しいと思ったからである。しかし、いくらか涼しいといった程度で、暑いことには変わりはなかった。それでもレンゲツヅジやサラサドウダンが咲いていて、特にサラサドウダンは今が盛期で、紅色の小さなベルをたくさん垂らしてとても美しかった。池を一周したらベニバナイチヤクソウもまだ咲き残っていて、多摩丘陵のイチヤクソウと葉の形も花の形も同じだが、花色だけが紅色で異なっている。様々な野の花は首都圏平地よりかなり遅れる筈と思ったのだが、確かにアヤメやジュウニヒトエは今が盛期であったが、ベニバナイチヤクソウ、ギンリョウソウ、ウツボグサ等は、左程遅れている訳ではないのが不思議であった。池の周りにはカラマツも生えていて、今までカラマツは何べんともなく見ているが、その松毬をしげしげと見た事がなかった。植林されているものは下枝が落とされているから尚更である。どう言う訳かここでは目線の高さに枝が垂れ下がっていて、薄緑色の可愛らしい松毬が、信じられない位にたくさん枝についていた。また、ギンリョウソウだが、ここまで来るとその数はとても多く、こんなに生えるんだと感嘆した。しかし、相模原のぶんちゃんが神奈川県の清川村で撮った様な、苔の上に容良く生えているものとなると残念ながら無かった。しかし、可愛らしく二本並んでいるものを選んで撮影した。
 昆虫ではもちろん池にイトトンボの仲間やヤンマの仲間も見られたが、その種名を確認するまでには至らなかった。しかし、蝶はルリタテハ、クジャクチョウ、ヒオドシチョウがテリトリーを張っていて、ことにルリタテハとクジャクチョウはお互いに張り合って固くテリトリーを死守しようとしていたので、何べんとも無く近づくと逃げられたものの、なんとか撮影する事が出来た。この他、この暑さに耐えかねてか、ウラギンヒョウモン、コチャバネセセリが池の湿った地面で吸水していた。まだまだ時計を見るとかなり時間はあったが、この暑さにはこれ以下の標高の所に下りて行く気も起きず、別荘地であるからそれ程の昆虫が生息している訳では無いのだが、たくさんいるイカリモンガ等を撮影し戯れ遊んだ。すると何組もの双眼鏡をぶら下げた方がやって来たので、きっとここは野鳥観察にも絶好の場所なのではなかろうか。様々な小鳥のさえずりが聞こえて来たが、私が判別できるのはカッコーとホトトギス位で、きっとキビタキやオオルリも生息しているに違いない。その後、車を木陰に停めて窓を全て開け放って昼寝をしたが、いくら暑いと言っても吹く風はやはり高原の涼風であった。 

<今日観察出来たもの>花/アヤメ、ウツボグサ、ジュウニヒトエ、イチヤクソウ、ギンリョウソウ、クリンソウ、グンナイフウロウ、サラサドウダン、レンゲツヅジ、ヤマボウシ、ウツギ等。蝶/ウスバシロチョウ、アサギマダラ、テングチョウ、スジグロシロチョウ、モンキチョウ、クジャクチョウ、ルリタテハ、ヒオドシチョウ、ウラギンヒョウモン、イチモンジチョウ、フタスジチョウ、ウラジャノメ、ヤマキマダラヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ、ルリシジミ、ヒメシジミ、ヒメキマダラセセリ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ等。昆虫/ドロハマキチョッキリ、ウスアカオトシブミ、オトシブミ、ヒメコブオトシブミ、イタドリハムシ、キンモンガ、イカリモンガ等。その他/カラマツの松毬、カッコー、ホトトギス等。
<写真>サラサドウダン、カラマツの松毬、ギンリョウソウ、イチヤクソウ、クリンソウ、ヤマオダマキ、グンナイフウロウ、ヒレアザミ、クジャクチョウ、イカリモンガ、ドロハマキチョッキリ、オニグモ。

6月25日、東京都町田市小野路町

 今日は渋滞を避けて午後3時に清里に向け出発するので、手際良く効率的にと考えて散策を開始した。この季節、本当に写す野の花や各種の実がない。また、雑木林の縁の下草の上の昆虫たちも少なくなった。そこで樹液が出ているコナラの若木を見に行くと、超小型だが今年初めてのノコギリクワガタのペアがやって来ていて、伐採木がたくさん積んである場所へ行ったら、ルリボシカミキリ、キスジトラカミキリ、ミドリカミキリが見られた。 午後からは中古で買ったシグマ180ミリマクロの試し撮りも兼ねて、万松寺谷戸入口の水田や蓮田にいるトンボを狙った。しかし、どう言う訳かオオシオカラトンボばかりでがっかりした。その後、熱中症が心配になる程に気温が上がって来たので、躊躇することなく清里に向かって小野路町を後にした。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ネジバナ、ドクダミ、ホタルブクロ、ワルナスビ、コンフリー等。蝶/クロアゲハ、ツマグロヒョウモン、メスグロヒョウモン、ウラギンシジミ、ムラサキシジミ、キマダラセセリ、ジャコウアゲハの幼虫、アオバセセリの幼虫等。昆虫/ホタルガ(写真上右)、ノコギリクワガタ、マツアナアキゾウムシ、ルリボシカミキリ、キスジトラカミキリ、キイロトラカミキリ、ミドリカミキリ、ベニカミキリ、トホシテントウ、オオニジュウヤホシテントウ、ヒメカメノコハムシ、オオシオカラトンボ(写真上左)、ヤマサナエ等。キノコ/カワリハツ、ドクベニタケ、イヌセンボンタケ等。


6月23日、横浜市戸塚区舞岡公園

 ゼフィルスの観察に好適な舞岡公園ではあるが、そろそろその姿は見られなくなり、いよいよ夏の昆虫へバトンタッチの季節を迎えつつある。それでも今日もオオミドリシジミ、ミドリシジミの雌が見られ、破損したウラゴマダラシジミやアカシジミも見られた。しかし、羽化したばかりの鮮やかなルリタテハ、トラフシジミ、ツバメシジミ、キマダラセセリ等の美しさの方に目を奪われてしまった。今日の観察目的の筆頭にスズメバチに擬態したトフカミキリがあったが、時々小雨降る天候のためか観察することが出来なかった。しかし、トラフカミキリはその擬態効果のためか、これから夏の終わりまで長い間見られるから、そのうち登場させる事が出来るだろう。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/アジサイ、シモツケ、ドクダミ、ヒルガオ、ツユクサ、カタバミ、イモカタバミ、ミヤコグサ、アカツメクサ、ムラサキシキブ等。蝶/モンキアゲハ、アオスジアゲハ、スジグロシロチョウ、テングチョウ、ルリタテハ、キタテハ、コミスジ、イチモンジチョウ、ヒカゲチョウ、サトキマダラヒカゲ、トラフシジミ、ミドリシジミ、オオミドリシジミ、アカシジミ、ウラゴマダラシジミ、ルリシジミ、ツバメシジミ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、キマダラセセリ等。昆虫/トンボエダシャク、カノコガ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ショウジョウトンボ、ウスバキトンボ、ギンヤンマ、ルリハムシ(写真上右)、オジロアシナガゾウムシ、テントウムシ、チャバネアオカメムシ、ツチイナゴ(写真上左)等。鳥/カワセミ、ホトトギス、ウグイス、カルガモ等。キノコ/ツルタケダマシ、ドクベニタケ、アミスギタケ、アンズタケ、コキララタケ、イタチタケ、ヌナワタケ、アラゲキクラゲ、キクラゲ、ツノマタタケ、シロソウメンタケ、ショウロ等。その他/ヒメコウゾの実、ナシの実、カラタチの実等。


