研究者でもなく、写真家でもなく、ナチュラリストでもないが、毎週末になると身近なフィールドをぶらついて気に入った写真を撮って帰る。少し研究者で、少し写真家で、少しナチュラリストであるこのような人間には、ウィークエンド・ナチュラリストという称号がぴったりである。研究者のように学問的に深く掘り下げて行くわけでもないし、写真家のように被写体を粘り強く追うわけでもないし、ナチュラリストのように自然保護や環境問題に真正面から真摯に対峙するわけでもない。そんな勝手気ままに自然と関わっている人間には、やはりウィークエンド・ナチュラリストという称号がぴったりだと思う。だから、ちょっと自然が好きな人間なら、誰でもウィークエンド・ナチュラリストになれると思う。稀少な生物に会いたいのなら、一級の風景写真を撮りたいのなら、手つかずの自然に浸りたいのなら、北海道や尾瀬、上高地、沖縄等へ行くのが一番である。だけど、お金と時間がたっぷりとかかり、一般の方々には高嶺の花である。マスコミに取り上げられるのはそういった自然が多いが、身近な自然に目を向けて、その素晴らしさ味わったら毎週出かけることができると思う。だから、身近な自然が好きになったら誰でもウィークエンド・ナチュラリストになれると思う。気ままで無責任なウィークエンド・ナチュラリストがたくさん増えて、どこのフィールドへ出かけても、名前も経歴も知らない者同士、挨拶したり会話をしたりできたら楽しいだろう。そんな願いを込めてウィークエンド・ナチュラリストと自称する私の一年を紹介します。
《目次》
(1)新年最初の里の花 (1月3日頃)・・・冬の雑木林、ソシンロウバイ、ロウバイ、アオキの実、ヤツデの実等。
(2)何事も腹八分目(1月6日頃)・・・ソラマメ畑、雑木林、ニホンスイセン、カンツバキ、ビワの花、キンカンの実等。
(3)吹く風は肌を刺す(1月13日頃)・・・冬の丹沢、ハクモクレンの冬芽、アジサイの冬芽、フジの冬芽等。
(4)落ち葉めくりは寒い日に(1月20日頃)・・・寒い朝、寒い雲、オオムラサキの幼虫、ゴマダラチョウの幼虫等。
(5)フィールドの達磨たち(1月27日頃)・・・冬の丘の上の畑、ウラギンシジミの越冬、ジャコウアゲハの蛹等。
(6)暦の上での春が来た(2月3日頃)・・・朝の雲、ウメ、紅梅、オウバイ、マンサク、シナマンサク、カンザクラ等。
(7)雪の中の宝物(2月10日頃)・・・雪の雑木林、雪景色、ヤママユの空繭、シラカシの葉等の雪の中の落し物等。
(8)池の中は満員電車(2月13日頃)・・・マガモ、オナガガモ、コガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ等。
(9)昔懐かしかるめ焼き(2月17日頃)・・・オオカマキリの卵のう、ハラビロカマキリの卵のう、カマキリの卵のう等。
(10)春は光とともにやって来た(2月24日頃)・・・フキノトウ、ザゼンソウ、セツブンソウ、イヌコリヤナギ、ネコヤナギ等。
(11)冴え返りつつ春なかば(3月3日頃)・・・オオイヌノフグリ、ホトケノザ、コハコベ、ナズナ、トウダイグサ等。
(12)胸はわくわく血はたぎる(3月10日頃)・・・火の見櫓、丘の上の畑、サンシュユ、ジンチョウゲ、アセビ、ボケ等。
(13)蛙ゲロゲロ、合戦だ(3月17日頃)・・・ヒキガエル、ヒオドシチョウ、キタテハ、ルリタテハ、アカタテハ、キチョウ等。
(14)ピーチクパーチク鳴いています(3月24日頃)・・・花桃畑、ナノハナ畑、ヤブツバキ、キブシ、トサミズキ、ミツマタ等。
(15)桜が咲いて木の芽開く(3月31日頃)・・・ 芽吹き始めた雑木林、ミズキ、ウツギ、エノキ、コナラ、イボタ等。
(16)ギフチョウを見つけに(4月7日頃)・・・ギフチョウ、コツバメ、ミヤマセセリ、シュンラン、クサボケ、カタクリ等。
(17)超スピードの変身術 (4月14日頃)・・・スミレ、タチツボスミレ、マルバスミレ、ツボスミレ、レンゲソウ、ヒメハギ等。
(18)風吹いて黄砂舞う (4月21日頃)・・・クマガイソウ、イチリンソウ、ニリンソウ、リンゴ、ナシ、クサイチゴ等。
(19)何たってタンポポだ(4月28日頃)・・・モンシロチョウ、チャバネアオカメムシ、モモブトカミキリモドキ等。
(20)緑の波が広がって(5月5日頃)・・・小麦畑、ニセアカシア、ネギボウズ、ウスバシロチョウ、カタバミ等。
(21)木の花も選手交代(5月12日頃)・・・エゴノキ、コミスジ、ヤマサナエ、カワトンボ、ヒメクロオトシブミ等。
(22)早くも30度を越えました(5月19日頃)・・・イチゴの実、ヘビイチゴの実、ウグイスカグラの実、モミジイチゴの実等。
