東京23区内道端自然観察館
(2)

東京23区内は誰もが認める都市化が最も進んだ地域である。しかし、かなりの生き物が頑張って生活していることも確かである。
そんな特異な地域で生き物達を見つけて、美しい写真が撮れたらどんなに素敵な事だろう。横浜に住んでる人間がわざわざ出掛
けて行くのもおかしいが、前からとても興味があったことなのでスローペースでやり始めてみる事にしました。


2004年 11月12月 2005年 1月2月 3月4月 5月6月 7月8月 9月10月 11月12月

2005年2月27日、東京都大田区東京港野鳥公園











東京港野鳥公園入口/自然生態園の田んぼ/大田市場の鮮魚棟/大田市場の野菜棟











日本航空のジェット旅客機/全日空のジェット旅客機/AIRDOのジェット旅客機/日本航空のジェット旅客機











ベニバナマンサク/マンサク/ブンゴ梅の蕾/ウグイスカグラ











チャンチンの冬芽/ナナカマドの冬芽/アンズの冬芽/ネコヤナギ











アブラナ/フキノトウ/オオイヌノフグリ/ホトケノザ











アオサギ/カモメ/ホシハジロ/マガモ











オオバン/カイツブリ/ジョウビタキ/ツグミ

 東京23区内道端自然観察館は、一区につき一公園で進めるつもりでいたが、昨日の小野路図師紀行と同じように、今日行かないと2月は1回となってしまう。そこでたくさん撮りたいものもあったから、多摩川台公園についで大田区の東京港野鳥公園に行った。東京港野鳥公園は海に近いから風が心配されたが、お昼近くになると風もすっかり止んで、空は真っ青だからとても暖かい散策日和となった。もちろん野鳥公園と言っても午前中は、里山をモデルとした人造の自然生態園に行った事は言うまでもない。一番撮りたかったのはフキノトウで、誰もとらないからたくさんあるのだ。次にネコヤナギを始めとする綿毛の弾けた各種のヤナギだが、アカメヤナギの芽は固く、イヌコリヤナギは風による揺らぎもあって思うようには撮影出来なかった。その他、木の花ではサンシュユがレモンイエローに咲いて、紅梅との対比がとても美しかった。ベニバナマンサクは満開だがマンサクは咲き始めたばかりで、もう少しでピンクのブンゴ梅も開花しそうである。野鳥公園には様々な樹木も植栽されていて、ナナカマド、ミズナラ、トネリコ等の山地性のものも見られ、なんとなんとチャンチンもあったから、冬芽と葉痕も撮影した。午後からは野鳥撮影用機材で散策したが、オオタカ、ノスリ、フクロウが居ついてからカモ類の姿はめっきり減ったと言う。それでも嘴が白いオオバンは初めて見る野鳥だから、ばしばしとシャッターを切った。小鳥の仲間ではジョウビタキが見られ、樹木を植栽するためにボランティアの方々がスコップで穴を掘ったら、多分、ミミズ等が目当てなのか、その穴の近くを徘徊していた。多摩丘陵の農家のご婦人がジョウビタキがとっても可愛いと言っていたが、農作業をしていると、今日のように餌を求めて近くにやって来るのだろう。シギ、チドリ類はいないかと観察小屋へ行ってみたが、アオサギ、カワウ、コサギ、カイツブリと常連さんばかりであった。それでも一眼レフデジタルを手持ちで飛翔写真を撮ろうと狙っている若者がいた。アオサギは大きくてゆっくり飛ぶから何とかなるが、カワウは早く飛ぶので難しいと言っていた。東京港野鳥公園は羽田飛行場が至近だから、ジェット旅客機が頻繁に離着陸する。そこで飛ぶ鳥は撮れないが、その練習とばかりに何枚も撮影してみた。以上、やっぱり今日は野鳥公園に来て良かったと満足出来た訳だが、後10日ぐらい経つと、ますます華やいだ雰囲気に包まれる事だろう。

<今日観察出来たもの>花/サンシュユ、ウメ、ベニバナマンサク、マンサク、ウグイスカグラ、ナノハナ、ホトケノザ、ナズナ、ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリ、フキノトウ、ネコヤナギ、イヌコリヤナギ、アカメヤナギ等。鳥/マガモ、ホシハジロ、カイツブリ、オオバン、カワウ、アオサギ、コサギ、ヒヨドリ、ツグミ、シジュウカラ、コゲラ、ジョウビタキ、アオジ、スズメ等。昆虫/ハラビロカマキリの卵のう、ナナホシテントウ。その他/チャンチンの冬芽、アンズの冬芽、ナナカマドの冬芽、トネリコの冬芽、ミズナラの冬芽等。