6月21日、東京都世田谷区都立砧公園

 平地産ゼフィルスばかりを追いかけていたので、東京23区内の公園巡りが今日となってしまった。そこで世田谷区の公園へ行こうと、いろいろ地図で探してみたが、環境が良く面積も大きい区としては手頃な公園がない。面積的には砧公園が一番なのだが、環状8号線から覗いた雰囲気では、植樹は多いものの平坦で芝生の多い自然観察には不向きな公園に思えた。しかし、面積が広いんだから探せば何かしらあるだろうと出かけたが、ここはやはり家族連れでピクニックを楽しむ公園である事が分った。残念ながら何でも屋でもお手上げとなったと言う訳である。詳細は「東京23区内道端自然観察館」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/アジサイ、ガクアジサイ、ヤマボウシ、キンシバイ、ビョウヤナギ、アメリカデイゴ、バラ、ドクダミ、ムラサキカタバミ、カタバミ、トキワハゼ、ツユクサ、ネジバナ、シロツメクサ、オニタビラコ、ゼラニュウム等。蝶/アゲハ、クロアゲハ、アオスジアゲハ、モンシロチョウ、キチョウ、テングチョウ、サトキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、ルリシジミ。昆虫/シオヤアブ(写真上右)、マガリケムシヒキ、シロコブゾウムシ、セボシジョウカイ、サンゴジュハムシ、テントウムシ、ホソヒラタアブ、コガタスズメバチ等。その他/ミズキの実、トチノキの実、キッコウアワタケ?(写真上左)、ニオイコベニタケ等。


6月19日、横浜市緑区新治市民の森〜三保市民の森〜横浜キノコの森

 今日はウラゴマダラシジミから始まってミドリシジミに終わる平地産ゼフィルス6種の観察の最後の日にしようと、昨年、美しいオオミドリシジミの雄の羽を開いた写真を撮影した新治市民の森へ行った。今年はゼフィルスの発生がミドリシジミとウラゴマダラシジミを除いて極端に少なく、私は6種類全てを観察し、ウラナミアカシジミ以外はすべてカメラの中に納めたが、今年から昆虫観察を始めた方には、とっても気の毒な年となった。横浜市の市民の森はほとんど駐車場が無く、土曜日曜祝日だけ利用できる無料の駐車場があるだけでも有り難いが、駐車場の整備が悪くてタイヤが汚れるからめったに利用しない新治市民の森の駐車場に、今日はやむなく愛車を停める事にした。なにしろ昨年、オオミドリシジミを観察した場所はそこからが一番近いからである。めったに利用しない駐車場に車を停めた位だから、今日はそれだけ気合が入っていたのだろう。しかし、去年観察した場所に行ってみたが、オオミドリシジミはおろか蝶の姿はなにも無かった。ただ、夏になるとゴマダラチョウが吸汁にやって来るクヌギの大木に、オオスズメバチがやって来ていた。そこで池ぶち広場からハンノキ林まで降りて行った。ハンノキ林からは補虫網を持った方が帰って来た。これを見ただけでもう駄目だと思い踵を返した。少しぐらいミドリシジミを採集しても、その数は減らないとは思うが、採集されてしまうとそれだけ巡り合う確立は減少するのは確かな事だ。
 そんな訳で新治市民の森ではほとんどシャッターを切らずに、隣接する三保市民の森へ行った。ここの駐車場も土曜日曜祝日のみ無料で利用出来、未舗装だが、それ程タイヤが汚れないのは有り難い。いつものように谷道だけを往復して来る事にした。最初にお出ましになったのはムラサキシジミである。どう言う訳か今日はご機嫌がすこぶる良いようで、羽を水平に開いて青紫の美しい姿を長時間披露してくれた。まだ少数だがカワトンボの姿もあり、今年はこれでお別れかもしれないとシャッターを切った。どういう訳か三保市民の森のカワトンボの雄は、羽が透明なものがほとんどである。更に歩みを進めると、ぽっかりと開けた草原に出るが、そこに髭の親爺と愛称しているオオイシアブがタデ科の葉に鎮座して目をきょろきょろ回している。オオイシアブは肉食性の昆虫だから、獲物となる昆虫はいないかと探し回っているのである。これまで何べんも各所で遭遇しているものの、いつも90oマクロレンズだから逃げられていた。しかし、今日は明るい緑の広いタデ科の葉上がオオイシアブは気に入っているようなので、何となく撮影出来そうな雰囲気がした。そこで慎重に近づいてみたら、小さくしか撮れなかったが撮影出来た。液晶ディスプレイで拡大して確認してみると、複眼にぴったりとピントが合い、トレードマークの褐色のちょび髭もはっきり写っていた。その後、いつもより昆虫の数も種類も少なかったとはいえ、極小のブドウハマキチョッキリや美麗なオオシロカネグモ等を撮影して駐車場に戻った。
 昼食はいつものように三保町のコマツストアーで弁当を購入した。なにしろコンビニに比べると種類も多く値段も安く、店内で調理しているから味も良いのだ。午後からはもちろんいつものように横浜キノコの森へ行った。充分に雨が降ったからキノコが爆生しているだろうと思ったのだが、大きいものではカワリハツとノウタケ、数の多いのはオオホウライタケくらいで、それ程のきのこの発生は見られなかった。それでもイロガワリが一本生えていて嬉しくなった。兎に角、寝相というか生え相というか行儀が悪いキノコで、今日も落ち葉の上に寝そべっていた。そんな訳でキノコに関してはまあまあと言った具合だったが、昆虫では美しいシラホシカミキリを観察し、ミズキの葉裏で産卵した卵の上で身を挺して天敵からの捕食を防いでいるエサキモンキツノカメムシを発見した。小さな命である昆虫の中にも、母性愛溢れる種類がいるのである。まったく子供を虐待する母親に見せてあげたいものだ。最後に雑木林に囲まれたかなり広い草原に羽化したてのルリタテハが2頭いて、お互いにテリトリーを張っていた。1頭は切り株にその座を占めて見張っている。これはなんとか撮影しなければと近づいては逃げられ、また、近づいては逃げられを繰り返し、やっとルリタテハも変梃りんな親爺に腹を立てなくなったので、三脚を立てて撮影した。やっぱりその気になると昔培った蝶の撮影のノウハウが生きて来るのである。以上、三保市民の森にしても横浜キノコの森にしても、17年前に毎週のように5年間も通ったフィールドである。今年に入ってもう何べんともなく散策しているが、開けたとはいえ、素晴らしい道端自然観察のフィールドである事を再認識した。

<今日観察出来たもの>花/オカトラノオ、ドクダミ、ホタルブクロ、ツユクサ、アカツメクサ、シロツメクサ、ムラサキカタバミ、ムラサキシキブ、コンフリー、オオキンケイギク、オオテンニンギク、サンジャクバーベナ、ダリア、ハルシャギク、タチアオイ、スイセンノー、ビョウヤナギ、アジサイ、ガクアジサイ、ザクロ等。蝶/テングチョウ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、キチョウ、メスグロヒョウモン、ルリタテハ(写真下左)、キタテハ、イチモンジチョウ、コミスジ、ヒカゲチョウ、ウラギンシジミ、ムラサキシジミ、ミズイロオナガシジミ、ヤマトシジミ(写真下右)、ルリシジミ、ベニシジミ、キマダラセセリ、ダイミョウセセリ等。昆虫/シラホシカミキリ、ベニカミキリ、オジロアシナガゾウムシ、カワトンボ、エサキモンキツノカメムシ(写真中右)、オオイシアブ(写真中左)等。キノコ/カワリハツ、イロガワリ(写真上右)、ツルタケダマシ、オオホウライタケ、ノウタケ、テングタケダマシ、ダイダイガサ、ムキタケ、ヒトヨタケ、ミドリスギタケ、アミスギタケ、アラゲキクラゲ、マンネンタケ、ドクベニタケの仲間(写真上左)等。その他/ヒメコウゾの実、ヤマグワの実、ミツバウツギの実等。