(23)小雨の中の自然観察(5月26日頃)・・・タツナミソウ、アカスジキンカメムシ、アメリカフウロ、ドクダミショウ等。
(24)ゼフィルスが飛び出した(6月2日頃)・・・アカシジミ、オオミドリシジミの雄、ミドリシジミの雌、ウラゴマダシジミ等。
(25)梅雨寒の中に夏見たり(6月9日頃)・・・アジサイ、ミスジマイマイ、コクワガタ、タチアオイ、ハルシャギク等。
(26)カミキリムシが現れた(6月16日頃)・・・シロスジカミキリ、マスダクロホシタマムシ、ベニカミキリ、ラミーカミキリ等。
(27)夏だから黒くなる(6月23日頃)・・・アゲハ、キアゲハ、オニグルミ、ネジバナ、リョウブ、ナツツバキ等。
(28)時ならぬフェーン現象(6月30日頃)・・・コガネグモ、ショウジョウトンボ、アリグモ、ゲンジボタル、ホタルガ等。
(29)もうすぐ梅雨明け(7月7日頃)・・・ノカンゾウ、カキラン、ヤブカンゾウ、チダケサシ、タケニグサ、イヌゴマ等。
(30)堂々たる日本一の蝶(7月14日頃)・・・オオムラサキ、コムラサキ、ゴマダラチョウ、スミナガシ、ルリタテハ等。
(31)何処を見渡しても日本の夏(7月21日頃)・・・サルスベリ、ムクゲ、モモ、ブドウ、ダリア、ハス、キキョウ等。
(32)樹液酒場は大賑わい(7月28日頃)・・・カブトムシ、ミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、アカマダラコガネ等。
(33)恵みの雨に草伸びる(8月4日頃)・・・ヒマワリ、トウモロコシ、オシロイバナ、カラスウリ、メマツヨイグサ等。
(34)木立ちの中の合奏団(8月11日頃)・・・アブラゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシ、ツクツクボウシ、ニイニイゼミ等。
(35)秋の気配が忍び寄る(8月18日頃)・・・オニヤンマ、クロスジギンヤンマ、ウチワヤンマ、チョウトンボ等。
(36)夏の暑さに老犬死す(8月25日頃)・・・トウキョウダルマガエル、ナンバンギセル、オモダカ、ダイコンソウ、セリ等。
(37)もう後戻りはありません(9月1日頃)・・・ソバ、ゴマ、ナス、ニガウリ、ニラ、クリの毬、ハスの実、サンショの実等。
(38)薄紫の絨毯が(9月8日頃)・・・キクイモ、ツルボ、ゲンノショウコ、クズ、ボタンヅル、センニンソウ、スズメウリ等。
(39)草原にも秋来たり(9月15日頃)・・・トノサマバッタ、ショウリョウバッタ、クルマバッタモドキ、イボバッタ等。
(40)秋の主人公が登場だ(9月22日頃)・・・アキアカネ、ナツアカネ、ミヤマアカネ、ノシメトンボ、ヒメアカネ等。
(41)裏山にはキノコが一杯(9月25日頃)・・・タマゴタケ、シロテングタケ、ギンリョウソウモドキ、ヒトヨタケ、ノウタケ等。
(42)露のかけらが煌めいて(9月29日頃)・・・チカラシバ、オヒシバ、オオケタデ、オオイヌタデ、ミゾソバ、ミズヒキ等。
(43)ドングリころころ(10月6日頃)・・・クヌギの実、シラカシの実、アオマツムシ、カンタン、エンマコオロギ等。
(44)今年最後の花盛り(10月13日頃)・・・セイタカアワダチソウ、アキノキリンソウ、センボンヤリ、オミナエシ等。
(45)秋が一杯、人も一杯(10月20日頃)・・・キバナアキギリ、ノハラアザミ、タイアザミ、オケラ、カシワバハグマ等。
(46)赤い実が何故多い(10月27日頃)・・・アオツヅラフジの実、イシミカワの実、カラスウリの実、ゴンズイの実等。
(47)谷戸に藁塚が立った(11月3日頃)・・・ヤマトシジミ、ウラナミシジミ、オオカマキリ、ハラビロカマキリ、コカマキリ等。
(48)ミカン山はほっかほか(11月10日頃)・・・キク、ツワブキ、リュウノウギク、ミカン、ユズ、カリン、キウイ。
(49)リンドウ咲く谷戸で(11月17日頃)・・・リンドウ、センブリ、ウメバチソウ、ジョウロウグモ、クヌギカメムシ等。
(50)紅葉黄葉が何処でも一杯(11月24日頃)・・・モミジの紅葉、コブシの黄葉、カキの黄葉、ヤマザクラの黄葉等。
(51)フィールドの腕白坊主(12月1日頃)・・・モズのはやにえ(ヤマトフキバッタ、ツユムシ、コバネイナゴ、オンブバッタ)等。
(52)小春日和に生命の洗濯(12月8日頃)・・・クロスジフユエダシャク、ムラサキシジミ、アキアカネ、ヒメアカネ、クビキリギリス。
(53)冬が忘れずにやって来た(12月15日頃)・・・ハボタン、キミガヨラン、ウスタビガの空繭、カラタチ等。
参考資料
つれづれ里日記
<ウィークエンド・ナチュラリストの一年>
*尚、表示の文字サイズは中でお読み下さい。