2005年2月4日、東京都練馬区石神井公園











石神井公園入口/マガモ/ホシハジロ/キンクロハジロ











カルガモ/ハシビロガモ/オナガガモ/オシドリ











カイツブリ/バン/カワウ/ハシブトガラス











コサギ/ヒヨドリ/ツグミ/シロハラ











カワセミ/ムクドリ/シジュウカラ/キセキレイ

 このところ東京23区内道端自然観察館は、花と実と冬芽というパターンが続いている。今日、何処かの公園へ出かけたとしても、前回行った小石川植物園以上に花が咲いている訳ではない。そこで今日は重たい野鳥用撮影機材を持って練馬区の石神井公園まで出かけた。去年も都内の公園各所へ野鳥を撮影に行ったが、一番種類数が多くて撮れそうなのが石神井公園だと感じたのである。また、井の頭公園もこのような意味から魅力的なのだが、なにしろ東京23区内でなく三鷹市なのだから仕方がない。家を出たのが遅かった事もあるが、さすが練馬区だからかなり時間がかかって、現地に到着したのが11時となってしまった。ほとんどの被写体は午前中の光のほうが最適で、午後になると赤茶けた光となって不向きである。それならば、一日中、柔らかい光の曇り日に出かければ良いのだが、冬はとても寒く、おまけに野鳥を曇り空に抜いても様にならない。石神井公園は石神井池と三宝池の二つの大きな池から成り立っているが、石神井池はボート乗り場がある位だから俗化していて野鳥の姿はかなり少ない。逆に三宝池は野趣に富んでいて、こんな沼沢風景が都内で味わえるなんて、何だか不思議な気分になるとても貴重な場所である。今日は池の畔のみを散策したのだが、周辺には木立も多く、おそらくそちらの方も念入りに歩き回れば、更なる野鳥の数が追加されたに違いない。まず、最初に石神井池にいるオシドリに注目していたが、昨年もいた身体が比較的白いものが1羽見られた。餌をやりに来た方によると、このオシドリはもう8年前位からずっと、この池に見られると言う。最初はとても弱っていたがだいぶ回復し、どうやら飛べないらしく、ここより他に行く術を持ち合わせていないだと言う。他には昨年来た時と比べると、カイツブリとバンの個体がとても多く見受けられ、鴨ではハシビロガモが多く、コガモがとても少なく感じられた。同じ池には毎年同じような種類と数が来るのかと思ったら、そうでもなさそうである。小鳥の仲間では、他のフィールドと同様にシロハラの当たり年なのか、複数の個体を確認する事が出来た。今日はとにかく種数をと考えていたし、午後が中心となったので、左程良い写真が撮れたとは思わないが、ここに紹介しなかったコガモとスズメも入れると、出会った鳥の21種類をどうにかカメラの中に納める事が出来た。稀少種こそ遭遇しなかったものの、いつも回りに野鳥が一杯という、とっても楽しい自然観察となった事は言うまでも無い。

<今日観察出来たもの>鳥/マガモ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、カルガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、オシドリ、カイツブリ、バン、カワウ、ハシブトガラス、コサギ、ヒヨドリ、ツグミ、シロハラ、カワセミ、ムクドリ、シジュウカラ、キセキレイ、スズメ、アヒル、ドバト等。


2005年1月25日、東京都文京区小石川植物園











小石川植物園正門/小石川植物園内/シナマンサク/アテツマンサク











ウメ/ウメ/寒紅梅/カンザクラ











ロウバイ/ソシンロウバイ/ウンナンロウバイ/カンボケ











ウグイスカグラ/ウンナンオウバイ/スイセン/ロウヤガキ











ニワトコの芽吹き/ゴマギの冬芽/フウの冬芽/モミジバフウの冬芽











ヒメグルミの冬芽/ゴシュユの冬芽/コーカサスサワグルミの冬芽/シナマンサクの冬芽

 なるべく有料の場所には行かないつもりでいたのだが、文京区に自然観察に適した公園は見当たらず、またシナマンサクやウメが都内で一番早く咲く所でもあるので、観覧料330円の小石川植物園へ行った。小石川植物園は正門の写真を見れば分かるように、東京大学大学院理学系研究科付属植物園と言うのが正式名称である。誰もこんな長ったらしい名称など覚える事が出来る筈はなく、ここでは通称の小石川植物園ということにした。また、普通このような施設に入る場合のチケットは入園券というのが通り相場だが、観覧券というのがまたいかにも古めかしく、おまけに正門前の煙草屋さんで購入するというのもここならではである。今日はまず第一に、正門を入って右手すぐの美しいシナマンサクを見に行った。シナマンサクは色々な公園に植栽されているのだが、恐らく小石川植物園が東京一、いや関東一、ことによったら日本で一番先に見頃を迎えるのではなかろうか。そのシナマンサクのすぐ上には各種のロウバイが植栽されていて、ロウバイ、ソシンロウバイ、ウンナンロウバイの違いが一目瞭然で分かる事だろう。今日は梅林のウメもだいぶ咲いている筈で、これまた咲き出すのが都内で一番早い。ウメの観察及び写真撮影は、まずは小石川植物園から始めて新宿御苑、神代植物公園や町田市の薬師池公園へ、そして最後に奥多摩の吉野梅郷等へ通い続ければ、かなりの長きにわたって観賞する事が出来るだろう。ウメの花は写真として絵にすることがなかなか難しく、様々な撮り方もあるし、また、その品種も多数あるから、梅を追って寒さを吹き飛ばす散策もとても楽しい事に違いない。今日の梅林での特筆事項は、なんとアカタテハが吸蜜に訪れていた事である。まさかこの大寒の時期に飛び回る蝶を観察したのは初めてである。無事にウメを撮影すると、急坂を上ってカンザクラを見に行った。年が明けて初めてのサクラである。やはりサクラであるから薄いピンクの華やかさがカンザクラ周辺には漂っていた。その他、各種樹木の冬芽の観察は勿論だが、野鳥もかなり見られ、シメ、シロハラ、アカハラも見られたから、来年になったら軽量のデジスコを手に入れて、東京23区内道端自然観察館にも野鳥を登場させたいなあと思った。