6月18日、東京都町田市小野路町・図師町

 今日はどうしてもまだ撮影していない、ミドリシジミの雄の羽を開いてキラキラと緑色に光る写真を撮りたくて、ほしみすぢさんに教えて頂いたHの里に寄った。本当は朝の7時に行かないと撮影チャンスはぐっと減ることは知っていたが、朝寝坊癖が抜け切らないので午前9時に現地に到着した。しかし、朝の内はどんよりと雲っていたこともあってか、かなりの個体が下草に降りて羽を開いていたが、雲がしだいに薄くなり気温が急に上昇したこともあってか、近づくとすぐに飛び立ってしまう個体が多かった。それでもなんとか1カツトだが撮影出来てほっとして小野路町に向かった。このため今日の小野路町、図師町の散策はいつもより短時間となった。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ノアザミ(写真上左)、ホタルブクロ、ウツボグサ、ミヤコグサ、ドクダミ、ヒルガオ、トキワハゼ、カタバミ、イモカタバミ、アカツメクサ、シロツメクサ、ニワゼキショウ、ヒメジオン、クマノミズキ等。蝶/アゲハ、キアゲハ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、テングチョウ、ミスジチョウ、コミスジ、メスグロヒョウモン、ウラナミアカシジミ、ヤマトシジミ(写真上右)、ルリシジミ、ベニシジミ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ、キマダラセセリ、ヒメキマダラセセリ、ジャコウアゲハの幼虫等。昆虫/トンボエダシャク、カノコガ、ギンヤンマ、ヤマサナエ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ベニカミキリ、ヒメクロオトシブミ、ウスモンオトシブミ、トホシオサゾウムシ、コフキゾウムシ、オジロアシナガゾウムシ、イチモンジカメノコハムシ、ヒメカメノコハムシ、テントウムシ、ムーアシラホシテントウ、トホシテントウ、オオニジュウヤホシテントウ、オオヒラタシデムシ、マダラアシナガバエ、アシナガムシヒキ、マガリケムシヒキ、オオイシアブ、モモブトハナアブ、ミサキオナガミバエ、ヤマトシリアゲ、ヤマトフキバッタの幼虫等。キノコ/ヒメカバイロタケ、ドクベニタケ、カワリハツ、ヤケアトツムタケ、ヒトヨタケ、アミスギタケ、コガネニカワタケ等。その他/オニグルミの実、クマヤナギの実等。


6月17日、横浜市戸塚区舞岡公園

 そろそろ平地におけるゼフィルス観察の終期を迎えつつある。今日は2日連続の雨の後、ミドリシジミを探しに舞岡公園へ行った。到着してすぐに羽化したての新鮮なミドリシジミに出会い、しかもオオミドリシジミ、アカシジミ、ウラゴマダラシジミも観察した。話によると今年、ウラナミアカシジミを工務店マスターさんが観察しているというから、なんと舞岡公園には平地産ゼフィルス6種の全てが生息していることになる。これはとっても素晴らしい事で、数多くある緑地において一種は欠けるという事が多いから、この全てが揃って見られると言うことは、舞岡公園に於ける生き物多様性の証明でもある。いつまでもこの平地産ゼフィルス6種が観察出来る事を願って止まない。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/アジサイ、シモツケ、ドクダミ、ヒルガオ、ツユクサ、カタバミ、イモカタバミ、アカツメクサ、ムラサキツユクサ、ムラサキシキブ、クマノミズキ等。蝶/モンキアゲハ、キアゲハ、アゲハ、キチョウ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、テングチョウ、ルリタテハ、ヒメアカタテハ、キタテハ、コミスジ、イチモンジチョウ、ヒカゲチョウ、サトキマダラヒカゲ、ヒメジャノメ、ミドリシジミ、オオミドリシジミ、アカシジミ、ウラゴマダラシジミ、ルリシジミ、ベニシジミ、ダイミョウセセリ等。昆虫/トンボエダシャク(写真上左)、カノコガ(写真上右)、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、ヤツメカミキリ、ヒメヒゲナガカミキリ、カツオゾウムシ、コフキゾウムシ、マダラアシゾウムシ、オジロアシナガゾウムシ、ヒメカメノコハムシ、テントウムシ、オオヒラタシデムシ、アカスジキンカメムシ、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、ヤマトシリアゲ等。鳥/カワセミ、ホトトギス、ウグイス等。キノコ/ニオイコベニタケ、アミスギタケ、アンズタケ、キツネタケ、ヒナノヒガサ、ヌナワタケ、イヌセンボンタケ、アラゲキクラゲ、キクラゲ等。その他/ヤマグワの実、ヒメコウゾの実、ナシの実、カラタチの実等。


6月14日、神奈川県秦野市弘法山

 今日は、同じ趣味を持つ方々と「弘法山にゼフィルスを見る会」の日である。前日の天気予報では一日中曇りという事で、これならゼフィルスたちは下草に降りて、じっと静止していてくれる筈だとほくそ笑んだ。しかし、今朝の天気予報では梅雨の合間の晴れ間で、貴重な洗濯日和であると報じられていた。おかしいな、自宅周辺の空はどんよりと雲っているというのに、と思いながら自宅を出発した。東名高速道路に乗っても相変わらず曇り空で、天気予報は見事に外れたなと思っていたら、厚木に近づくにつれて陽が射して来て、秦野に着いた時には青空が広がっていた。やっぱり朝の天気予報は当たったのである。天気は西から東に変わると言うが、本当の事であったのだ。しかし、晴れていれば晴れているで、例えば、オオミドリシジミの雄は青緑色に光る羽を開いてテリトリーを張るだろうし、羽化したてのヒオドシチョウ等のタテハチョウも同様に羽を開いて、「いらっしゃいませ」と出迎えてくれる事だろう。まあ、天候によって臨機応変に撮影対象を変えて行動するのが、道端自然観察及び写真撮影の秘訣、すなわちストレスを溜めずに多くの写真を得るセオリーではなかろうか。
 弘法山の「めんようの里」の駐車場が集合場所であるが、今日は誰一人となく遅刻する方もなかった。みんな期待一杯やる気満々だからなのだろう。かなり早く到着した寒川山ちゃんやつくし野のTさんによると、オオミドリシジミ、ウラナミアカシジミを既に見ているようであった。朝の挨拶もそこそこに雑木林の縁の小道に連れだって歩いて行くと、なんと2頭のヒオドシチョウが止っている。しかし、残念な事に2頭ともぴったりと羽を閉じている。タテハチョウの面々は羽を閉じていたら、みんなただの枯れ葉のようだから面白くもない。「山口県の花なばさんは、ルリシジミに羽を開いてねと小声でお願いしたら、開いてくれたらしいよ」と私が言うと、誰かが小声で胸の中で言われたらしく、ほんの少しだが燃えるような緋色の羽の表を見せてくれた。「わぁー綺麗だなあ」と歓声が上がったのは言うまでも無い。雑木林に入ると可愛らしい純白のイチヤクソウが各所に花をつけて咲いている。下草にはミズイロオナガシジミが、散策の途中からは「もういいよ」と見向きもされなくなる程度に降りていた。しかし、目指すアカシジミ、ウラナミアカシジミ、オオミドリシジミの姿は無い。しかし、最終的にはアカシジミを除いて全て観察出来たが、その数は僅少であった。その原因は、まだ羽化したてで絶対発生数が少ないことと、この晴天が起因しているように思われる。弘法山はかつては平地産ゼフィルスの宝庫であったが、公園化の影響を受けてその数は激減した。それでも今日参集なされた方々は、「とっても良い所ですね、また、来たい」と思う程度には蝶や昆虫や野の花が見られ、逆に公園化によってご婦人には安心の格好の散策場所となったとも言えるだろう。また、隣の権現山には野鳥観察施設もあるから、野鳥もOKの一日中楽しめる道端自然観察の場である事に変わりない。今日、権現山の野鳥観察施設では憧れのキビタキが見られたらしい。
 今日参加なされた鎌倉のNちゃんも舞岡コウチュウさんも他所でしっかり観察し撮影しているが、今日の弘法山での見たいものカメラの中に納めたいものの一つはラミーカミキリである。カミキリムシは渋い色彩のものが多いが、ラミーカミキリは緑の地に黒い斑紋が散らばったカミキリムシの中では異色の存在なのである。前にも書いたと思うが、弘法山周辺の畑では戦時中に麻、すなわちカラムシを植えることを強制されたらしい。そんな事もあってか道端や畑の隅にカラムシがとても多いのである。今日は晴天だからいるかなと危惧されたが、ラミーカミキリを見つける事が出来てほっとした。やはり蝶と同じで晴天で気温が高い日は活発に活動してなかなか撮影しにくいのである。この他、カミキリムシは切り出された丸太にはキスジトラカミキリ、ウスイロトラカミキリ、ヨツスジハナカミキリが、クリの枯れ枝にはヒメヒゲナガカミキリが、クワの木にはキボシカミキリが見られた。いよいよカミキリムシも各種お出しとなった。その他、雑木林の縁に沿ったあまり陽が射さない小道脇の葉上には、アカガネサルハムシやトビサルハムシ等もいた。咲き出したオカトラノオが終期になってヤマユリの群落が咲き出すまで、弘法山は面白昆虫ランドであり続ける事だろう。しかし、あんなに雨が降ったのにキノコが1つだに生えていなかったとは不思議であったが、かりにも丹沢山塊の末弟の山とは言え、大きな自然にはまだまだ雨が足りないようである。

<今日観察出来たもの>花/イチヤクソウ(写真上右)、シモツケ、オカトラノオ、スイカズラ、ドクダミ、ウツボグサ、オカタツナミ、クマノミズキ等。蝶/アサギマダラ、テングチョウ(写真中右)、クロアゲハ、アゲハ、アオスジアゲハ、キチョウ、ヒオドシチョウ、ルリタテハ、ゴマダラチョウ、メスグロヒョウモン、ヒメジャノメ、ヒメウラナミジャノメ、ウラナミアカシジミ、ミズイロオナガシジミ、ウラゴマダラシジミ、オオミドリシジミ、ルリシジミ、ウラギンシジミ、ダイミョウセセリ等。昆虫/カノコガ、トンボエダシャク、コクワガタ、ヒメオサムシ、オオヒラタシデムシ、キボシカミキリ、ラミーカミキリ(写真下左)、キスジトラカミキリ(写真下右)、ウスイロトラカミキリ、ヨツスジハナカミキリ、アカガネサルハムシ、トビサルハムシ等。鳥/ホトトギス、ガビチョウ、キビタキ等。その他/ヤマグワの実、ヒメコウゾの実(写真上左)、ビワの実、サツマノミダマシ(写真中左)等。


6月13日、横浜市都筑区茅ヶ崎公園〜大原みねみち公園

 今日は道端自然観察及び写真撮影はお休みの日、仕事をしたり家の回りの片付けをした後、愛車のオイル交換と壊れてしまったのでシェーバーを買おうとコジマ電機へ行くことにした。昼食は茅ヶ崎公園入口の家庭中華料理「嘉門」でとり、腹ごなしに茅ヶ崎公園へ行ってみると、なんと大好きなキノコであるニオイコベニタケ等がたくさん生えていた。実は6日も今日と同じようにぶらりと散策してみたら、羽化したてのオオミズアオとギンリョウソウに出会って狂喜した。まったく港北ニュータウンのど真ん中にありながら、目の離せない公園なのである。そこで今日の分と6日の分を一緒にして「ささぶねに揺られて」として紹介することにした。

<今日と6日に観察出来たもの>花/アジサイ、アマチャ、キンシバイ、ビョウヤナギ、ヤマボウシ、テイカカズラ、スイカズラ、ギンリョウソウ、ホタルブクロ、ツユクサ、ヒメジオン、ドクダミ、シロツメクサ、ニワゼキショウ等。蝶/クロアゲハ、アゲハ、ミズイロオナガシジミ等。昆虫/オオミズアオ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、オオヒラタシデムシ、セボシジョウカイ等。キノコ/ニオイコベニタケ(写真上左)、ニッケイタケ(写真上右)、ヒイロベニヒダタケ、ドクベニタケ?、ウラムラサキ、キツネタケ、イグチの仲間を含む不明種多数等。その他/ダンゴムシの仲間等。


6月12日、東京都町田市都立小山田緑地〜野津田公園

 最近、この都立小山田緑地〜野津田公園のコースで散策すると、見るもの撮るものにたくさん出会うので、ことによったら今年まだカメラの中に納めていないアカシジミも、ゲット出来るのではないかと出かけてみた。今日はしばらく歩いていない梅木窪分園の方へ先ず最初に行ってみた。お世辞にも薄日射す天候となったので、ゼフィルス類の撮影には不向きとなったが、雑木林の中にぽっかりと空いた場所に出たので、「こんな場所がゼフィルスは好きなんだよね」と一人ごちて中に足を踏み入れてみると、なんとアカシジミが飛び立った。そして葉上に静止したので近づいてみると、余りにも絵にならない場所に止っている。「これでは仕方がないな、一か八か飛び立たせて他の場所に止ってもらおう」と、やんわりと飛び立たせると写真のような、なんとかものになる場所に止ってくれた。そこで今年初めてのアカシジミをカメラの中に納める事が出来た。そこで「もっと絵になる場所に止ってよ」と、またしてもやんわり飛び立たせると梢高く飛び去ってしまった。この場所は前方にモウソウチクの竹林があるためか、やたらにベニカミキリが多い。オカトラノオの葉に絵になるように止っていたので、三脚を立てて撮影していると、前方近くにまたアカシジミを発見した。それもなんと2頭もいるではないか。しかし、これまた絵になる場所に止っていないし、1頭は僅かに羽が破損している。そんな訳で完全個体の方に「良い場所に止ってね」と、やんわり飛び立たせると、今度は頭上高く梢に止ってしまった。
 残念だが仕方が無いし、まあまあこのHPに使用出来るものが撮れたからこれで良いかなと先に進んだが、路傍のクヌギの大木の根際の苔蒸した幹に、クヌギタケの仲間がたくさん生えていた位であった。その後も梅木窪分園では左程の成果は無く、アサザ池のアサザやコウホネもほとんど咲き終わっていた。そこでまだ時間がたっぷりあったので、本園へ行ってみることにした。ここではミズイロオナガシジミが絵になる場所にたくさんいて、もう今年は良いかなと思う程に撮影した。昨日、新治市民の森でかなりのキノコを観察しているのでキノコに期待を寄せたが、イヌセンボンタケ、ヤケアトツムタケ、ビョウタケ、アミスギタケ等の普通種が見られた位であった。しかし、相変わらず蕾のままのイチクソウの群落がある場所でギンリョウソウを見つけ、足場の悪い斜面で苦労しながらもなんとか撮影した。
 午後からはもちろん野津田公園へ行った訳であるが、今日はやはりコースを変えてバラの広場経由で上の原広場まで往復した。駐車場周辺にはキンシバイが見事に咲いて美しいものの、薄日射す日に撮影しても情緒が出ない。また、ここにあるガクアジサイはとても美しいのだが、まだ薄っすらと色づいた位であった。バラの広場のバラはとても美しく咲いていたが、前述した天候と道端自然観察館にはあまり相応しくないので通り過ぎた。いつもならこの辺りにも様々なキノコが生えるのだが何も見当たらず、道路を横切って上の原広場へ通ずる雑木林に足を早めた。途中、野生化したオオキンケイギクにモンキチョウが吸蜜していたので撮影したり、咲き始めたシモツケに小さなカマキリの赤ちゃんがちょこんと乗っかっていたので可愛らしく切り取った。
 雑木林の中の暗い小道を歩いて行くと地面から変梃りんなキノコが生えているのが目に留まった。これは冬虫夏草に違いないとナイフを取り出して掘ってみると、金緑色に輝くアオオサムシから発生していた。掘り出したままでは泥だらけでちっとも面白くないから、わざわざ少し戻って水道水で泥を流れ落とした。これで掘り出した場所に再び安置すれば、図鑑のような写真が撮れるぞと思って置いてみたのだが、何となく様にならない。そこで仕方なくクズの大きな葉に乗せて撮影した。冬虫夏草を撮影するには慎重に掘り出して、どのような状態でホストがあったかを頭に焼付け、その場で綺麗に水で洗わないと駄目だなと思った訳である。しかし、水の入ったバケツを持っての散策も考えものだと苦笑した。その後、発生し始めたカノコガを撮り、前回多大な成果が上がった萌芽更新をしている雑木林に行ってみたが、天候もあってか切り出されている丸太に相変わらずミドリカミキリがたくさんいた以外、今日は左程のものは見られなかった。以上、今日はアカシジミが撮影出来てほっとして、それだけで満足の一日となったと言う訳である。

<今日観察出来たもの>花/テイカカズラ、スイカズラ、ギンリョウソウ(写真下右)、ドクダミ、シロツメクサ、ミヤコグサ、ニワゼキショウ、シモツケ、キンシバイ、タチアオイ、オオキンケイギク、ザクロ等。蝶/アサギマダラ、テングチョウ、モンキチョウ(写真上右)、スジグロシロチョウ、キチョウ、キタテハ、サトキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ヒメウラナミジャノメ、アカシジミ(写真中左)、ミズイロオナガシジミ、ウラゴマダラシジミ、ルリシジミ、ウラギンシジミ、ヒメキマダラセセリ、ダイミョウセセリ等。昆虫/カノコガ(写真中右)、シオカラトンボ、カワトンボ、カブトムシ、コクワガタ、アオオサムシ、オオヒラタシデムシ、ミドリカミキリ、エグリトラカミキリ、ベニカミキリ、キスジトラカミキリ、ゴマフカミキリ、ヒシモンナガタマムシ、カマキリの仲間の幼態(写真上左)等。キノコ/イヌセンボンタケ、ヤケアトツムタケ、ビョウタケ、アミスギタケ、クヌギタケの仲間、オサムシタケ(写真下左)等。鳥/ウグイス、ホトトギス、ガビチョウ等。その他/クワの実、ヒメコウゾの実、ミツバウツギの実等。