<今日観察出来たもの>花/シナマンサク、アテツマンサク、ウメ、寒紅梅、カンザクラ、ロウバイ、ソシンロウバイ、ウンナンロウバイ、カンボケ、ウグイスカグラ、ウンナンオウバイ、スイセン、サザンカ、ツバキ等。蝶/アカタテハ。鳥/アカハラ、シロハラ、シメ、メジロ、ツグミ、シジュウカラ、ハシブトガラス等。その他/ロウヤガキの実、マンリョウの実、アオキの実、ヤツデの実、ニワトコの芽吹き、ゴマギの冬芽、フウの冬芽、モミジバフウの冬芽、 ヒメグルミの冬芽、ゴシュユの冬芽、コーカサスサワグルミの冬芽、シナマンサクの冬芽、アジサイの冬芽、ヌルデの冬芽、サンショウの冬芽等。


2005年1月12日、東京都大田区多摩川台公園〜田園調布せせらぎ公園











多摩川台公園入口/東急多摩川駅/スイセン/ウメ











紅梅/マンリョウの実/クロガネモチの実/センリョウの実











ゴマダラチョウの幼虫/クロバネフユシャク/アジサイの冬芽/カシワバアジサイの冬芽











サンショウの冬芽/ソメイヨシノの冬芽/ムラサキシキブの冬芽/ヌルデの冬芽

 今日はとても寒く北風が強い。こんな日に道端自然観察に出向いても、さんざんな目に会う筈だが、東京23区内の公園へ月2回は必ず行くことにしているので、自宅から一番近い多摩川台公園へ出かけた。自宅のある綱島駅から10分もかからない多摩川駅が最寄駅である。多摩川台公園は長嶋茂雄さんもお住まいになっている、東京でも超高級住宅街の田園調布の一角にある。西南側が多摩川に面していて桜の名所としても有名で、ここは古墳群もあるから開発されずに残った緑地である。かつて来た時は季節が良かったのでアジサイが一面に咲き、雑木林の樹液にはコクワガタのペアが吸汁していた。また、各種の野の花も植栽されているから、時期を選べばかなり楽しめる公園である。しかし、厳寒のこの時期に果たして撮影するものがあるのだろうか、冬芽と葉痕のオンパレードとなってしまうかもしれないと危惧したが、日当たりの良い斜面に早くも紅白の梅が咲き始めていてほっした。今日は公園管理の方々が下草刈りを伴った山掃除をしていたので、エノキの大木の根際にエノキの葉が残っているかと心配されたが、容易くゴマダラチョウの幼虫を発見した。こうなれば後は冬芽や各種の実を撮影すれば格好がつくと余裕綽々に散策したが、北風がとても強いので撮影に大変難儀した。また、野鳥ではアオジやシジュウカラが観察出来て、シメもいるようだから野鳥撮影に一度は来てみたいと思った。昼食をとりに駅周辺に戻ると、大昔には多摩川園という遊園地があり、その後は多摩川園ラケットクラブというテニスコートになっていた所が、田園調布せせらぎ公園として一般に公開されていた。中へ入ってみると多摩川台公園に比べて自然度は落ちるものの、かなり楽しめそうな公園である。休憩所の壁にここで見られる動植物として、蝶ではキチョウ、ゴマダラチョウ、サトキマダラヒカゲ等が紹介され、トンボではかなりたくさんの普通種にプラスしてモノサシトンボが生息しているとあった。以上、左程の成果は無かったものの、季節さえ良ければ両公園はかなり楽しめる公園である。また、すぐ近くに多摩川の河川敷があるから、一日を費やしても散策できない広さである。駅から至近であるから、是非一度、散策する事をお勧めしたい。

<今日観察出来たもの>花/ウメ、スイセン、ツワブキ、サザンカ、ツバキ等。蝶/ゴマダラチョウの幼虫。昆虫/クロバネフユシャク。鳥/アオジ、シジュウカラ等。キノコ/アラゲキクラゲ等。その他/クロガネモチの実、マンリョウの実、アオキの実、センリョウの実、ヤブランの実、ヤツデの実、ムラサキシキブの冬芽、ソメイヨシノの冬芽、ゴンズイの冬芽、クサギの冬芽、アジサイの冬芽、カシワバアジサイの冬芽、アカメガシワの冬芽、ニワトコの冬芽、ヌルデの冬芽、サンショウの冬芽等。


東京23区内道端自然観察館(3)へ