6月11日、横浜市緑区長津田町〜新治市民の森

 今朝の新聞を見ると関東甲信、九州北部が梅雨入りしたと報じられていた。関東地方は昨年に比べて4日、平年に比べて2日遅いとのことである。5月に入ってからしばらく雨の降らない日が続いて、今年は梅雨が無いのではないかと不安に思ったが、まあまあ平年並みに梅雨に入ったのだからほっとした。今日は2日前の予報では雨の筈であったが、今朝の予報では朝と夕方を除いて曇り日ということで、これはラッキーとばかりに近場のフイールドへ行って見ることにした。もちろんアカシジミをはじめとするゼフィルスが観察出来る場所との条件付きだから、雑木林がまだかなり残るフィールドを選んだ事は言うまでも無い。
 先ずは久しぶりに長津田町の国道246号線の森と東名の森へ行ってみた。車を降りて散策を開始すると、民家の庭にはタチアオイ、ゼニアオイが満開でとても綺麗である。もちろんアジサイの花の色もかなり濃くなりムラサキツユクサも咲いていて、路傍にはドクダミ、ツユクサが咲いている。植木屋さんの畑には相変わらずヤマボウシが咲き、ナツツバキの蕾は真ん丸く膨らんで今にもはじけそうであった。雑木林の縁からはホタルブクロが垂れ下がり、日当たりの良い斜面のオカトラノオの蕾もぷっくりと膨らんで来た。しかも空は今にも降りだしそうな灰色である。いよいよ朝刊の報道のように、梅雨がやって来たという思いを強くする。雑木林に入るとクロヒカゲ、サトキマダラヒカゲがクヌギの樹液にたくさん集まって吸汁している。早くも土地の子供たちがクワガタムシやカブトムシを狙って、樹液が出ている幹の根際が掘られていて、にんまりとする。クワガタムシやカブトムシをたくさん手にする秘訣は、懐中電灯片手に夜に探しに行くのがセオリーなのだが、子供たちが夜の雑木林へ行くのをOKする家庭なんて無いだろうから、クワガタムシやカブトムシにはとても有り難い事である。
 期待した割には国道246号線の森はそれほどの見るもの撮るものもなく、東名の森へ場所を移した。車を停めて梢を見上げると早くもミズイロオナガシジミが挨拶している。しかし、かなり高い所だから撮影を諦め、民家の生垣に咲いているビョウヤナギを撮影してから、いつものコースで散策を開始した。雑木林の下草や散策路の傍らのブッシュ、もちろん樹木の葉にオレンジ色のものはないかと目を光らせたのだが、オジロアシナガゾウムシやヒメギスの幼虫が鎮座しているだけである。やっぱり今年はアカシジミの発生が極端に少ないのだと納得するがとても寂しい。一回りしてミズイロオナガシジミは例年通りに複数発見出来たのだから尚更である。ことによったらアカシジミより発生が一週間ほど遅いウラナミアカシジミも発生が極端に悪いのならば、今年はオレンジ色のものが1枚もカメラの中に納められないかもしれないと感じ始めた。まあ、去年は両種とも大発生で思う存分撮影したから良いものの、それでも寂しい事には変わりない。
 午後からは去年、オオミドリシジミの羽の開いた写真を撮影出来た新治市民の森に行くことにした。今日は谷戸奥まで入るから、久しぶりの市民の森一周と言う事になった。先ずは例によって満倉谷戸から散策を開始した。ほんの少し残った雑木林の傍らでミズイロオナガシジミとゴイシシジミを発見した。これは幸先が良いと撮影して谷戸奥へ行くと、同好者に出くわした。「アカシジミを見ましたか」と聞くと、「梢の高い所に1頭いました。今年は本当に発生が少ないようですよ」との事であった。やはり誰もがアカシジミの発生が極端に少ないと思っているようである。しからばという訳ではないが、かなり発生し始めたキノコや咲き始めたアジサイやテイカカズラ等を撮影してゆっくりと散策した。テイカカズラが大好きなご婦人がいるが、「純白の風車のような花が好き」と言われていたが、それではもっと大きくて純白の風車のようなクチナシの花は好きなのかを聞くのを忘れてしまった。今度会ったら聞いてみよう。しかし、どうしてテイカカズラなんていう名前なのだろう、漢字で書くと定家葛だから、藤原定家と何らかの関係があるのだろうかと自宅に戻って図鑑を開いてみたが書かれていない。今日の新治はツルタケダマシやナカグロモリノカサ等の大型のキノコも見られたが、みんなぽつりぽつりと単生しているので絵にならない。そこで何べんともなくもうすでに紹介しているアミスギタケの網目模様の襞と種名不明の黒く塗った軸に白い先端の、まるでかつて高級喫茶店に置かれていたマッチのようなキノコを撮った。車に戻ると案の定雨がぱらついて来て、アカシジミには出会えなかったが雨間の本当にラッキーな散策の一日となった。

<今日観察出来たもの>花/テイカカズラ(写真上右)、ドクダミ、アカバナユウゲショウ、アメリカフウロ、ナンテンハギ、ホタルブクロ、ツユクサ、アカツメクサ、シロツメクサ、ムラサキカタバミ、ニワトコ、オオキンケイギク、サンジャクバーベナ、ハルシャギク、タチアオイ、ゼニアオイ、キンシバイ、ビョウヤナギ、アジサイ(写真上左)、ザクロ等。蝶/アサギマダラ、テングチョウ、モンキアゲハ、モンシロチョウ、キチョウ、メスグロヒョウモン、ルリタテハ、キタテハ、イチモンジチョウ、コミスジ、クロヒカゲ、ヒカゲチョウ、サトキマダラヒカゲ、ウラギンシジミ、ムラサキシジミ、ミズイロオナガシジミ、ウラゴマダラシジミ、ルリシジミ、ベニシジミ、キマダラセセリ、ダイミョウセセリ等。昆虫/シラホシナガタマムシ、オジロアシナガゾウムシ(写真中左)、コフキゾウムシ、クロウリハムシ、ヒメギスの幼虫(写真中右)、ヤブキリの幼虫等。キノコ/ナカグロモリノカサ、ツルタケダマシ、ムキタケ、ヒトヨタケ、ミドリスギタケ、アミスギタケ(写真下左)、アラゲキクラゲ、種名不明(写真下右)等。その他/モミジイチゴの実、ヒメコウゾの実、ヤマグワの実、ミツバウツギの実等。


6月9日、東京都町田市小野路町

 週間天気予報を見ると、やはり明日から天気がぐずつくようだ。傘をさしての仕事も大変だが、それでも溜まった仕事を明日こなせば良いと、小野路町へ行った。今日は一日中曇り日で撮影にも散策にも好適な日和で、美しい雑木林に行けば、オレンジ色のアカシジミに出会える筈だと踏んだのだが、1頭だにゼフィルスの姿は見られなかった。その後、各所を散策してミズイロオナガシジミとウラゴマダラシジミには出会ったものの、アカシジミの姿はなかった。やはり昨年の台風の影響が出ているのだろうか。それとも春が遅れた影響がここまでおよんでいるのだろうか。いずれ分る事だろうが、まったく不思議である。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ドクダミ、ギンリョウソウ、ニワゼキショウ、オカタツナミ、ヒメジオン、ノアザミ、コンフリー(写真上左)、アワブキ、ウツギ等。蝶/ゴマダラチョウ、メスグロヒョウモン、キタテハ、テングチョウ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、ヒメジャノメ、クロヒカゲ、サトキマダラヒカゲ、ゴイシシジミ、ミズイロオナガシジミ、ウラゴマダラシジミ、ルリシジミ、ベニシジミ、キマダラセセリ、ヒメキマダラセセリ、ダイミョウセセリ、コチャバネセセリ等。昆虫/トンボエダシャク、アカスジキンカメムシ、ヤマサナエ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、シオヤトンボ、コクワガタ、オオアオゾウムシ、コフキゾウムシ、ハスジカツオゾウムシ、ヒメクロオトシブミ、ジョウカイボン、ヒメカメノコハムシ、イチモンジカメノコハムシ、リンゴコフキハムシ、クロウリハムシ、アトボシハムシ、ムーアシロホシテントウ、トホシテントウ、ウスバカゲロウ等。鳥/ツツドリ、キジ、ガビチョウ等。キノコ/ダイダイガサ、ヒイロタケ、アミスギタケ、カワリハツ等。その他/モミジイチゴの実、クマヤナギの実、ヘビイチゴの実、ナツグミの実(写真上右)等。


6月8日、横浜市戸塚区舞岡公園

 今週はどうしても片付けなくてはならない仕事もないし、今週末の金曜日から曇り時々雨の日が、まるでエンドレスのように続くらしい。オレンジ色の太陽マークが一週間何処にも見えないのだから、いよいよ本格的な梅雨入りという事だろう。また、今日は待ちに待った一日中曇り日と予報されていたので、間隔的には短過ぎるが、ゼフィルスが落ち着いて葉上に止っている筈と出かけることにした。しかし、そんな思惑は見事に外れて、薄日射す気温の高い日となった。それでも羽化したばかりのオオミドリシジミに出会え、証拠写真程度にしか撮れなかったが、得難い一日となった。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/アジサイ、シモツケ、スイカズラ、ドクダミ、ヒルガオ、トキワハゼ、ミヤコグサ、カタバミ、イモカタバミ、アカツメクサ、シロツメクサ、ニワゼキショウ、タチアオイ、シラン、オオキンケイギク、ジャガイモ等。蝶/アゲハ、アオスジアゲハ、モンキチョウ、キチョウ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、テングチョウ、アカボシゴマダラ、ヒメアカタテハ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、コミスジ、イチモンジチョウ、サトキマダラヒカゲ、ヒメジャノメ、オオミドリシジミ、ミズイロオナガシジミ、ウラゴマダラシジミ、ルリシジミ、ベニシジミ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ、アゲハの終齢幼虫、ヒメアカタテハの卵等。昆虫/トンボエダシャク、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ、キボシカミキリ、カツオゾウムシ、コフキゾウムシ、マダラアシゾウムシ、シロコブゾウムシ、オジロアシナガゾウムシ、オオアカマルノミハムシ、ジンガサハムシ、テントウムシ、オオヒラタシデムシ、ヒゲナガハナノミ(写真上左)、アカスジキンカメムシ(写真上右)、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、マルカメムシ、ハサミツノカメムシ、ヨコヅナサシガメ、ヤマトシリアゲ等。キノコ/ササクレヒトヨタケ、アミスギタケ等。その他/ヤマグワの実、モミジイチゴの実、ウグイスカグラの実、ナシの実、カラタチの実、ハナイカダの実等。


6月7日、東京都町田市都立小山田緑地〜野津田公園

 今日は舞岡公園へ行って前回の屈辱戦に挑もうかなとも思ったが、天気予報を見ると舞岡公園の方が町田市より天気が良いと予想されている。これからは蝶の落ち着きがなくなる晴天の日よりも、曇り日の方が観察及び写真撮影には好都合なのだ。そこで前回(5月29日)行った時に、かなりの手応えがあった都立小山緑地本園と野津田公園へ行くことにした。散策する順番もコースも前回と同じである。駐車場に車を停めて散策を開始すると、まずはたくさんのテングチョウが出迎えてくれた。オオムラサキの生息地としても著名な小山田緑地にはエノキがたくさんあるから、同じエノキの葉を幼虫が食べるテングチョウもとても多いのである。しかし、みんな地面に羽を閉じて止る個体ばかりで、羽を開いて美しいオレンジ色の紋を見せてくれる個体はいない。越冬明けの個体は体温を上げる為に羽を開いて日光浴するが、なにしろこの時期の個体は破損しているものが多い。しからば羽化したての新鮮なテングチョウを撮影しようと思うのだが、羽を開いているものにはなかなかお目にかかれないのである。前回来た時には雨が降らずに干からびていた調整池も、まだ水深は浅いが水が溜まっている。降った雨が溜まって日にちが経っていないので、その透明度は摩周湖のようである。そんな状態でもシオカラトンボが水面上を飛び回っていた。これなら池周辺にキノコが出ているのではと探してみたが、イタチタケがぽつんと一本泥だらけで生えていた。しかし、日陰に積んである丸太にはシロキクラゲやシロホウライタケに似たキノコが生えていた。シロキクラゲは食べられると言うが、こんなコンニャクのようなものは口に含むのも躊躇される。また、場所は異なるが、今日、一本だけだがザエラノハラタケをみつけた。今年初めての大きな傘を持ったキノコである。
 雑木林に差し掛かるとイチヤクソウの蕾が真ん丸く膨らんで、とても可愛らしい。丘の上の広場に出ると相変わらずテングチョウが乱舞している。それをしばし見ていたら、オレンジ色の小さな蝶がひらひら飛んで来てヌルデの小枝に止った。近づいてみるとアカシジミであったが、撮影するには残念ながらあまりにも高過ぎる場所である。それでも羽化したてでおとなしいミズイロオナガシシミが植栽されたクルメツツジの葉に止っていたので、今季初めてのゼフィルスをカメラの中に納める事が出来た。雑木林の縁に垂れ下がるようにイボタの木があって、もしやウラゴマダラシジミが見られるのではと思って行ってみると、2頭も見られたが、いっこうに静止する気配はない。ウラゴマダラシジミは飛び始めたらもう止ることを知らないかのような習性なのだ。今日は前回と異なって野の花もなく、それ程芳しくないなと愚痴りながら石畳の道経由で駐車場に戻ろうと歩いて行くと、大きな白斑を持った黒い蝶とそれよりやや小さい黒い蝶がいた。後者は目の前を通り過ぎて飛んで行ったのでゴマダラチョウと確認出来たが、前者は近づいたら逃げてしまったが、恐らくメスグロヒョウモンの雌であろう。蝶と言えば、ほとんど雄が先に発生するというのにおかしいなとも思ったが、メスグロヒョウモンは秋遅くまで生きているのだから、どちらが先に出現しても良いのだろう。石畳の道を降りて行くと、地面でイチモンジチョウが交尾していた。これは初めての観察となり、また、交尾していればそう容易くは逃げられないので、思う存分に撮影出来た。
 午後からは野津田公園へ行った。前回と同じく萌芽更新をしている雑木林に行ってみると、今日は切り株から滲み出る樹液にヒカゲチョウがやって来ていた。お腹が空いているのか食事に夢中で、至近距離でも逃げないから背景を考えて慎重に撮影した。他にはなにかいないかなと見回してみると、オオアオイトトンボが1匹枯れた小枝に止まっていた。オオアオイトトンボは晩秋まで見られるとても長生きのイトトンボであるが、発生してから秋までは水辺からかなり離れた雑木林の中で暮らし、秋が深まると水辺に舞い戻って来るという習性の持ち主である。これまた飛び立たせてはまた止らせ、また、飛び立たせてまた止らせて、背景の良い所にやっと止ったので慎重に近づいてシャッターを切った。その後、前回と同じコースで一回りしてみたが、これといったものには出会えず、毎年、樹液が良好に滲み出るクヌギを見に行くと、オオスズメバチ、サトキマダラヒカゲ、クロヒカゲ、ヒカゲチョウがたくさん集まっていた。それプラスなんと雌ではあるが今年初めてのカブトムシがいたので、オオスズメバチが去るのを待って撮影したのは言うまでもない。やはりカブトムシは昆虫界の大将、子供たちに大人気の昆虫であることは言うまでもなく、カブトムシを見ると夏なのである。

<今日観察出来たもの>花/ウツギ、イボタ、スイカズラ、ドクダミ、シロツメクサ、アメリカフウロ、ミヤコグサ、ニワゼキショウ、タチアオイ、オオキンケイギク、ザクロ等。蝶/キチョウ、テングチョウ、メスグロヒョウモン、ゴマダラチョウ、コミスジ、イチモンジチョウ(写真上右)、サトキマダラヒカゲ、クロヒカゲ、ヒカゲチョウ(写真上左)、ヒメウラナミジャノメ、アカシジミ、ミズイロオナガシジミ(写真中左)、ウラゴマダラシジミ、ルリシジミ、ヒメキマダラセセリ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ等。昆虫/シオカラトンボ、オオアオイトトンボ(写真中右)、カブトムシ、アオオサムシ、オオヒラタシデムシ、ミドリカミキリ、エグリトラカミキリ、ベニカミキリ、オオスズメバチ等。キノコ/ザエラノハラタケ、シロキクラゲ、アミスギタケ、アラゲキクラゲ、シロホウライタケ?(写真下左)、キサツマモドキ?(写真下右)等。鳥/ウグイス、ホトトギス、ガビチョウ等。その他/ヤマカガシ、クワの実、モミジイチゴの実、ミツバウツギの実、アブラチャンの実等。


6月5日、横浜市戸塚区舞岡公園

 今日は本年度「道端自然観察大賞」を受賞するかもしれないアカスジキンカメムシの黒化型と、ゼフィルスを求めて疲れた身体に鞭打って舞岡公園へ行った。結果としては黒化型は発見出来ず、また、曇り日の筈だったが陽が射して来て気温も上がり、また、あまりにも到着したのが遅過ぎたためか、アカシジミを2頭、ミズイロオナガシジミを1頭、ウラゴマダラシジミに至っては多数観察したにもかかわらず、カメラの中に納める事が出来なかった。それでも羽化したてのアカスジキンカメムシや産卵中のチャバネアオカメムシに出会って、中位の喜びを持っての帰宅となった。詳細は「舞岡公園散策手帖」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/アジサイ、シモツケ(写真上左)、ハコネウツギ、ウツギ、スイカズラ、ドクダミ、ヒルガオ、カタバミ、イモカタバミ、ユキノシタ、セリバヒエンソウ、オカタツナミ、アカツメクサ、シロツメクサ、アカバナユウゲショウ、ナガミヒナゲシ、ケキツネノボタン、ニワゼキショウ、タチアオイ、シラン、オオキンケイギク、ネギボウズ、ジャガイモ等。蝶/クロアゲハ、アオスジアゲハ、モンキチョウ、モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、テングチョウ、アカボシゴマダラ、キタテハ、コミスジ、イチモンジチョウ、サトキマダラヒカゲ、ヒメジャノメ、ヒメウラナミジャノメ、アカシジミ、ミズイロオナガシジミ、ウラゴマダラシジミ、ルリシジミ、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ、キアゲハの終齢幼虫等。昆虫/カノコガ、オオシオカラトンボ、ヒメクロオトシブミ、トホシオサゾウムシ、ハスジカツオゾウムシ、コフキゾウムシ、マダラアシゾウムシ、シロコブゾウムシ、オオアカマルノミハムシ、アトボシハムシ、ジンガサハムシ、テントウムシ、オオヒラタシデムシ、ヤツメカミキリ、ジョウカイボン、セボシジョウカイ、アカスジキンカメムシ、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、マルカメムシ、クヌギカメムシ、ハサミツノカメムシ、アカサシガメ、ヤマトシリアゲ、ミサキオナガミバエ、ミツクリハバチの幼虫等。キノコ/ベニヒダタケ、ササクレヒトヨタケ、アミスギタケ、キクラゲ、アラゲキクラゲ等。その他/ヤマグワの実、モミジイチゴの実、ウグイスカグラの実、ミカンの実(写真上右)等。


6月4日、横浜市緑区新治市民の森〜三保市民の森〜横浜キノコの森

 先週、だいぶ雨が降ったので、そろそろキノコが出始めたのではないかと、横浜キノコの森へ行ってみようと家を出た。しかし、ずっと雨無しのカラカラ天気だったから、キノコも絵になる大物はないかもしれないと、午前中は新治市民の森にほんのちょっとお邪魔して、三保市民の森へも行くことにした。まあ今日は言わば緑区の3大森巡りと言う訳で、昼食はお蕎麦屋さんで、大盛りを頼まなければいけないなと苦笑した。
 新治市民の森はいつものように一番至近の満倉谷戸と丘の上の畑を歩いた。ほんの少し残っている雑木林の小道へ足を踏み入れると、ヤサイゾウムシが葉に止っていた。丘の上の畑に出るとジャガイモ、トマト、ナス、カボチャの花がとても綺麗である。その中で一番絵になるのは黄色い大きな花のカボチャである。カボチャはとっても栄養があると我が家の食卓をいつも賑わすのだが、どうもサツマイモと同じで女性の食べ物に思えてしまって、ほんの少しだけいただいている。しかし、カボチャは花も実もとっても絵になる作物で、カボチャ畑はなんとなく微笑ましい平和で長閑な田園風景をかもし出す。今日も非常にバランス良く咲いていて、ばっちりカメラの中に納める事が出来た。年末に予定されている第2回里山写真クラブ作品展へ出展したら大好評の事だろう。路傍には早くもツユクサが咲いていて、梅雨だから露草を撮ろうと近づいてみると、なんとヒメヒラタアブが吸蜜していた。大きな補虫網を持った新治市民の森で良く出会うカミキリ青年に出会ったので、この前、舞岡公園で観察したリンゴカミキリの話をしたら、即座に携帯電話にその姿を映し出してくれて、ニセリンゴカミキリではなくシラハタリンゴカミキリであると教えてくれた。箱根の山の向こうとこちらで種が分れ、西に生息するのがニセリンゴカミキリなのだと言う。それにしても携帯電話で昆虫を接写するなんて、世の中もずいぶんと変わったものである。そんな彼にしばらくついて行くと、クリ林の剪定して置かれた枯れた枝に、ムツモンタマムシを見ることが出来た。
 奥へ行ってもそれ程期待できないに新治市民の森を早々と切り上げて、お次は三保市民の森の谷道へ行った。谷道に入る手前の畑や民家の花々には、羽化したばかりの眩しい程に白いモンシロチョウが吸蜜していた。期待した谷道は今日はこれはといった昆虫は観察出来ず、カワトンボと髭面のおっさんのオオイシアブばかりであった。しからばキノコはと探してみたが、傘と柄があるキノコらしいものはイタチタケくらいで、乾涸びていたキクラゲが水を吸って私の嫌いなコンニャクのようにぶるぶるしていた。それでも置かれた丸太に、赤くて真ん丸な中にチョコレートが入っていそうなマメホコリの幼菌が可愛らしかった。これでは駄目だなと踵を返して、周辺の民家の小道を散策してみると、オオキンケイギク、フウリンソウ、サンジャクバーベナ、ヒナゲシ、オオテンニンギク、タチアオイ、キンシバイ等、様々な花が咲いている。梅雨の名花であるアジサイも薄っすらと色づいて来た。もちろん路傍にはドクダミ、ニワゼキショウ、アカバナユウゲショウも咲いている。白色のアカバナユウゲショウを発見して、これはシロバナユウゲショウと呼んだら良いのか、ただのユウゲショウと呼んだら良いのかと苦笑する。多分、ユウゲショウとは夕化粧だろうから、お化粧すれば白くなるからただのユウゲショウと呼んだら良いのだろう等とくだらないことを考える。そんな馬鹿みたいな事を考えて歩いていたら、フキの葉からアカバナユウゲショウが一輪顔を出していたので、リズミカルな構図で切り取った。
 午後からは今日の本命場所である横浜キノコの森へ行ったが、まだまだ雨が足らないのか、それとも雨が降ってから日にちがたたないからか、相変わらずのムジナタケ、やっと生え出したツチヒラタケ位しか見当たらなかった。ここでもキクラゲの仲間は元気一杯でハナビラニカワタケを撮影した。また、キノコではないがギンリョウソウが3本出ていたが、昆虫かナメクジあたりに食べられて痛んでいたので撮影はしなかった。近場で美しい絵になるギンリョウソウを見つけるのはまことに難しいなあと愚痴が出た。以上、そんな訳で、やっぱり後一週間、キノコもゼフィルスも後一週間との思いを強くした一日となった。

<今日観察出来たもの>花/ギンリョウソウ、ドクダミ、アカバナユウゲショウ(写真上右)、ツユクサ、ニワゼキショウ、アカツメクサ、ウツギ、ムラサキカタバミ、オオキンケイギク、、フウリンソウ、サンジャクバーベナ、ヒナゲシ、オオテンニンギク、タチアオイ、キンシバイ、カボチャ(写真上左)等。蝶/モンキチョウ、モンシロチョウ、キタテハ、ゴマダラチョウ、イチモンジチョウ、コミスジ、コジャノメ、クロヒカゲ、ヒメウラナミジャノメ、ベニシジミ、ヤマトシジミ、イチモンジセセリ、ダイミョウセセリ等。昆虫/シラハタリンゴカミキリ、ムツボシタマムシ(写真中右)、ヤサイゾウムシ、コフキゾウムシ、トホシオサゾウムシ、セボシジョウカイ、ヒゲナガハナノミ、クロウリハムシ、テントウムシ、トホシテントウ、オオイシアブ、ヒメラタアブ(写真中左)等。鳥/ホトトギス等。キノコ/ツチヒラタケ、ムジナタケ、イタチタケ、ハナビラニカワタケ(写真下左)、キクラゲ、マメホコリの幼菌(写真下右)、マンネンタケの幼菌等。その他/モミジイチゴの実、クマヤナギの実、ヘビイチゴの実、クワの実、ミツバウツギの実、ハナイカダの実等。


6月2日、東京都町田市小野路町・図師町

 今日は午後から雨が降って来ると予報されていた。それでも小野路町の方が舞岡公園よりも降り出しが遅いとあるので出かけてみた。しかし、到着してからすぐに小雨が降ったり止んだりで、カメラにタオルを被せて散策した。いよいよ大好きな梅雨のシーズンに入ったようである。午前中はそれでもなんとか写真を撮ることが出来たが、昼食をとっていると雨脚が強まって止む暇も感じられない天候となった。そこで写真撮影は諦めてカメラをザックにしまい、傘をさして五反田谷戸へ行って見た。小ぬか雨降る五反田谷戸は非常に情緒溢れ、レモンイエローのミヤコグサの群落が迎えてくれた。詳細は「小野路図師紀行」をご覧下さい。

<今日観察出来たもの>花/ドクダミ、ミヤコグサ、ニワゼキショウ、オカタツナミ、ハルジオン、キツネアザミ、ノアザミ、アカツメクサ、ウツギ等。蝶/ジャコウアゲハ、モンシロチョウ、イチモンジチョウ、コジャノメ、クロヒカゲ、ゴイシシジミ、ベニシジミ等。昆虫/アカスジキンカメムシ、クヌギカメムシ、ヤマサナエ、シオカラトンボ、ヒゲコメツキ、シモフリコメツキ、コクワガタ(写真上左)、コフキゾウムシ、ヒメクロオトシブミ、ジョウカイボン、ヒゲナガハナノミ、ジンガサハムシ、イチモンジカメノコハムシ、クロウリハムシ、アトボシハムシ、ムーアシロホシテントウ、トホシテントウ、トビモンオオエダシャクの幼虫(写真上右)等。鳥/ホトトギス等。その他/チュウガタコガネグモ、モミジイチゴの実、クマヤナギの実、ヘビイチゴの実、アミスギタケ、ヒトヨタケ等。


6月1日、東京都八王子市高尾山

 今日は6時半に起床して、ご飯も食べずに家を出発した。年末の第2回里山写真クラブ作品展の会場確保のために、町田市のパルルプラザ町田に行った。なにしろ先着順であるから早く並んだもの勝ちなのである。こんなに早く電車に乗るのは久しぶりだが、通勤通学の方々でかなり混んでいた。リストラされてやむなく自営業となり、毎日適当な生活をしていると忘れがちだが、日本経済はたゆまない人々の勤労によって維持されているのである。パルルプラザ町田には8時10分前、受付開始の40分前に到着したが、早くも2人の方が列をつくっていた。場所が確保できるかなと心配したが、12月は借りられる期間が3週となるので3団体が利用できる。と言う事は3人目になったので、どう転んでも会場が確保出来ると鼻歌を歌った。
 今日、もし会場確保が出来なかったらどんなにか悲痛な面持ちになっていたかと思うとぞっとしたが、諸手続きが終わると遅い朝食を食べて、町田駅からならそんなに時間のかからない高尾へ久しぶりに行った。最初、駅から徒歩10分の多摩森林科学園へ行ったが、これといった花も無く虫もいなくてすぐに踵を返した。森林科学園と名がつくのだからかなり期待したのだが、確かに各種の樹木は植栽されていたが、みんな背が高く生長していて、おまけに無粋な工事用ロープで囲われているから冬芽観察にも適さないと感じた。しかし、ここは各種のサクラが保存されているので、お花見には絶好のようである。高尾駅に急いで引き返して小仏行きのバスに乗ろうとしたが、平日は一時間に一本で発車までかなり時間がある。そこで時は良い写真なりとばかりに、タクシーで蛇滝口まで直行した。高尾山の自然観察の好適な場所は昔から裏高尾と決まっている。一番良いのは更に上流の木下沢だが、そこまで行くには今日は時間が無いので、今日は2番目に良い蛇滝口周辺を散策し、小仏川沿いの散策路を高尾駅まで歩こうという事にしたのだ。タクシーを降りて老人ホーム手前にある梅林の中に入って行くと、早くもダビドサナエがかなりの数で葉の上に止っている。そればかりでなく最盛期を過ぎて破損個体が多かったが、ウスバシロチョウがたおやかに飛んでいる。まったく有料の多摩森林科学園とは大違いであるなとほくそ笑む。更に嬉しかったのはラミーカミキリがいたことである。それが所々に繁茂するカラムシやイラクサの葉上ではなく、ムクゲの葉に止っているのには驚いた。そこで帰って来て植物図鑑を開くとムクゲはアオイ科、もちろんカラムシやイラクサはイラクサ科である。これはおかしいなあと思い、今度は昆虫図鑑を開いてみると、ラミーカミキリはムクゲ、カラムシ、イラクサを食するとあった。これで充分に納得した訳だが、今度はフィールドでムクゲにも注意しなければならなくなってしまった。
 しばらく梅林の中で他にヒメキマダラセセリ等と戯れた後、小仏川に行ってみると、カワトンボ、ミヤマカワトンボ、ダビドサナエとトンボが一杯飛んでいる。川下から長靴を履いた熟年の方がカメラを下げてやって来る。どうやらトンボ狙いのようである。しばらくその方と話をすると、東京から一番近くて、帰ろうと思えばバスに乗らなくとも45分程で高尾駅につくこの場所は、トンボ撮影にはかかせないとっても気楽な穴場なのだと言う。蛇滝には4月初旬にムカシトンボもまだかなりいるし、この場所ではミルンヤンマもたくさんいるとの事であった。確かにここから甲州街道までの間はずっと小仏川沿いに散策路が続いているから、トンボ観察にはとても面白いと思った。いつか書いたと思うが、寺家ふるさと村に出没する冬虫夏草の大好きなNさんも、ここにヤンマタケを探しにやって来る。そんなトンボの穴場に来て、更にミヤマカワトンボがたくさん川の石の上でテリトリーを張っているので、なんとかしてものにしてやれと頑張った。しかし、今日持参したのは90oマクロレンズのみでスニーカー、何度も近づけども逃げられて、やっと手持ちでなんとか使える写真をものにする事が出来た。300oでも持って来れば、渓流の白く泡立つ流れも取り入れて、情緒溢れるミヤマカワトンボの写真が撮れる筈である。今日は久しぶりの高尾山、車で来ると大変で停める場所もない高尾山。しかし、電車で来ればホホイノホイと来れる事が分ったので、これからも度々、裏高尾を訪れようと小仏川沿いに高尾駅まで楽しく観察しながら帰宅の途に着いた。

<今日観察出来たもの>花/セリバヒエンソウ、ハナウド(写真上左)、クサノオウ(写真下右)、ニワゼキショウ、ドクダミ、オカタツナミ、ハルジオン、キツネアザミ、ノアザミ、シロツメクサ、フタリシズカ、コゴメウツギ、エゴノキ等。蝶/モンキアゲハ、ウスバシロチョウ(写真中左、写真中右)、アサギマダラ、モンキチョウ、コミスジ、ダイミョウセセリ、ヒメウラナミジャノメ、ヒメキマダラセセリ等。昆虫/ダビドサナエ(写真下左)、カワトンボ、ミヤマカワトンボ(写真下右)、アカスジカメムシ、ジョウカイボン、ヤツボシツツハムシ、アトボシハムシ、イタドリハムシ、ウスアカオトシブミ、オオイシアブ等。鳥/ホトトギス、ガビチョウ、ハクセキレイ等。その他/モミジイチゴの実、ウグイスカグラの実、ユスラウメの実、アラゲキクラゲ等。



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